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『ハンドレッドライン』レビュー。これは傑作! 後半にいくほど盛り上がるストーリーがヤバい! そしてルート分岐のワクワク感が異常!!【ハンドラ】

文:カワチ

公開日時:

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 4月24日発売予定のNintendo Switch/PC(Steam)用ソフト『HUNDRED LINE -最終防衛学園-(以下、ハンドラ)』のレビューをお届けします。

[IMAGE]※本記事には、体験版以降の内容が含まれます。その点、ご了承ください。

こんなにもワクワクするゲームは久しぶり!


 まず謝罪をさせてください。記事を書いている筆者としては、レビューは作品をクリアしてから執筆するものだと思っていますが、本作のボリュームが膨大すぎてコンプリートが無理でした。〆切を過ぎても無理を言ってプレイさせてもらっていたのですが、さすがに「これは終わらん!」と気付いて執筆作業に移りました。

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 1つのエンディングは見届けたものの、とある時点から解禁される無数のルートのことを考えれば、とてもではありませんが終わりません。ただ、断言したいのは、このゲーム、めちゃくちゃおもしろい! レビューを執筆している現在も続きがプレイしたくてうずうずしています。

 ライターとして「こんな記事なんて読まずにとにかくプレイしろ!」というワードは自分のなかで禁止していますが、久々に言ってしまいたくなるようなパワーを秘めている作品です。

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 ゲームの冒頭については以前に書いた体験版部分のレビューを読んでもらうとして、その先の展開がヤバいです。

 体験版部分の感想で、キャラクターと信頼を重ねていく様子が丁寧でどのキャラクターも好きになっていくと記載しましたが、中盤まではその通りでひとりひとりにスポットを当てて、しっかり戦いに参加する動機や決意を丁寧に描いてくれます。

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 小高和剛さんの手がけた『ダンガンロンパ』シリーズはどんな個性的なキャラクターでも次のストーリーでは死んでしまうという予想のつかない展開が魅力でしたが、本作は次々と仲間が決起していき、ひとつにまとまっていく王道の展開が魅力。キャラクターたちの考えが理解できるため、それぞれにしっかり感情移入できます。

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 もちろん、そのなかでも意外性のある展開はたくさん用意されていてプレイヤーを飽きさせません。もともと舞台となる最終防衛学園にはいなかった霧藤希や、大鈴木くらら、凶鳥狂死香たちがどのように登場するのかといった部分も必見です。

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 ただ、本作のストーリーが本領を発揮するのが中盤以降。驚きの新事実が明らかになったり、予想外の展開が起きたりと、目が離せなくなります。中盤までの展開が丁寧で、よりキャラクターたちに感情移入しているため、プレイヤーの感情が非常に揺さぶられます。

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 物語のなかでさまざまな謎が提示されますが、しっかりと答えが用意されていますし、投げっぱなしで終わることはありません。最後まで盛り上がったままエンディングに向かうことができます。まるで初代『ダンガンロンパ』をはじめてプレイしたときのような高揚感がありました。

 そして、本作がすごいのは分岐の仕組みがわかってから。具体的な流れは伏せますが、世界観が一気に広がっていきます。「もしも、この場面で、この行動を取っていたら……」ということを体験できますし、こまかく分岐していくのでワクワクします。

 選んだ選択で仲間になるキャラクターの順番や物語から脱落するキャラクターも変わってきますし、どのルートも選択肢を選んだ結果の物語が大ボリュームで描かれていくので、しっかり選択肢に意味があります。『デトロイト ビカム ヒューマン』で自分自身の未来を選んでいくような感じや、『かまいたちの夜』でサブシナリオに突入したときのような楽しみがあります。

 分岐が起きてからは打越さんの本領発揮というところで、分岐の楽しさを教えてくれます。自分自身、分岐の部分はやり込めてはいないですが、「マジか」と驚くことばかり。

 自分自身で選んだ選択が、全体の物語やキャラクターの関係性にこんな影響を及ぼすのかと驚愕します。そして、伏線や謎の引きがとてもうまく、こちらも先がとても気になります。

 フローチャートが解禁された後は自由にシーンを選ぶことができますが、「やっぱり、あのときにもうひとつの選択肢を選んでいたらどうなっていたか気になるから試そう」と思ったり、かと思えば「でも、やっぱりこのルートをエンディングまでプレイして結末を知りたい」と思わされたりで、うれしい悲鳴。

 なかなか明かされない全体の謎についても、物語の先が気になる推進力となり、延々とプレイしたくなります。本当にずっと楽しい。

 アドベンチャーパートは自由行動パートも。探索でアイテムを集めたり、集めた素材を使用して仲間たちへのプレゼントを作成したりすることもできます。本作は物語を進めていくなかでキャラクターのことがどんどん好きになっていくので、この寄り道要素はとてもうれしいです。

 なにも行動せずに飛ばすこともでき、物語の先が気になるときに邪魔にならないところもありがたいです。

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 驚くほどボリュームたっぷりで、いつまでもこの世界に浸っていたい魅力にあふれた作品です。今はとにかくいろいろな人とネタバレありで本作について語りたい気持ちでいっぱいです。まだ自分が見ていないシナリオがどんな展開になるのかとても気になりますし、ひたすら『ハンドラ』のことだけを考えたい……!

物語体験を深めてくれるシミュレーションRPGパート


 戦闘パートに関しては、物語やキャラクターを盛り上げる要素としてうまく機能しています。勇気を振り絞って戦いに参加した仲間を操作するときや、戦いたくない相手をこちらのコマンドで攻撃しなければならないときなど、自分で操作をするからこその没入感があります。

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 それぞれが使用する武器や得意な戦闘スタイルも物語の設定に則ったものとなっており、みんながそれぞれ得意なことを駆使して全力で最終防衛学園を守っていることを実感させてくれます。

 物語が進んでいくとキャラクターも増えていきますが、そのときはいくつかの離れた位置にキャラクターたちが分かれるため、どのキャラクターも操作する必要があり、便利なキャラクターだけを使うというシミュレーションRPGにありがちなパターンには陥りません。

 一度行動したキャラクターは“疲労”状態になり、行動が制限されるので、その部分からもいろいろなキャラクターを使う必要があります。キャラクターによっては疲労を回復させるスキルを持っているキャラクターもいるので、仲間同士の連携を考える楽しさもあります。

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 また、キャラクターの技やステータスなどを成長させる要素はありつつ、キャラクター自体のレベルでゴリ押しするようなバランスにならないのも高評価。物語ではピンチであってもバトルでは楽勝になるといった現象は起こらないので世界観に没入できます。

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 一方で難易度選択も用意されており、簡単なモードなら守るべき防衛タワーやキャラクターたちの削られたHPが毎ターン全回復するのでほぼ全滅しません。全滅した場合もボーナスを受けた状態で敗れたWAVEからやり直すことが可能なので、詰まる心配は無し。自由行動パートで強化のための行動を一切していなくてもストーリーを進めることができます。

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 バトル全体としては爽快感のある作りで、ザコ敵を一気に葬り去るのは気持ちいいですし、中型の敵を倒すと行動に必要なAPを入手でき、何度も攻撃できるので一方的に戦えます。そのなかで敵も大群で襲ってくるのでいかに防衛タワーを守るか考える詰将棋のようなバトルが楽しめます。あくまで物語を盛り上げるための演出として存在するバトルですが、ゲーマーでもしっかりやり応えのある内容になっています。

 バトルを盛り上げる要素が“VOLTAGE”。300%まで溜めることができ、100%以上で、攻撃力を上げたり再行動をしたりする“我駆力向上”や強力な大技を放つ“必殺我駆力”が使用できます。VOLTAGEは溜まりやすいのでガンガン使える印象でした。

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とにかくプレイしてほしいと言いたくなる傑作


 自分自身が完全にゲームをクリアしたわけではなく、用意されているであろう真相にも辿り着いてはいませんが、少なくとも現在までプレイした数十時間はとにかく楽しいですし、多くの人にこの物語を体験してほしいのは確かです。

 本作は全編配信がOKなので実況動画で内容を確かめることもできますが、できればネタバレ無しでドキドキしながらストーリーを追うのがオススメ。アドベンチャーゲームが好きならぜひプレイしてみてください!!

製品情報

タイトル:HUNDRED LINE -最終防衛学園-
発売時期:2025年4月24日(木)
価格
  • 通常版:7,700円(税込)
  • デジタルデラックスエディション:9,900円(税込)
ジャンル:“極限”と“絶望”のADV
対応機種:Nintendo Switch/Steam
対応言語
  • Nintendo Switch;テキスト 日本語/ボイス 日本語
  • Steam:テキスト 日本語、英語、繁体字、簡体字/ボイス 日本語、英語
企画:トゥーキョーゲームス株式会社
開発:メディア・ビジョン株式会社
販売:株式会社アニプレックス
CERO:D(17才以上対象)

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