電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、集英社ゲームズが2024年内に配信予定のNintendo Switch/PC(Steam)用ソフト『都市伝説解体センター』のレビューをお届けします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
謎解きはもちろん、キャラ同士のかけ合いも面白い! 都市伝説にまつわる事件を解決するミステリーアドベンチャー【都市伝説解体センター】
本作は、都市伝説をテーマとしたミステリーアドベンチャー。
プレイヤーは、怪異・呪物・異界などの調査・解体を行う“都市伝説解体センター”に所属する“福来あざみ”となって、さまざまな依頼を解決していくことになります。
都市伝説を題材にしていることもあり、ついホラーゲームかと思ってしまいがちですが、あくまでもミステリーが主体。謎解きがメインとなるので、ホラーが苦手という方にもおすすめできる作品となっています。
主人公のあざみは、生まれたときから変なモノが見えてしまうことに悩んでおり、解決を求めて都市伝説解体センターを訪れます。そこで出会ったのが、千里眼を持つというセンター長の“廻屋渉”でした。
あざみは現代では珍しいくらいの、かなり純真な性格の女の子。相手に言われたことを、そのまま素直に信じ込んでしまうところがあります。
これに対して、センター長の廻屋はちょっと腹黒いところもある(!?)ような、やり手のタイプ。あえて情報を伏せて、あざみをわざと不安にさせているように見えることもあり、もしかしてダマされているんじゃ……? と疑ってしまうことも。
とはいえ、あざみが一方的に振り回されているだけかというと、そうではありません。彼女にも思い切ったところがあり、案外ちょうどよいバランスになっているのがいいところ。
そんなキャラクターたちのやり取りの面白さも、本作の魅力の一つとなっています。
自分の悩みについて相談したあざみは、その対策として廻屋から特殊なメガネを渡されます。
このメガネの効果で、あざみは変なモノをはっきり見ることができるようになりました。さらに、実はこれらが幽霊ではなく、“過去その場所にいた人や物の姿が見えている”のであり、あざみ自身の“念視”能力によるものだということが判明します。
廻屋に「楽にされては?」と言われるがままイスに座ろうとすると、突然の痛みに驚くあざみ。なんとこのイスは、座った者に死をもたらすと言われている呪いのイスだった……! と衝撃の事実が発覚します。
どうしてそんなイスがこんなところに!? とツッコミを入れるヒマもなく、あざみは急いで呪いを解く方法を探すことに。
調査を開始してみたものの、たくさんある資料の中から目当てのものを見つけるには、どうしても時間がかかってしまいます。そこで、あざみの念視能力の出番です。
メガネをかけることで見える痕跡をたよりに、呪いを解くための研究資料を探します。
変なモノを見えないようにするのではなく、あえてピントを合わせて見えるようにした上で、事件解決に利用する、という発想が面白いですね。なんとなく廻屋の思惑を感じるところもありますが、ここは素直に従ってみましょう。
無事に研究資料を見つけて一件落着かと思いきや、呪いの解除方法が書かれておらず、パニックになってしまうあざみ。廻屋は、落ち着いてイスに座ったときのことを思い出し、改めて調べてみるよう提案します。
集めた情報を整理していくことで、これは理不尽な呪いではなく、冷静に考えれば解決できる事件だ、ということが分かるわけですね。ここからはミステリーアドベンチャーらしく、謎解きに挑むことになります。
真相はネタバレになってしまうので伏せますが、穴埋め問題のようなかたちで結論を導き出すことになります。謎解きとしての難易度はそれほど高くないので、じっくり考えれば分かるはず。
ようやく事件解決かと思いきや、あざみは調査に夢中になるあまり、イスを壊してしまいます。
あれよあれよと言う間に、イスの修理費として借金を抱えることになり、返済のために都市伝説解体センターで働くことに!? なんでも素直に受け取ってしまうあざみの性格もあり、怒涛の展開です。
ここまでは、あざみの念視能力を使って調査を進めてきましたが、本作ではもう一つ、SNSを使って情報を集める“SNS調査”という方法があります。
この方法については、都市伝説解体センターのもう一人の仲間“止木休美(通称:ジャスミン)”から聞くことができます。
SNS上にある膨大な投稿の中から怪しいワードをキーワードとして拾い上げ、検索をかけてウワサの広がった先を調べていくことで、都市伝説の輪郭が見えるようになるという、SNS調査の基本を教えられたあざみ。
廻屋に渡されたメガネの効果で、重要なキーワードは動いて見えることに気が付きます。このキーワードをさらに検索して情報を拾い集めていくと、都市伝説への対応の仕方も分かるようになるのだとか。
写真を使った目撃情報などもあり、有力な手がかりになりそうです。ジャスミンによる丁寧なレクチャーのおかげで、筆者もすんなりSNS調査を進めることができました。
ちょっと面倒くさがりで、ぶっきらぼうな先輩かと思いきや、意外と面倒見のよいところがジャスミンの魅力。ミステリーとしての面白さはもちろん、こうしたキャラクターたちが持つ個性や、会話の楽しさにも注目の作品となっています。
さまざまな調査方法を使いながら、どんな都市伝説に立ち向かっていくことになるのか……!? 続きが非常に気になる作品となっていますので、ぜひチェックしてみてください!