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『文字遊戯』レビュー。文字だけの世界で1文字の意味を考えるアドベンチャー。単語や文章に隠れた文字を探し出す【電撃インディー#1079】

文:電撃オンライン

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はTeam9と ESQUADRA,inc.が開発し、Flyhigh Worksが2025年に配信予定のアドベンチャー『文字遊戯』のレビューをお届けします。

【2025年8月8日追記】

 フライハイワークスは、『文字遊戯(日本語版)』Steam版について、配信が延期となったことを
公式Xで発表しました。発表時点(8月7日)では、新たな配信時期は未定となっています。

 なお、Nintendo Switch版は現在配信中。気になった方はぜひSwitch版をプレイしてみてください!

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 なお、電撃オンラインでは尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

文字ごとの意味や文章改変で言葉の意味を考えるアドベンチャー【文字遊戯】


 本作は文字だけで構成された世界を救うアドベンチャーです。この世界には文字しかないので人も建物もすべてが文字。なので主人公も“我”という文字であらわされています。

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 文字だけの世界ということで、ノベルゲームかと思うかもしれませんが、主人公の“我”を始め、人間など生きているものは動きますし、操作できます。色が違う文字もあります。人や建物が文字に置き換わっていると考えると想像しやすいかもしれません。

 これまでに体験したことのない感じで興味深いです。中には普段の生活にあまり使わないような言葉も出てきますが、そういった言葉には振り仮名がついているので勉強にもなります。

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 ただ、文字の意味や文章を知っているほど、ストーリーが進めやすくなっています。世界を救うために旅するのですが、各地に村や洞窟などがあります。

 ふつうのゲームなら空いている入口を見つけて、そこからはいればいいですが、すべてが文字のこの世界では入り口すらも文字です。門があるような場所なら“門”という形ですね。

 この場合、“門”を調べると中に入れます。文字や言葉の意味がそのままの役割を果たしていて、壁なら壁ですし、岩なら岩、犬なら犬です。文字だけの世界な以上、当たり前のことかもしれませんが。

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▲調べた文字が意味通りの動きをすることもあります。“門”なら開くような動き。
 言葉がただ並んでいるなら、迷うこともないのですが、単語の中に紛れているとちょっと考えてしまう場面もあります。

 例えば“門”を探しているときに、“専門書”という単語が出てきました。“専門書”という単語に門という意味はありませんが、“専門書”の中の“門”という1文字をピックアップしてみたときに、初めて門という意味が生まれます。

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▲たしかに“門”だ。“専門書”という単語の中に“門”がある。
 文章を読んでいるとその単語の意味は考えても、単語の中の文字の意味を考えることはあまりないでしょう。ですが、本作ではそれが重要で、単語よりも文字単位で意味を考えなければいけません。

 日常で文章を読むのとは違った感覚。注意深く観察して、ストーリーを進めるための文字を探すのは謎解きとかに近い感覚だと思います。見つけたときはかなり気持ちいいんですよね。

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 そしてストーリーを進めていくと、文字に干渉できるアイテムを入手できます。ストーリーの流れで、まわりが暗くなる場面で“こんなに暗くては何も出来ない。灯をつけたい”という言葉が出てきました。

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 その状況を説明する文章ですが、この文章に干渉すれば意味を違ったものに変えられます。“灯をつけたい”の“い”の文字を消せば、“こんなに暗くては何も出来ない。灯をつけた”という文章になって、まったく違った意味になります。

 そうすれば、実際に明るくなります。文字だけではなく文章の意味を考えて、文字を消したり、足したりすることで違う意味にすることで道が開けます。ただ人や物を文字に置きかえただけではなく、本当の意味で活用できています。

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▲“完全に死んだか?”という文章から1文字消すことで。
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▲本当に完全に死んでしまいます。ただ、意味を変えるだけではなく、変えた後の意味も考えなければいけません。
 ストーリーを進めるときには時間の制限がないのでゆっくり探せますが、戦闘ではそうはいきません。

 敵が迫ってくる中で逃げながら、文章やまわりにある文字を調べて、その説明文から攻撃を意味する単語や文章を探すことでダメージを与えられます。

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 文章に干渉して意味を変えないといけないこともあり、ゆっくりと探せるストーリー進行中とは違って、戦闘中はかなり緊張感があります。

 HPや攻撃力といったステータスがあるわけではないですが、そういったものがなくても緊張感があるバトルを作り出しています。

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 もし、進めるための方法がわからないときにはヒントも用意されています。ヒントは3段階で、できるだけヒントを見たくないけど進められないといった場合にも対応。ユーザーのプレイスタイルにも配慮されていますね。

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 本作は文字だけで作られたアドベンチャーということでノベルゲームのようなものかと思いましたが、“我”というキャラを操作したり、文字を調べて意味を探ったり、謎解きのようなタイトルです。

 単語の中の1文字や文章に文字を足したり、消したりして違う意味にするなど、文字だけで作られたという点が十分に活かされています。意味を考えるという意味では勉強にもなりそうですね。

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 あまり使わないような言葉には振り仮名がついていたり、3段階のヒントがあるなど、プレイしやすいよう工夫されています。

 文字だけで作られたアドベンチャーという異色の作品で設定をうまく落とし込んでいるからこそ、興味深くおもしろいタイトルだと感じました。


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