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『カリアのアトリエ』インタビュー。新主人公はフラム(爆弾)も食べる!? 伝統の“錬金釜”復活、100種以上の外見変化、過去最高のボリュームで挑む最新作への想い

文:編集O

公開日時:

 2027年初頭にNintendo Switch 2/PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)で発売予定の「アトリエ」シリーズ最新作『カリアのアトリエ ~夜の王国と追憶の道標~(以下、カリアのアトリエ)』。本作は2025年に発売された『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~(以下、ユミアのアトリエ)』と世界観を同じくしつつも、新主人公を迎えて描く、“追憶”シリーズ第2弾となります。


 キャラクターデザイン/イラスト制作はひきつづき人気イラストレーターのべにたま氏が担当。

 前作で好評だったオープンフィールドの冒険を継承しつつ、『アトリエ』らしい味付けへの原点回帰が行われ、さらに主人公が“なんでも食べる”という要素を取り入れ、続編でありながら“完全新作”と考えてもよい内容となっています。

 そこで今回は第1報の内容を受けて、制作を指揮するプロデューサーの細井順三氏、ディレクターの福井大暉氏へインタビューを実施。

 おふたりの本作に賭ける熱き思いを、ぜひ一字一句見逃さずに読み込んでください。


※インタビューは5月21日に実施。

細井順三氏『カリアのアトリエ』プロデューサー。コーエーテクモゲームスのガストブランド長。『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』から、プロデューサーとしてこれまで数多くのタイトルの制作指揮を執っている。

福井大暉氏『カリアのアトリエ』ディレクター。シリーズには『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』から参加。前作『ユミアのアトリエ』ではリードプランナーとして主にバトルシステムを担当し、本作では調合システムを中心に手掛けつつ全体ディレクションを行っている。

『ユミアのアトリエ』で得た手応えと学びをもとに進化する、新たな「アトリエ」としての挑戦


――「アトリエ」シリーズの新作『カリアのアトリエ』が発表されました。設定として前作『ユミアのアトリエ』から2年後が舞台であると明かされていますが、続編という形での構想はいつ頃からスタートしたのでしょうか?

細井
もともと「アトリエ」シリーズは、二部作あるいは三部作を想定して制作してきました。そのため、前作『ユミアのアトリエ』を作っている段階から、次の展開として「次はこういうところを描きたいな」という構想自体はありました。

 ただ、『ユミアのアトリエ』は“次世代の『アトリエ』”として、新シリーズの骨格を作るという役割が非常に強いタイトルでした。そのため、かなり大胆なチャレンジや、大幅な仕様変更をたくさん盛り込んでいたんです。

――前作はかなり新しい試みが詰まった意欲作でしたよね。

細井
はい。それもあって、発売後にユーザーの皆様から本当にさまざまなご意見やご感想をいただきました。それらを受けて改めて振り返ったときに、『ユミア』を世に送り出し、ユーザーの皆様から多くの反応をいただいたことで、次に目指すべき方向性がより具体的に見えてきました。

――なるほど。福井さんはディレクターとして、この続編を作るという心構えは『ユミア』の開発中からお持ちだったのでしょうか?

福井
そうですね。続編があるだろうということ自体は私も認識していたのですが、具体的な部分に関しては、前作の開発中は、まず『ユミアのアトリエ』をしっかり形にすることに集中していました。

 前作の開発がある程度落ち着いたタイミングで、“じゃあこれからどうしていこうか” という部分を自分なりに練りつつ、細井と相談しながら具体像を決めていった形になります。


――本作の開発を進めるにあたって、細井さんの方から「今回はこうしたい」と共有したコンセプトはあったのでしょうか?

細井
『ユミアのアトリエ』はRPGとしての新たな面白さを目指したのですが 、アトリエシリーズとして見るともっと良い形で昇華できた部分もあったと反省しています。

 そこで今回は、「アトリエであること、調合を、もっとゲームの中心に据える」という方向性をしっかりと定めました。

――たしかに『ユミアのアトリエ』は“冒険”が主軸になっている印象が強かったですね。そこはユーザーさんの反応を見てもそのあたりのギャップがあったと感じられたと。

細井
そうですね。RPGとしてきちんと評価していただけている部分もあります。

 我々としては “「アトリエ」シリーズだからこそできるRPG” を目指したつもりだったのですが、結果として “アトリエとしての体験”と“RPGとしての体験”が、思った以上に分離して届いてしまったのではないか、という点が大きな反省点としてありました。

――なるほど。その反省を踏まえての本作、ということなんですね。

細井
はい。ですから『カリアのアトリエ』を開発するにあたっては、「アトリエ」らしさを念頭に置き、これまで以上に“大きく進化した『アトリエ』”を目指しています。


 そのため、我々としては続編を作るというよりも、「ブランニュータイトル(新規IP)を作るんだ」という強い気持ちをチーム全体で共有して話を進めてきました。

――それほどの並々ならぬ意気込みで作られているのですね。ただ、ファンとしては前作の“RPGとしての冒険に振り切った『アトリエ』”も、斬新さがありとても楽しめまたので、その部分までごっそり削られてしまうと寂しいなという気持ちもあるのですが、そのあたりのバランスはいかがでしょうか?

細井
 もちろん、前作で良かった部分に関しては我々ももちろん生かしたいと思ってしています。好評だった部分をあえて変える必要はありませんから。

 ただ、前作では「調合システムに深みがない」というご指摘もありましたし、それによりストーリーを進めていくと同じ作業の繰り返しに感じられてしまうといった部分がありました。

 我々には、“もっとアトリエのシステムでゲーム体験を拡張できたはずだ”という想いがあったんです。そこで今作は、調合やシステムの部分にかなり力を入れています。


 過去作でもシリーズ2作目に当たる作品、たとえば『トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~』、『フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~』などと同じように、本作はかなりボリュームアップしました。

 新しいシステム関連も相当数実装しています。

――スタッフの皆さんの間で「これがあった方が『アトリエ』らしいよね」という要素や、ユーザーの意見からフィードバックされた要素がたくさん詰め込まれているわけですね。

福井
おっしゃる通りです。先ほども話に出たように、今作は“アイテムをメイン”として、それをシステムにどう波及させていくか、という部分に注力しています。

 アイテムを使っていろいろなことができるように突き詰めていった結果、システムがかなり豊富になりました。そのぶん、ユーザーの皆様にはいろいろ楽しんでいただけるボリュームになっていると思います。

錬金釜の復活で『アトリエ』らしさが加速


――本作は『ユミアのアトリエ』で冒険した“アラディス大陸の地下”を冒険するとのことですが、前作のストーリーをどこまで知っておくと、より楽しめるのでしょうか?

細井
 今回は前作のキャラクターたちも一部登場しますので前作を遊んだ方にはその分の楽しさを感じていただけるとは思います。

 ただ、今回重要なのは地下にも行けるし、前作で行ったアラディス大陸の地上も冒険するというところです。なので、本作から遊んでいただいても置いてけぼりになることは全くありません。

――えっ! 地上と地下、両方に行けるんですか? 世界はめちゃくちゃ広そうですね。

細井
はい、かなり広くなっています。もともといた地上では“マナ枯れ”という異変が発生しており、その原因を究明することろから物語がスタートします。

 その原因を探るために地下へ行ったり、また地上に戻ったりと、行き来しながら物語が進行していく形になります。

――地上と地下との往復が物語を引っ張っていくのですね。

細井
それともうひとつ、本作のストーリーにおける大きなシステムとして、今回は“錬金釜による錬金術”が復活します。

――おお! ファン待望の要素ですね。

細井
前作のユミアはマナを使って舞う錬金術を行っていたのですが、今作の主人公であるカリアは、従来の「アトリエ」シリーズの主人公たちと同じ、いわゆる“釜を使った錬金術”を行います。


 作中では、そのカリアの錬金術とユミアの錬金術が交わることになります。物語のひとつの見どころになります。

――前作のラストで、ユミアが自分なりの錬金術の形をひとつ見据えたような終わり方をしましたが、そのさらに先が楽しめるわけですね。

細井
そうですね。ユミアの思想とカリアが使っている錬金術の思想は結構違っているので。

――そのあたりが物語の見どころになると。

細井
はい。じつは、前作で錬金術に釜を使わないことについて、ユーザーの皆様からたくさんご意見をいただきました。

――やはり伝統というかお約束というか、見た目的にもビジュアルのイメージとしても、従来のファンにとっては大切な要素だったんですよね。

福井
我々の想定以上の反響をいただきました。

 それもあって、釜の錬金術の復活を決めました。ちなみに今回の錬金釜は過去最大のサイズになっています。

――それは楽しみです(笑)。ちなみに、前作では錬金術が“世界を滅ぼした禁忌”として恐れられ、序盤はユミアが冷たい目で見られるような描写があり、少し切ない気持ちにもなりました。最終的にはユミアたちの活躍を経て、そういった感情は薄れたようにも見えましたが、本作では世界の状況や人々の感情は変わったのでしょうか?

細井
今作の舞台もアラディス大陸ですが、本作では調査団が開拓団になっていて、ユミアといっしょに冒険した仲間たちの団員が残っているので、基本的には錬金術に対して好意的なメンバーが揃っています。

 大陸全体としても、昔の問題は問題として認識されつつも、基本的には開拓団に寄り添う形で、みんなの身近な存在として錬金術が受け入れられている世界観になっています。

――前作のようなトゲトゲした雰囲気からはスタートしないのですね。

細井
前作でああいう展開を作ったのも挑戦だったのですが、ここに関しても様々なご意見をいただきまして、中には「アトリエらしくない」といったお声もありました。

 ストーリーに振れ幅を出したいという意図もあってのチャレンジではあったのですが、本作では従来の「アトリエ」らしい雰囲気を感じでいただけるストーリーラインに戻しています。

――そういった意味でも、本当に『アトリエ』ファンに寄り添い、届けたいという作品になっているんですね。

細井
そうですね。基本的に我々は「アトリエ」シリーズを長く愛して頂きたいので、長く応援してくださっているユーザーの皆様の期待にしっかり向き合いながら、新しく触れてくださる方にも楽しんでいただける作品にしたいと考えています。「アトリエ」らしさを担保したうえで、新しい試みを取り入れていくべきだと改めて感じました。

――自分は1作目から遊んでいるコアファンなので、錬金釜の復活はたしかに実家に戻ったような安心感があります(笑)。なお、本作で冒険する中心は地下となりますが、どうしても薄暗い世界が続くのかなというイメージを抱いてしまうのですが、実際のビジュアルや雰囲気はいかがでしょうか?

福井
もちろん薄暗い場所もありますが、基本的にはファンタジーと言いますか、かなりキラキラしています。地下世界も独自の発展を遂げており、皆さんが想像するような「暗い、岩ばかり」といった閉塞感のある雰囲気ではありません。

――なるほど。普通にもうひとつの大陸で冒険できる、というようなイメージなんですね。たしかにティザーイラストを見ると、地下なのに空が見えたり、太陽のような光が見えたりして、まるで屋外のようにも見えます。

福井
地上とは異なる理で動いている世界なので、閉塞感はなく、新鮮な気持ちで冒険していただけると思います。光る球体は何なのか、などそのあたりはプレイしてののお楽しみにしたいなと。


――前作のように高低差を感じられたり、遠くが見渡せたりする風光明媚なフィールドの作りは健在であると?

福井
はい、そういった部分の作り込みは地下世界でもしっかりと健在です。

――前作のフィールドの立体感はユーザーからも大好評でしたもんね。この地下世界はたとえば雪が降る場所や、砂漠のような場所などはありますか?

福井
詳しくはお話しできませんが、バリエーション豊富な景色や、ランドマークに当たるものなど用意しています。ぜひ探索して見つけていただければと思います。

――前作では強烈な個性を放つ“ヴィラン(敵対勢力)”たちが物語の良いスパイスになっていましたが、本作でもそういった魅力的な敵役の登場は期待してよろしいでしょうか?

細井
そこは非常に好評だった部分ですので、今作でもしっかりと活かして魅力的なヴィランを登場させています。彼らとの対立などストーリーの厚みにもぜひご期待ください。

衝撃の“何でも食べる主人公”と、100種類以上の外見変化


――本作も『ユミアのアトリエ』に続いてキャラクターデザインはべにたまさんがご担当されています。続編のオファーをしたのはいつ頃なのでしょうか?

細井
『ユミアのアトリエ』の時点で、すでになんとなくはお伝えしていました(笑)。

――たしかに「アトリエ」シリーズは続編ありきの展開なので、そこはきっとある程度承知されていますよね(笑)。では、各キャラクターのデザインについて伺いたいのですが、主人公であるカリアは、これまでのシリーズの主人公とは少しベクトルの違う、だいぶ“ワイルド感の強い印象”を受けました。このデザインに決定するまでの経緯や狙いをお聞かせください。

▲カリア(CV:浅見香月)
細井
『カリアのアトリエ』のテーマとして、“何でも食べる主人公”というものがあります。食べたものによって“身体変化” が起こる特徴的なシステムですね。そのため、まずは“何でも食べそうな、ちょっとワイルドな見た目”にしようというのはありました。

 さらにもうひとつの理由として、身体変化が起こったときに“パッと見で変化が分かるようにしたい” というのがありました。ですが、服が突然変化するのは不自然じゃないですか。だから肌の露出を多くしたい、というシステムの要望としてべにたまさんには伝えています。

――なるほど、変化をわかりやすく見せるための露出度だったのですね。

細井
ただ、べにたまさんからは「肌の露出を多くすればするほど、デザイン性がなくなりますよ」と言われまして(笑)。最初は「腕、太もも、お腹を見せてください」と発注したのですが、「これじゃ水着じゃないですか!」と指摘がありまして。

 我々も「たしかに違うよね」となり、そこから調整を重ねて「べにたまさんのクリエイティブでいきましょう!」となったのですが、べにたまさんからは肌が見えないデザインが上がってきて、そこから開発側が「ここにとここに穴を開けられませんか」みたいな綱引きが行われ、いまに至ります。

――お話だけを聞くとおもしろいですが、実際の現場は大変でしたね(笑)。

細井
ちなみに、べにたまさんご自身がこだわりポイントとおっしゃっている部分が、カリアのスカートです。よく見るとチャックが少し開いているんですよ。

――あ、本当ですね!

細井
これはカリアが何でも食べるから“お腹がパンパンになったときのため”という、べにたまさんのこだわりが詰まった設定なんです(笑)。

――それはおもしろいリアリティですね! 実際のゲーム上でもお腹が膨らんだりするんですか?

細井
ゲーム内で体型変化やシルエットの変化をガッツリ入れたいと考えているのですが、グローバル展開にあたって海外部署から “体型変化の表現は差別行為になってしまう恐れがある”と指摘がありまして。

――なるほど、海外展開ならではの難しい壁があるのですね。シルエットがリアルタイムで変化するのはゲームとして相当おもしろい試みだと思うので、ぜひ実現してほしいです。

細井
我々としては体型に変化が起こるのも面白いのではと思っているのですが、ユーザーの皆様にもご意見を聞いてみたいなと思っているところです。

――ちなみに、カリアの“何でも食べられる”という設定は、人間でなくホムンクルス的な何かだったり、ストーリー上の大きなトリガーになったりしているのでしょうか?

細井
そこはまだお話できませんので、皆様のご想像にお任せします(笑)。

――わかりました(笑)。あとはカリアの外見変化ですが、公開情報では獣耳や尻尾が生えるような姿もあるようです。これはキャラクターデザインの段階からデザインを起こしていたのですか?

福井
両方のパターンがあります。属性変化のデザインとして獣耳や妖精のような姿など、べにたまさんに一から描き下ろしていただいたものもあれば、「こういうものができるのでは?」と、3DモデルのパーツをCGチームと連携しながら組み合わせて、ゲームデザイン的にバリエーションを足していったものもあります。

――バリエーションはどれくらい用意されているのでしょうか?

福井
細かいものまで含めると“100種類以上”はあります。

――100種類以上! それはすごいですね。

福井
ベースとなる数種類から細かい差分まで含めると、本当にそれくらいの規模になりますね。

 現在は100種類以上あるなかで、さらに少しでも数を増やせないかと、開発チームで必死に調整を続けているというか、無茶ぶりをしているところです(笑)。


――そうなるとカリアのデザインは、大元のデザイン以上にそちらの調整に時間をかけているわけですね。

細井
基本的には、最初から変化することを前提に作られていますからね。ですので、べにたまさんからそういったデザインアイディアをいただくこともあります。

 それで、何かを足すためにはここを空けなくてはいけないよね、といった話になってくるんですよ。なので、どちらかといえば並走しながら作業を進めていった感じですね。

――続いては生物学者のセルヴィオ・レクトールですが、どこか道化師のようでもあり、錬金術士っぽさも感じるビジュアルですね。注目ポイントはどこでしょうか?

▲セルヴィオ・レクトール(CV:田丸篤志)
細井
セルヴィオに関しては、まだ申し上げられない物語上の重大な“筋”がありまして、それに合わせてこのデザインになっています。

 キャラクター性としては、一見するとマッドサイエンティストっぽさがあるのですが、じつはコメディタッチに描かれるようなシーンも多いんです。

 その“見た目と内面のギャップ”は驚かれると思います。社内でも人気が高いですね。

――絶対に人気が出るキャラクターだと思います。そして騎士のフィナ・ローゼンは格闘技が得意とのことですが、こちらのデザインのこだわりはいかがでしょうか?

▲フィナ・ローゼン(CV:Lynn)
細井
べにたまさんとお話しした際、一般的な“格闘家キャラ”をそのまま描くと、どうしてもスマートなシルエットになりがちで、ビジュアルのボリューム感が出しにくいという課題がありました。

 それではひと目見たときにある種納得されてしまい、ユーザーさんの興味を惹けないのではないか、ということで、いままでの格闘キャラのラインに囚われないデザインを目指しました。

 ただ、彼女はカリアのことが本当に大好きなので、女の子らしさも大切にしたい。いわゆる“男勝りなだけのキャラクター”にはしたくなかったんです。

――なるほど。だからあえてスカートを穿かせているんですね。

細井
はい。バトルでのモーションが格好いいので、ぜひ注目してほしいです。

――今回の新キャラクターたちは、見た目の第一印象と中身におもしろいギャップが仕込まれているのですね。

細井
『ユミアのアトリエ』は“追憶シリーズ”の1作目ということもあり、見た目のイメージ通りにキャラクターを設計していたんです。

 ただ、2作目で同じやり方をすると新しいキャラクターとしてのインプレッションを残せない、となり、今回はあえて見た目と中身の差異というのを作ることによって、「あ、こんなキャラクターだったんだ。なるほど」とより興味をもってもらえるような作りにしています。

――やはり前作のキャラクターたちが登場するからこそ、差別化が必要だと。

細井
キャラクターストーリーまで進めば、深堀もされて解像度も高くなりますが、そこまでいかないユーザーさんもいると思うんです。

 ですので、最初からある程度差異を作る必要があります。

――カリアたちが動く姿を早く見たいですね。

細井
あとは“秘密シリーズ”以降、ひさびさに主人公が交代する作品になるので、そういうところも含めてどうやって新しいポジションを作っていくのかを突き詰めたのが、今回のキャラクターデザインなんです。

――なるほど。主人公の入れ換えにはなりますが、前作の主人公であるユミアが2年後の姿で登場します。彼女はカリアにとっての師匠のような立ち位置で、システム的にも重要な役割を果たすのですか?

▲ユミア・リースフェルト(CV:倉持若菜)
細井
先ほど申し上げた通り、ユミアの錬金術とカリアの錬金術はシステムがまったく異なるので、調合システム自体がガラッと変わる理由にも深く関わってきます。

――成長したユミアを描くにあたり、べにたまさんにお伝えしたポイントはありますか?

細井
じつは、ユミアに関しては特にオーダーは出していないんです。べにたまさんご自身が前作の発売後からずっとユミアに向き合い続けていたので、阿吽の呼吸で“2年後のユミア”を仕上げてくれました。

――特徴的なタイトスカートなど、彼女らしいポイントはそのまま継承されているので、ファンとしてはちょっと安心しました(笑)。あとはユミアが出たということは、彼女以外の前作キャラクターも登場するのでしょうか?

細井
そこは続報にご期待ください。

“食べる”ことで広がるゲームサイクル。進化したバトル&ハウジングも必見


――ここからはシステム面について詳しく伺います。カリアが錬金釜に腰掛けるティザーイラストが象徴的ですが、やはり“調合を軸にして採取や冒険へ派生していく”というゲームデザインになるのでしょうか?

福井
そうですね、本作は調合がすべてのゲーム体験の軸となっています。素材の組み合わせでこだわりのアイテムを作るという『アトリエ』本来の楽しさを存分に味わっていただけるよう、「調合」を中心にシステムを一新しました。

 アイテムは戦闘で役立つのはもちろん、探索における活用度も重要視しています。調合で作ったアイテムを使って新しい場所へ行けるようになったり、そこで得たレア素材を持ち帰ってさらに強いアイテムを作ったり、というゲームループがベースになります。さらに食事やハウジングにもアイテムが大きくかかわっています。

――ちなみに、ティザーイラストに描かれている錬金釜がかなり大きいのですが……このサイズには何か意味があるのでしょうか?

福井
べにたまさんから上がってきた原画の時点で、すでに錬金釜が大きかったんですよ(笑)。

――ビジュアルの勢いですね(笑)。そうなると、アトリエを拠点に冒険に出かけて、調合のためにアトリエに戻るという、従来の遊び方になるんですね。そんな調合ですが、今回の新しい調合システムの狙いを教えてください。

福井
前作は良い素材をどんどん投入すれば強いアイテムができるという、シンプルでわかりやすさがありましたが、もっと調合をやり込みたいというご意見もありました。

 今作は投入する素材によって効果が変わったり、調合のプロセスしだいで付与される効果、品質、特性が細かく変化したりするため、やり込みたい人はとことん突き詰められる仕様です。

 一方で、手軽に済ませたい方のためにオートによるおまかせ調合も用意していますので、プレイスタイルに合わせて楽しんでいただける形になっています。


――前作のアップデートで調合演出のスキップ”などが追加されましたが、こういった各種便利機能も最初から完備されていますか?

福井
はい、最初からオプションで細かく設定できるよう実装を進めています。

――そして気になるのが、カリアの最大の特徴である“何でも食べる”という要素が、実際のゲームプレイにどう絡んでくるのかという点です。このアイデアはどんなところから生まれ、どういった狙いがあるのでしょうか?

細井
従来の調合アイテムの使い道は、戦闘で使うかクエストで納品するかが主でした。今作ではその先に“食べる”という新しい選択肢を用意しました。


 料理だけでなく、時には素材そのものや、本来なら食べられないようなフラムなどまで食べることができます。

 この食べた結果としてカリアが成長し、さまざまな能力が上がり、それによって新しい素材が手に入ってさらに調合が広がる……という新しいサイクルを生み出したかったんです。

――食べたことによる能力変化は、プレイヤーが自由にコントロールできるのですか?

福井
カリアは食べたものから力や知識を得るという能力があるので、たとえば火属性のものばかりを食べさせれば“火属性に特化したカリア”になります。

 逆にバランス良く食べさせたり、探索スキルに特化させたりと、ある種ビルドの幅が広くなっています。

――カリアが食べた結果として起こるリアルタイムの外見変化ですが、お気に入りの見た目を維持したい、というプレイヤーへのフォローはあるのでしょうか?

福井
一度手に入れた姿はコスチュームとして固定できるようになっているので、能力はそのままに、自分好みの趣味の外見で冒険を続けることが可能です。

 デフォルトのカリアの姿が一番好きという方は、見た目変化のシステム自体をオフにすることもできますので、ご安心ください。

――フィールドでは素材などをつまみ食いできるとのことですが、これは感覚的に従来の素材の採取の延長線上にあるものなのか、それともすぐに満腹になってしまうような、まったく異なるバランスのものなのでしょうか? 採取するか、つまみ食いするかという食べ分けが必要になるのかも含めて、具体的な仕様を教えてください。

福井
つまみ食いのアクション自体は、従来の採取とどちらを行うかという選択式になっており、採取と同様にとても手軽に行えます。もちろん、あまり食べ過ぎるとお腹がいっぱいになってそれ以上食べられなくなるといった制限はあります(笑)。

 そのため、プレイヤーや場面によっては、食べるものをしっかりと選んでつまみ食いすることを推奨する形になるかもしれません。

――なるほど。お腹の具合と相談しながら進めるわけですね。

福井
そのあたりは、好きなものを手当たりしだいに食べるか、目的を持って狙って食べるかなど、プレイヤーの皆さんに自由に楽しんでいただければと思っています。

 ただ、採取とつまみ食いが二者択一になってしまうと、どうしても悩んでしまうと思います。そこで本作のつまみ食いは、採取したものを丸ごと全部食べてしまうというよりは、一部を少しつまむようなイメージの仕様を予定しています。

――それなら安心しました。つまみ食いをしたからといって、素材が完全に消えてしまうわけではないと。

福井
はい、全部がなくなるわけではありません。カリアが少しつまみ食いしたぶん、手に入る採取物の量は多少減ってしまいますが、きちんとアイテムを獲得できるようになっています。

――いわゆるつまみ食いは“食事”とは完全に別のシステムなのですね。

福井
その通りです。つまみ食いはあくまで“フィールドにある採取物をその場で食べる”というものですが、一方で食事に関しては、調合で作成した完成品や、料理を食べるものになります。ある種の“完成品を摂取するシステム”が食事に当たりますので、ゲーム内のシステムとしてはまったく別のものとして切り離されています。

 拠点などではパーティメンバーと一緒に料理を作って楽しむ食事システムを用意しています。そこで食べるものに関しては、一般的に普通の人が食べるような、美味しそうな料理になっています(笑)。

――そちらはいわゆる、一般的な美味しそうな料理が豊富に用意されている感覚ですね。気になったのですが、カリアには「こういうものを食べるのが好き」というような好みはありますか?

福井
カリアは何でも食べてみたいというタイプです。カリアが何かを食べた際、アイテム図鑑にカリア自身の味のコメントが書き込まれることもあります。

 フラムを食べたらどんな味がするのか、など、カリアの反応も載っているのでぜひ楽しんでいただきたいです。

――それはテキストを読むのが凄く楽しみですね! なんとなく、味へのコメントは某伝説の傭兵を彷彿させます(笑)。つぎはバトルに関してですが、前作はテンポの良いスタイリッシュなアクションバトルが魅力的でした。『カリアのアトリエ』では“コマンドメニューで状況制御できるようになる”とのことですが、調整した狙いは何でしょうか?

福井
前作のアクション性の高いバトルへの高評価を活かしつつも、従来のファンからの “じっくりコマンドメニューでアイテムやスキルを選んで戦いたい” というご要望にも応えるためです。

 アクションの爽快感は担保しつつ、コマンドメニューを開いて仲間の行動やアイテムの選択をじっくり考える時間を設けることで、バトルにおける“高い戦略性”を両立させました。

――『ユミアのアトリエ』後に発売された『紅の錬金術士と白の守護者 ~レスレリアーナのアトリエ~』はコマンド式で、個人的には落ち着いて遊べるこのスタイルもやっぱりいなと感じていたので、両方選択できるようになるのはうれしいですね。

福井
やはりアクションのいいところもコマンドのいいところもあるので、そのよいところを両方用意できたらいいなと考えました。

――あとは新要素としてパリィが実装されますが、アクションが苦手な人でも大丈夫でしょうか?

福井
前提として、パリィを使わなくてもゲームは問題なくクリアできるバランスにしています。そのうえで挑戦したいという方もいると思うので、装備品や一時的なアイテムを使ってパリィの受付時間を延ばす仕組みや、仲間の行動で代わりにパリィしてもらうといった要素を用意しました。

 今作はストーリーを純粋に楽しみたい方から、バトルの手応えを楽しみたい方まで幅広く遊べるよう、ゲーム全体の難易度選択の幅も少し広げる方向で見直しています。

――システムの大きな要素として、引き続きハウジングの登場もアナウンスがありました。前作は調合の拠点としての利用が主でしたが、今作はアトリエが固定ということで、ハウジングはどのようにゲームに関わってくるのでしょうか?

福井
前作のハウジングは少し独立したシステムになりすぎていた、という反省がありました。今作では、アトリエの目の前に非常に広大なハウジングエリアが存在し、ここを拡張していくことがゲーム全体に大きな要素となります。

 拠点にさまざまな建築物を建てたり物を置いたりしていくことで、アトリエの調合システムが強化されたり、戦闘や探索が有利になったりと、ほかのシステムと連動して冒険がラクになっていく仕組みです。

 また、各地にあるランドマークであるしるべの古塔を開放し、マナ枯れの呪いを解除していくことで、そこを新たなハウジングエリアとしても利用できるようになります。

――やればやるほど冒険が快適になる、まさに『アトリエ』らしいハウジングですね。あとは発表された以外にも目玉となるシステムなどはありますか?

福井
まだ具体的にはお話しできませんが、スタイル変化に伴うカリアのさらなる成長要素など、驚いていただけるような仕掛けをたくさん用意しています。これからの続報を楽しみにお待ちください。


――ありがとうございます。それでは最後に、発売を楽しみに待っているファンの皆様へメッセージをお願いいたします。

福井
本作は調合を軸とした形で、「アトリエ」シリーズならではのアイテムを活用する楽しさを、これまでにないボリュームと新しいシステムで提供できるよう、精一杯開発進行中です。今後の情報にご注目ください。

細井
ガストブランドの作品をいつも応援いただき、ありがとうございます。これまで以上に「アトリエ」シリーズを発展させ、進化させていきたいという想いのもと制作中です。 これが「アトリエ」シリーズの新たな進化というものをお見せできるように開発一同頑張っていますので、お手に取っていただければと思います。

――ありがとうございました。本作は“食”が大きなテーマとなるので、いちファンとしてコラボカフェなどの展開も楽しみに期待しています!

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

担当者プロフィール

  • 編集O

    編集O

    多くのゲームプレイ経験で得た“自分なりの物差し”には自信あり。 ゲーム歴はファミコン創成期から現在に至るまでと、激動のハード戦争をリアルタイムに見守ってきた超古参ゲーマー。編集・ライター歴は25年以上とそれなりで、電撃系やファミ通などの紙媒体やWebメディアを中心に活動中です。 おもにRPGやSLGが好みですが、おもしろければ何でも手を出す雑食系。物語やキャラの魅力を考察したり、システム面でイチオシ要素を探したりするのが得意です。ゲーム歴が長いだけに人気シリーズはほぼリアルタイムでプレイ済みで、RPGのシリーズ系ならば『DQ』、『FF』、『テイルズ オブ』、『軌跡』、『ペルソナ』、『アトリエ』、『幻想水滸伝』、『ゼノブレイド』、『龍が如く』……と、枚挙にいとまがありません。

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