みなさんこんにちは。映画『マイケル』観に行ったわけよ。息子と義母というあまりない組み合わせ。一番大きいスクリーンだったんだけど、かなり年齢層高めだった。頻尿の薬のシネアド流れていた。そんなん『東京タクシー』以来だぜ。
自分はマイケル世代じゃないけど、メガドライバーだったので『マイケル・ジャクソンズ ムーンウォーカー』で知った口。マイケルって、あのムーンウォークで敵を倒す人でしょう? 友だちがおさるのバブルスくんの。大体合ってる。ポウ! オッシーがコラム51回目をお送りします。

このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビュー形式でお送りしています。超ネタバレ注意。
21ナノ秒後に世界消滅RTA!【シュレディンガーズコール】
タイトル:『シュレディンガーズコール』
プレイ状況:Steam版クリア済み
独特なタッチのビジュアルと、21ナノ秒後に世界が滅びるという設定、さらに記憶を失った少女が“世界最後の話し相手”になるときたら。泣けそうな予感しかない『シュレディンガーズコール』が遂に発売!

前から注目していたので早速プレイした。
主人公のメアリが目覚めると、黒猫のハムレットと電話しかない部屋にいた。
ハムレットは喋る黒猫で、この世界は21ナノ秒後に滅びる運命とのこと。その約束された滅びの前に、かかってくる電話(未完了通話)を受けて、無念を抱えたその人を救うのがメアリの使命と伝えられる。
いいね~、この設定。地縛霊の無念を晴らして成仏させるのは定番っちゃ定番だけど、それが電話を介してのみだったり、滅びを迎える前に行う、という世界観設定が秀逸。引き込まれる。
ただし、メアリには記憶はなく、相談者の悩みを解決していく過程で、過去がフラッシュバックする構成になっている。これも上手で、一見、関係ないような個別の相談に散りばめられた背景や用語が、後々の話や、メアリ自身の過去に繋がっている構成になっている。
ゲーム性としては、ミステリアドベンチャーで、電話で得られた情報を元に案件を整理、推理して事のあらましを明らかにしていく感じ。ただ、難易度はそんなに高くなくて、間違えてもペナルティがないので安心。
最初、21ナノ秒で~という情報があったので、『勇者30』みたいに刻々と減っていく時間の中で繰り返しプレイして世界滅亡の謎を解くRTA的なゲームだと思っていたが、全然そんなことはなく(プレイヤーに)やさしい世界だった。
21ナノ秒~はあくまでも設定上のみで、実際は精神と時の部屋状態で時間は止まっており、制限時間なんかもないので、焦るのは苦手な人も安心。
“シュレディンガーの猫”ゲームに使われすぎ問題。まあそれでも好きだけどね【シュレディンガーズコール】
ゲームは4章+終章の5章構成。各章に相談者がいて、基本的にはその悩みを聞いていく。
とはいえ、主人公のメアリは特に力もない少女で、しかも電話を取ったり、かけることしか出来ない。なので、お悩みをズバッと解決する感じではなく、基本的にはヒアリングがメイン。
相談者だけではなく、関係者にも電話が繋がる(設定)なので、各関係者からヒアリングをしつつ、相関図や事のあらましを推理していく感じになる。
推理と言っても、ここの誘導もかなり親切で、「誰々に電話しなきゃ」とか「これってこういうこと?」みたいにメアリ自身や黒猫ハムレットが導いてくれる。
なので、ゲームというよりは、お話を読んでいくような感覚が近いかもしれない。
とはいえ、じゃあ小説でいいやんとはならない。このゲームの演出は素晴らしい(たまに過剰なところはあるけど⋯⋯)ので、小説や映画では得られないような、“ゲームならではの読書体験”が得られる。
例えば、このゲームには分岐もしないような選択肢が大量にある。選択肢AもBも実質同じ意味だったり、一つの文章が選択肢になっていたりする。どっちの選択肢を選んでも結果は同じ。
極めつけは、選択肢が1つしかないケースもたくさんある。なんだけど、地の文で流さずに、必ず“選択肢を選ばせる”行為をプレイヤーにさせるのだ。
この(ゲーム上は)意味はないけれど、プレイヤーに“選択させる”というのは、明らかに狙って設計された演出だろう。プレイ中は、いちいち選ぶのが面倒くさいな~と思ったこともあるけど、最後までプレイすると意味が分かるようになっている。

まあタイトルからして『シュレディンガーズコール』だからね! もちろんかの有名な(使い古された感もある)“シュレディンガーの猫”なわけ。勘の良い人だと、この“選択”させる行為がすなわち“観測”することだと気付くと思う。
相談者は4人。どいつもこいつもシリアス過ぎる。少女に相談する内容じゃなくない⋯⋯?【シュレディンガーズコール】
話は戻って、相談者は4人。
1人目は、刑務所に入っていた母親が息子にかけた電話。息子は母親が自分を捨てたと思っているので、ママンは自分の存在を偽って息子と話そうとする。

これはちょっと話の筋が分かりやすすぎたかな。息子のために行動した母親の想いが息子に伝わらない無念ということで、殺人のくだりが出てきたところでオチが読めちゃった感はある。
でも養父が凄い嫌な奴かと思ってたら、めっちゃ良い人でびっくりした。聖人過ぎる。むしろママンはこの聖人を頼っていればハッピーだったのではないだろうか⋯⋯。
2人目は、映画脚本家を志す青年とその想い人の話。

こちらももっとダークな話(劇場主の父親が想い人をピーするとか)を予想していたので、それよりはマイルドで良かった。
ただ、ちょっと想い人ちゃんが無計画すぎるというか、もうちょっと考えて行動していれば丸く収まった感はある。盲目なのに1人で出かけるのは危ないやろがい。
3人目が実は一番好き。頭がお花畑のご令嬢が結婚詐欺(というか復讐)に巻き込まれる話。

お話的にはこれも分かりやすくて、世間知らずのお嬢様が騙されちゃったね~って感じだったんだけど、最後の解決パートの演出が神がかっていた。
こういう、“人を守るための優しい嘘”系の話に弱いのよ。そんでさらに、その嘘を本人も気づいていて、最後に感謝を述べるとか、もう正直大好き。
最後の“私の初めてのお友達”のくだりも泣けたし、終章でもっかい出てきたときも泣いた。これは神演出だったわ。

4人目は、終章とも密接に関わるので実質ラストバトル。ぬいぐるみ作家のシュレディンガーさんとその娘エイミーの話。
もうシュレディンガーの名前からして重要なのが分かる。シュレディンガーさんからお電話くるんかい。まさかのタイトル回収。素直か。

もうやめて! メアリのライフはゼロよ!【シュレディンガーズコール】
終章は怒涛のメアリ内面アタック。既に四章で大体のネタバラシはあったので、あとはそれに対してメアリがどう向き合うかの話なんだよね。
ここで、第三の壁を突き抜けてプレイヤーが電話をかけるのも、なんとなく予想は付いていたけどやっぱりいいね。

今までずっと“救う側”だったメアリを、今度はプレイヤーが救う番。
ただし、ここがめっちゃ長い。ちょっと演出過多だったかな~と思わなくはない。メアリがデモデモダッテちゃんになってるので、それを根気強く説得しなきゃならない、という演出なんだと思うけど、ちょっとダレたかな。
とはいえ、そんな苦労を乗り越えて、過去の電話で救ってきた人たちとの思い出を振り返る流れはグッとくる。ここでご令嬢の“お友達”が出てきて筆者は泣いた。
そもそも、メアリがお悩み相談してきたのは、自分の為というか、“いい子”になる為だったことが最後に分かってくる。エイミーみたいないい子になりたかったのよ。
良いパパがいるのは、エイミーが良い子だから。良いパパがいないのは、メアリが悪い子だから。本来は逆(良いパパからの愛情がないからいい子になれない)なんだけど、メアリはもう思い込んでいるのよ。だからいい子になりたかった。
でも動機はさておき、結果として行った善行が、最後にメアリを救うことに繋がったんだよね。
そして、とにかくエイミーがいい子! 最初は、実は嫌なやつなんじゃないかと思った。マウントじゃないけど、自分を真似するメアリをウザがったりする様子も見え隠れしていたからね。
でも多分、それはメアリ視点の、ちょっと被害妄想が入っていたんじゃないかなって思う。
だって、日記の最後の方で、エイミーはメアリと本当の家族になろうとしていたことが分かるから。

ただその分、エイミーの最期と、わざとじゃなかったにせよメアリが助けられなかった展開は悲しかった。
想いのかけ違いによる悲劇。コミュニケーションが足らなかったことによる悲劇。
おそらく、その罪悪感によって、一連の“電話をかけて(コミュニケーションで)他人を救う”という行為に繋がったんじゃないかと思う。
そう考えていくと、最初から最後まで一貫したテーマに沿って作られたストーリーだということが分かる。素晴らしい構成力だね。
総評:演出過多とご都合展開は気になるが、全体的には素晴らしく美しい物語【シュレディンガーズコール】
ということで、1つの物語としては大変に素晴らしかった!

後半の演出過多と、全体的に「もっとこうすれば良くね?」という登場人物の非合理的な行動への疑問はあるけど、まあ人間って基本的に愚かしい生き物だしね。
第三者から見れば「こうすればいいのに」と思っても、沼に嵌っている本人にはそれは分からんもの。そしてそれが、作品全体にもかかるテーマだと思えば、全部意図した演出なのかもね。
というか、同じような選択肢を何度も選ばせるゲーム性も含めて、すべてを計算し尽くされて作られたゲーム、という感じもしてくるから凄い!
また、アドベンチャーとしての難易度は低く、誰でもクリアできるようにしているのは評価。『都市伝説解体センター』でも思ったけど、集英社ゲームズのアドベンチャーはそういう方針なのかも。
人によって琴線は異なると思うけど、色々なエピソードがあって泣きゲーとしてはかなり泣かせ戦闘力高めなので、ちょっといい話見て泣きたい時にはオススメ! ぜひプレイしてみてほしい。