ニューロン・エイジの社内インディー開発チームProject Pegasusが手掛ける『点睛(TENSEI)』。水墨画風の世界にある足場を駆使して、空へ登っていくことが目的のアクションゲームです。
そんな『点睛』について、ニューロン・エイジの担当者にインタビューを行い、開発の経緯や今後の展望などをお聞きしました。
そんな『点睛』について、ニューロン・エイジの担当者にインタビューを行い、開発の経緯や今後の展望などをお聞きしました。
満場一致で水墨画が採用
――本作の開発に至った経緯をお聞かせください。
2020年に『PLAY DOG PLAY TAG』をリリースしましたが、その後も細く長く自分たちで作ったものを世に出し続けていこうという思いがあって開発しました。
――おすすめポイントも教えてください。
穏やかな音楽でリラックスしながら、ユニークなグラフィックや浮遊感のあるプレイフィールに没入して楽しめます。価格も手に取っていただきやすい350円に設定しました。
――本作は、リラックス禅アクションというジャンルです。ゲーム内で禅という概念やリラックス要素を取り入れるうえでこだわったポイントを教えてください。
脱力して没入しやすいバランスの調整です。
アクションゲームですが、きびきび動くというよりは、ふわりと空間を漂えるようにプレイフィールを調整しています。
さらに景色を眺めながらリラックスしてプレイができるように。そして、できるだけ落下やミスへのストレスがないような難易度設定を意識しました。ただ、簡単すぎるとやりがいがないので、バランス調整は難しかったですね。
『点睛』は、難しいことを考えず無心で淡々と、そして直感的にプレイできるように目指して調整しています。リズムゲームでコンボが決まっているときやクラブハウスでのリズムに乗っているときと、逆属性の没入状態とでもいうのでしょうか。
――たしかにシステムとしては、無心でプレイできるようになっていました。そうなるとプレイ中に背景などをじっくり見る機会も多くなると思います。和の中でも墨絵を題材に使用しているのは珍しいと思うのですが、どこから発想を得たのでしょうか。
きっかけは1人のデザイナーの「これ(水墨画)が動いたらかっこいいよね」という言葉からでした。
企画段階では、『Refunct』や『Superflight』のようなカジュアルなものから『Rez』のようなデジタルなものまで検討していましたが、その言葉を聞いたときに開発陣全員が「たしかにこれができたら一番かっこいい」って思ってしまって。
シンプルでカジュアルなゲームだけに、1つ強いポイントが欲しいと考えていたときだったので、水墨画を取り入れました。
ただ、意見を出したデザイナーは同時に「表現や処理の大変さが明らかなので、厳しいと思う」とも話していて、実際に大変だけどやりがいもありました。
がっつり水墨画を使用したタイトルはそこまで多くなかったこともあって、チャレンジしてみた形ですね。
――最初から決まっていたのではないのですね。一言で水墨画と言っても、高く登るにつれて風景が変わっていきますが、この仕様にはどのような意図があるのでしょうか。
飽きさせない工夫と世界観の演出です。
『点睛』は操作もやる事もシンプル。さらに抑揚も少ないので、もし変化がなかったとしたら、数分で飽きてしまうと思います。
本来、水墨画は墨の濃淡のみで世界を表現するものです。そこに季節ごとで色を入れたりして、背景が変化したときの印象を深く、そして一目でキレイと感じてもらえるように製作しました。
景色が変わるので、プレイする際の目標や目安にもできるかなと。
――ゲームの目的としてはいかに高いところまで到達するかですが、ユーザーの中にはどのぐらいの高さまで到達した方がいますか?
6月25日時点で、555,555m登ったユーザー様の記録が最高です。
――それはすごいですね。高いところまで到達するためのテクニックがあれば教えてください。
時間制限がないので、マイペースを維持する事が一番だと思います。
小技になりますがそれは少しあって、ブーストモードで龍になったときに滞空すると龍を射出できます。
ブーストモードでは、周囲のダメージゾーンを自動で浄化して、ブーストモードに必要な“球”を取得できるので、ブーストの終わり際にこのテクニックを活用すれば、すぐにゲージを溜められるのでうまく活用してみてください。
6月25日時点で、555,555m登ったユーザー様の記録が最高です。
――それはすごいですね。高いところまで到達するためのテクニックがあれば教えてください。
時間制限がないので、マイペースを維持する事が一番だと思います。
小技になりますがそれは少しあって、ブーストモードで龍になったときに滞空すると龍を射出できます。
ブーストモードでは、周囲のダメージゾーンを自動で浄化して、ブーストモードに必要な“球”を取得できるので、ブーストの終わり際にこのテクニックを活用すれば、すぐにゲージを溜められるのでうまく活用してみてください。
意外な経緯で操作キャラが黒い目に
――操作するキャラクターが目のような形をしていますが、どのように決めたのでしょうか。
水墨画だけではなく、龍もフィーチャーしているので、“画竜点睛“の故事成語から取った龍の眼という設定があります。
もともとは、壁を登ったり、飛び跳ねたり、パルクールのように自由に移動させたいと考えた設計を試すため、仮に真っ黒な球体を置いたのが始まりです。
ただ、真っ黒な球体だと挙動が分かりにくく、とりあえず模様を入れました。それが現在の目玉に近いものですね。
――仮で置いておいたものが採用されたのですね。
この時点では、地面では獣、ジャンプしたら鳥、壁にくっついたらイモリやトカゲに姿を変えるという計画があったのですが、開発をともにした真っ黒な球体にいつの間にか愛着がわき、さらにデザイナーが遊びで表情を付けたことが決定打となって、このままでいこうとなりました。
これが操作するキャラクターが目玉になって。水墨画ということで画竜点睛という言葉にもつながっています。
ちなみに計画していた獣や鳥はジャンプ中の形態変化で使用することになりました。
――今もお話に出たように、ジャンプすると鳥やウサギなどに姿を変えますが、何種類くらいあるのでしょうか。また、姿が変わるときに何か基準があれば教えてください。
鯉、鳥、胡蝶、蛙、ウサギの5種で、ランダムに変化しています。
――背景を始め、足場にする岩や建物はどのように作っているのでしょうか。
作り方はかなりオーソドックスです。Mayaで形状を作成してから、気合で作った手描き水墨画テクスチャを適用して、最終的にUnity上でシェーダーを適用しています。
シェーダーの作成はシェーダーグラフを使用し、デザイナースタッフが対応しています。
――モチーフにした絵や建物などがあればお聞かせ下さい。
特定のモチーフはありませんが、歴史的に著名な水墨画や山水画でよく扱われる自然や建物などをモチーフにして、和を想起しやすいものを意識して取り入れています。ごく一部、人工衛星が出てきますが、あれはスタッフの遊びです(笑)。
鯉、鳥、胡蝶、蛙、ウサギの5種で、ランダムに変化しています。
――背景を始め、足場にする岩や建物はどのように作っているのでしょうか。
作り方はかなりオーソドックスです。Mayaで形状を作成してから、気合で作った手描き水墨画テクスチャを適用して、最終的にUnity上でシェーダーを適用しています。
シェーダーの作成はシェーダーグラフを使用し、デザイナースタッフが対応しています。
――モチーフにした絵や建物などがあればお聞かせ下さい。
特定のモチーフはありませんが、歴史的に著名な水墨画や山水画でよく扱われる自然や建物などをモチーフにして、和を想起しやすいものを意識して取り入れています。ごく一部、人工衛星が出てきますが、あれはスタッフの遊びです(笑)。
――Steam版が発売されていますが、反響はいかがでしたか。
ユーザーの皆さまからは、幸い良い反応をいただけたのですごくうれしいです!
――Steam版のアップデートで、環境ビジュアル改良や演出追加が行われましたが、具体的にどのような変更が行われたのでしょうか。
細かいプロップスのリアクションを追加しました。木に触れた際に葉っぱが散ったり、毬を転がして遊べたり、傘がバウンドしたり。さらにプレイ実績も追加しました。
マイナーバージョンアップですが、庭園に立ち止まっていろいろいじってみたり、眺めてみたりして、ゆったりプレイする後押しになればと思っています。
――本作は気が向いたらちょっと2~3プレイということが多く、携帯ゲーム機との親和性が非常に高いと感じました。ユーザーの多くはどのように本作を遊んでいる人が多いですか?
FPS系ゲームのマッチの合間やストラテジー系ゲームの待ち時間などに遊んでいる方がけっこういらっしゃいます。最高高度の更新をモチベーションにプレイしている方もいらっしゃいますね。ゲームの配信者様が視聴者様と雑談しながらゆったりプレイしていることもあるようです。
――すでに発売されているSteam版と、今後発売予定のコンシューマー版の違いを教えてください。
各ハードウェアに合わせたグラフィックの最適化は行っていますが、できるだけ違いが出ないように作っています。
――Steam版とコンシューマー版が同時に発売されなかったのは何か理由があるのでしょうか。
開発が始まったときには、Steam版とNintendo Switch版しか想定していなかったからです。
ほかのコンシューマーでの発売を決めたのは、2023年のBitsummitへの出展がきっかけ。水墨画風のイラストが海外のユーザー様からも良い反応があって、「可能性があるのであれば追いかけてみよう」と。
それまでは、対応言語も日本語と英語のみで発売日ももっと早かったのですが、ほかの言語なども追加したことで、2024年3月25日の発売になりました。
――今後のアップデートなどの展望をお聞かせください。また、ユーザーからの意見で取り入れたいと思っている要素はありますか?
ユーザー様からは、フォトモードが欲しいという意見を多くいただいています。実装も考えていますが、どうなるかは今後の展開次第です。
――最後に一言お願いします。
リラックス禅アクション『点睛』は、今後さまざまなプラットフォームで展開されます。7月18日に予約受付が開始されますので、是非、水墨画のアートでチルな世界をお楽しみください。
コンシューマー&アプリ版が8月1日発売
Steamで発売中の『点睛』のコンシューマー&アプリ版が8月1日に発売決定。PS5、Nintendo switch、Xbox、iOSで7月18日17:00より予約受付が開始します。
今後、それぞれの機種ならではの操作感なども記事にしてお伝えしますので、お楽しみに。