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『Castlevania: Belmont’s Curse』インタビュー。女性主人公誕生の経緯や難度調整、シリーズから継承したもの。なぜラルフではなくトレバーなのか?

文:電撃オンライン

公開日時:

 コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)より10月15日発売のPS5/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox on PC/Steam用『Castlevania(悪魔城ドラキュラ)』シリーズ最新作『Castlevania:Belmont’s Curse(キャッスルヴァニア ベルモンドカース)』のメディア試遊会が某日実施されました。

 本記事ではコナミデジタルエンタテインメントのプロデューサー・谷口勲氏、ディレクター・外尾有樹子氏、そしてEvil EmpireのEmmanuel Nouaille氏へのインタビューをお届けします。
谷口氏と外尾氏。Emmanuel氏はオンラインでの参加。

なぜ『悪魔城』ではなく『Castlevania』なのか、なぜラルフではなくトレバーなのか


──本作の開発のきっかけについて教えてください。KONAMI側はEvil EmpireとMotion Twinが手掛けた『Dead Cells』のDLC『Return to Castlevania』での仕事ぶりにおいて、具体的にどのような部分に感銘を受けて今回のプロジェクトに至ったのでしょうか?

谷口勲氏(以下、敬称略)
:第一に言えるのは、彼らのシリーズに対する深い理解力と愛情、そしてゲーム作りに対する徹底したこだわりです。

 実は前作のDLCは、企画初期から発売に至るまでに、当初の想定を遥かに超えるほどボリュームが増えていきました。なぜかというと、彼らが開発を進める中で「『Dead Cells』のファンにも、Castlevaniaのファンにも、ここまで届けたら絶対に喜んでもらえる」という要素を、自発的にどんどん追加していったからです。

 なかでも驚かされたのはリヒターモードについて。

 リヒターモードは企画初期に「作れたらいいよね」と話しつつも、スケジュール的に無理だと一度は諦めていたんです。しかし発売の少し前になって、彼らが「サプライズがあります。見てください」と、かなりの完成度でリヒターモードを実装して見せてくれました。

 そうした「プレイヤーを喜ばせたい」という情熱とモノづくりの姿勢に、強く感銘を受けました。

──タイトルに日本でお馴染みの『悪魔城ドラキュラ』ではなく、海外での名称である『Castlevania(キャッスルヴァニア)』という表記を選んだ理由を教えてください。

谷口
:これは率直に申し上げて、チーム内、関係者の間で本当に、悩みに悩んで出した決断です。私自身、子どもの頃から『悪魔城ドラキュラ』という名前に馴染んで育ってきた人間なので、非常に葛藤がありました。決して簡単に、ふわっと出した答えではありません。

 決断の理由としては、これまでのファンの方々はもちろん、これから新しくこのシリーズに触れる方々にも広く、グローバルに届けるためです。今の時代、インターネット経由で国内外の情報が瞬時に伝わっていきます。情報の伝わりやすさや、ネットでの検索性、世界的なタイトルの結びつきを総合的に考慮した結果、今回は『Castlevania』という表記で統一することがチームとして最も適切であると判断いたしました。

──ローズの父親であるトレバーについて、国内のファンの間では『悪魔城伝説』当時のラルフ・C・ベルモンドという名前になじみがあります。今回、海外版の名称であるトレバーに統一された経緯を教えてください。

谷口
:トレバー、もしくはラルフの名前についてもタイトル名の選定理由と同じですね。

 今回の完全新作を通じて、できるだけ多くの国内外のユーザーの皆様に、改めてこの世界観を分かりやすく提示したいという大前提があり、現代の情報社会における伝わり方や、ネットで調べた際の理解のしやすさを最優先に考えた結果、今回は世界共通の“トレバー”という名称で統一しました。

1499年という時代設定と“正史”への回帰


──本作は『悪魔城伝説』や『闇の呪印』から約20年後という時代設定になっています。『Lords of Shadow』シリーズで一度リセットされた世界から、再び元の正史のタイムラインに戻した理由やきっかけを教えてください。

谷口
:久しぶりの新作を立ち上げるにあたり、大元の枠組みとして“2D探索型アクションであること」「象徴であるベルモンド家の主人公を登場させること”と“鞭をコアに据えること”をKONAMI内での方針として決めました。

 その枠組みを満たしつつ、自然に新しいベルモンド家の主人公を登場させられる舞台はどこかをEvil EmpireやMotion Twinの皆さんと協議を重ねた結果、この時代設定がベストだろうという結論に至りました。

 結果的に私の大好きな『悪魔城伝説』の地続きの物語を作ることができて、個人的にも非常に嬉しく思っています。

──本作は1499年のパリを舞台としていますが、この新たな世界観を構築するにあたり、グラフィック表現やビジュアル面でのこだわり、特に注目してほしいポイントを教えてください。

谷口
:まずパリを舞台に選んだ経緯ですが、時代設定を決めた後、久しぶりの新作なのでヨーロッパのどこかを舞台にしたいという漠然とした考えがありました。

 そこから当時の時代背景を調べていき、大都市であったパリが最適だと考えました。パリには当時からゴシック建築が数多く立ち並んでおり、そのトーンやテーマ性が『Castlevania』の世界観と完璧にマッチしたことが大きな理由です。

 グラフィック表現については、シリーズの魅力であるゴシックな要素をしっかりと継承しつつも、アクションゲームとしての視認性を担保することにこだわりました。今回のローズはアルカナウィップなどを使った機動性の高いダイナミックな動きをします。

 そのため、背景とのコントラストや色彩の彩度を少し強めに調整することで、美しいゴシックの世界観を維持しながらも、プレイヤーがキャラクターを見失わず、快適に動かせる画面作りを模索しました。

Emmanuel Nouaille氏(以下、敬称略)
:1499年のパリという歴史的な背景を選ぶことで、物語に現実味と説得力を持たせ、プレイヤーの没入感を高めたかったのです。ゲーム内には、実在するカタコンベやノートルダム寺院、奇跡の宮殿といったランドマーク、さらにはジャンヌ・ダルクのような歴史上の人物や伝承へのオマージュを豊富に盛り込んでいます。パリという街自体がそもそも非常にゴシックであり、何世紀にもわたる神話や陰鬱なイメージを内包しているため、最高の舞台となりました。

 ビジュアルのスタイルとしては、ただリアルにするだけでなく、夢のようでありながら超自然的な、映画のような雰囲気を目指しました。キャラクターの視認性を高めるコントラストの強い映像表現は、イタリアのジャッロ(Giallo)映画からインスピレーションを受けています。映画的なアプローチを取り入れ、カラフルで、美しく、そして深くゴシックなビジュアルに仕上がっています。

──主人公のローズ・ベルモンドについて質問です。これまでのシリーズの歴史において、ベルモンド家出身の単独女性主人公というのは、ソニア・ベルモンド(『悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲』)くらいで、非常に珍しいパターンだと思います。今回、ローズを主人公に据えた経緯を教えてください。

外尾有樹子氏(以下、敬称略)
:最初から絶対に女性主人公にしようと決めていたわけではありませんでした。どちらかと言えば、世界観や物語を組み立てていくなかで自然に決まっていった形です。

 今回の物語ではトレバーと結ばれたサイファがすでに亡くなっています。

 その遺された子どもがどういう存在で、どういう物語を紡いでいくべきかをEvil Empireのチームとディスカッションしていく中で、自然と女性の主人公というアイデアに肉付けされていきました。

谷口
:開発の過程で「もし男性だったらどうなるか」と検討したこともありました。それはそれで格好良くはありましたが、今回の物語のテーマに最もシンクロし、最適だったのはやはり女性主人公でしたね。

Emmanuel
:ストーリーが組みあがるにつれて、自然と女性主人公がしっくりくるようになりました。とくにサイファの呪いが娘に受け継がれているという設定から来る母と娘の強い絆が非常にエモーショナルな感情が生まれました。

 ローズは母親を死に追いやった呪いの重荷を背負い、復讐の念に突き動かされて旅をします。家族として受け継いだもの、絆、そして犠牲といったダークなテーマを描く上で、彼女のような女性ヒロインが最も力強い説得力を持ってくれました。意図的に選んだというより、描きたいストーリーに対して彼女が必然のキャラクターだったのです。

初心者とファンのための難易度調整


──シリーズのコアなファンと、本作から入る新規プレイヤーではプレイヤースキルに差があると思います。難易度調整や、幅広い層に楽しんでもらうために工夫した点があれば教えてください。

谷口
:KONAMIはIPホルダーの立場から、ゲーム全体の大枠としてCastlevaniaらしさをしっかり残すための枠組みを提示し、その中で最高のゲームを一緒に作ってきました。

 本作は操作していて気持ちの良いダイナミックなアクションを目指した結果、バトルの選択肢が多く、人によっては難易度が高めだと感じる部分もあるかと思います。しかし、アクションがそこまで得意でない方でも、RPG的なアプローチとしてレベルアップを重ねることで壁を突破できるシステムを用意しています。さらに、オプションで難易度を調整できる機能も実装しているため、初心者からゴリゴリの2Dアクションゲーマーまで、誰もが満足できる調整になっています。

外尾
:私たちは『ベルモンドカース』を単に簡単なゲームにはしたくないという共通の想いを持っていました。初代『悪魔城ドラキュラ』や『悪魔城伝説』がそうであったように、苦しむ中で挑戦し、その先にある新しい景色を見た時の喜びこそがシリーズの醍醐味だからです。そのため、連打だけで勝てるようなゲームにはしていません。

 ただ、進むにつれてレベルが上がる仕組みがあることで、世界観を楽しみながら少しずつ先に進むことができます。また、本作はシングルプレイゲームですので、オプションの“カスタムモード”等を使って、プレイヤー自身が一番ちょうどよく楽しめる難易度に見定めて、最後まで体験してもらえるような工夫を凝らしています。

Emmanuel
:私たちの目標は、昔からのファンだけでなく、すべてのプレイヤーが最大限に楽しめるゲームにすることでした。ですから、手応えはありつつも理不尽ではないフェアな難易度を念頭に置いています。

 プレイヤーが段階的にゲームの仕組みを理解し、1つずつスキルを習得して知識と自信をつけていけるようなゲームデザインにしました。課題に遭遇しても、自分なりのアプローチで打開できるようになっています。もちろん、ハードコアゲーマー向けにさらに難易度を上げるオプションや、アクセシビリティ機能も充実させています。

──本作ではタロットカードがタイトル画面やUIなど、非常に存在感のある美しいモチーフとして使われています。タロットカードを採用したきっかけや理由を教えてください。

Emmanuel
:本作の時代背景を考えたとき、歴史的なマルセイユ版タロットへのリスペクトを込めて、完全オリジナルのタロットカードをゲームに取り入れたいと考えました。タロットカードは古くから神秘、魔術、オカルトと深く結びついており、これはシリーズの持つゴシックな空気感に100%マッチします。

 さらに、タロットは物語の中で、マジシャンである母親サイファの魔法の力やレガシーを、娘のローズへと受け継ぐための絆を表現する重要な役割も果たしています。ゲームシステム的にもアルカナシステムとして、それぞれのカードが特定のボスや敵と結びついており、プレイヤーの成長やゲームの進行を導くガイドとなっています。物語とゲームプレイの双方を形作る、非常に重要なコア要素です。
谷口
:結果として、ゲーム全体を通してこのタロットカードが、常にローズの旅路の隣に寄り添う象徴的な存在になりました。ビジュアルの不穏さと美しさも含め、非常に素晴らしい設定になったと個人的にも気に入っています。

──本作は完全新作でありながら、随所に懐かしさを感じます。皆様がそれぞれ気に入っているシリーズから継承した要素や、どうしても入れたくて希望した要素があれば教えてください。

谷口
:たくさんありますが、代表的なところで言えばレベルアップシステム(RPG要素)の導入です。これは開発の初期段階から絶対に入れたいとリクエストしていました。

 従来通りのガチガチのシステムである必要はありませんが、何度も何度も繰り返しチャレンジすれば、いつかは必ず先に進めるようになるという仕様は、このシリーズの大きな美点です。私自身も少し年齢を重ねてアクションが辛く感じる時がありますので、そういった方でもしっかりと最後まで楽しめるようにしたかったのが大きな理由です。

外尾
:開発の過程で、Evil EmpireのチームとはCastlevaniaらしさとは何かについて本当に多くのディスカッションを重ね、アイデアを出し合いました。

 ベースのシステムだけでなく、実際にゲームを遊んでいただくと分かるような、「燭台を壊してアイテムがドロップする仕様」や「壁をぶっ壊したら肉が出てくるお約束」、さらには「シャンデリアを落とすギミック」など、ファンなら思わず「これこれ!」とニヤリとしてしまうような細かいノスタルジー要素を、ゲーム内のいたるところに散りばめています。

Emmanuel
:私たちは全員がシリーズの熱狂的な大ファンなので、正直に言えばすべてを継承したかったくらいです。

 あえて挙げるなら、やはり象徴である鞭ですね。このアイコニックな武器をさらに洗練させ、気持ちの良いアクションへと進化させて残すこと。そして、2D探索アクションという核となる柱、RPG要素、そして過去作へのリスペクトを込めた強力で懐かしいボスたちの登場です。昔からのプレイヤーの皆さんが、ゲームの中に隠された数々のオマージュを発見してどのような反応をしてくれるか、今から本当に楽しみにしています。

──今回は過去作の移植ではなく、待望の完全新作と大きな動きがありました。今後の『Castlevania』シリーズとして、どのような展望を描いているのでしょうか?

谷口
:正直なところ、現時点で具体的にお話しできる先の予定は多くありません。ですので、私個人の想いをお話しさせていただきます。

 私は幼少期から初代や『悪魔城伝説』を遊んできた一ファンとしてKONAMIに入社しました。しかし、ある時からSNSなどで「2D探索型アクションゲームは好きだけど、本家である『Castlevania(悪魔城ドラキュラ)』シリーズは遊んだことがない」「アニメは見たけれどもゲームは知らない」という若い世代の声を見かけるようになり、このままではいけない、何かできることから始めようと考えました。

 そこから今『Castlevania』を遊べる環境を整えるために過去作のコレクション版をリリースし、他社とのコラボ(DLC)で新しいお客様に知ってもらう機会を作るなどして、一つずつ積み上げてきました。

 しかし、やはり最終的には自分もファンの1人として完全新作が見たいし遊びたいという強い想いがあり、様々な模索を経て今回の『ベルモンドカース』に繋がりました。

 まずはここまで漕ぎ着けたことが個人的に本当に嬉しいですし、この先もシリーズが長く続いていってほしいと願っています。

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