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『inKONBINI』は忙しい現代人にこそ遊んでほしいチル系癒しシミュレーション。温かくも少し不思議な、ひと夏のコンビニ物語【おすすめ度:7点/電撃インディー#1369】

文:sexy隊長

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Nagai Industriesより、4月30日にSteam、Switch、PS5、Xbox Series X|Sにて配信された、シングルプレイヤーシミュレーションゲーム『inKONBINI: One Store. Many Stories』のレビューをお届けします。


 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!


『inKONBINI: One Store. Many Stories』は、常連客と紡ぐ、温かくて少し不思議なひと夏の物語【おすすめ度:7点】


 毎日忙しく過ごしていると、ふと「何かに追われることなく、のんびりとした時間を過ごしたい」と思うことはありませんか?

 今回ご紹介する『inKONBINI: One Store. Many Stories』は、そんな疲れた心に優しく染み渡る、至極のチル系タイトルです。

 本作は、1990年代初頭の日本の小さな町を舞台にした、第三者視点のシングルプレイヤーシミュレーションゲーム。プレイヤーは大学生の“早川真琴”となり、夏休みの間、町の小さなコンビニエンスストアを手伝うことになります。

 ですが、本作はいわゆる“経営シミュレーション”ではありません。効率よく利益を上げたり、時間を競ったりする要素は一切なし。


 商品を棚に並べ、レジを打ち、訪れるお客さんと有意義な会話を交わす……そんな何気ない日常のルーティンを楽しむ、物語重視の作品なのです。

 実際にプレイしてみて感じた本作の魅力を、プレイ体験の感想をメインにたっぷりとお届けします!

ビジュアルとBGMから感じられるノスタルジーあふれる世界観


 ゲームを起動してまず目を奪われるのが、1990年代初頭の日本を見事に再現したと言われている、柔らかなビジュアル。

 温もりを感じさせる照明や、どこか懐かしいポスターの色合い、棚に並ぶ商品のレトロなパッケージなど、細部までこだわり抜かれた色彩豊かな世界が広がっています。


 そして、その世界への没入感をさらに高めてくれるのが、非常に質の高いチルアウト系サウンドです。

 ブラウン管テレビから流れてきそうな環境音や、商品を手に取るカサッという音、レジのボタンを押す物理的な音など、日常に散りばめられた些細な音が「今、まさに自分がここにいる」という感覚を強く刺激してくれます。

 平成初期の空気を知っている世代にはたまらない郷愁を、若い世代には新鮮でエモーショナルな体験を与えてくれるノスタルジーあふれる作品になっています。

時間やノルマに追われない。心落ち着く“癒やし”のルーティン


 本作の大きな特徴は、コンビニ業務が単なる“作業”ではなく“癒やし”として描かれている点です。

 品出しや棚の整理、商品の発注といった業務に複雑なタスクや制限時間がないのが本作の特徴。


 おにぎりの向きを綺麗にそろえたり、雑誌の並びを整えたり。ただそれだけの単純作業が、不思議と心を落ち着かせてくれます。

 経営ゲーム特有の“お客さんを待たせないようにバタバタと走り回る”といった焦燥感とは無縁。自分自身の心地よいペースで店内の時間を進め、作業の合間には店内や周辺をのんびりと探索することもできます。

 この穏やかなリズムと心地よいBGMの調和こそが、本作ならではのチルな魅力といえます。

常連客と紡ぐ、温かくて少し不思議な物語


 コンビニには、実に個性豊かな常連客たちが訪れます。彼らとのやりとりはストーリー重視となっており、プレイヤーの選択肢によって会話が分岐し、その受け答えが関係性に変化をもたらしていきます。


 初めは単なる“客”という視点で接してしまいますが、何度か言葉を交わすうちに、彼らが互いに密接に関わり合って暮らしていることや、抱える悩み、日常のささやかな秘密が見えてきます。


 あるときは相談に乗り、あるときはただ静かに話を聞く。自分の選択によってお客さんの日常が良い方向へ向かったり、隠されていた真実や謎が明らかになったりする展開は、まるで良質なドラマを見ているかのような気分です。


 彼らの人生にそっと寄り添う体験は、プレイしているこちらの心まで浄化されていくような感覚を覚えます。

細部まで作り込まれた商品と周回したくなる奥深さ


 のんびりとしたゲームプレイの中で、ぜひ注目してほしいのが“商品”のディテールです。

 店内に並ぶ商品は1つ1つがかなり綿密にデザインされており、のんびりまったりと商品を閲覧しているだけでも時間を忘れてしまいます。


 しかも、これらはただの背景オブジェクトとして存在するのではなく、商品の詳細がお客さんの抱えるドラマに密接に関わってくるなど、細部に至るまで物語のピースとして機能している点が素晴らしい!

 「あのお客さんはいつもこの商品を探しているな!?」「このアイテムが会話の糸口になるかも」といった気付きが、ゲームプレイに深みを与えてくれます。


 一度のプレイですべての物語を見届けることは難しく、「あのとき、別の選択をしていたらどうなっていたんだろう?」と、何度も初めからプレイしたくなる奥深さがあります。

 周回プレイをするたびに新しい発見やキャラクターの新たな一面が見え、どんどんこの小さな町とコンビニが好きになっていくので、ぜひ体験してもらいたいです。

忙しい現代人にこそ遊んでほしい、心のデトックス体験


 『inKONBINI: One Store. Many Stories』は、効率やスピードが重視されるタイパ社会において、立ち止まることの大切さを教えてくれるような作品です。

 コンビニのアルバイトという身近な題材を通して、人とのつながりの温かさ、日常に転がっている小さな幸せに気付かせてくれます。


 時間や売上に追われることなく、自分のペースで陳列を楽しみ、お客さんとの心温まるストーリーを紡いでいく体験は、忙しい日々の終わりにゆっくりと味わいたい“心のデトックス”に最適です。

 経営シミュレーションの歯ごたえを求めている方には少し毛色が違うかもしれませんが、ノスタルジックな雰囲気に浸りたい方、心温まるストーリーを体験したい方、そして日々の喧騒から少しだけ離れて癒やされたい方に、心からおすすめできる名作です。

 ぜひ皆さんも、真琴と一緒にひと夏のコンビニバイトを体験してみてください。きっと、忘れられない素敵な出会いと、穏やかな時間が待っています。

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