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『スターサンドアイランド』開発者インタビュー。“癒し”を体験できる自由度の高すぎる、のんびりスローライフへのこだわりを聞いた【Starsand Island】

文:電撃オンライン

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 Seed Labの新作『Starsand Island』(Switch/PS5/Steam)は、桃源郷“星砂島”で、のんびりとした田舎生活を体験できる作品です。

 今回はゲームプロデューサー&クリエイティブディレクターのRichard Wang氏、ゲームプロデューサー&テクニカルディレクターのGolton Gao氏のインタビューをお届けします。


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Richard Wang氏。担当:開発ビジョン/アートディレクション/世界観構築/ゲームデザイン/プロジェクト管理/IP開発。
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Golton Gao氏。担当:プロダクト戦略/開発手法設計/技術基盤構築/イノベーション開発。
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心のよりどころになる“星砂島”での生活


――本作では、自由度の高いスローライフを楽しむことが出来ます。作品が生まれたきっかけや、原点となったことを教えてください。

 今の時代、社会では経済や物質の豊かさが求められています。そのぶん、心の豊かさや、安心感を大切にする時間が減ってしまっていると感じています。

 だからこそ、現実に疲れた時にふっと立ち寄れる“心のよりどころ”のようなゲームを作りたいと思いました。

 中国の道教の思想や、“詩と酒の暮らし(陶淵明:「飲酒」)”のような古きよき世界観からも影響を受けています。また、日本の“癒し系文化”からもたくさん学びました。

 「人生は成功だけがすべてじゃない。どんな生き方も、きっと価値がある」そんなメッセージも込めています。遊びながら、少しでも心が軽くなるような体験を目指しています。

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――田舎暮らしでは、クラフト、農業、漁業、畜産、冒険など、さまざまな楽しみが用意されています。お2人が気に入っている島での過ごし方を教えてください。

Wang氏
昔の詩人や旅人のように、自然の中でのんびり暮らすことに憧れています。

 森のそばに中華風の庭を作って、友達と一緒に住んで、庭に花や果物を植えたり、動物と日向ぼっこしたり。

 みんなで畑で作物を収穫して、ごはんを作って、食後は静かな庭を散歩。夜には線香の香りのなかで本を読んだり、琴を弾いたり、そんな時間を大切にしたいです。

Gao氏
私は海と山を見渡せるような大きな家に住んで、猫や犬をたくさん飼うのが夢です。

 いろんな家具やアイテムを集めて飾るのが好きで、大きな水槽を壁にして、そこにサンゴを置いたり、カラフルな魚を入れて眺めたりします。魚が気持ちよさそうに泳いでいるのを見ると、本当に幸せな気持ちになります。

――アニメ風の3Dスタイルで、NPCだけでなく、動物や風景も魅力的に表現されています。グラフィックの表現で、こだわった点はどこでしょうか?

 癒しを感じてもらえるように、あえてアニメ風のビジュアルにしました。私たち自身も子どものころからアニメが大好きなので、どこか懐かしさや優しさを感じられる表現を目指しています。

 水や雲、草の表現は、光の当たり方や季節によって少しずつ変わるように作り込みました。アニメっぽさがありながらも、自然の雰囲気がしっかり伝わるようにしています。

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 キャラクターの見た目は、2Dアニメ風をベースにしつつ、少し立体感を加えています。表情や動きが自然に見えるだけでなく、背景ともなじみやすくて、世界にとけ込んでいるような感覚になると思います。

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島でふとした瞬間に起こる出来事を大切にしたい


――個性豊かな島の住民たちは、それぞれがユニークな行動パターンやストーリーを持っているとうかがいました。ゲームに入れ込む際に、苦労した点はありますか?

 島の世界観と、住人ひとりひとりを、どうつなげるかが大きなポイントでした。

 人間の性格や行動には、育った環境や周りの人との関係がすごく影響します。だから島がどんな場所で、皆がどうやって助け合いながら暮らしているのか、しっかりと設定を考え、各キャラクターのセリフや行動を決めました。

 映画と違って、ゲームはプレイヤーの選択によって物語の進み方が変わります。そのため、イベントが自然につながるように作るのが少し大変でした。

 でも自由に動けるなかで、ふとしたタイミングで出会えるストーリーや、サプライズを大事にしたいと思っています。

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――先日NPCの好感度システムPVが公開され、交流の様子が描かれていました。本作では、主人公や周りの人々が年齢を重ねたり、子供が生まれたりといったイベントも用意されているのでしょうか?

 好感度が上がっていくと、他のNPCの反応イベントなども発生します。

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 ただしリリース初期の段階では、恋人関係の確立までがメインで、結婚や子どもの誕生などに関しては含まれていません。


――自由度の高い建築や、DIYシステムも魅力です。これほどまでに高い自由度にした理由を教えてください。

 本作は、“癒しの旅”を体験できるゲームです。この旅は、心理学者・アブラハム・マズローの欲求段階説を参考に設計しました。

 畑仕事や畜産で得られる手応えによって安心感を、NPCとの交流でコミュニティへの帰属感を、そして自由な建築・DIYで自分だけの理想郷を造り、自我の実現を目指す。

 そうして、プレイヤーの“内なる世界”を少しずつ満たしていく構造です。

 人によって、理想の田舎暮らしは異なります。その多様性に応えるため、私たちは『シムズ』と『Minecraft』の建築の要素を取り入れ、建築の自由度を出来るだけ高めました。

 自由度の高さゆえに、操作の難しさが課題でしたが、操作予測やヒントの表示、コントローラー向けの操作性最適化など、出来るだけ直感的に扱える工夫をしています。

 こういったゲームを初めてプレイす皆さんはもちろん、生活シミュレーション好きの皆さんにも新しい建築体験をお届け出来ればと思います。

――日本最大級のインディーズゲームイベント・BitSummitでは、現在明らかになっている乗り物のほかに、車両DIY機能も公開予定とうかがいました。どのような特徴や、どんな種類の乗り物があるのか教えてください。

 開発初期から“自由な人生を過ごせること”が本作のポイントで、その体験には、移動手段はとても重要になります。

 本作では、海、陸上、空、それぞれで異なるタイプの乗り物を用意しています。

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 海では、ヨット、モーターボート、船屋などがあります。特に船屋は自由度の高いDIYが可能で、理想の水上生活が楽しめます。

 陸上では、ローラースケート、電動バイク、キックボード、スポーツカーなどがあります。

 さらに、山や海を見下ろせるような空中の乗り物も計画中です。

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8月下旬にαテストを実施予定!


――今後もさまざまなプロモーションが予定されていると思いますが、現時点で公開できる情報がありましたら教えてください。

 8月下旬~9月初旬にかけて、αテストを実施予定です。日本語バージョンも準備中なので、ぜひオンラインでご参加ください!

 また8月20日~24日に開催される“Gamescom 2025”、9月25日~28日に開催される“東京ゲームショウ 2025”にも参加予定です。現地でお会いできることを、楽しみにしています。

――最後に配信を心待ちにしている日本のファンに向けて、メッセージをお願いします。

 現実は複雑で大変なことも多いですが、ここまで歩いてきたアナタは、もうそれだけで素晴らしい存在です。

 まだ“子どもの心”を持っている方も、もう“大人になった子ども”も──、どうか“星砂島”で、子ども時代の無邪気さとやすらぎを取り戻していただけたら嬉しいです。

――ありがとうございました。

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