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レビュー:『東京サイコデミック』がもたらす唯一無二の科学捜査体験。常識の裏をかく驚きはゲームだからできるミステリー【サイデミ特集第9回】

文:電撃オンライン

公開日時:

グラビティゲームアライズから5月30日に日本先行で発売された、PS5/PS4/Switch/Steam用ソフト『東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~(以下、東京サイコデミック)』

 特集記事の第9回は、本作をラストまで先行プレイした担当ライターによるレビューをお届けします。

[IMAGE]※本記事はグラビティゲームアライズの提供でお送りします。

 『東京サイコデミック』は、東京を舞台に起きる数々の超常的な事件に、リアルな科学捜査で立ち向かっていくアドベンチャーゲームです。

 プレイヤーは、実写を使った映像や調書などの資料、音声データを解析して物証を収集。ダークウェブを通じて専門的な知識を持つ仲間たちに相談しながら、不可思議な事件の真相を暴いていきます。

 ゲームの魅力を掘り下げていく特集企画の9回目は、本作を最後までクリアした担当ライターによるレビューをお届けしていきます。

映像や音声を自分の目と耳で地道に調査する、推理ゲームとしての新しさ

アドベンチャーのなかでも、とくに自分自身が頭を使って考える楽しみが大きい“推理ゲーム”と呼ばれるジャンル。筆者もそうですが、この手のジャンルが好きな人は多いと思います。
 
 物語を読み進めながら、自分でも犯人やトリックを推理する。知的好奇心を刺激する部分がたまらないのですが、本作はそうした推理ゲームのなかでも斬新な部類に入るでしょう。なにせ、実際に自分の目や耳で、映像や音声を解析しなくてはいけないのですから。

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 本作は推理ゲームなのですが、よくある選択肢を選んで読み進めていくタイプではありません。謎を解くのは、プレイヤー自身。

 事件には超常的な力が関係しているのか、それとも人間が作り出したトリックなのか。プレイヤーの手でエビデンスを示し、報告書を作成することで事件を解決に導くことができます。

 まるで、推理ドラマの世界に入り込んだような没入感が、本作ならではの魅力と言えるでしょう。アメリカのドラマに出てくるような“エビデンスボード”に、推理の流れや容疑者の情報を貼って整理する、科学捜査の機器で映像や音声を解析して証拠を集める、自分自身で推理していく感覚が強く味わえるのです。

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 自分の手で捜査していく感覚を能動的に楽しみ、安楽椅子探偵の疑似体験をするのが本作を深く味わうコツ。自分の推理が正しいのか頭の中で整理しつつ、監視カメラ1つ1つを確認しながら自分の推理に確証を深めていく。推論をもとに、仲間たちと相談して新たな物証を得る。推理ゲームが好きな人には、たまらない感覚があります。

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 逆に、しっかり考えなければいけないので難しそう……と思う人もいそうですが、ヒントはちゃんとあるのでご安心を。Case1から、新しい要素が出るたびにチュートリアルが入りますし、相棒の紅葉 巴杏(あきば ともな)に相談することも可能です。

 自分の目と耳で証拠を探し、エビデンスを見つける必要はありますが、まったく手がかりがないことはありません。基本的にはヒントが多いですし、誘導も多め。

 報告書の作成も、「〇〇は〇〇だと思う?」「〇〇だと思うなら、その証拠は?」というように、推理の流れに沿って順番に証拠を挙げられるのでわかりやすいです。

 たとえば、Case1の報告書では、自殺か、他殺か、事故かを順番に検証。証拠とともに推理しながら、人体自然発火事件の原因に迫っていきます。あくまでも「未解決事件の真相を探る」ことが目的なので、単純な犯人当てではないのがおもしろいところ。

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 推理が間違っていた場合は紅葉が疑問を挟んでくれますし、報告書が完成したあとでも提出さえしなければ作り直せます。各Caseのクリア時に報告書の採点結果も表示されるので、完全な正解を目指してやり直してみるのもアリですね。

 もちろん、終盤になるほど捜査は複雑になりますし、ヒントも直接的ではなくなって難易度は上がっていきます。自分の目で観察してきたことを頼りに考えて導きだす必要がありますし、根拠となる部分を筋道立てて推理しておかないと答えに辿り着けないかもしれません。

 とはいえ、入手できる証拠には限りがありますし、どうしても解けない場合はある程度わかるまで総当たりで解けないこともない……かな? でも、じっくり考えたほうが絶対楽しいですよ。プレイヤー自身が考え、答えを導き出す。そこに楽しさが詰まったゲームだと感じました。

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 映像と映像を突き合わせて、解析しながら人を探す。エレベーターホールのビデオを1階ごとに調べる。音声のつまみを調整して、重要な音を探り出す。データをもとに、方角や時間帯などを割り出す……。早送りや巻き戻し、コマ送りなどもありますが、ゲームでは省略されやすい“面倒な作業”をあえてやることに意味があり、そこがおもしろいのです。

 ドラマの登場人物になったつもりで、1個、1個解析していく感覚は、ほかのゲームだと味わえない体験。

 プレイしていくうちにコツもつかめますし、見た目ほど複雑ではないんですよ。なんかガチャガチャやってれば、光明は見えます。最後の謎は、まったくわからないという人もいそうですが、そこもよく考えれば解けます! 自分を信じて頑張ってください!

 ボリューム的には平均的なミステリー系のアドベンチャーなのですが、これまでにない科学捜査という新しいシステムがあるので、人によってプレイ時間は変わってくると思います。

 個人的には、新しい捜査手法が出るたびにワクワクしちゃいました。オカルトを科学の力で解き明かすのは本当に楽しいので、もっともっと科学捜査したかった……!

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プレイヤーを揺さぶる“今井節”の切れ味が炸裂する物語。とくに、Case4以降は必見!

本作を楽しみにしている人は、おそらくシステムだけではなく今井秋芳さんのシナリオに期待している人も多いのではないでしょうか。

 今回は学園ジュヴナイルではないものの、オカルトという面ではしっかり今井節。平均年齢は高めで大人たちの物語にはなっていますが、今井さんの考える“オカルトを科学的に証明すること”がどんなことなのか、最後までプレイすると理解できると思います。

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 ストーリー自体も現実に近いものを思わせる設定が多く、推理ドラマみたいな雰囲気です。2020年に起きた新型ウイルスの蔓延と、それにともなうロックダウン(首都封鎖)。パンデミックが解決しても、どこか変わってしまった世界という下敷きは、我々が住んでいる現実とリンクするような感覚です。

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 詳細は言えないのですが、Case4の事件から「これが描きたかったのか!」という怒涛の展開が待っています。いや、本当に。こればかりは言えないので、ぜひ自分の目で確かめてみてください。きっと「やられた!」と思うはず。

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 もちろん、Case3までの物語もおもしろいですよ。解明するのが“都市伝説”なのがポイント。それが事件なのか、事故なのかすらわからなければ、被害者の身元すらわからない事件だってあります。

 真相不明な怪事件に対して可能性を挙げて、1つ1つ検証していく流れは、まさにドラマのようです。「え? そこまでするの?」と思うくらい、1つ1つ検証していくのも驚きますよね。もちろん、それを行なうのは自分たちなのですが……!

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 都市伝説を科学的に解明していく過程の楽しさはもちろん、捜査に協力してくれる仲間たちも個性的。普段はダークウェブ越しにやり取りしているのですが、外出すれば直接会うこともできます。

 ぶっちゃけると物語にはまったく関係ない要素ですし、やらなくてもクリアは可能です。ですが、1枚絵も用意されているのでこまめに外出するのをオススメします。世界観や設定の掘り下げにもなっていますし、意外な話が聞けるかもしれません。

 コンセプトカフェから神社、ラーメン屋、府中刑務所まで行ける場所も多彩。推理の方向性に行きづまったとき、プレイヤーたちを導いてくれる師匠的な存在の岩井所長が収監されているからなのですが、ことあるごとに府中刑務所へ話を聞きに行く推理ゲームは珍しいのでは?

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 安楽椅子探偵として地下で捜査するゲームなのですが、主人公たちがよく外出するので世界が狭く感じることもないと思います。事件のスケールもどんどん大きくなっていって、リモートで事件を解いているにも関わらず人との繋がりを感じるんですよね。

 これもまた、現実で我々が体験しているリモートに変化した働き方や世界の変化を感じるような独特の世界観で、まさに今の時代だからこそ出来たアドベンチャーなのではないかと感じました。

 なぜ、なんども物語の冒頭で変わってしまった世界が強調して語られるのか。パンデミックを乗り越えた設定が物語にどう関わるのか。そもそも、主人公たちが追っているオカルトや都市伝説が起きる理由は何か。

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 点と点を結び付けて、すべての謎を解き明かすのはプレイヤーの力にかかっています。主人公=プレイヤーで、無口系だからこそ体験できる没入感。

 今井節で、切れ味鋭く描かれる「現代であるからこそ意味のあるミステリー」として本作は読み応えのある作品でした。終盤の驚きを体験するためにも、ぜひ最後まで遊んでみて欲しいです。

 なお、物語自体は今回でしっかり完結しますが、まだまだ続編に繋がりそうな余地もあるんですよね。続きにも期待しています!

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『東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~』ファミ通DXパックが予約受付中!


商品名:東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~ ファミ通DXパック
販売価格:11,440円(税込)/ 10,400円(税抜)
発売日:2024年5月30日(木)※日本先行発売
対応ハード:Switch、PS5、PS4
メーカー:グラビティゲームアライズ

 下記5点のエビテン限定セット商品となります。

  • ゲームソフト『東京サイコデミック ~公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿~』
  • 描き下ろしB2タペストリー
  • オリジナルブックカバー
  • オリジナルクリアファイル
  • DarkPitメンバーポストカード4種セット

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