ポケモン30周年記念コラム連載。ポケモンが歩んで来た30年の歴史を、私見を交えつつ時代背景とともに綴っています。
これまで、ポケモンの第1世代~第2世代となるゲームボーイ時代(1996年~2000年)。そして、前回はアドバンス時代のはじまり2001年と『ルビー・サファイア』が発売された2002年の2年間を振り返りました。
これまで、ポケモンの第1世代~第2世代となるゲームボーイ時代(1996年~2000年)。そして、前回はアドバンス時代のはじまり2001年と『ルビー・サファイア』が発売された2002年の2年間を振り返りました。

今回は、“ゲームボーイアドバンス”時代と“ゲームキューブ”ではじめてポケモンゲームが発売される2003年を振り返ってみたいと思います。これまでのコラムは下記のリンク先にまとまっていますので、前回のコラムを読んでない方は、併せてそちらもご一読いただけるとこの時代の流れを追えることと思います。
索引
閉じる2003年の時代背景と1月
2003年、平成15年。新世紀と騒がれた21世紀がはじまってから3年目。教育や行政機関でもインターネットによるシステムのネットワーク化が進んでおり、今日に続く日常に少し近づいて来た感があります。
コギャルブームは完全に息を潜め、女子小学生や中学生のジュニアファッションが流行するなか、新たに“なんちゃって制服”という本来自校の制服とは違った制服をファッションとして着るという変わったブームが生まれていました。
また、前年の2002年流行語としても選ばれた、東京多摩川の丸子橋付近に突如として現れたアゴヒゲアザラシの“タマちゃん”人気が続いており、神奈川県横浜市や埼玉県朝霞市の河川にも出没し、2004年ごろまで目撃情報が続きます。
ゲーム業界では、“プレイステーション2”の勢力が拡大しており、前年5月には、『ファイナルファンタジーXI』がシリーズ初の“MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)”としてサービスを開始。
プレイするには本体以外に別途“PlayStation BB unit”を必要とするものの、コンシューマー機での“MMORPG”作品で、『ファイナルファンタジー』シリーズの正式ナンバリングとしてのリリースに、コアなゲーム層を惹きつけていました。
かくいう私も、『ウルティマオンライン』から『ファイナルファンタジーXI』へとオンラインゲームのプレイ拠点を移し、この時期はずいぶんのめり込んで遊んでいました。

この『ファイナルファンタジーXI』を発売した株式会社スクウェアは、この年(2003年)の4月1日に株式会社エニックスと合併し業界ニュースを賑わすことになります。
携帯ゲーム機では、子どもたちに人気シリーズの『星のカービィ』や『ロックマン エグゼ』などの強力なタイトルの続編と『ルビー・サファイア』の人気に支えられ、“ゲームボーイ(カラー含む)”のカセットと互換性のある後継機“ゲームボーイアドバンス”への移行が順調に進んでいました。
また、この2003年1月より『甲虫王者ムシキング』(セガ)がアミューズメント施設で稼働をはじめており、子どもたちからの人気を獲得していきます。
そんな2003年1月。前年の映画『水の都の護神 ラティアスとラティオス』の登場で人気となっている、“ラティアス”と“ラティオス”のどちらかを野生で捕まえることができる“むげんのチケット”の配布情報が発表されます。

これは、この1月に4大都市(大阪、東京、名古屋、福岡)で開催される”第17回次世代ワールドホビーフェア“で先着2万5000名に配布、その後、2月よりポケモンセンター・トウキョーとオーサカ、ナゴヤでも配布されるというものでした。
この“むげんのチケット”は、殿堂入り後に“みなみのことう”という場所に行くことができて、そこで“こころのしずく”を持っている“ラティアス”か“ラティオス”(自分の色のカセットでクリア後に徘徊しないほう)Lv.50を野生で捕まえることができるというものです。

“むげんのチケット”は、公式配布でもらった人とゲーム内ポケモンセンター2F“ポケモンつうしんクラブ”の“レコードコーナー”でレコードをまぜると自動的に配布されるので、持っていた人も多いのではないでしょうか。
2月~4月 “ゲームボーイアドバンスSP“発売と幻のジラーチ公開
2月14日。子どもたちのあいだでもまだまだ欲しいソフトの人気ナンバー1として『ルビー・サファイア』が君臨するなか、折りたたみ式に進化した“ゲームボーイアドバンスSP”が発売されます。
折りたたみ式でよりコンパクトになり、フロントライト液晶により暗い部屋でもプレイ可能。さらに充電式のバッテリーになり、フル充電で約10時間の稼働が実現し、より携帯ゲーム機としての利便性が向上したモデルとして普及していきます。

同じく2月には夏の映画第6弾、劇場版『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』(当初のタイトルは“ジラーチ”が伏せられていました)の公開日を発表。そして3月には幻のポケモン“ジラーチ”が201匹目(ホウエン図鑑)のポケモンとしてお披露目されます。
つづく4月。なんとその“ジラーチ”がゲームでもらえる引換券が付いた特別前売り券が4月26日より販売開始となるニュースが発表されます。前売りチケットの上部に引換券が付いており、ポケモンセンターやイトーヨーカドー、トイザらスなどの提携店で受け取ることができるという、いままでにない試みでの配布方法でした。以降、夏映画での特別なポケモン配布は定番化していくようになります。
このほかに、6月に幕張メッセで開催される“第18回次世代ワールドホビーフェア”でも抽選で1万名に“ジラーチ”がプレゼントされる応募がはじまり、2008年まで毎年のように7月の七夕に合わせて“ジラーチ”を入手できるキャンペーンが行われるようになりました。

また、この4月はポケモンセンターが5周年を迎えており、“ゲームボーイアドバンスSP”記念モデルとして“アチャモオレンジ”が発売。さらに、ポケモンセンタートウキョー、オオサカ、ナゴヤ各店で、特別な“わざ”を覚えたポケモンが生まれる“ナゾのタマゴ”が4月25日~5月18日の期間限定で配布されました。
このときの配布されたタマゴからは、通常では覚えることのできない“わざ”を覚えた“アブソル”、“タツベイ”、“ラルトス”、“ピチュー”のいずれかが生まれます。この“ナゾのタマゴ”の配布や、通常では覚えない“わざ”を覚えたポケモンの配布も、このときから定番サービスとなっていきます。
5月~6月『ポケモンボックス』と“カードeリーダー+”発売
5月30日。“ゲームキューブ”で、はじめてのポケモン関連ソフト『ポケモンボックス ルビー&サファイア(以下、ポケモンボックス)』が発売されます。

これまで“ニンテンドウ64”で発売されていた『ポケモンスタジアム』シリーズのボックス整理機能に特化したようなタイトルで、ゲームとは一線を画す、ポケモンならではのツールソフトです。1500匹ものポケモンを預けることができ、検索や並び替えなど高性能の便利機能を備えており、当時とても重宝したタイトルです。
この『ポケモンボックス』でナビゲートしてくれる女性キャラのアズサは、『ルビー・サファイア』、『エメラルド』でパソコンのあずかりシステムを管理しているマユミの姉とされており、のちの“ニンテンドー3DS”のバーチャルコンソールでリリースされた『ポケモンバンク』にも登場します。

つづく6月27日には、“カードeリーダー”の上位モデル“カードeリーダー+(プラス)”が発売されます。新たに『ポケモンバトルカードe+』シリーズが発売され、カードを読み込むことで『ルビー・サファイア』や、今後発売される『ファイアレッド・リーフグリーン』や『エメラルド』、『ポケモンコロシアム』と連動した機能を使えるようになる“ゲームボーイアドバンス”周辺機器です。
『ポケモンバトルカードe+ ルビー・サファイア』では、カードを読み込ませることで『ルビー・サファイア』と連動して特別な“きのみ”をもらったり、トクサネシティでカードに記載されているトレーナーと戦うことができたりするので、現在では希少性の高いカードコレクションとしてトレードされているようです。

7月~8月 夏の映画と『ポケモンチャンネル』、『ポケモンピンボール ルビー&サファイア』
7月。ふたたび“ゲームキューブ”専用タイトル『ポケモンチャンネル ~ピカチュウといっしょ!~(以下、ポケモンチャンネル)』が発売されます。“ゲームキューブ”のしっかりと遊ぶタイプのポケモンゲームとしては、これが初タイトルになります。

このゲームは“ニンテンドウ64”で人気となった『ピカチュウげんきでちゅう』の流れを汲んだコミュニケーションゲーム作品で、同じゲーム開発会社のアンブレラ社(現在では、ポケモンシリーズを開発しているクリーチャーズと合併)が開発し制作しています。
この作品は、ハツカタウン(地方は不明。ゲームを進めるとバスで“トキワのもり”に行けるのですが、地図はカントー地方でなくオリジナルの地図です。)に住んでいる主人公となって、ポケモンと人がいっしょに楽しめる“ポケモンチャンネル”の視聴者モニターとしてレポートを報告してほしいとオーキド博士から頼まれます。
最初に知り合う“ピカチュウ”と仲良くなり、いっしょにポケモンのいろんな番組を観ることになるのですが、ゲームが進むと番組が増え、自分の部屋でできることが増えます。
また、自宅周辺やほかのエリアにも行くことができ、そこで暮らすさまざまなポケモンとコミュニケーションを取ることができます。ポケモンの鳴き声はアニメの鳴き声と同じなのも本作の特徴です。
自由に遊べるタイプのゲームで、出会った野生のポケモンからもらえる“ナイスカード”というコレクションカードを集めたり、ゲームを進めると遊べるようになる“ポケモンミニ”のゲーム(体験版)を集めたりと、いろんな楽しみが用意されています。

また、大きな目標として、“ジラーチ”と出会って“トキワのもり”で試写会を開くという、この夏の映画と連動するような目的もあり、とてもボリュームのあるゲームです。
この作品でしか観ることができないアニメ映像や、“ポケモンミニ”のオリジナルゲームなどもあり、“ピカチュウ”も『ピカチュウげんきでちゅう』と同じくとてもカワイイので、数あるスピンオフゲームのなかでも、ファンにはたまらない作品のひとつだと思っています。
そして、7月19日より劇場版『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』が公開となります。

興行収入は45億円を記録し、この年の邦画2位となっています。前年の『水の都の護神 ラティアスとラティオス』が26.7億円、さらにその前の『セレビィ 時を超えた遭遇』が39億円と徐々に数字を落としていたため、3年ぶりに巻き返した結果となっています。
邦画の興行収入1位に輝いた2000年『結晶塔の帝王 ENTEI』が48.5億円でしたから、それに近い数字を生み出したことになります。ちなみに、この年の1位は『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』で173.5億円の大ヒットとなっています。
この結果は『ルビー・サファイア』の好調と、映画の前売り券に“ジラーチ”の配布チケットが付いたことの要因が大きく影響したと見ています。
8月になると、“ゲームボーイアドバンス”タイトル『ポケモンピンボール ルビー&サファイア』が発売されます。
このタイトルは、1999年4月に発売された『ポケモンピンボール』の正当な続編となっており、基本的なシステムを継承しつつ、新しくタマゴから生まれるポケモンをゲットできるモードなどが追加されました。
前作より遊びやすくなっており、“GETモード”で出現させたポケモンは3回ボールを当てるとゲットできるようになっています(前作は4回)。ゲットできるポケモンはホウエン図鑑の201匹となっています。

9月~年末 『ファイアレッド・リーフグリーン』発表と『ポケモンコロシアム』
9月。初代『赤・緑』のリメイク作品『ファイアレッド・リーフグリーン』が“ゲームボーイアドバンス”専用タイトルとして発売される情報が飛び出します。
この情報には、飛び上がるように嬉しかったのをよく覚えています。新しくなったマサラタウンのフィールド画面、そして、ヒトカゲとフシギダネが戦っているバトル画面が公開され、さらに『ルビー・サファイア』と連動して通信交換や対戦ができることも判明します。
このときは全国図鑑になるなんて思っていませんでしたから、ホウエン地方に登場しないカントー地方のポケモンを連れて行ける?……いや?行けない?……どうなるのだろうと想像して胸が膨らむばかりでした。
もとより、『赤・緑』を“ゲームボーイアドバンス”のパワーアップしたグラフィックで遊べるだけでも嬉しさでいっぱいです。
『ファイアレッド・リーフグリーン』の情報が続くなか、11月21日に“ゲームキューブ”タイトル『ポケモンコロシアム』が発売されます。

『ポケモンコロシアム』は『ポケモンスタジアム』シリーズの流れを汲んだゲームなのですが、これまでのシリーズとは違ってしっかりとしたシナリオモードが加わり、オリジナルストーリーで進行するRPG作品としても評価が高く、ファンのあいだで人気のタイトルです。
野生のポケモンを捕まえるというシステムではなく、謎の組織が使ってくる“ダークポケモン”を“スナッチ”して入手し、“リライブ”して元のポケモンに戻して使うという、新しいシステムを採用。また、そのバトルもすべてがダブルバトルでおこなわれるため難易度が高く、これまでのポケモンシリーズをプレイしてきた玄人好みの作品になっています。
エンディングを迎えると、“リライブ”したポケモンを『ルビー・サファイア』(のちに発売される『ファイアレッド・リーフグリーン』、『エメラルド』とも)と通信交換して連れていけるようになります。
その“リライブ”ポケモンは、ホウエン地方には出てこない『金・銀』のジョウト地方で登場するものが多く、それらのポケモンを『ルビー・サファイア』に連れていけるということでも話題になりました。

また、“バトル山”というモードがあり、シナリオモードに登場する全48匹のダークポケモンを“スナッチ”して“リライブ”を済ませ、シナリオモードの主人公で途中手持ちのパーティーを変更せずに100人のトレーナーに勝ち抜く“100人ぬき”を達成すると“ホウオウ”Lv.70(おや名:バトルやま)がもらえます。

この“100人ぬき”チャレンジを、同じく一度も手持ちのポケモンを変更せず、さらに途中ロビーにも戻らずクリアすると、手持ちのポケモンにアースリボンを付けてもらえることができます。
アースリボンを付けたポケモンは、いまの時代にも持ってくることができるので、愛着のあるポケモンで挑戦するトレーナーがいまでもいるようです。
(『ポケモンHOME』へ連れてくるには、『ポケモンバンク』『ポケムーバー』がダウンロードされている3DSが必要になります。ダウンロード配布サービスは残念ながら終了しています。)
ほかにも、『ポケモンコロシアム』予約購入特典としてもらうことができた“拡張ディスク”を使うと、シナリオモードクリア後に“セレビィ”Lv.10(おや名:アゲト)を入手できたため、本作を予約して購入した方も多いのではないでしょうか。私も、それに釣られて予約したひとりです。


12月。『ファイアレッド・リーフグリーン』の新情報でソフトに“ワイヤレスアダプタ”が同梱されることが発表され、大きな話題となりました。
通信交換や通信対戦が煩わしいケーブル接続でなく、ワイヤレスで通信できることに新しい時代を感じ、同梱で4,800円という低価格に驚いたものです。このほかにも、新しくなったポケモン図鑑や、ゲームを再開したときの“あらすじ機能”など、『赤・緑』から大きくパワーアップしている情報に胸を躍らせました。
気になる発売日は2004年春とされており、いまかいまかと待ち遠しく思う年末を過ごすことになります。
このころ私は、ギター講師や演奏の仕事のほかに、小動物ペットの月刊誌『我が家のどうぶつマガジン アニファ』(現在は休刊)でコラム連載の仕事を持つようになっていました。
ライティングの仕事を増やそうとネット検索をしていたところ、“週刊ファミ通”でライター経験者の募集をしているのを見つけ応募していたのですが、1ヶ月ほどしても連絡がなかったので諦めていました。
2003年。ポケモンにとって本シリーズは発売されていない年ですが、スピンオフなどの名作ソフトが数珠つなぎに発売され、とても濃い1年となっています。
前回のコラムで、今回は2003年~2004年の『ファイアレッド・リーフグリーン』、『エメラルド』が発売されるまでを綴る予定と予告していましたが、2003年を書き進めるにつれすでに長いコラムとなってしまいましたので、2004年はまた次回へと続きます。

※記事中の写真にあるグッズ類、本体、ゲームソフト類は私物撮影です
今後の更新情報や、こちらのコラムで紹介していない『ポケモン』グッズのことなど、SNS“X”アカウントにポストしています。『ポケモン』以外のお仕事や趣味のことなども雑多に呟いていますが、よろしければお気軽にフォローしてください。
市野ルギア プロフィール
“ファミ通”で雑誌やムック、音楽やWeb番組を作っていました。現在はフリーのミュージシャンで編集ライター。ポケモン歴は1996年2月『ポケットモンスター 赤・緑』の発売日から。“週刊ファミ通”、“ファミ通 ゲームキューブ+アドバンス”で『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』と『エメラルド』のライティングを担当。
“ファミ通Wave DVD”や“ファミ通コネクト!オン”など多くの雑誌に企画・編集・ライティングで携わってきました。
電撃オンラインでは、『ポケットモンスター ソード・シールド』より『ポケモン』シリーズのプレイレポートを不定期で連載しています。
また、ゲーム曲やそのアレンジ、ラジオやテレビの主題歌など手掛けています。歌から物語を創る自身の音楽ユニット「終末のバンギア。」をプロデュース中。
これまでの経歴などは“ポートフォリオ”ページをご用意しておりますので、そちらをご参照ください。
・“市野ルギア”ポートフォリオページ