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『龍が如く』19周年。桐生ちゃんになり切って神室町を練り歩けば、リアル歌舞伎町が“俺の庭”に! 現実の街を再現した箱庭ゲームの醍醐味【メモリの無駄づかい】

文:栗田親方

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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

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 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PS2で2005年12月8日に発売されたアクションアドベンチャー『龍が如く』について紹介します。


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神室町で“堂島の龍”桐生ちゃんと一体化してから新宿・歌舞伎町に乗り込むべし


 言わずと知れた人気シリーズの第1作目。主人公の桐生一馬を通してヤクザの抗争を描いた骨太のストーリーや、『バーチャファイター』シリーズなどの3D格闘ゲームで培った技術を活かしたド派手な喧嘩アクションが大きな魅力のタイトルです。

 しかし、私が声を大にしてお伝えしたいのは、世界一の繁華街ともいわれる新宿の歌舞伎町という1つの街(エリア)をゲーム内で再現したことの素晴らしさなのです!

 ちなみに19年前の歌舞伎町は、今よりもアングラな雰囲気が強く、派手な見た目のオネーサンや怪しげな客引きのオッサンが跋扈する“魔都”のようなイメージでした……。いや、実際はそんなでもなかったかもしれませんが(うろ覚え)、地方から上京して間もない当時の私の印象としては、良くも悪くも“何があってもおかしくない”ようなカオスな街だったわけです。

 そんなイメージをガラリと変えてくれたのが、本作『龍が如く』でした。私は歌舞伎町……もとい神室町を縄張りとするヤクザ組織のエース級構成員・桐生一馬となり、神室町を舞台にさまざまな人物たちと交流し、数々の危険を乗り越え、ゲームをクリアするころには“堂島の龍”という異名に恥じない強い男になっていたのです。

 そんな桐生ちゃんになり切った私は、後日あらためてリアル歌舞伎町に足を踏み入れてみました。本作のマップ再現度は非常に高く、大通りに面したドン・キホーテ、昔は複数の映画館が並んでいた中央の広場、奥の方にある例の駐車場などなど、ゲーム内で見たことのある景色がそこに広がっていたのです。

 気分はもはや桐生ちゃん。怖いもの見たさで恐る恐る足を踏み入れていた昔の私とはまったく異なり、「勝手知ったる俺の街に帰ってきたぜ!」ぐらいの超強気な感覚を手に入れてしまっていたのです。肩で風を切りながら(気持ちだけは)、歌舞伎町の隅から隅まで堂々と練り歩き、“長年過ごした神室町”を満喫することができました。

 私の人生において“ゲーム内で知った街を実際に訪れる”という経験をしたのは、おそらくこれが最初だったと思われます。前述の表現はやや極端かもしれませんが、わりとガチで「よく知ってる場所」という気持ちを抱くことができたんですよね。人間の思い込みってすごい力があるんだな……と実感した瞬間でもありました。

 今はこの手の実在マップ再現系のゲームも増えているため、同様の経験をしたことのある人も多いと思われますが、当時33歳でおそらく初体験だった私にとっては、たいへん不思議かつ面白い経験になりました。

 今でいう“聖地巡礼”に近い楽しみ方だと思われますので、とくに歌舞伎町を訪れたことのない地方在住ゲーマーのみなさまには、『龍が如く』シリーズをガッツリとプレイしてから遊びに行ってみることをおすすめします。

ミレニアムタワーと東宝ビルと歌舞伎町タワー


 ここからは余談というか後日談ですが、ゲーム内では“ミレニアムタワー”という神室町を象徴する架空の高層ビル(60階)が登場します。当時の歌舞伎町には存在しない施設だったのですが、なんと現在その場所には、ゲームの発売からちょうど10年後の2015年に開業した、ゴジラヘッドで有名な“新宿東宝ビル”がそびえ立っています。

 建設当時、本作のファンの間では「ミレニアムタワーだ!」と騒がれていましたが、このときもまた、“堂島の龍”と化して歌舞伎町を訪れたときのような、虚構と現実が入り混じる不思議な気持ちを味わえたものでした。

 そして、さらにその後の2023年には、“東急歌舞伎町タワー”という48階建ての高層ビルも建設されました。こちらは場所こそ“ミレニアムタワー”と異なるのですが、30階建ての“新宿東宝ビル”よりもビジュアル&規模的にミレニアムタワーに近いので、このときもファンの間では大きな盛り上がりを見せていたようです。

栗田親方ゲーセン黎明期からゲームにハマり、ハイスコアラー⇒格闘ゲーマーと転身しつつゲーム人生を楽しんでいます。生涯現役。

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