カクヨムネクストで『低級守護霊下剋上』を連載中の平尾隆之氏と、『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』を連載中のやまだのぼる氏のインタビューをお届けします。
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いま、カクヨムネクストで“静かに広がる怖さ”が話題になっています。
映画『ポンポさん』の平尾隆之監督が描く心霊譚『低級守護霊下剋上』と、『アルマーク』のやまだのぼる氏が挑む、供述調書形式の異色ホラー『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』。
手法のまったく異なる二作ですが、どちらにも“言葉の向こう側から忍び寄る気配”があり、読者が思わずページをめくる手を止められない魅力があります。
今回のインタビューでは、お二人に作品誕生の背景や創作のこだわりを伺いました。
作品世界の奥に潜む想いや発想の源泉とは?【平尾隆之×やまだのぼるインタビュー】
――連載開始にあたり、本作を書こうと思ったきっかけを教えてください。
平尾隆之氏(以下、平尾)
ホラーは昔から好きなのですが、苦手な方も多いですよね。そういった人たちでも楽しめる、“ホラーの入り口”になるような作品を書きたいなと思ったのがきっかけです。
やまだのぼる氏(以下、やまだ)
断片的な資料から一つの物語を組み上げる形の作品を、いつか書いてみようと思っていました。
――ご自身が考える、この作品の一番の“読みどころ”や“推しポイント”はどこでしょうか?
――ご自身が考える、この作品の一番の“読みどころ”や“推しポイント”はどこでしょうか?
平尾
守護霊という存在だからこそ生まれる描写や、凪の不幸故に描けるドラマでしょうか。
不幸でひねた態度だけど、実は素直で熱いところのある凪と、低級なのに守護霊の誇りだけは一人前の律が、どうやって怪異に向き合い、成長を遂げていくのかも、楽しんでいただけたらと思っています。
不幸でひねた態度だけど、実は素直で熱いところのある凪と、低級なのに守護霊の誇りだけは一人前の律が、どうやって怪異に向き合い、成長を遂げていくのかも、楽しんでいただけたらと思っています。
やまだ
本作は、フリーライターの飯田氏と刑事の尾野氏の二人がそれぞれ収集した資料を積み上げる形で展開していく体裁を採っています。
それぞれの資料から漏れ出す“奇妙さ”の輪郭が徐々にはっきりしてくるところが読みどころではないかと思います。
――物語を書いていく上で、特に“ここだけは譲れない”、“こだわって表現した”という部分はありますか?
それぞれの資料から漏れ出す“奇妙さ”の輪郭が徐々にはっきりしてくるところが読みどころではないかと思います。
――物語を書いていく上で、特に“ここだけは譲れない”、“こだわって表現した”という部分はありますか?
平尾
音楽と怪異をどう結びつけるかは、頭を悩ませたと思います。怖さのバランスも難しかったですね。
やまだ
文書の書式はなるべく現実に近いものを、と心がけました。
――平尾さんは、監督として映像を作る時と、小説を書く時とで“発想”、“考え方”、“着眼点”に違いはありますか? 例えば、表現方法や読者/観客への伝え方の違いなどがあれば教えてください。
――平尾さんは、監督として映像を作る時と、小説を書く時とで“発想”、“考え方”、“着眼点”に違いはありますか? 例えば、表現方法や読者/観客への伝え方の違いなどがあれば教えてください。
平尾
発想でいえば、いくつかの興味あるモチーフやテーマを並べて、思い浮かんだシーン、絵に辿り着くように作っていくのは、小説も映像も同じです。
伝え方の違いですと、例えば映像の場合、戦っている時のセリフやキャラクターの内面描写が長いとテンポが遅くなってしまう時がありますが、小説ではキャラクターの内面描写の方にページを割いた方が、ダイナミズムが生まれたりします。
時間の流れがある映像と、地の文とセリフ次第で時間を伸縮させる事が可能な小説、それぞれの強みが活きるように心がけています。
――アニメ監督としての経験が、本作の演出に影響している部分はありますか?
伝え方の違いですと、例えば映像の場合、戦っている時のセリフやキャラクターの内面描写が長いとテンポが遅くなってしまう時がありますが、小説ではキャラクターの内面描写の方にページを割いた方が、ダイナミズムが生まれたりします。
時間の流れがある映像と、地の文とセリフ次第で時間を伸縮させる事が可能な小説、それぞれの強みが活きるように心がけています。
――アニメ監督としての経験が、本作の演出に影響している部分はありますか?
平尾
シーンを描く時、ここはゆったりした曲で、ここは激しめで、など、イメージした劇伴を頭の中で流す事が多いので、全体のテンポ感や文章の選び方にその影響があるかもしれません。
――やまださんも、『アルマーク』や『初歩魔法しか使わない謎の老魔法使いが旅をする』など過去のファンタジー作の執筆との違いや、ファンタジー作品と比較したときにホラージャンルならではの創作ポイントがあれば教えてください。
――やまださんも、『アルマーク』や『初歩魔法しか使わない謎の老魔法使いが旅をする』など過去のファンタジー作の執筆との違いや、ファンタジー作品と比較したときにホラージャンルならではの創作ポイントがあれば教えてください。
やまだ
ファンタジー作品の執筆は、自分の中の「こういうのかっこいいよね」や「こういうのってぐっとくるよね」を表現していく作業なので比較的慣れているのですが、ホラー作品で表現すべき「こういうの怖いよね」が自分の中でまだあまり定まっていないため、執筆には非常に苦労しました。
――最後に、読者の皆様へひとことメッセージをお願いいたします。
――最後に、読者の皆様へひとことメッセージをお願いいたします。
平尾
ホラーではありますが、同時に運命に立ち向かっていく凪と律の成長物語でもあります。ホラーが苦手な方もお好きな方も、読んでいただければ幸いです!
やまだ
作中に出てくる様々な資料。その組み合わせから生まれる、奇妙な不気味さを楽しんでいただければ幸いです。
『低級守護霊下剋上』概要
私と一緒にランクアップしませんか?
不幸体質の高校生・凪が瀕死の重体に際し見えた霊は、守護霊を自称し律と名乗る少女だった。
「私が強くなればあなたの不幸は退散するはず、よって共に怪異を退けましょう」
常に死の危険が降りかかる高校生と、音楽オタクな守護霊の怪事件調査が始まる。
平尾隆之(ひらお・たかゆき)
アニメーション演出家・監督。
『劇場版「空の境界」第五章 矛盾螺旋』で監督デビュー。その他代表作に『映画大好きポンポさん』『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』『桜の温度』多彩な映像作品を手がける。
“恐怖×ユーモア”という独自の視点で描く新作ホラー『低級守護霊下剋上』をカクヨムネクストにて連載中。
『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』概要
これ、何の事件の供述調書だと思いますか?
※本作は、フリーライターである飯田氏(仮名)が収集していたある警察署への告発にまつわる資料を、諸事情により筆者が再構成したものです。
作成意図がわからない支離滅裂な供述調書。これは何のために作成されたのでしょうか。供述調書に記された”越江さん”とは誰なのでしょうか。
この警察署は、何を隠蔽しようとしているのでしょうか。
やまだのぼる
小説家。
MFブックスより刊行中の『アルマーク』シリーズで人気を集め、さらに『初歩魔法しか使わない謎の老魔法使いが旅をする』をカクヨムネクストで連載。丁寧な心理描写と奥行きのある世界観づくりに定評がある。
今回、供述調書を軸にした異色のホラー『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』で新たな挑戦に臨む。