スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』。本企画では、ヒカセン兼ライターが膨大なプレイ時間をかけて旅する中で出会った、『FF14』の“好きなクエスト”や“好きな台詞”を振り返りつつ紹介していきます。

第8回の『FF14』振り返り記事では、パッチ5.0『漆黒のヴィランズ』のメインクエストより、アルバートの台詞をお届けします。
※物語のネタバレを含みますので、ご注意ください。
※本記事内の記述はライター個人の解釈によるものです。
※本記事内の画像はグラフィックスアップデート前のものです。「だったら……絶対に、間違っていなかった。この世界を、こんな未来を繋いだことを……俺は、やっと誇れる」(アルバート)
●メインクエストLv79“最果てに並ぶ”(パッチ5.0『漆黒のヴィランズ』)

2019年のリリースから7年が経ってなお人気の高い『漆黒のヴィランズ』。光の戦士として生きてきた主人公が“闇の戦士”として戦う物語の面白さは到底語りつくせませんが、今回紹介するアルバートは、間違いなく『漆黒のヴィランズ』を名作たらしめるキャラクターのひとりです。
アルバートは、『漆黒のヴィランズ』の舞台である“第一世界”の“光の戦士”であり、故郷を脅かす“アシエン”を倒して第一世界の英雄になりました。
アシエンや蛮神と戦い続け“エオルゼアの英雄”と呼ばれるようになった主人公と、とてもよく似た境遇の持ち主です。

違うところは、自らの行いによって世界を滅ぼしかけたことでしょうか。光の戦士であるアルバートの勝利は、光の力が強くなりすぎる“光の氾濫”を招き、第一世界の全てが光に呑まれる事態を招きました。
善いことだと信じて戦った自分のせいで故郷が滅んでしまう。残酷な現実にアルバートは深い自責の念に駆られ、『蒼天のイシュガルド』では第一世界を救うために“闇の戦士”を名乗って主人公と対立する展開もありました。
「そんな結末のために、俺たちは歩んできたんじゃない……!」
「世界をあんな風にしちまった俺たちは……俺たちだけは、何があっても諦めちゃならないんだ……!」
言葉の節々から血が滲むかのような想いを携えて主人公と戦ったアルバートは、最終的にミンフィリアとともに“第一世界”に帰還します。
彼らの決断によって“光の氾濫”はかろうじて阻止されますが、それでも世界の9割が光に呑まれ、異形の“罪喰い”が跋扈する地獄と化しました。


さらに、代償としてアルバートの仲間やミンフィリアは命を落とし、アルバート自身も誰にも気付かれない亡霊のような存在になってしまいます。
同じ“光の戦士”である主人公とのコミュニケーションを除けば、アルバートは何もできません。“罪喰い”に襲われる人を助けようとしてもすり抜けるだけで、その人が無惨に殺される様を見つめるしかできないのです。
……なんだか書いていてアルバートが本当にかわいそうになってきました。彼が何をしたというのでしょうか。
故郷を救いたい純粋な気持ちで戦っただけなのに!

そんな人生の果てに亡霊となった『漆黒のヴィランズ』でのアルバートは、何もかもを諦めていました。
主人公と再会した時も、「世界は決して救われないし、世界を救おうとする奴は、もっと救われない」と悲観的な言葉を口にします。
「世界のために戦った自分は間違っていた」アルバートは、そんな絶望を抱えていたのでしょう。

ですが、主人公を通して“第一世界”の現在を見ていくにつれ、アルバートの絶望は少しずつ氷解していきます。
特に印象的なのが、空に浮かぶ“グルグ火山”に潜む最後の“大罪喰い”を追うために“巨大タロース”を建造する一連のストーリーです。
自分たちだけでは手に負えないと気付いた主人公は、これまで出会ってきた“第一世界”の住民の力を借りて、一大プロジェクトを進めます。
そこでアルバートは、さまざまなものを目にします。
滅びが間近に迫る世界で懸命に生きる“第一世界”の人々。彼らが力を合わせ、天を突くような巨大タロースが立ち上がった、その瞬間。生前も見たことがなかった光景に、アルバートはひたすらに驚いた顔を見せます。

しかし、アルバートも見上げた巨大タロースを使った“大罪喰い”討伐は、予想だにしない急展開を迎えます。簡潔にまとめますと、世界を滅ぼす“大罪喰い”を倒すために戦ってきた主人公自身が“大罪喰い”――“第一世界”に仇名す化物も同然の存在になってしまったのです。
“闇の戦士”として取り戻してきた夜の闇も失われ、空は“第一世界”の滅びを暗示する光に覆われます。主人公の戦いが無駄に、いや、むしろ事態を悪化させてしまいました。
まるで、“光の氾濫”を起こしたアルバートのようです。

皮肉すぎる結末にさすがの主人公も打ちのめされたのか、“クリスタリウム”の見張り台で独り、“無尽光”に覆われた明るすぎる空を眺めます。

そこに現れるアルバート。落ち込んでいる主人公に声をかけ、「お前はまだ、負けていない……違うか?」と、落ち着いた口調で語りだします。

アルバートは、ずっと“第一世界”のために戦ってきました。生前はアシエンを倒し、死んでからもミンフィリアや仲間とともに“光の氾濫”を食い止めています。
そうやって戦った先に待っていたのは、明日にでも光に呑まれそうな滅びかけの世界です。彼の中では「こんな風に世界が残らない方が、むしろ幸せだったのではないか」という疑問が尽きませんでした。
しかし、“第一世界”のみんなが協力して巨大タロースが動いた時、アルバートの疑問に答えが出ます。

「ああ、よかったんだ……ってな」

「こんな世界で、まだ生きたがってる奴らがいる」
「それが手を取り合って、天にまで這い上がろうとしてる」
滅びが目の前にある時代で懸命に力を合わせる“第一世界”の人々に、アルバートは心から救われたのです。
自分が滅ぼしかけた世界の現在は、暗く沈んだアルバートの心を照らしたことでしょうか。その輝きは、“無尽光”よりずっと眩しかったに違いありません。
そしてアルバートが、今回の名言を口にします。
「だったら……絶対に、間違っていなかった」
「この世界を、こんな未来に繋いだことを……俺は、やっと誇れる」
アルバートはずっと「世界のために戦った自分は間違っていた」という絶望に囚われていました。そして、今はその絶望を主人公が抱いています。だからこそアルバートは、自分を通して主人公に「お前は間違っていない」と教えようとしてくれたのだと思います。
個人的な話ですが、私は“最果てに並ぶ”の直前クエスト“舞台上で最も哀れな役者”で、ものすごく落ち込みました。
大好きな“第一世界”を救おうと一生懸命やってきたことは全て無駄だったのか? 間違っていたのか? そんな気持ちで茫然としながら“クリスタリウム”をさまよったのをよく覚えています。
だからこそ、アルバートが「間違っていなかった」と言ってくれてものすごく救われました。きっと、主人公も同じはずです。
仮に主人公を“英雄”と呼ぶならば、アルバートは英雄を救ってくれた“英雄の英雄”なんじゃないでしょうか。
電撃オンラインでは、好きなクエストや名言などにフォーカスした『FF14』に関する企画記事をこれからも不定期で展開していく予定です。次回もお楽しみに!



