7月4日、株式会社ゲオストアがゲオ限定商品『ANCワイヤレスヘッドホン(GRKOS-WHS 1096Pro BK)』(以下『ANCワイヤレスヘッドホン』)を発売しました。
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これは全国のゲオショップのうち、653店舗で販売されると同時に、公式ECサイト『ゲオオンラインストア』での取り扱いも開始されています。価格は税込4,378円。低価格帯に属するヘッドホンですが、そのサンプルが届いたので早速試してみたいと思います。
5,000円以下なのに50時間超の連続再生&ANC機能も搭載
COVID-19によるパンデミック以降、Bluetooth接続式のワイヤレス音響機器はさらなる高性能化を遂げました。
バッテリー持続時間は大幅に向上し、それまで高価格帯製品にしか装備されていなかったマルチポイント接続機能やアクティブノイズキャンセリング機能が低価格帯製品にも搭載されるようになりました。さらに、Bluetoothの新しいバージョンが登場する度に通信速度が改善され、それまでの「安いワイヤレス音響機器」にありがちだった音ズレは解消されていきました。
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『ANCワイヤレスヘッドホン』は、最大約51時間の連続再生を可能にしつつも2台同時接続機能、そしてノイズキャンセリング機能も備えた製品です。
このANC機能は、商品名にもしているだけあってONにすると環境音をきっちり遮断してくれるのですが、注目すべきはその起動方法。左側イヤーカップに装着されている物理ボタンを押すことで、 ANC機能のON/OFFができる仕組みです。
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「何だ、それだけか?」と言われそうですが、このあたりは小さな筐体しかないワイヤレスイヤホンには絶対に搭載できない、細かいながらも便利なメカニズム。
さらにこの製品、BluetoothだけでなくUSB-Cケーブルを使う方法の接続にも対応しています。
今現在のiPhoneとiPadは総じてUSB-C対応機種のため、ケーブルさえあればわざわざBluetoothに接続する必要はないということでもあります。
日本人が愛したジャズの名曲を聴く
次に、この『ANCワイヤレスヘッドホン』で音楽を聴いてみましょう。今回は筆者のiPhone 16eのUSB-C挿入歌にケーブルを接続する形で試してみたいと思います。
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いろいろ悩んだ末に筆者が選んだ曲は、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの『Moanin'』。曲名にピンと来なくとも、曲自体を一度も聞いたことがないという人は恐らくいないはずです。草刈正雄さんが進行役を務めるNHKの番組『美の壺』のテーマ曲といえば、「ああ、あの曲か!?」と反応してくれる人が出てくるのではないでしょうか。
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの初来日は1961年1月のことですが、それよりも1年ほど早く『Moanin'』は日本でも知られる大ヒット曲になっています。
40年代以降のジャズは「素人には難しい」と言われてしまいがちですが、『Moanin'』はそんな固定観念を打ち破る爽やかで心地良いメロディーが持ち味の曲です。ドラム、トランペット、テナーサックス、ピアノ、ベース。そのどれもが絶妙に絡み合いながら晴れやかな曲調を形成します。
「1960年に蕎麦屋の出前持ちが『Moanin'』を口笛で吹きながら仕事をしていた」
そんな逸話もあるほどです。その出前持ちがたまたまジャズに精通していた人だった可能性もありますが、ともかく『Moanin'』はそれだけ広く知られていたということでもあります。
初来日を果たしたアート・ブレイキーは、日本人が既に自分たちの曲を知っていること、そして黒人である自分に最大級の敬意を示してくれたことに感激し、涙を流したと言われています(当時のアメリカ南部の州にはジム・クロウ法が存在し、徹底した人種間隔離政策が行われていました)。
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『ANCワイヤレスヘッドホン』でこの曲を聴いてみると、特に目立つのがテナーサックスの音色。これを担当したベニー・ゴルソンの息継ぎまではっきりと聞き取ることができます。
イヤホンよりも大きなドライバーを内蔵できるヘッドホンですから、その時々のミュージシャンの動作がイメージできるくらいに音を拾い上げてくれるというわけです。
どちらかというと、中音を立体的に表現してくれる感じが見受けられます。人の声により近いテナーサックスの音色が、聴き終わったあとでも頭の中で響いているような感覚に襲われてしまいました。
対応コーデックはSBCのみだが…
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この『ANCワイヤレスヘッドホン』、嬉しいことに外音取り込みモードも搭載されています。音楽を聴きつつも周囲の様子を把握したり、他の人と会話したりすることもできます。
ひとつ残念なのが、対応コーデックがSBCしかない点。
高音質で音楽を聴くことができる他のコーデックには対応しておらず、そのあたりがやはり「値段相応」と言わざるを得ません。
ただし、全体的に見ればそのパフォーマンスは実売価格を上回っていると判断してもよく、普段使いのヘッドホンとして十二分に活躍してくれるでしょう。
連続50時間超の再生時間はやはり大きなアドバンテージで、しかもケーブル接続もできることを考慮すると、この製品のスタミナはまさに「無尽蔵」と表現してもバチは当たらないかもしれません。