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『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』6話ネタバレあり感想。唐突にトゲある言葉で刺してくる落合さんが面白い。一度覚悟を決めてからのアカネ&E6こまち無双が凄かった

文:米澤崇史

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最終更新:

 2024年5月12日(日)に放送された、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』第5話“走り始めた運命”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』6話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。[IMAGE]

意外にも共通点があったリョータとアカネ


 5話でアンノウンの攻撃に巻き込まれ、エルダに保護されたアカネ。幸い怪我はさほどひどくなく、すぐ話せる状態になったようですが、思わずエルダという単語を漏らしてしまったリョータが、どんどん墓穴を掘って機密を漏らしていく流れは笑いました。リョータはかなり前からシンカリオンのことを知っているので、むしろ今までよく隠せていたなというべきなのかもしれません。

 ただ、どちらにせよカドミチはアカネがシンカリオンへの高い適正値をもっていることを先に知っていて、すぐ事情を話すつもりのようでしたし、このやり取りがきっかけでアカネがエルダやアンノウンという単語に自分から興味をもつようになったので、意味深な印象だけを与えられたのは地味にリョータのファインプレーと言えるのかも(完全に結果オーライではありますが)。


 両親との面会では、リョータは怪我をした息子に対するアカネの父のそっけなさに違和感を感じていたようですが、息子が怪我をしたと聞いて一瞬で飛んできているあたり、単に口下手なだけという印象を受けます。

 アカネがいろいろこじらせたのは、このあたりの両親とのコミュニケーション不足も要因になっていると思います。かといってこの問題を口でどうこういったからと解消できたかも難しいところで(実際、兄のアサヒはかなりコミュニケーションを取ろうとしていますし)、結局はアカネの中で解決するしかなかったんでしょうね。

 その後は、シンカリオンへの適正値があることを知り、運転士になるように頼まれ、アカネとしても結構満更ではなさそうな様子だったんですが、「期待している」というアカネの地雷をアガノが踏み抜いてしまいました。


 まさか期待という単語が地雷とはなかなか予想できないので、これを避けるのは難しかった気がしますが、今回はそこで「アガノさん無神経だから……」とポロッといってしまう落合さんのファンになりました。大人しくて礼儀正しそうなのに、意外とトゲのある言葉を使うギャップが面白いですね。

 その後のアカネ、タイセイ、リョータの3人のやりとりも印象的。とくにリョータの「せっかく才能があるんだから」は、リョータのなかに“自分は運転士の才能がない”という認識があるこその言葉で、偉大な兄との劣等感で苦しんでいるアカネと通じる部分もあるんですよね。

 今まではどちらかというと、アカネへの共通点があるのはタイセイ側だと思っていたんですが、実はリョータの方にも共通点があったのは目から鱗でした。上記の言葉が出てくるということは、まだリョータのなかには二人への劣等感みたいなのが残ってもいそうで、回が増す毎に味わい深さを感じる非常に良いキャラクターだと思います。

リフト部分がキャノンになるトップリフターフォームの合体ギミックが面白い


 再び出現したアンノウンを撃退するべく、タイセイたちが発進するなか、姉とはもう話したくても話せないというタイセイの言葉をきっかけに、兄・アサヒへと自分の中でくすぶっていた想いを打ち明けるアカネのシーンは熱い。結局、もっとも苛立っていたのは兄に対してでも両親に対してでもなく、情けない自分自身に対してだったことに、言葉を口にしたことでようやく気づけたのでしょう。

 いきなりアカネが京浜東北線のうんちくを語り始めたのはびっくりしましたが、実はあの話の内容は、5話冒頭でタイセイがまくし立ててリョータに止められていた話の続きになっているんですよね。

 アカネはあのオタク語りを聞きながら、京浜東北線の上り下りの話だけはどういうことなのか気になっていて、後で自分で調べたのではないかなと。リョータが止めた時「ちょっと、その話気になるんだけど」と内心で思っていたけれど、素直には言い出せなかったという心境だったとも想像すると、なかなか可愛いやつだなと感じました。

 そこからはもう“アカネ無双”と呼ぶに相応しいような流れ。いきなり素の状態でアンノウンを倒したかと思えば(エルダトレーラーとの合体前にアンノウンを撃破まで持っていけたのはアカネが初のはず)、トップリフターフォームに合体してからも、あっという間に残り2体も片付けてしまいました。


 アカネは今回が初陣で、複数とのアンノウンとの同時戦闘は『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』では初めて、しかも相手はタイセイとリョータが二人掛かりで戦ってなんとか1体倒せたレベルの強さ、といった諸々の条件を考えると、アカネがとんでもない才能の持ち主であることが分かります。

 個人的に、E6こまちのトップリフターフォームへの合体シーンで、最後に背中のキャノン砲(ツイストロックバスター)がせり出てきて、ロックされる瞬間の演出がロマンを感じて好きです。フォークリフトの太いリフトの柱の部分を合体後の巨大なキャノン砲に流用するっていうギミックのアイディアは、なかなか天才的だなと。

 5、6話通して、たぶんアカネの両親は兄と同様に悪い人じゃなく、ただアカネのためを思ってやったことが裏目に出てしまっていただけという説を推していたので、陸上ではない道を見つけたアカネを応援する両親には、やっぱりそうだよねという安心がありました。

 陸上部のエースから、なんか実態がよく分からない鉄道部というのは、なかなか世間的には落差が大きそうではありますが、それでもアカネが打ち込めるものが見つかったことに安心するのが、これぞ親心という感じですよね。


 次回は名古屋ということでN700Aのぞみが登場しそう。個人的に『シンカリオン』で一番好きな運転士が、主に第1作目で活躍した清洲リュウジだったので、そのリュウジが乗った系列でもあるN700Aのぞみの活躍がまた見られるのが楽しみです。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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