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古今東西のミステリー・サスペンス・ホラー系コンテンツを幅広く紹介するコーナー“まり蔵探偵事務所(まり探)”。
今回は、任天堂から8月29日に発売されたNintendo Switch用ソフト『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』のレビューをお届けします。
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『ファミコン探偵倶楽部』の最新作にあたる本作は、1988年~89年にファミコンディスクシステムで発売された1作目『消えた後継者』、2作目『うしろに立つ少女』に続く、35年ぶりのシリーズ完全新作となります。
2021年5月に発売されたSwitch版『消えた後継者』と『うしろに立つ少女』の制作に携わったMAGES.(メージス)が本作も開発を担当。会話シーンは、全編フルボイスで展開します。
なお、記事中ではストーリーのネタバレを含みますので、その点はあらかじめご了承ください。
男子中学生殺人事件、都市伝説、そして18年前の連続殺人事件が複雑に交差するストーリー
本作のストーリーは、15歳の少年・佐々木英介(声優:斉藤壮馬)の死体が発見されたところから始まります。死因は首を絞められたことによる窒息死。亡骸には、不気味な笑顔が描かれた紙袋が被せられていました。
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実は18年前に香福市で起きた未解決の“連続少女殺人事件”の被害者も、今回の事件と同じような紙袋を被った状態で発見されていたのです。さらにこれらの事件は、“笑み男(えみお)”という都市伝説によく似ているようで……。
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空木探偵事務所の助手である主人公(声優:緒方恵美)は、所長の空木俊介(声優:各務立基)や同僚の橘あゆみ(声優:皆口裕子)とともに、この奇妙な事件の謎に挑みます。
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今回の事件はただ男子中学生が殺されたというだけでなく、18年前の連続殺人事件も関連してくるので、聞き取り調査がとにかく大変。18年前の未解決事件の関係者なんてそうそう見つからないわけで。
そこに都市伝説も加わって、事件はさらに混迷します。被害者だけでなく、失踪した人間もいれば意外な関係者も登場して、複雑な人間関係にも振り回されることに。まあ、そうやって少しずつ謎を紐解いていく過程が楽しいんですけどね!
本作をプレイしていて感じたのが、ジワジワと浸食してくる“恐怖”。死体発見現場のポンプ場のジメッとした暗さや、夜道を歩いているときに感じる不可解な視線、家のドアののぞき穴から見えた衝撃的な光景など細かいところで静かな怖さを感じつつ、気がついたら物語に没入していました。
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物語の重要な鍵となる“笑み男”は、本作オリジナルの都市伝説です。ストーリーでは、殺人事件を捜査する中でこの都市伝説がどう生まれてどう伝播し、どう定着したかという過程も描かれます。
最初は「この紙袋にどんな意味があるのだろう?」くらいの認識だったんですが、物語が進むにつれて“笑み男”という都市伝説の正体がじわじわと明かされていき、終盤ではなにやらものすごく怖い存在にまで膨らんでいきました。あの紙袋に描かれた笑顔を見ると背筋に悪寒が走るくらいに……。
本作ではストーリーの随所に『ファミ探』らしい“恐怖”を感じられて、シリーズファンとしてはプレイしていてたまりませんでしたね。
誰も彼もが怪しく見える登場人物は協力者なのか、それとも……?
本作には捜査に協力してくれる人物から、事件の関係者までさまざまなキャラクターが登場します。協力者だと安心していると、なにやら不審な行動を取り始めるキャラも多数。
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その中でも筆者が特に気になったのが、刑事の神原大輔(声優:KENN)と、あゆみの先輩で教師の福山翼(声優:小野友樹)です。
神原刑事は、言動が少々軟派でしょっちゅう先輩刑事の久瀬純子(声優:白石涼子)に怒られているのですが、実は有能なのでは……? と感じることがしばしば。
強引な振る舞いで主人公はよく振り回されるのですが、気がついたら協力してくれていることもあり、なかなかつかみどころのないひょうひょうとした刑事さんです。
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もう一人の福山先生は、さらにつかみどころがないのですが、こちらはちょっと言動が独特というかウザいというか……。
熱血な先生で生徒にも好かれて(若干なめられている気も……)いるようなんですが、挙動不審なところもあり、協力者なのかそれとも犯人なのか、かなり惑わされました。
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操作は基本的にストレスフリー。ただ油断すると突然ゲームオーバーに!?
本作のシステムはコマンド選択式。捜査の状況に応じて、“移動する”、“聞く”、“見る・調べる”、“考える”といったコマンドを選択することでゲームが進行していきます。
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コマンド選択式というとちょっと面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、重要な情報には文字にオレンジの色が付いてわかりやすいですし、コマンドも必須のものには黄色の色が付きます。細かい部分で親切設計でしたので、筆者はプレイしていてストレスを感じることはありませんでした。
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登場人物の概要や事件の内容については手帳にすべて記載されているので、捜査で迷ったり見逃したところがあれば“手帳を開く”のコマンドを選択して調べたい項目をチェックしましょう。また、一度プレイを終了して再開した際、あらすじを表示してくれるのもうれしい機能ですね。
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なお、各章の最後では“推理する”というコマンドを選択して、その章で捜査した内容を振り返ることになります。ここでは選択肢を選んだり、重要ワードを記入したりすることになりますが、普通に捜査していれば詰まることはないでしょう。推理の難易度は低めです。
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ただ、ちゃんとテキストを読んでいるから大丈夫だろうと油断していると、突然高難度な質問をされて、うっかり答えられないとゲームオーバーになることも……。筆者もまんまと罠にかかり、おかげで気が引き締まりました(笑)。
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35年ぶりの新作ということでかなり期待していたのですが、プレイしてみたらそれ以上の満足感でした。冒頭から奇妙な殺人事件で物語に引き込まれ、捜査していく過程でどんどん没入し、そして心揺さぶられる結末に……!
名作といっても過言ではない出来ですので、『ファミコン探偵倶楽部』シリーズが好きな方はもちろん、ミステリー好きの方はぜひプレイしていただければと思います。