カプコンより9月4日に発売されるPlayStation 5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用タイトル『鬼武者 Way of the Sword』。発売に先駆けて製品版をじっくりプレイできたので、この記事では物語やキャラクターについてお届けします。

宮本武蔵の生き様を現す「楽しいから」の言葉【鬼武者新作レビュー】
ゲーム冒頭。名門吉岡道場の当主・吉岡清十郎を斬ったことで門弟数十人に囲まれる宮本武蔵。そんな多勢に無勢の中で彼が放った「気合い入れて来いよ!」は、あまりにも格好良すぎました。

自分の剣への絶対の自信。強さの証明に対して実直な姿というか、もはや無鉄砲すぎるやり方で通してきたそんな生き様すらも掴み取れる言動、風格。まさに荒武者という言葉が似合う男で、惚れました。

一方で単なる野蛮人ではなく、武蔵自身もお腹が減っていたのに物欲しそうに見ていた子どもたちに握り飯を渡すシーンがあったり、幻魔を倒す力のない町民に対して「俺が倒すから安全な場所に逃げていろ」と促したりと、力を持つ者の身の振り方も備わっていて見ていて気持ちいいほど。


さらに物語が進むと今作では約700年幻魔を斬ってきた先輩鬼武者・小野篁の言葉で、今まで漠然としていた自身の剣の道の軸が確実なものになりこう言います。
「剣に生きる者にとって、戦いこそすべて。端的に言えば「楽しいから」だ」と。めちゃくちゃ格好良くないですか!? 剣の道を行くのに大義名分は要らず、ただその道を楽しむと言い切る心意気。痺れます。




個人的に好きなのは最初から「みんなを助けたい!」と正義人面しているのではなく、誰かに頼まれたり他にできる人がいないから「しょうがねぇなぁ」と動き出す感じ。不器用だから理由がないと素直になれないところも武蔵っぽいなーと。
強敵幻魔との戦闘中にも「そんなもんかよ!」とか「根性入れろよ!」とか安い挑発とも違う、どちらかというと敵に対してすら発破をかける言葉をよく話すので、ついつい自分にも言われてるようで力がみなぎってきます。

武蔵の生き様を見続けている1人として彼の気迫に影響されてる自分がいましたね。そんなこともあってか、強敵を倒せる瞬間の達成感に上乗せして、最後の一太刀に自然と武蔵の気合いが乗り移ってた気がします。「こいつで終いだ!」のような。
幻魔が外道だから遠慮なしに斬れる物語性【鬼武者新作レビュー】
物語は、とあるきっかけで鬼の篭手を身につけることになった宮本武蔵が、京都中に侵食した瘴気の原因である幻魔を倒していくというもの。京都には、この世とあの世の境と称した六道の辻の場所として有名な六道珍皇寺があり、ここを舞台の中心、そして武蔵の拠点として物語が進行していきます。


脇を固める静御前や小野篁もとてもいいキャラ。静御前は、ぶっきらぼうな武蔵に献身的に尽くし、彼の選んだ道ならばと支えるその優雅さに惚れます。武蔵とは対照的な振る舞いながらも、ただ優しさから寄り添っているのではなく、静御前自身にも強い目的があり、その根底の部分が武蔵と信念の部分で共感しつながっているところに絆を感じましたね。

小野篁は約700年もの間、この世とあの世の狭間で幻魔を斬り現世を保ち続けてきた先輩の鬼武者。一言で表現するなら豪胆な人物。六道珍皇寺に幻魔が出現しても動じずに武蔵にすべて倒してみせいと尻を叩いたり、武蔵の剣の道に対し「その道を楽しめ」と示したりと、武蔵とは異なる生き様の柱が備わっている人物で頼りになります。


そのなかで今回とくに武蔵の心意気にも同調し、幻魔をぶった斬ることに強い達成感を覚えたのは、幻魔が外道だったからでしょう。
ゲーム冒頭で登場する人の魂を貪ってた大唾拉(だいだら)なんて可愛いもので、安井金比羅宮で縁切り・縁結びと称し、「指を切れば習い事に行かなくて済む」などと口八丁で人々の体を切り取って弄んでた羅掌願(らしょうがん)。

人間を基に新しい幻魔を作り出す道狂(どうきょう)の人を人とすら思ってもいない様や、事あるごとに京言葉で武蔵を挑発してくるところなど、遠慮なくたたっ斬れる要素が武蔵の怒りと自然とリンクしていました。ここでは詳細な外道さは控えますが、ぜひプレイして同じ怒りを剣に乗せてぶった斬ってください。

一方で「強えやつと戦いてぇ!」なんて強者との果たし合いを望んでる酔狂な幻魔もいます。さすがに武蔵と意気投合こそしませんが、剣の道の理念とも合致するので純粋な一戦を楽しめました。個人的にもこのスタンスの幻魔が合間に挟まってくるのは、幻魔の外道さをずっと見せつけられてネガティブな気持ちに支配されずに済んだいい敵だったなと思っています。


物語の流れとしては各地に出現した瘴気の発生源である幻魔を叩き次のシナリオへ、という点ではシンプルです。ただ、上記のようなさまざまな幻魔が登場したり、ときには純粋な力のぶつかり合いだったりと感情の起伏は激しく展開していきます。


また、京都内だけでなく清水寺や二条城など各地に赴くのもおもしろい部分。とくに清水の舞台や安井金比羅宮など、現実の名所を再現したかのような作りも見どころです。もちろんゲーム的にデフォルメされている部分もありますが、現地を知っていると既視感もあり「幻魔にこんなに穢されてしまって……!」とある意味、リアルな怒りも沸くかもしれません。

リアルな京都内を奔走しながら、幻魔をたたっ斬る剣戟アクション『鬼武者 Way of the Sword』。別の記事ではアクションを中心にレビューしているので、そちらもチェックしてください!