10月24日の発売が近づく、コーエーテクモゲームスの歴史SLG初の大規模リメイク作品『三國志8 REMAKE』。全年代シナリオ+全武将プレイが魅力の『三國志Ⅷ』をベースに、戦闘テンポなど不満点を解消したというその作りにファンの注目と期待は集まるとこだろう。
今回はそんな『8RE』を一足先にプレイする機会を頂いたので、どんなプレイ感であったのかファーストインプレッションをお届けする!
※画面写真は開発中のものです。
今回はそんな『8RE』を一足先にプレイする機会を頂いたので、どんなプレイ感であったのかファーストインプレッションをお届けする!
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索引
古き良き90年代歴史SLGのターン制ポチポチプレイ感!
最初に言っておくと当執筆者は『三國志』シリーズを全作プレイ済みで、90年代作品群『Ⅳ』~『Ⅵ』、中期の傑作『Ⅸ』、近代の名作『13』『14』は今でもリアルタイムに遊ぶくらいには好きだ。それは、コーエーの歴史SLGは必ずしも一本道の進化を遂げているわけではなく、それぞれの作品固有の、あるいは残してきた魅力があるからだ。
そんな自分の初見感想は、今風のUIと練りに練ったバランスでストレス無く遊べるようになった、クラシック『三國志』である。毎月のターン制で、任務に、交流に、鍛錬に、ポチポチとクリック。思えば近年の作品はリアルタイムの傾向かつ、操作量を減らす傾向にあり、あれもこれもやりたいと忙しくポチポチすることにまずは懐かしくプリミティブな感覚を思い起こした。ああ、これは世の流行り廃りで置いてきた90年代『三國志』のプレイ感覚そのままに、正しくリメイクした形なのだと。
以下、各項目について初見インプレッションで語っていこう。
なんどでも会いたくなる、自己強化と直結した交流システム
さて本作の大筋は、1人の武将となって乱世を生きることになる。基本は君主自身になるか、あるいは君主に仕える形で大陸統一を目指すわけだが、3月に一度の評定で仕事を請け負い、普段は毎月都市内政や他武将との交流に精を出すことになる。
本作で個人的に一番楽しかった部分は、他武将と交流して仲良くなり、そこで貰った「心得」で自己強化をしていくことだ。主人公の戦法および特技はポイントの割り振りで強化が可能で、徐々に自分を強くしていく感覚がめちゃ楽しい。心得は主に関係が上限の敬愛段階に達した際に、対象武将の能力に応じた量をもらえるのだが、いったん関係が上限に達してもゲージが再び満タンになると何度でも貰うことができるのだ。
つまり、馬謖でプレイしてひたすら諸葛亮の師事を受ける。劉備三兄弟で毎日なかよく暮らし続ける。といったロールプレイ的にも合ったプレイを実利としても選びやすいわけだ。これまでの武将プレイ作品にありがちだった、いったん仲良くなりきったらあとは合う必要はない……という状況にはなり得ないのはありがたい。
ポイント割り振り系の能力強化システムってめちゃ楽しいよねええ! と毎ターン交流に逸るわけだが、これに利便性的にも競合するのが任務による功績稼ぎと義兄弟や相生といった人間関係の構築である。本作での戦争は兵士数による戦闘力の影響が非常に大きく、いかに関羽張飛クラスの猛将といえど指揮兵数が少ないと万を超える兵を率いた凡将に苦戦は必至。そして戦時には仲の良い武将との連携攻撃は大きなダメージソースとなり得る。
もっと仕事して出世しなきゃ、いやいや次はこの戦法覚えたいし、義兄弟や嫁も作りたいし……と毎ターン行動力が足りない足りないと忙しポチポチゲーだこれ!
即会敵&連携ドッカン大ダメージの生まれ変わった戦争システム
リメイク元となった『三國志Ⅷ』で、正直もっとも残念要素であったのが戦闘だった。とにかく時間がかかる! 敵の戦法は成功するのにこちらの戦法は決まらない! などなど。
『Ⅷ』リメイクと聞いて多くの既存ユーザーは「あの戦争どうするの?」と思ったことだろうし、それを受けてこれまで『8RE』での戦闘は大きく変わると何度も発信されてきた。
さて実際生まれ変わった戦闘がどうなったかというと、まずは敵味方の開戦距離に驚いた。敵味方の部隊数にもよるが、速ければ2ターンもあれば接敵する形で開戦即接敵である。ただしほとんどの戦法には必要な戦意が設定されており、戦意を上げる「奮起」や「鼓舞」といった戦法を使わないとドロドロな通常攻撃の殴り合い消耗戦に陥りがち。
即接敵だからこそ、自軍の火力も即エンジン全開にする工夫が求められるほか、仲の良い武将同士の連携攻撃も非常に効果が高い。イメージ的には『14』の連携が近く、プレイヤーは仲の良い武将たちとともに行動してダメージ倍率の跳ね上がった戦法を狙っていくことになる。
ターン制の戦闘マップ自体、『Ⅹ』以来のこちらもクラシカルな要素ではあるのだが、最速で最大火力を出すにはどう部隊を組み立てていくべきか、まるでデッキビルドのような感覚は悩まし楽しい部分なのだ。
敵味方に存在感発揮する「奇才」。もう司馬懿は嫌じゃあああ!
どの武将でも習得が可能な戦法や特技と違い、一部武将のみが持つ固有の個性が「奇才」である。例えば曹操は評定で戦略Pが増え、再行動まで可能になる「超世之傑」。劉備なら面会が必ず成功する「大徳」などなど。
なかでも強く感じたのが敵味方の戦意に影響を及ぼす系のもので、戦闘開幕時にすべての敵の戦意を-20する司馬懿の「狼顧」は強かった。前述の通り、本作の戦闘はハイスピード故に開幕の戦意をいかに貯めるかが重要で、そこでこの-20は効く。効いてしまう。
筆者はうっかり司馬懿と相克関係となって地獄を見たのだ……。というのも一から説明すると、相克とはいわばライバル関係のようなもので、戦闘時に会敵するなどでランダムに付与される。そして相克武将は敵としてプレイヤーの隣接都市に常に移動してくるなど何度も戦うことになる相手(逆に仲良しの相生武将は向こうからプレイヤー都市に赴任してきてくれる)。やっかいすぎる司馬懿と延々戦うハメになり、孔明の北伐気分を十二分に味わったわけである。
さて一方の孔明といえば、中~長期戦闘で有用な「伏龍」を有する。こちらは策略発動時に戦法を再使用可能になるというもの。本作の戦法の使用回数は基本的に各1回限り。まさに切り札ともいえる「槍衾」や「車懸」も1回きり。それが策略発動のたびに再使用可能になるというのだからこちらもエグい。初期策略ゲージを50%増加させる龐統の「鳳雛」ともシナジーばっちり。孔明ありを基準に戦うと、戦闘のプレイ感が狂うぐらいにはこちらも影響力が強かった。
印象的には諸葛亮は自分で使った方が、司馬懿は敵に回った方が効果を十二分に実感できるもので、三国志演義ゲームとしてそれは実に正しい……!
ちなみに「奇才」無しの武将は遊び甲斐がないのかというと別にそんなことはなく、自分に「奇才」がなくても一部の上位兵法や遁甲戦法は同等に存在感があり、前述の通りそれらは努力で十分習得可能なものなのだ。
プレイ毎に展開変わるリプレイ性の高さ。今回はこいつがライバルか…!
本作での人間関係は、単純に好感度的な意味合いの親密度と、宿命的な敵味方関係を表す相生、相克とがある。相生、相克は偶発的要素が大きく、同じ武将でもプレイ毎に異なる相手と結ばれることも多い(相生の方は意識的にコントロール可能だが)。
相生相手は自分の都市に、相克相手は敵として隣接都市に移動してくるので、そのプレイで何度も関わり、ゲーム展開のドラマを盛り上げてくれる相手となるわけだ。筆者は前述の通り司馬懿と相克関係になって地獄を見たのだが、相克相手が戦場にいると戦意が高まる、撃破時にもさらに戦意が高まるという有難いボーナスもある。必ずしもストレス要素というわけではなく、プレイのドラマを盛り上げてくれる得難い敵手として、みなさんも司馬懿や張遼や曹仁といったやっかいな相手とうっかり相克になっていただきたい。
また、リプレイ性に関して言うと本作はイベントに合わせた国勢の強制力、指向性は近年の作品に比較してかなり少ない。例えば『三國志Ⅹ』ではイベントによって勢力の拡大滅亡に強制力があったが、それはイベント「演義伝」をあえて進めないことで止めることができる。また、『三國志13』や『信長の野望・新生』にあったような勢力拡大の指向性、リミッターも(おそらく)ない。
わりとカオスな展開になりやすく、例えば放浪軍が旗揚げ挙兵して陶謙や張魯レベルの勢力が滅ぼされる。曹操や孫権レベルの君主が捕縛斬首される。その代替わりタイミングで太守が独立するなどもあるある。
訂正:「曹操や孫権レベルの君主が捕縛斬首される」と記しましたが、曹操に関しては所有する名馬効果で捕縛されるはずがないので、おそらく戦場での戦死との勘違いでした。
自己鍛錬を繰り返しながらカオスに変化していく勢力図を見てると、ちょっと『太閤立志伝』を遊んでいたころを思い出すんですよね……。そんなプレイ感をしみじみ感じる作品だこれ。
ストレス要素を徹底的に潰し、リメイクというかリベンジ成ったか『8RE』!
最後に現状の個人的な不満点を幾つか挙げると……主人公を中心にした人間関係は華やかで楽しいが、デフォルトでの相生相克関係は数が少なく、ゲーム中では義兄弟に巻き込む以外にNPC同士の関係を発展させる手段がない。そのため、『14』のようなこの武将とこの武将を組ませて……という主人公以外の組み合わせの楽しみには欠ける。
また、後期年代の歴史イベントに乏しいことと、放浪軍が出来ることや放浪軍に対して出来ることが少ないこと。せっかくの関索放浪軍や馬超放浪軍が空気ぎみになっているのは是非アップデートしていただきたい部分だ。
だが、本作をプレイしてところどころに感じたのが、徹底的なストレス要素の軽減である。その代表格が戦闘のスピード感であるが、他にも親密度が最大に達した相手との交流へのメリット付与、戦法確率発動の廃止、戦法習得の数値化、相生相手の自動的な移動、シナリオクリア条件の大幅な緩和などなど。
また、『Ⅷ』でプレイヤーを大いに苦しめた悪名要素は、本作では意識しないと悪名を上げることは難しい(斬首くらいでは上がらない)。悪名を上げると他武将と交流しにくくなるというデメリットは確かにあるのだが、悪名が高いときのみの結婚相手が登場するほか、他都市からラクに物資を奪える略奪コマンドが解禁になるというメリットが生まれる。
ストレスを減らし、デメリットのあるもの(相克や悪名)には同等のメリットが必ず用意されている。ゲーム的に不満の多かった『三國志Ⅷ』を徹底的に鍛造し直したのがこの『8RE』で、そのREはリメイクであるとともに当時関わった開発者たちのリベンジでもあるように思う。
ここまでブラッシュアップできるのであれば、是非次は『三國志Ⅵ』、『信長の野望 蒼天録』、『信長の野望 天下創世』、『信長の野望 嵐世記』といった、尖った魅力を持つもののまだまだ完成度に不満ある作品群も『REMAKE』していただきたい!
■Nintendo Switch(通常版)
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