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『Lost Hellden(ロスト・ヘルデン)』開発者インタビュー。『ドラクエ』と『FF』が人生を変えた――フランスの開発スタジオが贈る“JRPGへの恩返し”【TGS2025】

文:電撃オンライン

公開日時:

 2026年に、PCおよび各種コンソール向けに発売が予定されている新作RPG『Lost Hellden(ロスト・ヘルデン)』の開発者インタビューをお届けします。

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 フランスのゲームスタジオ“Artisan Studios”が手がける『Lost Hellden』は、JRPG黄金期の作品を強くリスペクトした作品です。

 『GRAVITY DAZE』のアートを手がけた緒賀岳志氏がビジュアルを、『ファイナルファンタジーXII』、『タクティクスオウガ』などで知られる崎元仁氏が音楽を担当するなど、日本のトップクリエイターが集結している点も注目です。


 今回、東京ゲームショウ2025(TGS2025)の開催に合わせ、メディア向けに開発者同席のデモプレイとインタビューが実施されました。

 本稿では『Lost Hellden』の概要をまとめつつ、開発者のマリオ・リッツォ氏と、ジュリアン・ブルジョワ氏からうかがったお話をお届けします。

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▲左:マリオ・リッツォ氏、右:ジュリアン・ブルジョワ氏。

まるで“動く絵画”、『Lost Hellden』で懐かしくも新しいJRPG体験

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 物語の舞台は、惑星“Era”。この世界ではユニオ教の教義のもと、1歳の誕生日を迎える前に“七つの大罪”のいずれかひとつを背負わされる儀式を受けます。

 七つの大罪は、ファンタジー作品でも有名なモチーフ。傲慢、憤怒、嫉妬、怠惰、強欲、暴食、色欲で構成され、本作でもこれらが用いられています。

 彼らは、それぞれに与えられた衝動と生涯にわたって戦い続けなければなりません。もし欲望に屈すれば、理性を失ったモンスターへと変貌してしまいます。ゲーム内に登場する敵は、元は人間だったという、悲しい設定も明かされています。

 そしてある時、この世界で不吉の象徴とされる双子が生まれます。儀式は失敗し、兄の“レフト”は七つの大罪すべてを、弟の“サイフェル”はすべての罪を免れるという異例の事態が発生。

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 主人公であるサイフェルは、神殿から逃亡した兄を連れ戻すため、外の世界へと旅立つことになります。

 そんな本作のビジュアルは、『GRAVITY DAZE』などで知られる緒賀岳志氏が手がける、“Deep 2D”と名付けられたアートスタイルが目玉。
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 これは手書きの2Dイラストの中を3Dモデルのキャラクターが動き回るというもので、美麗な一枚絵の世界に入り込んだかのような、独特の没入感を味わえることが特徴。往年のJRPGのパッケージアートの中を冒険しているような体験ができそうです。

アクションと戦略が融合した“フェーズバトル”

 バトルシステムは、リアルタイムアクションとターン制の戦略性を融合させた独自の“フェーズバトルシステム”を採用。

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 戦闘は、プレイヤーが自由に攻撃できる“アクションフェーズ”と、敵の攻撃に対応する“リアクションフェーズ”の2段階で進行。臨場感がありつつも、アクションフェーズでは敵が反撃してこないため、ボス格の相手ならば戦略を練ってじっくり戦えます。

 また、主人公だけが使えるスキル“スキャン”で敵の弱点を見つけ出し、そこを突くことで相手を行動不能にする“プレッシャー”状態にできます。強敵との戦いでうまく利用できれば、大きな爽快感を得られるシステムと言えるでしょう。

 さらに、敵の攻撃を完璧なタイミングで回避する“パーフェクトドッジ”を成功させれば、強力なカウンターアタックを繰り出すことも可能です。

 マリオ氏は「日本のRPGファンにとって、バトルシステムがいかに重要か、私たちはよくわかっています。偉大な日本のゲームから受けたインスピレーションを胸に、“やりごたえがある”と感じてもらえるバトルをお届けしたいです」とコメントしました。

うれしいやり込み要素とミニゲーム

 プレイアブルキャラクターは8人。それぞれに設定された“ベースジョブ”を極めると、14種類も用意された“アドバンスジョブ”へとクラスチェンジが可能になり、育成の幅が広がります。

 作中では、“ヘキシカン”というミニゲームも登場。250種類以上のトークンを集めて戦う陣取りゲームとなっています。

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 これも『ファイナルファンタジーVII』、『ファイナルファンタジーVIII』といった名作RPGを意識した要素のひとつ。ついつい本編を忘れて熱中してしまうかも?

 ちなみに、本作の想定プレイ時間はメインストーリーだけで30~35時間。サイドクエストも含めると、70時間が目安とのこと。“ヘキシカン”をガッツリとプレイするならば、より長く楽しめそうです。

 マリオ氏は「日本でポピュラーになるために、ミニゲームは必須ですよね(笑)」と、JRPGファンならではの視点を冗談交じりに語ってくれました。

JRPGへのリスペクトと愛が伝わってきた『Lost Hellden』開発者インタビュー

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──本作は往年のJRPGから多大な影響を受けているとのことですが、おふたりがとくに影響を受けたタイトルを教えていただけますか?

マリオ氏
8歳の時に両親に買ってもらったファミコンが、私の原体験です。当時、アメリカの雑誌企画で日本のゲームを無料で試せる機会があり、そこで出会ったのが『ドラゴンクエスト』でした。私の人生を変えた一作でしたね。

 その後、『ファイナルファンタジー』や『クロノ・トリガー』といった日本の作品をたくさんプレイし、ついには自分でゲームを開発するに至ったのです。

ジュリアン氏
私にとって最もインパクトが大きかったのは『ファイナルファンタジーVI』ですね。それまではカジュアルなアクションゲームなどを遊んでいたのですが、友人にJRPGを教えられ、そのストーリーの深さや何時間でも遊べる没入感に衝撃を受けました。この頃から、ゲームと言えば100%近く、JRPGをプレイしています。

──おふたりとも、筋金入りのJRPG好きなんですね……! それでは海外のゲームと比較して、JRPGのどのような点に魅力を感じますか?

マリオ氏
ストーリーテリングですね。西洋のゲームはストーリーやキャラクターよりも、システムに重点が置かれています。物語ではなく、システムそのものを楽しむ作りと言えるでしょう。

 一方で日本のRPG、その最たるものである『ファイナルファンタジー』では、キャラクターとシナリオに比重が置かれています。始まりと終わりが明確にあり、まるで1本の映画やテレビドラマシリーズを見終えたような深い満足感が得られます。このスタイルが大好きですね。

──ちなみに、最近プレイして感銘を受けたゲームがあれば教えてください。

ジュリアン氏
『ファイナルファンタジーVII リメイク/リバース』です。この10年で最高のゲームでした。原作を裏切らない作りでありながら、キャラクター間の関係性や対話がすばらしく、本当にキャラクターに恋をしてしまうほどでした。

──それでは最後に、日本のゲームプレイヤーにメッセージをお願いします。

マリオ氏
日本のファンの方々が大切にしている“RPG感”を、このゲームでしっかり表現したいと思っています。20年、30年前にあの頃のゲームを楽しんだ世代の方々にも、そして『クロノ・トリガー』や初代『FF7』を知らないかもしれない若い世代の方々にも、このすばらしい日本スタイルのRPGを届けたいですね。

ジュリアン氏
我々はJRPGから本当にたくさんのものを受け取ってきました。だからこそ、本作はその“恩返し”だと思っています。日本語へのローカライズやフルボイス対応にも力を入れており、ボイスオーバーは崎元仁さんに監修していただいています。我々が込めたJRPGへの愛と感謝を、日本のプレイヤーの皆さんに受け取っていただけたら、これほどうれしいことはありません。

──本日はありがとうございました。いちRPGファンとしても、リリースを楽しみに待っています!

“東京ゲームショウ2025”開催概要

会場:千葉県・幕張メッセ
  • 展示ホール1~11
  • 国際会議場
  • イベントホール
【ビジネスデイ】
  • 9月25日(木)10:00~17:00
  • 9月26日(金)10:00~17:00
【一般公開日】
  • 9月27日(土)09:30~17:00
  • 9月28日(日)09:30~16:30

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