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ネタバレあり感想:『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』5話。アカネにオタク語りを続けるタイセイのメンタルが強すぎる。姉に近づこうとするタイセイと、兄から逃げようとするアカネの対比も面白い

文:米澤崇史

公開日時:

最終更新:

 2024年5月5日(日)に放送された、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』第5話“アカネの憂鬱”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』5話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。[IMAGE]

アカネは本当に誰からも期待されていないのかという疑問


 いきなりタイセイの鉄オタトークのラッシュからスタートした第5話。アカネから明らかに興味がないことを告げられながら、なおも鉄オタ語りを続けようとするタイセイのメンタルが強すぎて驚きました。明らかにダメージは受けてそうなのに、それでもなお「語りたい」という想いの方が強かった……ということでしょうか。


 最初はなぜアカネが二人と一緒にいるかが疑問だったんですが、どうやらグループ学習で班を作る必要があった様子。個人的に良いなと思ったのが、先に他のクラスメートから組もうと誘われていたのをリョータが断っていたこと。

 タイセイが転校したてで友達がいないのを知っているからこその行動であり、本当にいい奴すぎて、自分がタイセイの立場だったらちょっと涙が出そうになるレベルです。リョータが断ったとき、クラスメートも嫌な顔一つせずにその意図をちゃんと理解していることから、いかにリョータの人間性がクラスに知れ渡っているかがうかがえます。

 しかし案の定というべきか、アカネはタイセイたちに協力する気がほとんどなく、一向に話し合いは進みません。女子からは高嶺の花と思われて声をかけられないのは分かりますが、タイセイと違ってずっとクラスにいるはずなのに男子の誰からも声を掛けられないのは、多分こういった態度が原因なんでしょう。

 ただ、その後のバレーボールのシーンでそんなアカネの印象も少し変わりました。両親や兄からの期待に応えようと必死に努力したものの、ケガによって周囲から失望されたと思い込み、今の何事に対しても本気になれないアカネが生まれてしまったのでしょうね。タイセイに対してぽつりとつぶやいた「誰も期待していない」は、完全に自分自身に言い聞かせるかのような言葉でした。


 でも、本当に期待されていないのかっていう疑問は残りますよね。ケガで思うようなパフォーマンスを出せなくなったくらいで、子供に期待を寄せなくなる親なんていないと思いますし、アカネに無理に気負わせないように周りが気を使った結果、いろいろと裏目に出てしまった……という可能性はありそうな気がします。

夜間の輸送機の発進シーンは昼とは違ったカッコよさが満載


 一方、運転士として訓練に励むタイセイとリョータの二人は、まだまだシンカリオンの性能を引き出し切れていないようです。本部長は二人に不安を覚えているようですが、まだ運転士になってからほとんど期間が経ってないんだからそりゃあそうだろうとツッコミを入れたくなりました。そもそも、タイセイたちの代わりの運転士がいるわけでもないですからね。

 ただ、当のタイセイは思うような結果が出せないことに焦りを抱いているようで、一日でも早く姉であるイナに近づきたいという想いを打ち明けます。兄と比較されることを嫌っているアカネとは、同じ偉大な身内に対するスタンスが真逆なのが面白いところです。

 ある種の“逃げ”に入っているアカネに比べて、前向きな努力に繋げているタイセイの方が印象が良いのは確かなんですが、タイセイはタイセイで姉という存在に引っ張られすぎて自分を見失いかけている印象も受けます。このあたりは、今後の成長要素になってくるかもしれないですね。


 その後のアンノウンの襲撃では、初の夜間での輸送機発進シーンがまた最高でした。

 ロボットアニメの発進シーンはバンクの関係もあって昼間のシーンが多いのですが、今回のいかにも普通の日本の夜の街といった光景から、巨大なヘリが飛び立っていく様子は、たくさんロボットアニメを見てきた自分が見ても新鮮に映りました。夜間の黒が背景だと、エルダトレーラーを射出する時の赤い誘導灯が一層際立つようになっていたのもめちゃカッコ良かったです。

 今回出現したアンノウンは、スピードスケートのような動きでタイセイ達を翻弄していましたが、行動に規則性を見つけたリョータの起点で窮地を脱することに成功。

 何度か見返してみると、今回のアンノウンは、“距離が詰まったら射撃で攻撃”→“大きくジャンプして再度距離を取り直す”という、近接戦闘を避けるような動きを繰り返しており(おそらくは最初にタイセイの近接戦闘を受けて吹っ飛ばされたのを学習したからでしょう)、戦闘の描写もリョータが相手の射撃を誘発し、大ジャンプする直前のわずかなスキをタイセイが狙って攻撃する……という構成にしっかりとなっていました。

 リョータは「規則性を見つけた」としか伝えていないのに、詳しい話は聞かずすべてをリョータに託して動けているあたり、タイセイのリョータに対する信頼の厚さが分かります。

 ただ、アンノウンはまだ残機が残っているのに加えて、キャプチャーウォールが展開される前の被害に、アカネが巻き込まれてしまった様子。アカネが残るE6こまちの運転士になることは1話冒頭のシーンでも明らかにされていますが、現状まだまだエルダに協力する流れにはなっていないので、ここからどういう心境の変化が起こるのかが気になるところ。


 リョータのときは、マイがリョータを奮起させる役割を果たしていましたが、アカネの苦しみをある程度理解できそうなのはタイセイくらいしかいなさそうなので、今度はタイセイが重要な役割を果たすことになるのでは……と予想しています。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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