OCG K studioが開発し、ワンコネクトがパブリッシャーを担当しているレトロアクションゲーム『コッコさんTimeStop』のレビューをお届けします。

本作の主人公は、時間を止める不思議な力を持つニワトリの“コッコさん”。ジャンプと時間停止を駆使して敵や障害物を突破し、各ステージのゴールにある卵の救出を目指します。
丸みを帯びたコッコさんや、カラフルでどこか懐かしいステージを見た第一印象は、とにかくかわいい。しかし、実際に始めてみると印象は一変。コッコさんも障害物も想像以上に速く、ほんの一瞬の判断ミスが命取りになります。
可愛い見た目に油断すると即ミス! とにかく速い高速アクション【コッコさんTimeStop】
『コッコさんTimeStop』を遊んで最初に驚いたのは、ゲーム全体のスピード感です。
コッコさんの足はかなり速く、少し移動するつもりが思った以上に前へ進みます。さらに、ステージ内を動く敵や障害物も速いため、画面を見てからのんびり対応しようとしても間に合いません。
格闘ゲームで日ごろからフレーム単位の攻防を意識しているプレイヤーなら対応できるのでは……と思いましたが、たぶんそれでも難しい。コッコさんも障害物も、とにかく速いのです。
コッコさんに攻撃手段はなく、基本アクションはジャンプと時間停止の2つ。迫ってくる敵を飛び越えるのか、時間を止めてすり抜けるのかを瞬時に判断します。
操作の種類が絞られているため、ミスの理由も明快です。ジャンプが遅かった、時間を止める位置が悪かった、移動しすぎた。失敗するたびに修正点が見え、自然ともう一度挑戦したくなります。

ミスしたら即再スタート。再挑戦までの待ち時間がほとんどないのはうれしいのですが、焦りは禁物です。右方向を押したまま復活し、その勢いで再び崖へ落下。”リスポーン→右移動→即死”という美しくないコンボを、自ら決めることもありました。
この即リトライの軽快さによって、プレイの流れがほとんど途切れません。今度は少し早く跳ぼう、次はあそこで時間を止めようと考えているうちに、気づけば同じステージへ何度も飛び込んでいました。
そして、ミスしたときに待っているのが”目玉焼き”です。
ミスするたびに画面へ目玉焼きが張り付き、プレイヤーの視界を遮ってきます。ニワトリのコッコさんがやられた結果、画面に目玉焼きが増えるという、かわいい見た目に反してなかなかブラックな演出です。
ただでさえ失敗して悔しいのに、画面へべちゃっと張り付く目玉焼きを見せられると、思わず笑ってしまいます。
失敗を単に罰するのではなく、何度もやられること自体をひとつの笑いに変えてくれるため、高難度ながら重苦しさは感じませんでした。
時間を止めると敵の弾が足場に! 世界のルールが変わる瞬間がおもしろい
本作の時間停止は、単に動いている敵や障害物を止めるだけの能力ではありません。
時間を止めることで、それまで見えていなかった足場が出現したり、反対に停止中にしか姿を現さない敵が登場したりと、ステージのルールそのものが変化します。
世の中には信じてよい時間停止と、そうでない時間停止がありますが、『コッコさんTimeStop』の時間停止は本物。敵も弾も空中でぴたりと止まります。
まず驚かされたのが、通常時には見えない足場です。
一見すると先へ進む道がなく、ジャンプしても届きそうな場所が見当たりません。しかし、そこで時間を止めると、それまで何もなかった空間に足場が出現します。
時間停止は危険を回避するためだけでなく、進むべきルートを見つけるためにも使わなければなりません。
とりあえず敵が来たら時間を止めればよいわけではなく、「この位置で敵を止めれば次の足場に移動できるはず!」と試すことも攻略の一部になっています。

一方で、時間停止中にしか現れない敵も存在します。
通常時には安全に見えていた場所でも、時間を止めた瞬間に敵が姿を現すことがあり、時間停止が必ずしも安全につながるとは限りません。
止めたことで足場を発見できても、その進路に敵が現れるかもしれない。便利な能力を使ったはずが、新たな危険まで呼び込んでしまうのです。
そして、時間停止による変化を最も強く実感したのが、砲台から弾が飛び交うステージでした。
初めて到達したときは足場らしい足場が見当たらず、「いったいどこから進めばいいんだ?」と立ち止まりました。
画面にあるのは砲台と、そこから次々に発射される弾ばかり。普通に考えれば、触れないように避けるべき危険物です。
しかし、とりあえず時間を止めてみると、空中で静止した弾の上にコッコさんが乗れることに気づきました。
さっきまで避ける対象だった弾が、時間を止めた瞬間に足場へ変わる。この発見には素直に感動しました。

「なるほど、この弾を渡っていけばいいのか!」と、自分のひらめきに満足したのもつかの間。弾の上に乗れたことへ感動しているうちに時間停止が解除され、コッコさんはそのまま真っ逆さま。
攻略方法を見つけた瞬間がゴールではありません。どのタイミングで時間を止め、どこまで移動し、いつ解除するのかまで考える必要があります。
通常時には存在しない足場が現れ、見えなかった敵が姿を見せ、危険だった弾が進むための足場になる。
ボタンひとつで景色だけでなく、ステージ内にあるものの意味まで変化する。この世界のルールが切り替わる感覚こそ、『コッコさんTimeStop』ならではのおもしろさだと感じました。
昨日の友は今日の敵! 弾を止める位置まで考える時間停止の駆け引き
弾を足場にできるとわかってからは、砲台が頼もしく見えてきます。
弾を撃ってくれるほど進路が増えるため、「これはプレイヤーを助けるためのギミックだったのか」と考えたほどです。
しかし、その認識もすぐに覆されました。
時間停止中の弾には、足場として乗るための当たり判定があります。つまり、上から乗れるだけでなく、下からぶつかることもあるのです。
弾の下でジャンプした際、停止した弾にコッコさんの頭がぶつかり、そのまま足場へ届かず落下してしまいました。
昨日の友は今日の敵。先ほどまで命を預けていた弾が、今度は頭上をふさぐ障害物になるとは思いませんでした。

『コッコさんTimeStop』では、時間を止めれば必ず有利になるわけではありません。
敵や障害物を止めることで安全な道を作れる一方、本来ならそのまま通過していくはずの物体を空中へ固定し、自分から進路や逃げ道をふさいでしまう場合もあります。
そのため、危険を感じるたびに反射的に時間を止めるだけでは突破できません。
止めた世界で何が足場になり、何が壁になるのか。時間を再び動かしたとき、敵や障害物がどちらへ進むのか。
現在の状況だけでなく、時間停止を解除したあとの展開まで想像する必要があります。
同じ弾が、場面によって敵にも味方にもなる。この仕組みのおかげで、使えるアクションは少ないながらも、攻略にはしっかりと考える余地があります。
初見では思わぬ仕掛けにやられることも多いのですが、「次はこうすれば抜けられるはず」と原因と対策が見えやすく、理不尽さよりも再挑戦したくなる気持ちが上回りました。
ハードではジャンプ中の時間停止解除も必要に。死んで覚えるゲーム好きにおすすめ
本作にはイージー、ノーマル、ハード、そして“???”という4種類の難易度が用意されています。
単純に同じステージの敵が速くなる形式ではなく、各モードのステージはそれぞれ個別に設計されています。ハードでは高度なタイミングや正確なジャンプを要求され、“???”はさらに難しい超難関モードとされています。
とくにハードでは、時間を止めたままジャンプするだけでは突破できません。
ジャンプ中に時間停止を解除し、再び動き始めた足場や障害物の動きを利用しなければならない場面まで登場します。
時間を止める判断だけでも忙しかったのに、今度は空中で解除する判断まで必要になる。
指ではジャンプ操作をしながら、頭では時間停止中と解除後の両方を組み立てなければならず、かわいらしい画面からは想像できないほど慌ただしいプレイになりました。
それでも、何度も失敗するうちに、最初は無理に思えた場所を少しずつ突破できるようになります。
障害物の直前で時間を止め、弾へ飛び乗り、次の足場へ向けて時間停止を解除する。一連の操作が狙い通りにつながった瞬間はかなり爽快です。

本作は、時間を止められるから簡単になるゲームではありません。
むしろ、時間を止められるからこそ、通常のアクションゲームにはない選択肢と、新しい失敗の形が生まれています。
かわいい世界観に引かれて気軽に始められる一方、その中身は反射神経、観察力、試行錯誤を求める歯ごたえのある高速アクション。
短いステージへ何度も挑み、失敗の原因をひとつずつ突き止めていくタイプのゲームが好きな人には、とくにおすすめです。
目玉焼きで視界を遮られ、リスポーン直後にまた崖へ落ち、それでも”次こそは”と再挑戦してしまう。
『コッコさんTimeStop』は、ジャンプと時間停止というシンプルな操作に、驚くほど多くの駆け引きを詰め込んだ、かわいくて手強いレトロアクションゲームでした。


