ワンコネクトが開発する、自分の頭を投擲して進む高難易度アクション『Velgrym(ベルグリム)』の体験版レビューをお届けします。

本作は、頭蓋骨を投げて移動する独自システムを持つ高難度3Dクライミングアクションゲームです。プレイヤーは骸骨の主人公となり、崩壊寸前の塔を登ります。
一歩のミスが、数十分を奪う……。それでも登る覚悟がある者だけが、頂に辿り着けるのです。
なお、本レビューはキーボード&マウス操作でプレイしています。
高難易度3Dクライミングアクション『Velgrym』1st Trailer
不気味で美しいダークファンタジーの世界へ。“自分の頭”を投げる衝撃アクション【Velgrym(ベルグリム)】
ゲームを起動して最初に目に飛び込んでくるのは、暗雲が立ち込める空とどこまでも高くそびえ立つ塔。画面左には、獣の骨のような頭部に黒いローブをまとった小柄な主人公がぽつんと立っています。
首元には重々しい南京錠のようなものが付けられており、巨大な歯車や古びた木造の建造物がそびえたつタイトル画面からすでに、美しくも退廃的なダークファンタジーの香りが漂ってきました。
本作の最大の特徴であり、アクションの核となるのが主人公の移動手段。歩く、ジャンプするといったオーソドックスなアクションゲームを想像してマウスを操作すると、すぐに予想外の事態に直面することに。
チュートリアルで明かされるのは「“頭”が本体、体は使い捨て!?」という衝撃な事実。プレイヤーは右クリックで自分の頭を遠くに放り投げ、空中の好きなタイミングで左クリックを推すことで、その位置に新たな体を生やしてワープできます。
言葉通り自分の頭を投擲物として扱い、それを空中に浮かぶ足場から足場へとつないでいくことでステージを縦へ横へと進んでいくのです。
青白い光の軌跡を引きながら、くるくると回転して暗闇のなかを飛んでいく頭蓋骨のアニメーションは、不気味でありながらどこか神秘的な美しさも感じさせます。
この一見シュールな映像が、のちにプレイヤーを絶望の渦へと引きずり込む最大の要因になるとは、この瞬間の私にはまだ想像もできませんでした。
チュートリアルは親切設計!「意外と簡単かも?」と油断した序盤

操作の基本を学ぶチュートリアルエリアは、薄暗い水上に浮かぶ一直線の桟橋のような場所です。ぼんやりと光る灯りがプレイヤーを導くように連なっており、進むべき道に迷うことはありません。
画面に表示される案内ボードには、図解入りでわかりやすくアクションの仕組みが描かれています。
一度の投擲では届かない場所へ行くための空中移動(空中で体を生成し、落ちる前にもう一度頭を投げる二段ジャンプ)や、体を入れ替えた直後に素早く頭を投げることで飛距離を伸ばすテクニックなど、段階を踏んでゲームの仕様を理解できる親切な設計になっています。

この時点での私の率直な感想は「ユニークなシステムだけど、チュートリアルは親切だし、そこまで難しいゲームではないかも」というものでした。
用意されたギミックを次々とクリアし、意気揚々と本編の舞台となる塔のふもとへたどり着いた私は、自分のゲーマーとしての腕前を完全に過信していました。親切なチュートリアルはプレイヤーに基本操作を叩き込むための、いわば罠を張る前の撒き餌のようなものだったのです。
ここは地獄? 絶望と歓喜が交差する超高難易度の洗礼

本格的にゲームプレイが始まると、目の前には空高くそびえたつ塔と、その周辺を無秩序に浮遊する木片や岩の足場が現れます。ここからは、ただひたすらに上を目指して上っていくだけ。しかし、登り始めた瞬間から状況は一変します。
主人公は基本的なアクションとしてジャンプができるものの、いざ登り始めるとジャンプだけで移動できる足場はほぼない設計にされていました。
まず気づくのは、ジャンプだけで移動できる足場がほとんどないという事実です。一見「ここは普通のジャンプで行けるかも?」と思える距離でも、実際には頭を投げてテレポートしなければ届かない設計になっています。つまりこのゲームにおいて、プレイヤーが常に意識しなければならない変数は大きく4つあります。
①投げる力と角度
②飛んでいく頭の軌道
③空中で体をワープさせるタイミング
④着地点の把握
これら4つの変数を瞬時に同時処理しながら、1ミリの余裕もない足場に正確に着地しなければなりません。
さらに、上方向へ頭を投げる際にはマウスで視点を大きく上に向けるため、自分が今立っている足場や、落下した場合に着地できる下の状況が画面端へと消えていきます。
放物線を描いて飛んでいく頭の位置を正確に把握し、着地点の真上で左クリックを押して体をワープさせる。口で言うのは簡単ですが、実際のプレイでは「ここだ!」と思ってボタンを押しても、足場の端からわずか数ミリずれていれば、哀れな主人公はそのまま重力に従って真っ逆さまに落下。
そして、プレイヤーをさらに絶望の淵へ突き落すのが道中に配置された容赦ないギミックの数々です。
ただでさえ足場が狭いのに、一定の速度でゆっくりと回転している着地点が登場します。何よりもこの回転足場が難しいと感じた理由は単にジャンプで乗るのではなく、頭を投げてテレポートしなければ届かない距離に配置されている点にあります。
普通のジャンプならタイミングも図りやすいのですが、本作では頭を投げるタイミング、飛んでいく角度と軌道、そして空中で左クリックを押して体をテレポートさせるタイミング、これらすべてを足場の回転に合わせて完璧に計算する操作が求められます。
角度がついて見えづらくなった画面の中でこの操作をするのは至難の業。私は同じ箇所で何度落下したかも数えられなくなり、気づいたら奥歯を噛みしめながらマウスを握っていました。

加えて、空中に浮かんでいる丸いゴツゴツした岩は掴み判定が存在しません。「ワンチャン乗れるかも?」と思って頭を投げると、岩の表面にぶつかって無情にもカコンッと弾き飛ばされ、あえなく落下。
頭を投げる角度、クリックするタイミング、ギミックの動きを見極める観察眼。すべてが完璧に噛み合って初めて、ひとつの難所を越えることができます。苦労してギリギリの場所に着地できた瞬間の「よしっ!!」という達成感と安堵感は、他のゲームではなかなか味わえない強烈な麻薬のような魅力がありました。
死の淵で高まる欲望! 絶望と希望の収集要素

本作品は文字通り1つのミスが命取り。そんな死と隣り合わせの道中に、さらなる欲望を刺激する要素が潜んでいます。それがステージ各所に配置された光るコイン。
ぼんやりと浮かぶその輝きは、地獄のような難所のなかでもどこか神秘的に目を引きます。しかし近づいてみると、その配置の意地悪さに思わず苦笑いが漏れます。
コインはプレイヤーが自然に通るメインのルートから外れた位置、しかも少し遠回りのものだけでなく、命を犠牲にしなければとれなそうなものまであります。
「生存を優先するか、コインを取りに行くか」。この二択を迫られる瞬間のプレッシャーは、ただ上を目指すだけの緊張感とはまた別の重みがあります。すべてのコインを回収しようとすれば、普通にクリアするよりもはるかに高度な投擲精度と胆力が要求されることになります。本編のクリアだけでも十分に骨が折れるこのゲームにおいて、コインコンプリートはまさに"真のドM"にのみ許された茨の道と言えるでしょう。
総評:『Velgrym(ベルグリム)』はドMゲーマー必見! 失敗を乗り越えた先の達成感が味わえる意欲作
本作をプレイして感じたのは、アクションゲームの皮をかぶった“自分自身の忍耐力との戦い”であるということです。
自分の頭を投げるという奇抜なアイデアとダークファンタジーの世界観に惹かれて手を出すと、想像を絶するシビアな難易度に面食らうことになります。
理不尽なシステムエラーで理不尽に死ぬわけではなく、落下の原因は常に「自分の投擲の角度が甘かった」「ジャンプで行けると油断して目測を誤った」というプレイヤー自身のミスにあります。だからこそ、悔しくて何度でもリトライしたくなる不思議な引力を持っています。
いわゆる某壺おじ系ゲームに通ずる、落下のリスクと隣り合わせのヒリヒリ感が好きな方には、間違いなく刺さる作品です。
ひとつのミスが命取りになる極限の緊張感を楽しめるプレイヤーや、何度も失敗を繰り返しながら少しずつ上へ進んでいく過程に喜びを見出せるドMなゲーマーにこそ、強くおすすめしたい1本に仕上がっています。失敗したときのリアクションが大きくなるため、実況配信などでも大いに盛り上がるポテンシャルを秘めているでしょう。
我こそはというアクションゲーマーの方は、ぜひSteamのストアページをチェックし、この果てしない塔登りの苦行に挑戦してみてください。