『GジェネF』は『ガンダム』シリーズの教科書だった。本作をきっかけに『クロスボーン・ガンダム』にハマった思い出【SDガンダム ジージェネレーション F:メモリの無駄づかい】

米澤崇史
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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ(私)、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PlayStationで発売されたシミュレーションRPG『SDガンダム ジージェネレーション F』について語らせていただきます。

『SDガンダム ジージェネレーション F』とは

 『ジージェネ』シリーズといえば、歴代の『ガンダム』シリーズから集結した膨大なMSを収集・開発し、自分だけのオリジナル部隊を編成し、様々な作品のシチュエーションを再現したステージを追体験できるシリーズ。

 『ジージェネF』は、前作にあたる『SDガンダム ジージェネレーション ZERO』から基本のシステムを受け継ぎつつ、同一グループ内のMSが攻撃を行う支援システム、育成した機体でバトルロワイヤルに挑戦できるガンダムファイトモードの追加、さらにシチュエーションモードでは、プレイヤー好きな作品を選択してプレイできるようになるなど、様々なパワーアップを遂げています。

 今日まで多くの作品がリリースされている『ジージェネ』シリーズですが、本作で一つのシリーズの完成形に達したと言っても過言ではないほど、多くのプレイヤーからも高い評価を作品でした。筆者も全ステージのクリア、全MSリストを埋めるまでプレイし、ドハマリしたゲームです。

できる限りのシチュエーションを詰め込んだ、圧倒的な原作再現【ジージェネF】

 本作の魅力はたくさんありますが、特筆するべきはなんといってもその圧倒的なボリュームです。

 まず『機動戦士ガンダム』から『機動新世紀ガンダムX』までのTVシリーズ、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』といったOVAに加えて、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』、『ガンダム・センチネル』に機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』ら小説やコミックなどを原作とした非映像化作品も含め、全38作品が参戦しています。(収録機体数は1000機以上!)

 ストーリーの再現があるものは、その中から20作品まで絞られますが、プレイ可能なステージ数が非常に多く、劇場やOVA作品なら2~4、TVシリーズなら8~10程度ステージが用意されている作品が多く、1作品あたりの密度も高め。

 しかも、戦闘に関係した部分だけではなく、そこに至るまでの日常的なパートも含めて物語を描写していたり、ゲームのステージとして組み込みにくい小規模な戦闘(『機動戦士ガンダム』1話でアムロがデニムとジーンのザクを撃破するくだりなど)が、自軍部隊を出撃させないイベント専用のステージとして実装されていたり、原作にある要素を可能な限り盛り込もうとする制作陣のこだわりが尋常ではありません。

 そのおかげで、一度も原作を見たり読んでいない作品でも、物語のあらすじや登場するキャラクターの魅力を、かなりしっかりと理解することができます。

 当時はPS2も発売前で、DVDがほぼ普及していない状態でしたから、原作アニメを見ようにも、レンタルビデオショップを巡ったり、ケーブルTVのアニメ専門のチャンネルで再放送がないかチェックするくらいしか手段がなく、例え『ガンダム』シリーズのタイトルであっても、視聴までのハードルが結構高めでした。

 物心つく前に視聴した作品は記憶が曖昧だったり、そもそもストーリーをしっかり理解できていなかったので、それを補完することができたのもありがたかったですし、そもそも存在を知らなかった作品も多く、まだまだ駆け出しのファンだった当時の自分にとっては、本作は『ガンダム』シリーズの教科書といってもいいような存在でした。

 とくに『クロスボーン・ガンダム』は、本作での参戦をきっかけに原作を読んでドハマリし、クロスボーン・ガンダムX1のガンプラを買ったり、現在も続いている連載を追いかけるファンになりました。(どのシリーズも素晴らしいですが、個人的には『鋼鉄の7人』が最高だと思っています。)


●『機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人』1巻あらすじ(商品紹介ページより)

 宇宙海賊VS木星帝国軍の最終決戦勃発!!

 宇宙世紀136年。トビアたちクロスボーン・バンガードは、木星帝国軍新総統カリストが企てる「神の雷計画」を阻止すべく立ち上がった。一行は2週間で木星へ辿り着くための術を求め、月のサナリィへと向かうが…。


 また、ストーリー再現のある非映像化作品には、元々存在していなかったキャラクターのボイスやBGMを用意したのもすごいところ。現在の『ジージェネ』とは異なり、戦闘中もフルボイスではなかったので(特定の武装使用時に一部のセリフのボイスが流れる仕様)、ボイスなしで参戦させることもできたにも関わらず、しっかりと映像化作品と同じ扱いで参戦させています。

 『閃光のハサウェイ』や『クロスボーン・ガンダム』は、『スーパーロボット大戦』や『機動戦士ガンダム vs.シリーズ』など、後に様々なゲームに参戦を果たしていますが、その多くが本作でのキャスティングやBGMを踏襲しています。『ガンダム』シリーズの歴史を通しても、本作の果たした役割というのはめちゃくちゃ大きかったのではないかと思います。

 そういう意味でも、デジタル版のリリースがされておらず、当時のディスクでしかプレイできない現状は本当に勿体ない……!

 数ある『ガンダム』ゲームの中でも、今でも再プレイしたいファンが多いタイトルなのは間違いないですし、一日も早くリマスターなどでプレイできるようになって欲しいですね。


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。


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