MUTAN(ミュータン)とストーリーノートの共同開発によるSteam向け対話型推理アドベンチャー『ソフィアは嘘と引き換えに』の開発者インタビューを掲載します。
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お話をお聞きしたのは、梅澤友香プロデューサー(MUTAN)と原翔馬ディレクター(ストーリーノート)。2025年秋に実施したキャラクター人気投票とあわせてファンから募集した質問を中心に、さまざまな開発秘話を伺いました。
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※この記事には『ソフィアは嘘と引き換えに』の重大なネタバレも含まれます。クリア後に楽しむことをおすすめします。
なお、ウィンターセールで1/6(火)までセール中です!
索引
閉じる- キーワードを入れてデータベースを見ていくようなゲームをどう進化させていくか?【ソフィアは嘘と引き換えに】
- 「目の色が変わるというのは記号的な意味での瞳変化」——ソフィアたちのデザイン案について
- 「声の透明感に惹かれました」——声優・日向葵さんについて
- 「多重人格のお題が与えられて企画をスタートしました」——多重人格の設定について
- 「綾波レイを参考にした部分もあります」——5つの人格のモデルについて
- 「最初の衣装デザインはワンピースだった」——ソフィアたちのデザイン案について
- 「裸足にすることで少女らしさも際立つと思って」——ソフィアが裸足である理由
- 「パソコンでの体験がぴったりすぎて…」——Steam以外のプラットフォームへの展開
- 「5つの人格が抱えるトラウマは企画書から変わっていない」——うさ耳と猫耳についても聞きました!
- 「“かけることができるもの”を“大喜利”って呼んでました」——裏技・気づきにくいキーワードについて
- 「何度も作り直した事件の真相」——シナリオで苦労した点とは?
- 「トゥルーエンド後のソフィアとフィリップは、バディものになっているかも?」——今後の展開について
- 「この子を助けてあげたいという感情を呼び起こす」――『アルジャーノンに花束を』について
- 「皆さんの応援があってこそ」——アンケート結果を見た感想
- 「皆さんのおかげで『ソフィアは嘘と引き換えに』の世界が広がっていっている」——ファンへのメッセージ
キーワードを入れてデータベースを見ていくようなゲームをどう進化させていくか?【ソフィアは嘘と引き換えに】
――まずは本作における役割を含めた、自己紹介をお願いします。
梅澤:『ソフィアは嘘と引き換えに』のプロデューサーを務めました、MUTANの梅澤と申します。『ソフィアは嘘と引き換えに』は私がプロデューサーを務める初めての作品ということで、手探りでここまでやってきましたが、皆さんのレビューや応援のコメントにいつも励まされています。ありがとうございます。
梅澤:『ソフィアは嘘と引き換えに』のプロデューサーを務めました、MUTANの梅澤と申します。『ソフィアは嘘と引き換えに』は私がプロデューサーを務める初めての作品ということで、手探りでここまでやってきましたが、皆さんのレビューや応援のコメントにいつも励まされています。ありがとうございます。
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原:『ソフィアは嘘と引き換えに』でディレクターを務めたストーリーノートの原と申します。もともとデジタルゲームの開発をしていたわけではなく、全然違う畑から来て、初めてのゲーム開発で初めてのディレクターという、なかなか貴重な経験をしながら開発に携わることになりました。
――本作の開発経緯はどのようなものだったのでしょうか。
梅澤:プロジェクトが立ち上がった当時は私はまだ参加していなかったのですが、ストーリーノートの代表取締役である藤澤さんと、弊社の代表取締役である渡邊にお付き合いがあって、そこでオリジナル作品を一緒に作らないかという流れになったそうです。
ストーリーノートさんはシナリオを書くのを専門とされている会社さんですし、うちもゲーム開発をいろいろとやってきて、特にモデリングのクオリティや見せ方は強みだなというところがしっかり確立されてきた、実績としてできてきた時期でもありました。
なので、2社の強みを持ち寄って何かゲームを作れるんじゃないか、作ったら良さそうだね、面白そうだねというところから開発が始まったと聞いています。
――『ソフィアは嘘と引き換えに』は多重人格やキーワード入力型ゲームなど、多くの特徴があります。そういった当初コンセプトは、初期からしっかりしていたのでしょうか? それとも変わっていった部分が多かったのでしょうか?
原:コンセプトの部分はほとんど初期の企画書のままですね。シナリオドリブン型のアドベンチャーゲームを作りましょうという話になり、その時点で『Her Story』のような方向性を意識していました。プレイヤーがキーワードを入力して、データベースを閲覧するようなゲーム性を核にする前提で、そこに「今作るんだったら、どういう進化をさせられるのか」といった相談をしていくなかで、多重人格というキーワードも出てきました。
――本作の開発経緯はどのようなものだったのでしょうか。
梅澤:プロジェクトが立ち上がった当時は私はまだ参加していなかったのですが、ストーリーノートの代表取締役である藤澤さんと、弊社の代表取締役である渡邊にお付き合いがあって、そこでオリジナル作品を一緒に作らないかという流れになったそうです。
ストーリーノートさんはシナリオを書くのを専門とされている会社さんですし、うちもゲーム開発をいろいろとやってきて、特にモデリングのクオリティや見せ方は強みだなというところがしっかり確立されてきた、実績としてできてきた時期でもありました。
なので、2社の強みを持ち寄って何かゲームを作れるんじゃないか、作ったら良さそうだね、面白そうだねというところから開発が始まったと聞いています。
――『ソフィアは嘘と引き換えに』は多重人格やキーワード入力型ゲームなど、多くの特徴があります。そういった当初コンセプトは、初期からしっかりしていたのでしょうか? それとも変わっていった部分が多かったのでしょうか?
原:コンセプトの部分はほとんど初期の企画書のままですね。シナリオドリブン型のアドベンチャーゲームを作りましょうという話になり、その時点で『Her Story』のような方向性を意識していました。プレイヤーがキーワードを入力して、データベースを閲覧するようなゲーム性を核にする前提で、そこに「今作るんだったら、どういう進化をさせられるのか」といった相談をしていくなかで、多重人格というキーワードも出てきました。
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『Her Story』は1人の人生を掘っていくゲームなんですが、それを5人にしたら5倍面白いだろうみたいな、すごい雑な考えで(笑)。
梅澤:5倍大変そうですけどね(笑)。
原:確かに(笑)。そんなわけで、ゲームシステムを含めたコアな部分はほぼ初期の企画書に書いてあった通りだと思います。
梅澤:自由入力の検索でヒットさせるという没入感というテーマは変わらずにありましたね。ユーザーさんが実際にその場にいてパソコンを使っている感覚と言いますか、そんな没入感を大事にしたいなと。
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原:そういえば、多重人格以外にも、“監視カメラ越し”みたいなキーワードも企画書に入れていましたね。
梅澤:窃視感というとちょっと悪い言葉に聞こえますが、“相手に気づかれないように、こっそりのぞき見をする”みたいな部分をゲーム性に盛り込めないかという話はあったようですね。
梅澤:窃視感というとちょっと悪い言葉に聞こえますが、“相手に気づかれないように、こっそりのぞき見をする”みたいな部分をゲーム性に盛り込めないかという話はあったようですね。
「目の色が変わるというのは記号的な意味での瞳変化」——ソフィアたちのデザイン案について
――“大統領候補の殺人事件”など、ストーリーの骨子も初期からブレずに進んだ感じですか?
原:企画書段階のストーリーはとにかく面白そうに見せよう、とにかくケレンミを出そうという方向で、被害者に100箇所の差し傷があってとか派手な事件でした。
梅澤:連続殺人犯でしたね、最初は。
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原:盛りだくさんの設定があったんですけど、実際に作っていく中で、多重人格×連続殺人事件となるとややこしいよねとなり、だんだんシナリオをスリムにしていって、お話の落ちみたいな部分というのは割と開発の中で変動していったイメージがありますね。
梅澤:最初、ソフィアと関わった人物は皆死んでいってましたよね。
原:オカルト的な感じで、ソフィアという女の子を謎めいた存在というか、最初見た時に「何なんだ? この子の正体は!?」みたいな、不穏な感じにしたかったんですよ。なので、ソフィアと関わったらみんな自ら死を選んでしまう、といった初期設定がありましたね。
――それはそれで、どんな話か気になりますが。ともあれ、5つの人格のキャラクター設定は早い段階から決まっていたのでしょうか?
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梅澤:私が最初に聞いた時はもう5つに固まっていたので、結構初期の段階で5つになっていて、キャラも立っていた記憶がありますね。途中、名前が変わったりもしましたけど。
原:それぞれの人格の頭文字がソフィアになっているんですね。ソフィア、オリヴィア、フローレンス、イザベラ、エイミーみたいな感じで。S-O-F-I-Aになっています。実は最初、6つの人格があった時期もあったんですけど、ちょっと人格多いなってなって。
梅澤:そうなんですね! 初耳……!
――その幻の人格はどういうキャラクターだったのでしょうか?
原:作り込む前に、年齢やトラウマが被らないように埋めていくんですけど、あと1枠埋まらないなって言って消えたので、本当に概念だけのものでした。
「声の透明感に惹かれました」——声優・日向葵さんについて
――声優の日向葵さんを起用した決め手や、実際に演技を聞いていかがでしたか?
梅澤:一言で言うと、彼女の声の透明感に惹かれたことが決め⼿でした。何人か候補がいる中で、実際にお会いする前、決まる前に別の機会で日向さんの歌唱をネット上で聞く機会があったのですが、もうそれに心奪われてしまいまして。
実際にお会いして、「ソフィア役は日向さんしかいないな」と確信した記憶があります。
時期的にはちょうどソフィアのデザインが上がってきて、ソフィアの顔のイメージが付いている状態で、その⾒た⽬に合うというか雰囲気に合う声優さんを選べたので、⽇向さんは本当にぴったりだったことを結構鮮明に覚えていますね。
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原:ソフィアという女の子の第一印象として謎めいているだったりとか、この子を助けてあげたいって思えるようなキャラクターであって欲しいなというところは企画のコンセプトからありました。
そんな謎めいている不思議さがパッと感じ取れる声ということで、日向さんがいいなと思いました。くわえて、5つの人格を演じるということで、ある程度声の種類の幅みたいなものがないといけないというところで、日向さんはすごく適任でした。
梅澤:初めての収録の時に撮ったのが、発売前のPVで使った音声だったのですが、各人格の特徴的なセリフについて、もうそれが一発OKばかりでして。初めて聞いた時に、「あ、これはソフィアの声。あ、これはオリヴィアだ」みたいな。ほぼこちらからの修正指示とかなく、リテイクもなくすごくスムーズにバシッと決めてくださって、本当に感動しました。
――イベントなどで日向さんと接した印象はいかがでしたか?
原:一言で言うと、めちゃくちゃいい人です!
梅澤:私のイメージはイザベラを地でいくような方。彼女の性格というか、人柄、明るさは近いかなと感じました。
原:底抜けに明るい⽅なんですが、東京ゲームショウやイベントでソフィアになりきって演じてもらった際には、演じた瞬間に急に空気が変わるという。
梅澤:プロを見ました。
原:すごかったですね。
梅澤:本当に人として素晴らしい方で、大好きです!
――日向さんはゲームをプレイした感想などを話されていましたか?
梅澤:テストプレイで遊んでいただいたときは、すごく無邪気に驚いていた姿が印象的でした。「わあ、ソフィアだ」と、「これ、私の声ですよね!?」みたいな感じで純粋に感動されていて、こちらまで嬉しくなりました。
――日向さん自身は、どの人格に自分が似ていると話していましたか?
梅澤:自分に似ているキャラと、もし1日だけ入れ替われるならどのキャラにするかを聞いたことがあって、今似ているのがイザベラ。本当にその通りだと思うんですけど、入れ替わるとしたらやっぱり離れているキャラクター(フローレンス)になってみたいとおっしゃっていましたね。
「多重人格のお題が与えられて企画をスタートしました」——多重人格の設定について
――ここから先は読者から募集した質問となります。ゲームの根幹となる、多重人格者の女の子を扱うネタをどう思い付いたのかを知りたいです。(まっきー@あそびにんさん)
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原:多重人格というテーマ自体は、ゲーム開発初期に何人かで企画ブレストみたいな会がありまして。そこで藤澤から「今回のテーマは多重人格でいこう」みたいなお題が与えられて、そこから色々考えていったという経緯があります。なので多重人格が先にありました。
そのお題を与えられる中で、多重人格の頭の中で映画『インサイド・ヘッド』みたいに「自分はあっちに行きたいけど、他の人はあっちに行きたがってる。どっちが勝ちますか」といったものとか、人格同士の推理ゲームだったりとか、いろいろなアイデアが出たんですけど、一番面白そうだったのが、『Her Story』のような⾃由⼊⼒のキーワードで捜査していくミステリーの企画でした。
――ヒロインがソフィアという女性キャラクターになった経緯は?
原:メインキャラについては男女どちらもありえましたが、“多重人格で、なんらかの形でとらわれている人物”という設定がついた時に、助けてあげたいという感情を呼び起こさないといけないので、より助けたくなるのは女性かなというところで女の子になりました。
「綾波レイを参考にした部分もあります」——5つの人格のモデルについて
――5つの人格を設定するのに、モデルになった人物やちょっと参考にしたキャラクターはいますか?(ペパペパさん)
原:実際にアウトプットする際に変わった部分は多いのですが、皆さんに伝わりやすいのは『エヴァンゲリオン』の綾波レイですね。
梅澤:綾波レイは会議の中でよく出てきましたね。
原:意味ありげなことを言うけど、その言葉の本質は分からないみたいな。やっぱり女の子のことをもっと知りたくなるような部分で、綾波みたいなキャラクターは参考にしました。
あと似た系統で言うと、『リズと青い鳥』という『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ作品の鎧塚みぞれという女の子が、ボソボソ喋るけど、実際に持っている感情はめちゃめちゃ大きいみたいなところで参考にしたりしましたね。
他のキャラクターについても、全体的に洋画に出てきそうなキャラクターみたいなところはちょっと意識していたかもしれないですね。
梅澤:舞台がアメリカですもんね。
原:オリヴィアとかが顕著なんですけど、アメリカンっぽい皮肉みたいのを言うキャラだったりとか。あとイザベラとかも洋画にいるよねというキャラを目指して作っていった感じはあります。
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――そのほか、作品の参考にしたものはありましたか?
原:作品の最初には『シャッター アイランド』という映画をイメージした部分はありますね。割と暗めというか重たい絵作りで、キャラクターも重たい感じの映画です。なので、『ソフィアは嘘と引き換えに』にはアニメっぽさというより、映画的なイメージを受ける方も多いのではないかと思います。
梅澤:このアニメを参考にしよう、みたいな話はほぼなかったですね。実写系の作品について雰囲気の参考にしたことが多かったです。
原:作品の最初には『シャッター アイランド』という映画をイメージした部分はありますね。割と暗めというか重たい絵作りで、キャラクターも重たい感じの映画です。なので、『ソフィアは嘘と引き換えに』にはアニメっぽさというより、映画的なイメージを受ける方も多いのではないかと思います。
梅澤:このアニメを参考にしよう、みたいな話はほぼなかったですね。実写系の作品について雰囲気の参考にしたことが多かったです。
「最初の衣装デザインはワンピースだった」——ソフィアたちのデザイン案について
――ソフィアたちのデザイン案がどういった経緯で決まったのか知りたい。(白澤燐さん)
原:目の色の差別化なんですが、当初、目の色に差別化はなかったんです。みんな同じで、表情の違い、服装の違い、仕草の違いだけで表現をしようとしていたんですけど、目の色を変えたら違和感なく、不自然ではなく見る人にも分かりやすくて、キャラが立つよねと。
キャラクターデザインをお願いするイラストレーターさんを選定するにあたって、多重人格の面白さというのは、入れ物が一緒なんだけど、ちょっとした表情の違い、仕草の違いに「あれ? なんかおかしいな」というのを覚えるところかなと考えていまして。なので、表情の書き分けが得意な方、=漫画家さんがいいのでは⁉ というのが軸にありました。
梅澤:そんななかで決め⼿になったのは、清原紘さんのとある絵でした。『Another』のカラスのイラストなんですが、それを⾒た時に私の中で「これだ!」となりました。⽇向さんの時とも⼀緒で、特定の作品を⾒てピンと来たものがありましたね。
具体的に⾔うと⽬の表現。清原さん本⼈もこだわっているとおっしゃっていたのですが、吸い込まれるような瞳の奥深さが魅⼒的で清原さんにお願いしようということになりました。
――キャラクターの目の色はどのように決めたのでしょう?
原:キャラクターの設定から色を決めた覚えがあります。イザベラは明るい子、オリヴィアはちょっと気が強い姉御肌、フローレンスはちょっと静かめだから緑、エイミーはこう子供っぽい感じだけどちょっと不思議ちゃんというか天然みたいな感じだから紫みたいに、割とキャラクターの性格からこの色だろうみたいなものですんなり決まった感じがします。
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梅澤:アイドルのテーマカラーを決めるみたいですね。
原:納得感はいく感じですので。
――ちなみに瞳の色が変わるというのは何か特殊な設定があるのでしょうか? それとも演出的なものでしょうか?
原:あまり理詰めで裏設定を考えても複雑になるので、目の色の変化については演出的なものとして考えています。
「裸足にすることで少女らしさも際立つと思って」——ソフィアが裸足である理由
――どの人格も靴や靴下を身につけることなく、裸足に並々ならぬ熱量を感じました。これは開発スタッフのどなたのこだわりなのか、とても知りたいです。 それから、監視カメラ越し以外でもいろんな角度からソフィアちゃんの全身を余すところなく眺められる鑑賞モードがあったらいいなと思います。(天音さん)
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原:キャラクターデザインがいくつか上がってきたうちの一つですね。
梅澤:一番初期のものなんかは、ちゃんと靴をはいてるんですね。
梅澤:一番初期のものなんかは、ちゃんと靴をはいてるんですね。
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原:最初のデザインでは靴をはいていたんですけど、やっぱり多重人格×監視カメラ越しみたいなキーワードもあって、この子を助けてあげたいという心が沸き立つようなキャラデザインにしたかったんですよね。
この子をかわいそうにしよう、どうすればいいんだろう? って考えた結果、裸足にしようというアイデアが出まして。実際に裸足にしてみたら、心もとない感じというか危うさみたいなものが出てすごく良かったので、これでいこうと決まりました。
梅澤:靴をはいていると囚われ感が薄いよね、と。それから、初期の⾐装デザインはお嬢さん寄りのワンピースだったのですが、拘束服らしさを出すにはどうしたら良いかという議論もしました。拘束服にもこだわって、裸⾜にすることでソフィアの肌の⽩さも際⽴って、バランス的にはすごくいいところを⾏ったんじゃないかなと自負しています。
――全身鑑賞モードについてはいかがでしょうか?
原:今回は監視カメラ越しのもどかしさみたいな、全部を自由には見きれないというところも狙って作ったところでして。ソフィアの神秘性のようなところをある種担保したくて、そのためにのぞき見るような絵作りをしており。あの画角になっています。でも、ファンコンテンツ的には、あってもいいかもしれませんね。
「パソコンでの体験がぴったりすぎて…」——Steam以外のプラットフォームへの展開
――steam版以外のプラットフォームで販売する予定はありますか?(虹色男爵さん)
梅澤:開発の中の⼈的にはすごくやりたいんですけど、現実的な問題が⾊々とありまして。本作は、プレイヤーにフィリップになり切ってもらい、リモートで実際に取り調べを体験してもらうというゲームなんですが、それにはパソコンでのキー⼊⼒、マウス操作などを含めて、パソコン(Steam)での体験がぴったりなんですよ。
キーボードが必須なゲーム性なので、そこをクリアしたらPSやSwitch、もしかしたらスマホとかにも出せたらいいなという野望はあります。でも、打開する策がなかなか難しく、検討中というところですね。
原:自分で調べている感みたいなものを担保しつつ、他のプラットフォームに移すというアイデアがあれば、という感じですね。
梅澤:例えばですが、ボイス入力とかも面白いとは思っているのですが……なんにせよ、検討中となります。
「5つの人格が抱えるトラウマは企画書から変わっていない」——うさ耳と猫耳についても聞きました!
――うさ耳と猫耳は趣味ですか?(続命さん)
原:差し入れというシステム自体は企画書にありました。最初は推理に絶対に必要なギミックとして、「この差し入れをすると、キャラの中に思い出みたいなものがあるから、そのものについて話し出す」という感じで作っていたのですが、もうちょっと遊びがあった方がいいよねとなりまして。
ソフィアたちのキャラクターを掘っていくというか、キャラクターの好きな食べ物など、彼女たちのことをもっとよく知ることができるようなアイテムにした方がいいんじゃないかという話がMUTANのプランナーさんから出まして、「じゃあ、差し入れのアイテムリストみたいなものを作ってください」って言ったら、しれっと猫耳とうさぎ耳が入っていたんですね(笑)。
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梅澤:なるほど。じゃあ、うちのプランナーの趣味だったんですね(笑)。でも、これは私もプロモーション的にすごく賛成してました。
今回、取り調べの舞台となるところがソフィアの収監されている部屋のみで画的にあまり変わり映えがしないので、差し⼊れというシステムは変化をつけられる唯⼀のスパイスだと思っていました。物を置く、飾っていくだけじゃなくて、ソフィア⾃体も⾝につけることができるものがいいよねというのは、結果としてユーザーさんにも受け⼊れていただけたので、やって良かったですね。
今回、取り調べの舞台となるところがソフィアの収監されている部屋のみで画的にあまり変わり映えがしないので、差し⼊れというシステムは変化をつけられる唯⼀のスパイスだと思っていました。物を置く、飾っていくだけじゃなくて、ソフィア⾃体も⾝につけることができるものがいいよねというのは、結果としてユーザーさんにも受け⼊れていただけたので、やって良かったですね。
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原:一応、他の動物じゃなくうさ耳と猫耳になったというのは、物語の中で、それにまつわる話が出てくるからという理由はちゃんとありますけどね(笑)。
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梅澤:発売して初めて猫耳の存在を知ったユーザーさんたちによる「何これ!?」というコメントをSNSで見た時は、「しめしめ」と思っていました。
「“かけることができるもの”を“大喜利”って呼んでました」——裏技・気づきにくいキーワードについて
――ウラワザとか、普通に遊ぶと気づきにくいようなキーワードとかがあったら教えてください! まだ全実績が埋まりません!(アルジャーノンにメロンパンをさん)
原:キーワードマップに載る単語というのは、ゲームの進行に必要なものだけじゃないんです。それ以外のワードも結構ヒットするので、キーワードマップの解放率が100%になっていたとしても、実はまだ聞けることとかは色々あったりします。
例えばフローレンスが「何かかけるものを探している」みたいな下りがあるんですけど、そこで色々“かけるもの”を入れてみると、それっぽいリアクションが返ってくる、みたいな。
梅澤:言葉遊びというか、開発のスタッフは“かけるもの大喜利”って呼んでました。正解はだてメガネで、サングラスとかも答えとして通るんですけど、他にも”かけるもの”っていろいろあるじゃないですか。漢字で言えば“掛ける”、“書ける”などもあるわけで。
例えば自分は「掃除機もかけるものだよなあ」って入力してみたら、ちゃんとヒットして、ちょっと感動しました。「あ、行けるんだ」と思って。
――英語版でも同じような遊びはあるのでしょうか?
原:英語版だと“wear”になっているので、日本語版と英語版で違うものになっていたりとかはありますね。
梅澤:英語版だと「かける」という言葉自体が出てこないので、着けるという意味合いに変わっちゃうんですよね。
「何度も作り直した事件の真相」——シナリオで苦労した点とは?
――シナリオを作る上でいちばん大変だったことはなんですか?(さみまるさん)
原:大枠を作る部分と、ディティールを作っていく部分で、2回大変でしたね。大枠としては、まず事件の真相を考えるのがめちゃくちゃ大変だったというのはありますね。
さっきもお話しましたけど、企画の段階では事件の真相とかを全然考えていなくて、作りながら決めていった部分があります。一番最初、連続殺人事件として考えていくなかで、事件が複雑になりすぎてソフィアの話を全然できず、「これじゃ、ソフィアの話じゃなくなっちゃうよね」と。なので、そこまで作ったものを一度なしにして、また事件の真相を作り直すことをしたので、それは大変でした。
そこからさらに、実際にゲームで遊べる形に起こしていくにあたって、キーワードというのがこのゲームの肝になってくるんですよね。セリフの中からキーワードを手に入れて次に質問していく。しかも時には、いくつかの情報から自分の頭の中で類推をして、そのキーワードを入力しなければいけないわけで。ゲーム進行にあわせて、推理に必要な情報を正しく拾えるようにいい感じに盛り込んでいくのが大変でした。
難易度調整というか、ゲームのレベルデザイン的なところとシナリオが、他のゲームとは違ってめちゃくちゃ密接に関わり合っているので、そういう意味ではかなり難易度の高いシナリオ開発ではあったなと思います。
――辞書を作るような作業だったのでしょうか?
梅澤:そうですね。なんかゲーム作っているというか、辞書を作っているみたいな感じの作業に似てましたね。
原:シナリオは全部共有シートで管理していたんですけど、その膨大な量のシートを全部線でたどりながら「あ、ここ情報足りてないね」「ここキーワード足した方がいいよね」みたいなことを何周も何周もしました。
「トゥルーエンド後のソフィアとフィリップは、バディものになっているかも?」——今後の展開について
――ソフィアのその後を描いたゲームや小説などの次回作の予定はありますか? また、何かしらの記念日のタイミングに、日向葵さんの実況を1エンディングを迎えるまでやってほしいです。(ridatsutenさん)/ネタバレにはなるんですが、トゥルー後のなんか、こうafterストーリーみたいなのはないんですか!? あとソフィアとフィリップはくっつくんですか?(ざらめさん)
原:事件は解決しちゃいましたから、その後描いたゲームとかというと……エンディングで「助手になれる日が来るかもね」といった話をしていたので、もしかしたらフィリップとソフィアのバディものみたいになっているかもしれないですね。
あと、ソフィアのその後という感じではないかもしれないですが、同じようなゲームシステムを使ってまた違うキャラクターで、別の物語を作ることはあるかもしれないですね。
梅澤:それいいですね。やりたい!
――ソフィアとフィリップは、その後どんな関係性なんでしょうか?
原:もちろん、そこはユーザーさんそれぞれの想像にゆだねる部分となります。そのうえで、自分としては、そこまでべったりじゃないイメージかなあと。なんかカウンセリングの関係性みたいな。
でも、この辺はもう本当にあえて書かないようにしているので、ご想像にお任せします。ソフィアが幸せだったらいいな、という感じではあります。
梅澤:ソフィアとフィリップはくっつくんですかと聞かれることは多いのですが、これはもう、シュレディンガーのソフィアというか、同じく皆様のご想像にお任せしますというところで。
ちなみに裏設定として、フィリップと、サポートで出てくる警察のリンジーについては、実は2人は元々付き合っていたというものがあります。ゲームをプレイしていただいたらなんとなくかもな〜と思うんですが、昔からの縁があるよな、知らないところで繋がってるなみたいな雰囲気は出ていましたよね。
原:昔の企画書には、ピザにパイナップルを乗せるか乗せないかで喧嘩して別れた“パイナップル論争”みたいなエピソードが書かれていました。なんか、めちゃめちゃ3秒で考えたみたいな理由ですけど(笑)。
梅澤:覚えてます!(笑) 私はそのパンチが強くて、ずっと印象に残っていますね。
「この子を助けてあげたいという感情を呼び起こす」――『アルジャーノンに花束を』について
――『アルジャーノンに花束を』の引用や伏線について、何か意図はありますか?
原:多重人格や記憶の欠如みたいなところと近いモチーフとして、『アルジャーノンに花束を』は知名度があって、かつソフィアのテーマみたいなものともリンクする物語だと感じました。
最初にゲームの外側で検索をさせるアイデア自体は、僕のバックグラウンドみたいなものがARG(代替現実ゲーム)という現実と物語の世界を接続するみたいなことをよくやっているので、そういうのを序盤に入れて、びっくりさせようじゃないですけど、そんなところで選びました。
最初にソフィアに持って欲しい印象というのは、謎めいた不思議な捉えどころのない女の子というイメージだったので、ポツポツと謎めいた言葉を話すというところで、小説の引用みたいなものをしようという風になって、ソフィアの今の状況みたいなものにリンクするワードを考えたいと思いまして。なので、『アルジャーノンに花束を』を何度も読み直してキーワード探しをやりましたね。
『アルジャーノンに花束を』の質感を最初に出しておくことによって、「ああ、なんかこういう雰囲気ね」みたいな感情を与えることは、演出として効果があると思うので、その辺りは狙ってやった部分ではありますね。
梅澤:『アルジャーノンに花束を』の最初は読みにくいけど段々と読みやすくなっていくところとか、あとから振り返ると『ソフィアは嘘と引き換えに』と似てますよね。最初は分からなかった情報や進めにくかった部分が、どんどん情報を得てソフィアのことを知っていくと、謎を解き明かすスピードが上がっていくという。
原:『アルジャーノンに花束を』には記憶と関わる部分がありますが、『ソフィアは嘘と引き換えに』でも記憶がキーワードになっています。記憶、思い出が失われていってというところと、ソフィアの過去が人格によって、自分の分からない過去を取り戻していくみたいなところも暗示されていますね。
「皆さんの応援があってこそ」——アンケート結果を見た感想
――電撃オンラインで実施したアンケートの結果を見た感想はいかがですか?
梅澤:個人的には意外でした。私はなんとなくフローレンスが1位になるかなと予想していましてて。イベントでの人気だったりとか、Steamのレビューを見る感じでは、日本人人気はメガネっ子かなと思っていましたので。イザベラが1位になったことは驚きでした!
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【『ソフィアは嘘と引き換えに』の人格のなかで、一番好きな人格ランキング】
1位:イザベラ
2位:オリヴィア
3位:フローレンス
4位:ソフィア
5位:エイミー
原:割と静か目なゲームなので、そういう中でオリヴィアとイザベラって明るい2人なので、そこが印象に残りやすいのかなと感じました。個人的にはエイミーがめちゃめちゃ好きなので、5位か……という気持ちはありましたね。でも、5人格のなかでですからね。
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――サブキャラクターの人気はどうでしたか?
原:1位がフィリップ、2位がリンジー、3位がオリヴィアでしたね。でも、このゲームって意外と登場人物が多くて、実は20人近くはいるんですよね。まだプレイしていない方は、実は20人くらい出てくる気持ちで遊んでいただければ。
梅澤:リンジーは通話のアイコンみたいなところにが映っているので、なんとなく雰囲気が分かるようになっていますね。
原:1位がフィリップ、2位がリンジー、3位がオリヴィアでしたね。でも、このゲームって意外と登場人物が多くて、実は20人近くはいるんですよね。まだプレイしていない方は、実は20人くらい出てくる気持ちで遊んでいただければ。
梅澤:リンジーは通話のアイコンみたいなところにが映っているので、なんとなく雰囲気が分かるようになっていますね。
「皆さんのおかげで『ソフィアは嘘と引き換えに』の世界が広がっていっている」——ファンへのメッセージ
――最後に、ファンに向けたメッセージをお願いします。
原:『ソフィアは嘘と引き換えに』は発売前からイベントをやったりとか、クラウドファンディングとかもやったりして、発売後もSNSで色々拡散してくださったり、ゲーム実況配信してくださったりとか、イベントに来てくださったりみたいな、本当に皆さんの応援があってこのゲームの「面白いよ」みたいなところがどんどん広まっていっている感じがするので、本当に皆様のおかげです。
このゲームを作るにあたって、本格的な推理みたいな、自分でゲームを進めている感覚みたいなものをしっかり持ってほしいなみたいなことを思いながら作りました。その辺りを皆さんに感じていただけて、シナリオとかもかなり面白くできたと思っているので、その辺りも皆さんに楽しんでいただけたらいいなと思っております。
梅澤:『ソフィアは嘘と引き換えに』は2年ぐらいの月日をかけて大事に丁寧に開発をしてきたタイトルなので、ソフィアたちを開発中からすごく可愛く、大事に思っていました。いざ発売してみて、皆さんがこのキャラクターが好きとか、ゲームのここが面白かったみたいな生の声をいただいたことによって、より愛しく思えたというか、本当に皆さんありきのソフィアたちキャラクターないしゲームだなと感じました。
これからも皆さんにソフィアの新しい面を見せていけるような展開、プロモーションを頑張っていければと思うので、引き続き応援、注目よろしくお願いします!
ちなみにイベントで配布したりしているサイコパージですが、私はもったいなくて飲めていません。もし実際に飲んだ方がいらっしゃったら、ぜひSNSなどで感想を教えてください(笑)。
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