『ぼくなつ』の夏休みは、ゲームだけど本物よりリアル。『この広い野原いっぱい』だけで胸がいっぱい【メモリの無駄づかい:ぼくのなつやすみ】

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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、綾部和さんが手掛けた昭和の夏休みを存分に体験できるPSソフト『ぼくのなつやすみ』を紹介。

 今年は綾部和さん&スパイク・チュンソフトから新作ゲーム『なつもん! 20世紀の夏休み』が発売されたように、“夏休み体験”というのは1つのジャンルとして確立された感があります。それだけ夏休みは楽しくてスペシャルな体験ということですね。そんな“夏休みゲー”の元祖について語ります!

『ぼくのなつやすみ』とは

 本作は、2000年6月22日にSCE(SIE)から発売されたPS用ソフトで、田舎の夏での生活を、小学生の目線で体感することができるアドベンチャーゲームです。

 当時からそんな言葉があったのかどうかはわかりませんが、いわゆる“スローライフ”を体験するもので、そのときとしては、かなり新機軸なゲームだったと思います。

 セミの鳴き声、小川のせせらぎ、花火の音、夜道の寂しさなどなど、かなり本格的に夏休みを体験できました。

 時代は1975年が舞台なので弱冠ずれてますが、自分も田舎育ちだったので、この作品から感じられる“なつやすみ”は、まさに自分の源体験を思い起こすものでした。

 とくにストーリーのようなものはなく、住人と触れ合ったり、外を探検したり、草木に水をうやったり、虫を採ったり、魚を釣ったり。それぞれの要素を楽しみながら、自分だけの“なつやすみ”を過ごすのですが、個人的に一番心に残ったのは、音楽です。

『この広い野原いっぱい』だけで胸いっぱい

 本作では、テーマ曲として森山良子さんの 『この広い野原いっぱい』(ゲームでは大藤史さんによるカヴァー)が採用されていたのですが、これを聞いただけで胸の奥からもの凄い勢いでノスタルジーが込み上げてきたのです。

 聞き覚えあるものの、当時はタイトルまでは知りませんでした。これをきっかけに調べたのですが、オリジナルの森山良子さんの曲は1967年発売と、自分はまだ生まれてない時代でした。でも、どういうわけかこの曲が胸にクるんです。聞いているだけで胸が熱くなり、なんだか涙が出そうになる。

 おそらく、幼少の頃に何か記憶に残ることがあったのでしょう。ただ、それが何かはわからないという状態でした。

 それでもこの曲の効果は抜群で、本当にゲームでは感じたこともないノスタルジーのなかでプレイすることができました。曲のインパクトがでかすぎて、正直内容はあまり覚えてないくらいです。

 ちなみに2作目の『ぼくのなつやすみ2 海の冒険篇』では、井上陽水さんの『少年時代』(ゲームでは沢田知可子さんのカヴァー)が使われていました。これはこれで超名曲ですが、自分は普通に知ってて、普通に聞いていたので、あの時の壮絶なノスタルジーは得られませんでした。

 あれからCDも買い、聞きまくった今でも、時折思い出してノスタルジーが込み上げてきます。この曲、親が好きだったという話も聞かないし、正直理由は、今でも謎です。

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※画面は公式Xより
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