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【MGSΔインタビュー】『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER』はビジュアルの圧倒的進化だけでなく、2つのプレイスタイルやオンライン対戦“FOX HUNT”で新たな体験も楽しめる

文:Z佐藤

公開日時:

 2025年7月某日、コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)「esports 銀座 studio」にて、8月28日発売予定の『METAL GEAR SOLID Δ: SNAKE EATER(メタルギア ソリッド デルタ:スネークイーター)』(以下、MGSΔ)のメディア向け試遊イベントが開催されました。

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 当日はゲームの概要説明、制作スタッフによるQAセッション、囲みインタビュー、試遊、アフターパーティが行われ、招待された国内・海外メディアにゲームの魅力が最大限にアピールされました。

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 この記事では、『METAL GEAR』シリーズの制作プロデューサーを務める岡村 憲明氏、『MGSΔ』クリエイティブプロデューサーの是角 有二氏、オンラインコンテンツ「FOX HUNT(フォックス ハント)」担当ディレクターの佐原 祐氏によって行われたゲーム概要の説明とQAセッション、囲みインタビュー、そしてアフターパーティの模様をレポートしていきます。

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▲岡村 憲明:『METAL GEAR』シリーズ 制作プロデューサー。『METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS』『ZONE OF THE ENDERS』などのゲーム開発に携わる。
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▲是角 有二:『MGSΔ』クリエイティブプロデューサー。『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』などのゲーム開発に携わる。
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▲佐原 祐:『MGSΔ』FOX HUNTモード担当ディレクター。

『MGSΔ』の概要とコンセプト、そして随所に盛り込まれた新たな見どころまで、5つのポイントでチェック!【メタルギア ソリッド デルタ:スネークイーター】


 ステージでは『METAL GEAR』シリーズ制作プロデューサーの岡村氏をはじめ、是角氏、佐原氏によって『MGSΔ』と「FOX HUNT」の概要や魅力が紹介されました。まずは『MGSΔ』に盛り込まれた5つの魅力をチェックしていきます。

『MGSΔ』の魅力①:原作の核はそのままに、没入体験の向上を実現


 本作は『METAL GEAR』シリーズにおける“始まりの物語”として2004年11月に発売された『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』を現代の技術で蘇らせたリメイク作品です。

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 原作に込められた魅力の数々を余すことなく現代のユーザーに届けるため、シナリオや基本のゲームデザインはそのままに、ビジュアル、操作性、VFX、SEなどをハードウェアに合わせて進化させつつ、より高いレベルでの没入体験を実現させています。

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『MGSΔ』の魅力②:リアリティあふれる美麗なグラフィックに注目


 本作の大きな特徴であり、見どころとなっているのがグラフィック。フィールドに関しては、ジャングルや沼地に生い茂る草木、そこに生息する動物たちを高密度のディテールで表現し、臨場感を大幅にアップさせています。

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 もちろんキャラクターに関しても、肌の質感や目の潤いなど細部にまでこだわり抜いて表現。原作のデザインやキャラクターごとの雰囲気を忠実に再現しつつ、より美麗なグラフィックで描画しています。

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『MGSΔ』の魅力③:過酷な潜入任務の軌跡がその身に刻まれていく


 プレイヤーの行動によって服は破れ、汚れ、穴が開き、体には切り傷、弾痕、やけどがリアルタイムで身体に表現される仕組みを新たに導入。体の傷はプレイを通して残り続けるため、最終的にはプレイヤーのアクション履歴が刻まれたスネークの姿を見ることができるようになります。

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『MGSΔ』の魅力④:体感の違う2つのプレイスタイルを実装


 ゲームのプレイスタイルとして、上方から見下ろす俯瞰カメラで移動し、主観カメラで標的を狙うオリジナル版に近い操作感で楽しめる「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」。そして三人称視点のカメラを自由に動かし、現代のアクションゲームに近い操作感で、肩越し視点のまま移動しながら射撃ができるといったプレイが可能な「NEW STYLE(ニュースタイル)」の2つを実装。

 プレイスタイルは、プレイの途中でもオプションのゲーム設定で変更可能(途中で変更した場合、現在のプレイは中断され、直前のチェックポイントからの再開となります)。なお、プレイスタイルによってタイトル画面、OPムービーとメインテーマの楽曲、ゲーム内ポスターが変化するという仕掛けも用意されています。

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『MGSΔ』の魅力⑤:本編以外のコンテンツも充実


 本編以外の要素として、オリジナル版にも収録されていたスペシャルゲームを搭載。PS5版とSteam版ではピポサルを捕獲する「猿蛇合戦」、そして新たにXbox Series X/S版では爆風でボンバーマンを吹き飛ばす「ボム蛇合戦」が楽しめます。

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 そのほかオリジナル版にも収録されていた「DEMO THEATER」と「SECRET THEATER」もあり、本編クリア後も楽しめるコンテンツも充実しています。

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FOX HUNTのコンセプト、世界設定とゲーム内容、そして新装備品「AT-CAMO」を紹介【メタルギア ソリッド デルタ:スネークイーター】


 FOX HUNTは、『MGS3』に収録されていた『METAL GEAR ONLINE』で味わえた対人対戦の楽しさを継承しつつ、「隠れる」「見つけ出す」といった「かくれんぼの駆け引き」にフォーカスした完全オリジナルのオンライン対戦モード。

 『MGSΔ』本編の「カムフラージュ」や「サバイバル」といった要素を軸に、「メタルギアならではのオンライン対戦」というコンセプトで制作されているのが特徴です。プレイヤーはFOX部隊の隊員候補として、ライバルプレイヤーとともにミッションに挑戦。

 武器や装備品を現地調達しながらミッション目的を達成しつつ、生き残りを目指すサバイバル形式の戦いが展開します。極秘資料や要人の奪還を想定したミッションでは、フィールド内のターゲット(ケロタン)を奪い合いながらの激闘が展開します。

 その戦いの中で大きな役割を果たすものであり、注目の要素となっているのが「AT-CAMO」という装備品。これは瞬時に展開・格納できる全地形対応のギリースーツで、プレイヤーはいつでも自由に任意の迷彩パターン(岩や草むらなど)に切り替え、地形に同化して敵プレイヤーを待ち伏せたり、やり過ごして戦闘を回避することができます。

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QAセッションと囲みインタビューでさらなる新事実が明らかに!【メタルギア ソリッド デルタ:スネークイーター】


 岡村プロデューサー、是角クリエイティブプロデューサー、佐原ディレクターを迎えて行われたQAセッションと囲みインタビューでは、本作のより深い部分についても明かされました。その中からいくつか抜粋してお届けします。

Q:『METAL GEAR』シリーズのファンのみなさん、そして『METAL GEAR』シリーズを初めてプレイするユーザーに向けて、『MGSΔ』で1番に伝えたいことはどんなことですか?

是角
すべてのユーザーのみなさまに、オリジナル版である『MGS3』の魅力を伝えたいという想いで今回のプロジェクトを進めていました。

 オリジナル版を遊んだことのあるユーザーさんには、現行のハードでクオリティがアップデートされて蘇ったキャラクターたちの活躍を見ていただいて、もう一度感動を蘇らせていただけたらと思っています。

 そして初めて『METAL GEAR』シリーズに触れるという方には、『MGSΔ』のもとになっている『MGS3』はシリーズの原点であり、物語の出発点となるドラマが描かれますので、入口としては最適だと思います。

 予備知識がなくてもスムーズに物語に入っていくことができる作りになっていますので、長いシリーズだからといってためらわず、興味がある方はぜひ遊んでほしいと思います。

Q:『MGS3』をリメイクするにあたり、原作をリスペクトしつつ今の時代に合うような作品にするため、どういった方針で取り組まれましたか?

是角
初めは、現行のハードに合わせてグラフィックを進化させるだけでも結構よいものになるんじゃないか? という気持ちでスタートしました。けれど、進めるうちにグラフィックの進化だけだと違和感を感じるようになってしまって。

 やはりシステムであったりアニメーションであったり、いろいろな部分もアップデートしないと今のユーザーさんに原作の魅力を正しく伝えられないということで、当初の予定よりかなりの部分に手を加えて調整いたしました。

Q:リメイクするにあたり、あらためてすべてを見直されたと思いますが、その中で忘れていた仕様などはありましたか?

是角
当時開発に携わっていたメンバーも多いのですが、「あ、こんなのあった……」という声がものすごく上がりました。

 バグチェックをしていた時も、バグの報告を見て改めて「あ、そうだ! この仕様を入れた時、昔もよくここでバグってたよな」って思い出したり(笑)。

 とにかくいろいろな要素がたくさん入っているゲームですので、けっこう気付かない要素が出てくると思うんです。ですから少しでもそういった要素を伝えたいと思い、今回は「TIPS」という機能を追加しています。

 これは気づきにくい要素であったり、攻略のヒントであったりをサポートするものですね。オリジナルにあった、ものすごくたくさんのおもしろい遊び方を少しでも紹介していきたいと思って加えさせていただきました。

Q:開発において特に注力した部分はなんですか?

是角
今回のコンセプトはオリジナル版を忠実にリメイクし、そのまま伝えることでしたので、主にその魅力をアップグレードする方向に注力しました。

 ハード面は大幅にスペックが向上してますので、グラフィックだけでなく、ゲームに寄与するようなサウンドであったり、UIであったり、そういった部分を現代のハードでしかできないような形で進化させています。

Q:『MGSΔ』の開発にはUnreal Engine 5(UE5)が使われているとのことですが、UE5のメリットはどんな部分でしょうか? また『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』で使用されていたFOX ENGINEとの違いについても教えてください。

是角
ちょっと長くなりそうなので簡潔にお話しますと、UE5は非常に強力なエンジンで、使ってみてわかったんですが『MGSΔ』に合ったものでした。

 FOX ENGINEはオープンワールドのゲーム開発を目的としたエンジンで、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』にとって非常に重要なもので、このエンジンでないと作れない作品でした。

 今回の『MGSΔ』を開発するにあたってUE5を使った結果、この作品に最適なエンジンだと思いました。どちらが優れているとかではなく、作風に合ったものを選んで使っている形になります。

Q:より多くの人、新しい人に届けたいという思いがある中で、アクセシビリティの面でこだわったポイントなどがあれば教えてください。

是角
操作方法に関しましては、昔のゲームデザインでの遊びを堪能できる「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」と、今のユーザーが違和感なく楽しめる「NEW STYLE(ニュースタイル)」という2つのモードを用意しました。

 アクセシビリティについてはオプションで細かく設定できます。より多くの方に楽しんでいただけるようにサポート的なものを加えておりますので、実際にプレイしていただく際に自分に合った設定に変更してプレイしていただければと思います。

Q:画質の設定で「画質優先モード」と「パフォーマンス優先モード」が選択可能ですが、是角さんはどちらがお好みですか? またPS5Proでプレイした場合、何か違いが生じたりしますか?

是角
デモシーンがうっとりするくらい綺麗なので、個人的には「画質優先モード」が好きですね。PS5Proでプレイした場合ですが、画質はクオリティを維持しつつ、パフォーマンスが上がるといった形になります。

 何か特別な機能がつくわけではありませんが、よりよい画質で、よりよいパフォーマンスで遊べるというのが、PS5Proで遊んだ場合の状態になります。

Q:プレイスタイルとして「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」に加え、新たに「NEW STYLE(ニュースタイル)」でもプレイ可能になりました。「NEW STYLE(ニュースタイル)」でプレイしたほうが画面の見え方などで難易度が下がる印象を受けましたが、その点で懸念されることはありませんでしたか?

是角
本当にその通りで、そこは私たちが結構苦労したポイントです。「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」の視点は俯瞰カメラで、こちらは視界が絶妙な具合に調整されているのですが、それが「NEW STYLE(ニュースタイル)」のTPSカメラになると前方へのユーザーの視認性がものすごく上がって射撃がやりやすくなってしまうんですね。

 そうすると、簡単になって緊張感が薄れてしまうので、オリジナルの緊張感を保つために結構いろいろな部分のパラメーターの再調整を行いました。

 例えば敵兵の視力や、スタミナが減るスピード、銃弾が飛んでいく挙動など、昔の緊張感が味わえたり手ごたえを感じるような形ですね。プレイヤーの方々にとってはチャレンジングですが、緊張感を増すような調整をいろいろと行っております。

Q:昨今のゲームでは常時ミニマップが画面に表示されているのが主流だと思いますが、本作ではメニューからマップを開く仕組みになっています。ミニマップを常時画面に表示することも検討されたと思いますが、あえてそうしなかったのはオリジナル版と同じ体験をさせたかったから、ということですか? それともほかに理由があるのでしょうか?

是角
今回、リメイクするにあたって最初に試したのがミニマップでした。「LEGACY STYLE(レガシースタイル)」と違って「NEW STYLE(ニュースタイル)」でプレイした場合、上方向に進むとゴールということがわからなくなりますので、ユーザーにある程度の進むべき道を示すためにも画面にミニマップを表示して実験してみました。

 その結果、わかりやすくなりすぎてしまって、オリジナル版のゲーム体験、ジャングルの中を迷ったり、周囲をキョロキョロ見回しながら進む緊張感が損なわれるものになってしまったんです。

 それでミニマップ自体を表示することはやめて、その代わりに「コンパス」という装備品を新たに追加しました。こちらを装備していただくと、ミニマップは表示されませんがある程度の方向を示してくれるようになります。これが1番いいバランスのように思いまして「コンパス」を実装することになりました。

Q:ゲーム中のデモシーンや無線の音声は、オリジナル版の声優さんの音声をそのまま使用されていることが確認できましたが、その一方で新たに収録したと思われる音声があることにも気付きました。あらためて収録された音声はどれくらいあるのでしょうか?

是角
まず操作説明の部分ですね。オリジナル版はPS2での操作を無線で仲間たちから説明される形でしたので、今回変更があった箇所に関しては新しく当時の声優さんに当時の演技をしてもらい再収録させていただきました。

 それ以外にも、そこまで多くはないですがいくつか加えさせていただきましたので、ぜひプレイして見つけていただければと思います。

Q:「FOX HUNT」について、過去に『MGO』をプレイしていたユーザーさん、そしてオンライン対戦ゲームが好きなユーザーさんに向けてアピールしたいポイントをお願いします。

佐原
「FOX HUNT」は『MGO』にあったスニーキング系ルールとコンセプト自体は変わっていません。『METAL GEAR』シリーズらしい対戦というところで、かくれんぼの遊びを対戦ゲームとして拡張したものになっております。

 従来の『MGO』でスニーキング系ルールが好きだったみなさんには当然楽しんでいただけるものになっていると思いますし、初めてプレイするユーサーさんは新鮮な気持ちで、他のシューターにはないような、ちょっと変わった体感のゲームになっていると思いますので楽しんでいただけると思っております。

Q:本編以外のゲーム要素としてPS5版とSteam版ではオリジナル版と同じく「猿蛇合戦」、Xbox版では新たに「ボム蛇合戦」というスペシャルゲームが追加されました。こちらの開発経緯を教えてください。また「猿蛇合戦」と「ボム蛇合戦」がプラットフォームを越えて遊べるようになる可能性はありますか?

是角
複数のハードで『MGSΔ』を発売するということで、Xbox版では「猿蛇合戦」に相当する新しいコンテンツを用意しようと考えたのがきっかけですね。その際ほかのIPを登場させることは、ユーザーさんも期待するところでしょうし、最初から決まっていました。

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▲「猿蛇合戦」にはあのアストロボットも登場……!?

 そして、「どんなIPがいいか?」と考えた時に、猿蛇と比べても見劣りしなくて、『MGSΔ』とも親和性があるものとしていろんなアイデアが出た中で、『ボンバーマン』という案が出まして。

 『ボンバーマン』は弊社のIPですので、すぐにキャラクターのモデルやアニメーションを組み合わせてテストをしたのですが、スネークがボムで相手をふっ飛ばすのを見て、その一瞬だけでもう即決でした。PS5版とSteam版で「ボム蛇合戦」が遊べるか? については、今のところはまだ検討中です。

これをジャングルでスネークが食べていた? アフターパーティで振る舞われたメニューに一堂驚愕! で、味は?【メタルギア ソリッド デルタ:スネークイーター】


 メディア向けイベントの会場から場所を移して行われたアフターパーティでは、ゲームの登場人物たちが飾られたスペシャルケーキが登場。

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 そして『MGSΔ』のフードキャプチャーで入手できる食べ物にちなんだと思われるスペシャルなメニューが……。

 ヘビの丸焼き、サソリの姿揚げ、タランチュラの姿揚げ、カエルの足のコンフィ、ワニ手羽のグリル、ワニのフリットがふるまわれ、参加したメディアのスタッフは最大級のおもてなしを受けました(もちろんそれだけではなく、鶏の唐揚げやピザなど普通のパーティ料理もありました)。

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▲思わず「で、味は?」と聞きたくなるラインナップ。当然ながら「うますぎる!」でしたが、姿揚げ系は特に個人差があるかも!?

 こうして『MGSΔ』Tokyo Media Eventは、国内・海外のメディアスタッフの目と耳と胃袋に想像以上のインパクトを残して閉幕。『METAL GEAR』シリーズの新たな1歩と、今後の可能性に大きな手ごたえを感じることができました。


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