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【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】『デススト2』エンディングで映画『アイ・アム・サム』ネタに気づく。小島監督ってやっぱすげえわ。映画『アンティルドーン』は水が最強すぎて映画『サイン』の宇宙人もびっくり

文:オッシー

公開日時:

 こんにちは。いよいよ来週はBitSummit。いつも(家でゲームがしたいので)頑なに出張を拒んできたものの、今回は行くしか無いので初参加。京都なんて修学旅行と京都出身の同僚の結婚式でしか行ったことない。めちゃくちゃ暑いそうなので、早めに仕事を終えてホテルか帰りの新幹線でSwitch2やろう。早くも仕事する気ナッシングオッシーがスタッフコラム第八回目お送りします。

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 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビューを形式でお送りしています。今回もゲーム編と映画編です。ネタバレ注意!

ほぼ車から降りずに大陸制覇&クリア! ノーマルタイヤで雪山登山だけは辛すぎた

タイトル:『Death Stranding 2』
プレイ状況:PS5版 クリア済み

 超大作『デス・ストランディング2』クリア! めちゃくちゃ面白かった。前作よりかなり遊びやすくなったし、戦闘も色々な武器があって楽しかった。クリアまで50時間弱。

 落とし物やらオーダーやらがたくさんあって、新しい拠点をカイラル通信で繋ぐと、周辺から前の拠点まで新しいオーダーが追加されるもんだから、ついつい前の拠点まで戻っちゃう。如何に効率的にオーダーを達成するかを目指すと、凄い複雑なルート選択になって大変だけど楽しいのよ。設定した時は「完璧なルート!」と思うんだけど、最初に届けた先の拠点で、また新しいオーダー受けちゃって……気づいたら最初の方の拠点まで戻ってる、みたいなね。でもそれで各拠点レベルが上がると、色々なアイテムのレシピもらえたり素材量が増えたりするので、全然苦じゃない。素晴らしいゲームデザインだと思った。

 完璧なルート構築して運んでいる最中に差し込まれる戦闘や敵拠点はウザい時もあるけど、戦闘手段が豊富なのでそれはそれで楽しい。大型BT戦は後半の方になると、なんとキャプチャーして召喚できるようになる。しかもウルトラマン呼ぶ時のポーズ・演出で。完全に狙ってる。タコのBTが強くてお世話になった。もはや何でもあり。対人間やゴーストメック戦は地味っちゃ地味だけど、終盤はDHVマゼランから砲撃指示とかできて、集団を一掃するのマジで楽しい。人がゴミのようだ。人じゃないけど。砲撃はめちゃくちゃ強いけど、カイラル通信圏内じゃないと使えないとかちゃんと制限もあるし、バランス取れてたと思う。

 ゲーム中、一番しんどかったのは後半の雪山ゾーン。基本的に積載量の多い車に乗りっぱなしなんだけど、雪山は滑るし傾斜もキツいので車だと全然進めない。おそらく、このゾーンは歩き前提なんだと思われる。歩きで山を登って、下りはコフィンで滑って降りるのを想定しているんだと予想。でもオッサンだから新しいことにチャレンジするのが辛くて、とにかく車でチャレンジ。ちょっと進んで大幅に滑落するのを繰り返し、斜めに登ったり迂回したりと、無駄な時間をかなり費やして攻略した。と思ったら、雪山クリア後の拠点でスパイクタイヤ手に入るでやんの。それあったら車でも雪山スイスイなんすわ。もっと早く寄越せや!

 ストーリーもかなり良かった。一瞬、『MGS』のスネークを彷彿とさせる戦士が出てきたり、謎の美少女出てきたりと、個性的な新キャラもいっぱい。もちろん、前作から続投のキャラも良い感じに絡んで、サムと二人のルー(ルーシーとルイーズ)の掘り下げがバッチリされていた。ミスリードもがっちり仕込まれていて、最後のネタバラシラッシュは良かった。そして一番の謎は……なんとなく分かっていたけど、こういうの大好き! 映画『インターステラー』とかでもそうだけど、時間の流れが異なる次元の差を経て再び出会う親子のコミュニケーションは泣ける。ネタバレギリギリの説明。

 そしてここからは超絶ネタバレ。トゥモロウはめっちゃ可愛いなと出てきたときから思ってたのよ。そんでヒッグスをボコボコにするフィジカル。この子最高やんけ、と思ってた。そんであの展開でしょ。そらもう次回作の主人公待ったなしですわ。で、エンドロールが流れて、トゥモロウ役みたら、「エル・ファニング」だって。前情報入れてなかったから、エンドロールで初めて知ったんだけど、エル・ファニングやったんか! エル・ファニングはダコタ・ファニングの妹なのよ。そんでダコタ・ファニングといえば代表作は子役だった映画『アイ・アム・サム』。異論は認めない。ショーン・ペン=サムの娘役だったやつね。マジでこの時のダコタ・ファニングは名子役過ぎて泣けた。んで話は戻るけど、ダコタ・ファニングの妹のエル・ファニングは『アイ・アム・サム』でダコタの幼少期役で出てたのよ。つまりエル・ファニングもサムの娘役だったわけ。おおおおおサムの娘だったんかい! これ、映画好きの小島監督の仕掛けたネタだよね。筆者はエンドロールで初めて知ったけど、元々トゥモロウ=エル・ファニングって知っていた人は、ネタバラシのとこで「うおおおお!」ってなったんじゃないかな。こういうの良いよね!

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▲クリアまでは46時間。ほぼ車に乗りっぱなし。100m先のコンビニに行くのに車使う田舎民なもんで……。
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▲エル・ファニングめちゃんこ美人。このビジュアルで宿敵ヒッグスをインファイトでぼっこぼこにするの最高。「これはフラジャイルの分!」って脳内再生されたわ。
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▲どシリアスな話なのに、遊び心がふんだんに散りばめられていて、思わず「いいね」。特撮とかロボット物好きにはたまらない。

駅前のビジュアルがキレイ過ぎてリアル『ぼくなつ』遊びたくなった

タイトル:『ノロイヅキ(呪イ憑キ)』
プレイ状況:Steam版 クリア済み

 ホラー配信でプレイ。2時間ほどでクリアできるし、適度な難易度で実況向けなホラーインディー。

 一人称視点のウォーキングシミュレーターなんだけど、グラフィックが美しくてびっくり。メインは学校で、こっちは基本的に暗いからあまり感じにくいが、冒頭の夕方の駅前の雰囲気がとても良かった。スマホがあるので現代ではあるんだけど、昭和レトロな寂れた駅前(無人駅)の風情が出ていて、思わず色々なところを舐めるように見てしまった。人はいないし、お店も潰れているので、寂寥感もあり、この感じで『ぼくのなつやすみ』遊べたら最高だなと。『ぼくなつ』もある意味ホラーゲームなので、相性もヨシ。

 肝心のホラー部分は、霊現象みたいなジャンプスケアはそんなに無いんだけど、この霊のやることがエグくて、被害者(友人)がバラバラ死体で出てくる。容赦ない。まあどうせ殺るなら徹底的にやってくれたほうがホラーゲームとしては好み。

 利点でもあり難点でもあるけど、音が結構気合入っている。サスペンスドラマみたいなBGMもあるし、サスペンスドラマみたいなエンディング曲(歌)もある。なんだけど、全体的に音が大きくて、配信で音量調整しても結構うるさかった。

 全体的にはホラーっぽいホラーで満足。次回作があったら、駅前の感じで明るい昭和レトロホラー希望!

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▲夕方の影の入り方も含めて、こういう雰囲気大好き。ガラスのヒビ割れとか細かいところにグッとくる。

炭水化物=糖尿病で死。水たまり=転んで脳震盪で死。死神に愛されすぎてる

タイトル:『命のビート』
プレイ状況:Switch版 クリア(寿命全う)済み

 親子配信でプレイ。可愛いイラストなのに狂気しか無いやべーゲーム。果たしてどんなメンタルで作ったのか。健康診断の結果が絶望的に悪くて落ち込んだ時に思いついたとしか思えない。

 ジャンルとしてはリズムゲーム。ただ刻むのはタイトル通り『命のビート』。具体的には、心臓や肺、肝臓などの臓器。刻まないと死ぬ。ガチで命そのもの。このリズムゲーム自体がかなり難しい。各臓器にボタンが割り振られているのだが、テンポがかなり早い上に同時押しが基本なのでキツい。その上、肺だけは「吸って吐く」動作が「長押し→離す」という動作になっており、さらに難しさに拍車がかかっている。そんなとこリアルにせんでええわ! ちなみにリズム押し失敗し続けるといずれ各臓器が止まって死にます。

 とはいえ、それだけなら難しいリズムゲームといったところ。本当にやべーのは、「イベント」と呼ばれるシステムで、画面に出てきたアイテムを「使うか使わないか」を瞬時に判断しなければならない要素。例えば、ハンバーガーが出てきて、それを「食べるか食べないか」を判断する。食べる場合は「口」のボタンを押す。そうするとハンバーガーを食べるのだが……口にした瞬間に「糖尿病により死亡」する。正解は「口」ボタンを押さずにスルーすること。この即死トラップを、ゲキムズリズムゲームをこなしながら瞬時に判断しなければならないのだ。

 他にも、信号マークが出てきて、「目」のボタンを押すと交通事故で死んだりする。見たら死ぬんかい。コメでも死ぬし、水たまりでも死ぬ。逆に健康に良さそう(?)な飲料水とかバナナだと回復する。もはや霞食ってる仙人クラスじゃないと生きていけないシビアな世界。

 そんな即死トラップを潜り抜けてステージクリアすると、健康診断というリザルト画面が出てくる。現実の健康診断なんてC判定でも絶望するのに、F判定とか余裕で出る。もはや即入院では? いや、実際入院する。ステージ分岐があるんだけど、前のステージ(健康診断)の結果が悪いと病院スタートになる。そのステージも難しいので、その次のステージも病院スタート。もはや一生病院の厄介になるだけの人生。つらすぎる。

 まあでも、イベントが起きないイージーモードもあるので安心して欲しい。イージーですらリズムゲーム難しすぎてずっと入院生活だったけども……一応、寿命を全う=クリアできました。

 と色々と感想述べたものの、挑戦的なゲームであることは間違いなく、インディーっぽくていいね。人生とは、健康とはを考えさせられる哲学的ゲーム、と考えるとめちゃくちゃ深いまである。炭水化物は控えようと思いつつ、パンチョのメガサイズナポリタンを啜るのであった……完。

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▲朝起きて即死亡! これチュートリアルなんですけど……。

 
次は映画編! 超ネタバレ注意!

スラッシャーだからいっぱい殺したいけど、登場人物少ない……せや、ループさせればええんや!

タイトル:映画『アンティルドーン』※試写会

 試写会にご招待頂いて鑑賞。原作ゲームもオリジナルとリメイク、どちらもプレイしたくらい好き。基本選択肢選ぶだけだけど、ある程度恣意的に殺されるやつと生き残るやつ選べるから、リア充チャラ男を死ぬように仕向けたりして遊ぶゲームだと勝手に思ってる。グラフィックは本当に実写レベルで美しいので、ゲームというかインタラクティブ映画の範疇。

 さて、そんな『アンティルドーン』が実写映画化されるときいてまず思ったのは、「え、山荘に集まった男女リア充が殺人鬼に殺される映画って普通やん」。そう、ゲームでそんなホラー映画にありがちなシチュエーションに介入できるのが楽しいのであって、それを映画にしちゃったら至って普通なのだ。

 しかし、本作映画『アンティルドーン』は全然違う。原作ゲームとは別の意味での「ゲーム性」を取り入れた構成になっている。その最たる部分が「ループ」だ。主人公たち男女五人は、行方不明になった姉を探してとある山荘(と集落)に迷い込む。そこでは殺人鬼を始め、様々な脅威が襲ってきて主人公たちはあえなく死亡する。そうすると、山荘を訪れたタイミングに巻き戻り、次の周回へとループするのだ。原作はゲームではあるが、ループ的なゲーム性では無いので、本作オリジナル設定である(まあ広義の意味では、何回も周回すれば全員生存ルートも達成できるので同じといえば同じだが)。

 ループに気づいた主人公たちは、様々な方法で脱出しようと試みる。しかも全員生存ルートしか認めないベストエンド厨なので、誰かが犠牲になったら、自殺してもう一周しようとか言い出す。人生にはリセットボタンは無いんだぞ!

 この舞台設定が素晴らしいのは、殺人鬼さんサイド(というか山荘の呪い的なパワー)も主人公たちを思う存分に殺しまくれること。全体尺を考えて顔見せだけして退散するとか、メインヒロインには手加減して生かすとか一切ない。会う・即・KILL。慈悲はない。殺人鬼さんだけじゃなく、舞台装置も殺意高め。一番ビビったのは、水がヤバい。『28日後...』の血液なんて目じゃない。一滴でも体内に入ると爆散する。冗談じゃなく、文字通り爆散。『きさらぎ駅』かよ。凄惨な場面なのに、次々爆散するもんだからちょっと笑えてくる。

 なんか一応、殺人鬼さんも色々手を変え品を変え、趣向を凝らして殺しにきてるっていうのに、水さんはそれをいとも簡単に成し遂げてしまう。人体の60%は水なんやぞ。無理ゲーが過ぎる。シャマラン監督屈指の迷作映画『サイン』を思い出したよね。あれ、宇宙人が侵略してくるんだけど、宇宙人の弱点が「水」なのよ。なので水を恐れて地球から逃げてくんだけど、なんでそもそも地表の7割が海の地球にきた? っていう。つまり水は最強って話。

 話は戻るが、最強兵器水さんの脅威などもありつつ、ループを繰り返す主人公たち。周回すればするほど、肉体が変化していくことに気づく。なんとループには限界があった。13周すると負けなのだ。だからいわんこっちゃない。ミスったから死んで周回するべ、とか気軽に言って命を大事にしないからこうなるのよ! 真っ先に殺されそうな軽薄男とか見捨てて脱出しとけ!

 とまあ色々あるが、結末は自分の目で確かめてもらうとして、まとめに入る。ゲームファンとして、原作ファンとしては結構楽しめた。『きさらぎ駅』もそうだけど、映画内の設定にゲーム性が出てくると俄然面白くなるよね。ゲーマーとして、自分なりの攻略法が浮かぶというか、「自分ならこうする」とか考えるのが楽しい。たとえ全員生還ルート目指したとしても、一人死んだから次の周回行こう、じゃなくて、ギリギリまで次の周回の為にルート探しや攻略試したりするよね、ゲーマーなら、みたいな。また、原作プレイした人ならニヤリとする要素もあって、それも楽しい。誤解がないように言っておくと、今作は原作とは(本編中は)ほぼ関わり合いが無いので、原作未プレイでもOK。でもイースターエッグよりは明示的な原作との繋がりもあるので原作ファンは探してみて欲しい。

 あ、原作ファンなら絶対に知りたい耳より情報を最後にお伝えすると、今回暗転は……ほとんどしません! ちゃんと眼の前で爆散するから安心してね!

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