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『サイレントヒル:タウンフォール』エンディングは5種類で初回クリア時間は10~14時間想定。一人称視点やCRTV、ホラー要素などの開発秘まとめ

文:Ak

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 コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)より9月24日にPS5/PC(Steam、Epic Games)で発売予定の『SILENT HILL: Townfall(サイレントヒル:タウンフォール)』。その世界最速メディアイベント(『SILENT HILL: Townfall』 Media Premiere)会場で実施された、プレゼンテーションおよび開発チームへのインタビューを掲載します。

イベント冒頭では開発チームが本作の魅力を解説するプレゼンテーションを実施!【『サイレントヒル:タウンフォール』インタビュー】


 会場では「サイレントヒル」シリーズプロデューサーの岡本基氏と、『サイレントヒル:タウンフォール』ライター兼ディレクターのJon McKellan氏が登壇し、2026年9月24日の全世界発売に向けて本作の全貌とこだわりが明かされました。

 イベント冒頭、岡本氏は『サイレントヒル 2(リメイク)』や『サイレントヒル f』に続く作品として本作を紹介できる喜びと、非常に濃い内容になっているという意気込みを語りました。また、スコットランドから来日したMcKellan氏もチームにとって大切な作品をお披露目できることへの感謝を述べています。商品情報としては、2026年9月24日にPlayStation 5、Steam、Epic Games Storeにて発売予定であることがあらためて発表されました。


 本作は過去作から完全独立した新作として展開され、舞台となる1990年代の閑静なスコットランドの港町“セントアメリア”の冷たく湿った空気感が、現場取材とスキャンによる4Kグラフィックでリアルに表現されているとのこと。演出面では一人称視点に加え、開発側推奨として2.35:1のシネマスコープ(レターボックス表現)が採用されており、個人と社会や企業という枠組みで物語を描く最も社会派な作品になると説明されました。

 システム面では、シリーズお馴染みのラジオに代わり、携帯型レトロ映像デバイス“CRTV”が登場。実際の古いテレビに映像を通して作成されたノイズや歪みにより、敵の察知やパズル解読に活用するツールとして圧倒的なリアリティを実現したと、自信を持って語るJon McKellan氏。

 戦闘においては近接、遠距離、ステルスがシームレスに交錯。近接戦闘は非常に高速かつ過酷で、ガードや見極めが不可欠となる一方、遠距離攻撃は強力ですが弾薬制限や発砲音で敵を引き寄せるリスクが伴うとのこと。また、物陰からの覗き込みや音による誘導など、動的な敵AIに対応する戦略的なステルスも重要となるようです。


 パズル要素は従来の「サイレントヒル」シリーズと同様、キャラクターの精神状態や記憶に深く結びついており、物語を押し進める重要な役割を担っています。そしてマルチエンディングにおいては全5種類の結末が用意されており、クライマックスでの単純な二択ではなく、道中での行動や振る舞いの積み重ねが総合的に記録されて反映される仕組みとなっているとの情報も!

 さらにPS5版ではDualSenseのハプティックフィードバックやモーションセンサーを活用し、武器の重みや巨大な敵の足音の振動といった“触覚”のホラー体験も注力しているらしいです。「存分に悲鳴を上げ、恐怖を楽しんでほしい」というJon McKellan氏の言葉で、プレゼンテーションは締めくくられました。

会場内にはセントアメリアの広場を再現した展示も!【『サイレントヒル:タウンフォール』インタビュー】


 今回の試遊会では、『サイレントヒル:タウンフォール』の舞台となるセントアメリアの広場を再現した展示も用意されていました。

▲会場内の展示。
▲ゲーム中の広場。

 雑多に置かれた看板まで再現されていて、試遊時の雰囲気を盛り上げてくれました。


 ただ、試遊範囲では広場に置かれていた看板がどういった意味を持つものなのかについては判明しませんでした。

 とくに上記の“C.E.G.”と書かれた文字にバッテンが付いている看板は謎が多い! 製品版発売後に謎が判明するのが楽しみですね。


 会場内には軽食も用意されていました。どうやら基本的にスコットランドのお菓子となっているとのこと。


 また、メディア向けのお土産として上記のグッズセットが配布。Tシャツやメタルキーホルダーなどかなり豪華な内容でした!


 なかでも、作中で主人公のサイモンが付けているリストバンドが印象的。「付けてみてサイモン気分でプレイしてみてください」というスタッフの方のススメに従って筆者も付けてみました!

 しかし、サイモンとは付けている腕もリストバンドの向きも逆でした(笑)。そして気づいたのですが……どうやらサイモンの腕に付けられたリストバンドは、向きから判断するに誰かの手によって付けられたもののようです。

 サイモンがリストバンドを付けているのには、何か恐ろしい理由がありそうですね。

「サイレントヒル」を作れる確信を持てるチームとは今後も協力していきたい【『サイレントヒル:タウンフォール』インタビュー】


 会場では、アジアおよびヨーロッパ、そして日本メディア向けの個別インタビューも実施。岡本基氏とJon McKellan氏が各メディアからの質問に答えました。


――2022年のシリーズ再始動発表以降、『サイレントヒル 2(リメイク)』、『サイレントヒル f』、そして今年は『サイレントヒル:タウンフォール』と、3年連続で異なるデベロッパーによる新作が続いています。IPの責任者として、このマルチスタジオ・マルチスタイルという布陣はどのように考えていますか。

岡本
「サイレントヒル」というIPは世界中で愛されていまして、作りたいという方が世界中にたくさんいらっしゃるという状況にあります。そういう意味では、世界中のさまざまなホラーゲームを作る才能を持った方々と組むチャンスが、非常に多く得られているんですね。

 ですから、私としては、「このチームであれば、ちゃんと『サイレントヒル』を作れるだろう」という確信を持てるチームとは、どんなチームであっても一緒にやっていきたいと思っています。もちろん、たくさん作りすぎてしまうと、ユーザーの皆さんも遊びきれないと思いますので、そのバランスは意識しています。

――「サイレントヒル」は長年の歴史と熱心なファン層を持つIPです。開発において、KONAMIはどのようにしてフランチャイズの遺産を守りながら、Screen Burnに創造的な自由を与えたのでしょうか。

岡本
KONAMI側でも「サイレントヒル」のバイブルやガイドラインは作っています。ただ、基本的には、それぞれのスタジオが自分で過去の作品、特に『SILENT HILL』(1作目)から『SILENT HILL 4』をプレイし、分析した上で、自分たちなりのバイブルを作ることが非常に重要なプロセスだと考えています。自分たちでガイドラインを作らないと、本当に腹落ちしたものにはならないので、そこがまず大切です。その上で、KONAMIからはあまり細かいことを言った覚えはなく、どちらかというと“サイコロジカルホラーのストーリーになっているか”というところに重きを置いて検討していました。

Jon
Screen Burnとしては、創造的な自由を与えてもらえることは非常に励みになりましたが、同時に“「サイレントヒル」の本質を守る”ことも大切にしました。チームの全員がそれぞれ“自分にとっての「サイレントヒル」”を持っていますが、その共通部分を見つけることで、正しい方向に向かっているかを確認してきました。


――今回、従来のシリーズを象徴するアイテムであった“ラジオ”が“CRTV”に変わりました。この変化の背景にある思想と、着想のきっかけを教えてください。

Jon
開発の初期における最初の課題は、“ラジオをこれまでよりも能動的なものにするにはどうするか”でした。最初は普通のラジオがあって、ダイヤルを回して周波数を合わせる機能を持たせていたのですが、そこに映像コンポーネントを追加した瞬間、ストーリーテリングとしての可能性が爆発的に広がりました。ステルス体験を強化したり、プレイヤーに世界を渡り歩く手がかりを与えたりと、様々な用途が見えてきたんです。

 それに加えて、Screen Burnとして過去の作品でもアナログでノスタルジックなVHSのような質感を大切にしてきたという側面もあります。プロトタイプを作ってみたときに、「これだ!」という感触を得ました。

岡本
ラジオをCRTVというデバイスにすることは、かなり初期の段階から到達したものです。最初期では通常のラジオがあり、ダイヤルを回してチューニングする機能はありましたが、“いかにラジオを受動的なものから、より積極的に活用できるものにするか”という命題を掲げていました。音だけでなく映像も見える視覚的なデバイスにすることで、ストーリー上での演出の幅や、ゲーム性への組み込み方の可能性が爆発的に増えたという実感があります。

――CRTVがなければ絶対に成立しなかったというシーンは、どのようなものが挙げられますか。

Jon
CRTVのゲームメカニクスは開発のかなり早い段階から決まっていたため、本作のあらゆる演出やゲーム性はCRTVを前提に作られているものが非常に多いです。“CRTVがなければできないシーン”というより、“このデバイスをどう使えば最も生きるか”という観点でずっと考えてきました。ゲームが進むにつれてCRTVの使い方はより重要になっていきますが、詳細はネタバレになるので控えさせてください。ただ、本作のあらゆる部分にCRTVが自然に溶け込んでいると感じていただけると思います。

――Screen Burnは、これまでの作品でも古いアナログのガジェットへのこだわりが見られます。なぜ古い技術に惹かれるのか、そしてそれが「サイレントヒル」とどのような相乗効果を生むのか教えてください。

Jon
アナログへのこだわりは、スタジオとしてのDNAの一部として長年持ち続けてきたものです。私たちは以前から、こうした領域での作業と、それがプレイヤーに与える感覚を楽しんできました。“ノスタルジーを武器にする”という言葉が適切かもしれませんが、自分が子どものころに触れていたものを懐かしく感じる気持ちをまず引き出し、そのあとにそれを“恐ろしいもの”に変えてしまうことは、プレイヤーを裏切る非常に効果的な方法だと思っています。

 本作のセントアメリアというコンテキストにおいては、時代設定も重要です。こうしたコンピューターやテレビのアナログな感触は、“不完全”で“信頼できない”、そして“脆い”という印象を与えます。テクノロジーがあなたを救ってくれるとは思えない、情報を得るために使わざるを得ないが、それに頼り続けていても助からない、という状況を作り出しているのです。

岡本
こういったアナログの古いガジェットや技術はScreen Burnにとって非常に大切で思い入れのあるものですが、それを採用するのはノスタルジーと絡んでいます。懐かしいと感じるその気持ちを、あえて逆手に取って、ノスタルジーでユーザーの心を掴んだ上で、その気持ちを悪用するような演出を心がけています。本作では、こういった技術はどこか不安定で頼りない、機械に頼り続けていても助けることはできないという状況を作ろうと考えていました。

――Screen Burnはこれまで中小規模のゲームを手がけてきましたが、その知見が「サイレントヒル」という世界的なIPにどのような視点や影響をもたらしましたか。

Jon
今作は、スタジオとして過去11年間に積み重ねてきた仕事の集大成だと感じています。プロジェクトを経るごとにチームの規模と能力が成長してきた結果、本当にやりたいことができるようになってきました。過去のタイトルから最も大きな教訓を得たのは、『Stories Untold(ストーリーズ アントールド)』です。あの作品では、ストーリーとパズルを融合させ、ゲームのあらゆる要素がナラティブに貢献し、プレイヤーが“これには意味がある”と常に感じられるように設計しました。ゲームを進行させるためだけの仕掛けというものが存在せず、すべてが何らかの形でナラティブと結びついている。その設計思想を『サイレントヒル:タウンフォール』にも引き継いでいます。

岡本
Screen Burnの過去11年間を振り返ると、例えば『Stories Untold』などで物語性とゲームプレイをうまく融合させることをずっと意識してきました。過去の作品においても、何かが起きた場合は必然的にナラティブに関連するように作られており、ゲーム内で描かれているものはすべてナラティブと直結しているという構造を心がけてきました。おそらくこの部分が、本作に最も大きな影響を与えたのではないかと考えています。


――2022年の発表から今まで、開発で大きく変わった点はありましたか。また、開発はいつ頃から始まったのでしょうか。

岡本
開発期間については具体的に申し上げることはできないのですが、2022年より前のどこかだとお考えください。初期から変わったことといえば、本当の最初のピッチの段階ではCRTVはありませんでした。ただ、初期のアーリープロトタイプの段階で、Screen BurnとAnnapurna Interactive(以下、Annapurna)とKONAMIでゲームを評価している中から、新しいアイデアが生まれてきたという経緯です。

Jon
2022年に発表してからも、開発はずっと続いていました。珍しいことかもしれませんが、私たちは“作りたかったそのゲーム”を、実際に形にできたと感じています。開発の進行は非常に一貫していました。最初にKONAMIへ提案したピッチから、基本的に大きく変更していません。むしろ、それを指標として、開発の各マイルストーンで“当初の提案から外れていないか”を常に確認しながら進めてきました。

岡本
当初KONAMIのチームに提案したプロジェクトのピッチから、基本大きくは変更していません。どういった作品を作ろうとしていたか、どういった物語を描こうとしていたかというのを基本的な指標として常に留め、大きく逸脱していないかを注視しながら開発を続けていました。

――KONAMIとScreen Burn、そしてAnnapurnaという3社の共同開発はどのように機能していたのですか。異なる国から来たプロデューサーが持つサイコロジカルホラーに対するアプローチの違いは、どのように折り合いをつけましたか。

Jon
Screen Burnとしては、独自のホラーの語り方というものがあります。抑制されたブリティッシュ・ホラーのようなアプローチと言いましょうか、プレイヤーをどう怖がらせるかについての私たちのスタイルです。岡本さんやKONAMIのチームが最初に私たちのピッチを見たときに、そこに可能性を見出してくれたと思っていますし、その部分を開発を通じて守り続けることができたと思います。

岡本
KONAMIとAnnapurnaの間で、そしてScreen Burnとの間で、コミュニケーションを重ねてきました。当初はAnnapurnaが仲介する形で主にやりとりしていたため、KONAMIとScreen Burnは最初のうちは“遠い親戚”のような関係でした。しかし開発後半になると、KONAMIとScreen Burnのダイレクトなコミュニケーションも増えていって、特にQAのフェーズでは毎日数十件ものやりとりが行われるほどになりました。

――そもそも、このコラボレーションはどのようにして始まったのですか。KONAMI、Annapurna、Screen Burnはどのように出会ったのでしょうか。

岡本
最初はKONAMIのUSオフィスメンバーとAnnapurnaの間で簡単なディスカッションがありました。その後、私もロサンゼルスへ行き、Annapurnaのメンバーとお会いする機会があって、そこでScreen Burnの名前を紹介されたのが始まりです。

Jon
Annapurnaから「『サイレントヒル』のプロジェクトについて、あなたたちに何ができますか」というアプローチがあった際に、他のすべてのプレゼンテーションをいったん止めて、このプロジェクトに集中することを決めました。KONAMIとAnnapurnaは両者ともに、非常に手厚いサポートをしてくれています。

――初期案はScreen Burn側が持ち込んだのですか? それともKONAMI側に事前のコンセプトがあったのでしょうか?

岡本
『サイレントヒル:タウンフォール』に関しては、Screen Burnが作成した初期案をAnnapurna経由でKONAMIに提案していただきました。『サイレントヒル f』がKONAMI側の発案であったのとは対照的で、『サイレントヒル:タウンフォール』はScreen Burnから届いた企画です。


――開発チームが最初に一致した“絶対に入れたいもの”とは何でしたか。

Jon
まず私たちはチームとして、全員がそれぞれの「サイレントヒル」を持ち寄って議論する時間を設けました。世代によって好きな作品が違いますし、「サイレントヒル」に対する見方もそれぞれ違います。そこで共通するものを見つけていったわけですが、私たちにとってそれはストーリーとキャラクターでした。そしてもうひとつ、ゲームを終えたあとに“自分にとってあれは何だったのか”“あのシーンはどういう意味だったのか”をずっと考え続けてしまうような、深みと曖昧さを持つ体験を作ること。それがチームの核となる合意点でした。

――「サイレントヒル」がリブートして以来、様々なアプローチが試みられています。これはシリーズの新しいコアを見つけつつあるということでしょうか。今作が一人称視点を採用したことも踏まえて教えてください。

岡本
「サイレントヒル」を新しくリブートするにあたって、「サイレントヒル」を“場所”ではなく“現象”として、あるいはストーリーのコアとして定義しています。ナラティブというところが共通の軸であり、それ以外のゲームプレイ要素や舞台・ロケーションは変えても問題ないというスタンスです。むしろ、ユーザーに飽きられないよう、毎作ごとにゲームプレイを積極的に変えていくくらいのつもりでいます。

Jon
Screen Burnとしての観点から付け加えると、この柔軟性と実験への意欲があることは、ストーリーに完璧に合ったゲームプレイを構築するうえで非常に重要だと感じています。特定のゲームプレイのフォーマットにストーリーを合わせるのではなく、ストーリーを最大限に支えるためにゲームのあらゆるレベルを設計する。その考え方が今作の基盤になっています。

CRTVのゲームプレイは一人称視点でなくては実現できなかった【『サイレントヒル:タウンフォール』インタビュー】


――本作はシリーズ長編として初めて一人称視点を採用しています。この決断にはどのような意図があったのでしょうか。また、CRTVというデバイスとの関係性についても聞かせてください。

Jon
一人称視点でプレイさせるという決断は、開発の最初期に下したものです。主な理由は2つあります。ひとつは、閉塞感のあるこの街でのホラー体験として、建物が小さく、路地が狭く感じられる環境を、一人称の視点で体感させることが適切だと考えたからです。

 もうひとつは、CRTVのゲームプレイが、一人称視点でなければ成立しなかったからです。画面上にUIをオーバーレイするのではなく、キャラクターを介さずにカメラの前にデバイスを持ってくることで、プレイヤーとゲーム世界が直接つながる感覚を生み出せると判断しました。

岡本
今回のCRTVというデバイスのゲーム性は、主観視点でなければ実現しえないものでした。それ以外の部分でも、一人称視点になることで様々な変化がありますが、そういった中でも「『サイレントヒル』らしい雰囲気や演出」を心がけていますので、従来と同様の体験を届けられると考えています。


――以前の三人称視点では、主人公の表情や仕草によって感情を表現できました。一人称視点でサイモンの個性やキャラクター性をどのように見せていくのでしょうか。

Jon
アクティブなゲームプレイ中は、完全に一人称に固定されています。プレイヤーがサイモンとして恐怖やサスペンスを体感するために、この制約は大切にしたいと考えました。ただし、ストーリーが区切られる場面や他のキャラクターとの会話のシーンでは、三人称のカットシーンが入ります。そこでは、映画的な演出でサイモンという人物を深く描き出せるようにしています。

――三人称視点では画面に映るアイテムを比較的自然に認識できましたが、一人称視点では隠しアイテムや探索要素の“気づかせ方”が難しくなると思います。どのように設計されたのですか。

Jon
一人称視点であることは、開発の初期段階から決まっていました。私たちが目指したのは、“人々の家の中を自分自身で捜索している”という感覚です。セント・アメリアという街と、そこに暮らす人々が、この物語の主役のひとつです。

 プレイヤーが実際に近づいてその場所を探ることで、そこに何があるかを学んでいく。序盤に登場する“棚の中を探索する”シーンがその典型例で、あのシーンの目的は、ゲームで使うアイテムを見つけるだけでなく、棚の中にあるものを見ることで、そこに住んでいた人の生活を垣間見ることにあります。

 本作における一人称視点の探索は、プレイヤー自身が物理的にどこに何があるかを意識して探そうとするという演出を目指しています。アイテムを探す行為を通じて、その場所で何があったのか、どういう人が住んでいたのか、その人の生活の一部を感じられる設計にしています。


――試遊をしてみて、クリーチャーがかなり手強いと感じました。今作はステルス重視のゲームバランスになっているのでしょうか。

Jon
プレイヤーが取れる選択肢はどれも有効です。敵の動きや反応を丁寧に観察することで、より有利に立ち回ることができます。ステルス、近接武器、遠距離武器、それぞれに使いどころがあります。どの場面でどれが最も効果的かを試行錯誤することで、ゲーム全体のリズムを掴んでいく、そういう体験を目指しています。

岡本
本作においてプレイヤーが取ることのできる手段は複数あります。ステルスだけでなく、近接武器での直接対決や、他の武器を使うという形で様々な選択肢が与えられています。その状況で最も効果的だと感じる手段を模索しながら、どうすればこの局面をうまく切り抜けられるかを試していただければと考えています。

エンディングはシークレット含めて5種類! 作りは『サイレントヒル 2』に近いものに【『サイレントヒル:タウンフォール』インタビュー】


――「サイレントヒル」はもともと、“主人公の壊れた心が世界に投影される”というコンセプトが有名です。今作のCRTVは、サイモンのトラウマや内面を反映したり、プレイヤーに対して“嘘をつく”ような機能を持っているのでしょうか。

Jon
『サイレントヒル:タウンフォール』の中に登場するほぼすべての要素は、何らかの形でサイモンとその精神、そして彼が経験してきたことに関係しています。CRTVも例外ではありません。このデバイスは、ゲームプレイとして“敵がどこにいるか”を示すだけでなく、メッセージを映し出したり、他のキャラクターとの接点を描いたりすることで、従来の「サイレントヒル」が表現できる範囲を広げる機能として使われています。

 さらに言えば、敵のデザインや“裏世界”の一部の要素も、すべてサイモンというキャラクターと深く結びついています。ゲームを最後までプレイしたとき、プレイヤーはそれらが何を象徴していたのかを理解するでしょう。

岡本
本作においては、あらゆる演出においてサイモンの精神性や内面が見えるように作っています。CRTVというデバイスを経て、ゲーム的な要素だけでなく、そのデバイスの中に何らかのメッセージが流れたり、サイモンと周囲のキャラクターとの間にどのような接点があるのかを掘り下げるための演出としても使われています。


――なぜ本作の舞台をスコットランドに設定したのですか。

Jon
私たちはスコットランド出身なので、どんな町が“本物らしく”見えるかについて、深い理解を持っています。ライターとして、またチームとして、まず“プレイヤーが信じられるような、肉付きのある街を作ること”が目標でした。そして、自分が知っていることを書くのが最善です。もし私たちスコットランドのデベロッパーがニューヨークを舞台にしたとしたら、それは不誠実なものになってしまうでしょう。セントアメリアのような街を作ることで、自分たちの記憶や成長した街の感覚を引き出し、ゲームの世界としてこれまで探索されてこなかった、本当にユニークな空間を作ることができます。

 正直に言うと、スコットランドはもともと霧が深くてクリーチャーだらけなので、「サイレントヒル」の舞台としてとても適しています。スコットランドでは「霧が出てきたら、今日はサイレントヒルだ」という冗談がミームになっているくらいです。そして真面目な話をすると、これらの街の建築は非常に閉塞感があって、夏の晴れた日にはかわいらしく見えても、霧がかかってモンスターが出てきたら、非常に息苦しく恐ろしい空間になります。そういう意味でも、「サイレントヒル」の体験にとって相応しい場所だと思います。

岡本
世界各地のデベロッパーと仕事をすることで、いろんな地域の文化やカルチャーが混ざった新しいホラー体験を提供できると考えています。スコットランドという地理はScreen Burnのメンバーが生まれ育った土地であり、最も描きやすく、プレイヤーから見ても説得力のある舞台設定を作るうえで、最も熟知している環境を選んだことは理にかなっていると思っています。

――スコットランドを舞台にすることで、スコットランドのプレイヤーや知識のある人だけが気づくような“スコットランドならではの要素”は入っていますか。

Jon
かなりたくさん盛り込まれています。実はScreen Burnのチーム内でも、若いメンバーには「本当にこんなものがあったの?」とピンとこないものもあったくらいです。例えば、ゲーム序盤のゾーイの家で登場するパズルがその典型で、スコットランドでは当時、電力をチャージ式のカードを使わないと供給できないという仕組みがありました。チーム外の人間が聞くと「本当に? カードを入れないと電気が使えなかったの?」となるのですが、確かにそういう時代がありました。キッチンのレイアウトや家具のサイズ、壁紙の種類に至るまで、「どこかで見たことがある」と感じてもらえるような細部が随所に散りばめられています。

――サイコロジカルホラーゲームにおいて視覚情報が制限される場面では、音の影響が最大化されると思います。今作のサウンドデザインにおいて、特にこだわったポイントを教えてください。

Jon
先ほどのプレゼンテーションでも触れましたが、オーディオデザインは“あなたが見ているものの50%は、あなたが聴いているものによって決まる”というくらい重要なものだと考えています。環境が本物らしく見えるよう多くの時間と労力を費やしたのと同様に、音にも同じ姿勢で取り組みました。私たちのオーディオディレクターであるByron(バイロン)と彼のチームは、実際にその場所に行って環境音を録音しました。あるコンポーザーは、海辺にある物体の音をサンプリングして、それをサウンドトラックのパーカッションとして使ったほどです。そのレベルの細部へのこだわりが、サウンドデザインを本当に際立たせると思っています。敵が発する音も、そのクリーチャーが何を象徴しているかから導き出されています。


――エンディングは全部でいくつありますか。またUFOエンディングのような隠しエンディングは存在しますか。

Jon
メインのエンディングが3種類あり、さらに隠しエンディングが2つあります。ファンが期待するような“秘密のエンディング”はちゃんとありますが、内容については詳しくは話せません。ぜひ自分で確かめてみてください。

岡本
メインのエンディングは、1周目からどのエンディングにも到達可能です。隠しエンディングはニューゲームプラスで到達できる仕組みになっています。これは従来の『サイレントヒル 2』や『SILENT HILL』に近い構造で、『サイレントヒル f』のように、メインエンディングを全部見るために2周も3周もしなければいけないという作りにはなっていません。

――エンディングはどのような基準で決まるのでしょうか。単純な選択肢の違いではないとのことですが、詳しく教えてください。

Jon
エンディングは、単純なA/Bの二択で決まるものではありません。どれくらい積極的に戦ったか、どれくらい入念に探索したか、といった多くの要素が積み重なって、どのエンディングに辿り着くかが変わります。“自分のプレイ経験にふさわしい結末だ”と感じてもらうことが最初の目標ですが、それと同時に、そのエンディングについてプレイヤーが深く考え、“あの物語は何だったのか”“自分ならどうしていたか”を内省するきっかけになってほしいと思っています。

 また、目指すべき“正解のエンディング”はありません。サイモンとして感じたままにプレイして、その結果がどこへ連れて行くかを楽しんでほしいです。

――クリアまでの所要時間はどのくらいですか。

Jon
ステルスとアクションの性質上、プレイスタイルによって大きく異なるため、一概に言いにくいです。初回プレイは10時間から14時間程度を想定しています。2周目以降はアンロックされる要素もあるため、より速く進めることができるでしょう。


――今作では赤と黒が印象的に使われています。これらの色を選んだ理由はあるのでしょうか。

Jon
シンプルに言えば、この2色が最もかっこいいからという理由もあります。ただ、ネタバレにならない程度に言うと、ゲームを進めていくと、サイモンにとってこの2色が非常に象徴的で重要な意味を持つものだということが、ナラティブの中で明らかになっていきます。本作でサイモンが体験するものはほぼすべてが何らかの意味を持っており、ゲームを終えたとき、すべてが腑に落ちるように設計されています。

岡本
ゲームを進めていくと、サイモンにとってこ赤と黒がかなり象徴的で重要であることが、ナラティブの中で繰り広げられていきます。進めていけば、なぜこの2色がかなり象徴的に描かれているのかが、おのずと見えてくるものだと考えています。


――最後に、プレイヤーにゲームをクリアしたあとにどのような気持ちを抱いてほしいか、そして本作に込めた思いを聞かせてください。

Jon
大きなネタバレは避けますが、ゲームを終えたとき、プレイヤーにはサイモンが置かれた状況を考えてみてほしいと思っています。もし自分がサイモンの立場だったら、何をするか。物語はとても緩やかに展開されますが、最終的には誰もが何らかの形でその物語に共鳴できるものを作っていると信じています。物語には十分な曖昧さと主観性があるので、何が本当に起きていたのか、ということについて、プレイヤーそれぞれが自分なりの解釈を持てると思っています。

岡本
本作をプレイしながら、ぜひ感じていただきたいのは、実際に自分がサイモンの立場に置かれていた場合はどうするか、ということです。この状況下でどういうものを感じ、どういう行動を取るのかを考えながら遊んでいただければと思います。主人公の立場に置かれたときに何を感じるかを、かなり強く意識していただければと考えています。

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