“トキメキ脱衣ジャンケン”というかつて発売中止となった架空の美少女ゲームをプレイしながら、ゲームに隠された謎めいたメッセージや開発者たちの証言を追い、ゲームの真実を探っていく『H9』。
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本作は『かまいたちの夜×3』『428 封鎖された渋谷で』の製作に携わった長井知佳氏によるゲームクリエイター集団“Ge-saku”が製作。トライシステムのインディーゲームレーベル・WorldMapによるインキュベーションプログラムに採択され、パブリッシングが決定しています。
ここでは本作の企画・シナリオ・ディレクションなどを担当する長井知佳氏とWorld Mapの竹内甚八氏のインタビューをお届け。本作が生まれた経緯についてお聞きしていきます。
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なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
索引
- ルーツは駄菓子屋やマイコン。インドア派のおもちゃ好きが演劇にハマり、やがてゲームシナリオの道へ【H9インタビュー】
- いまだにPSP版『ギレンの野望 アクシズの脅威』を遊ぶゲーム好きが、配信前の『コメンテーター』に感じたインディーゲームの可能性【H9インタビュー】
- ゲームと演劇漬けの大学生活からゲーム業界へ。開発チームGe-saku(ゲサク)結成の理由も聞く【H9インタビュー】
- “World Map Incubation Project”が『H9』を選んだ2つの理由【H9インタビュー】
- 完全新作でも戦えるジャンルと、エロとホラー。“モンスターと心霊”以外のホラーを求めた結果がフェイクドキュメンタリー【H9インタビュー】
- クリエイターの資質が完成度に直結するアドベンチャーゲームというジャンル。そして、かつての美少女ゲーム業界の熱量と間口の広さ【H9インタビュー】
- 世紀末にスポットをあてる理由はネタバレに直結?【H9インタビュー】
ルーツは駄菓子屋やマイコン。インドア派のおもちゃ好きが演劇にハマり、やがてゲームシナリオの道へ【H9インタビュー】
――まずはお二人の自己紹介と、『H9(エイチナイン)』における役割について教えてください。
長井
長井です。『H9』ではプロデュース、ディレクション、シナリオを担当しています。ゲーム業界には長く携わってきましたが、インディーゲームについては開発歴イコール本作の開発期間という、ド新人です。よろしくお願いいたします。
竹内
トライシステムの竹内です。『H9』に関しては私がパブリッシャーの主担当として、プロモーション周りのほか、ゲームの企画のお手伝いなど、開発周りも含めて担当しています。よろしくお願いします。
――そんなベテランの方がなぜ今、インディーゲームなのかという部分も気になりますが、まずは長井さんのクリエイターとしてのルーツを教えてください。子供の頃はどんな少年だったのでしょうか?
――そんなベテランの方がなぜ今、インディーゲームなのかという部分も気になりますが、まずは長井さんのクリエイターとしてのルーツを教えてください。子供の頃はどんな少年だったのでしょうか?
長井
実家が駄菓子屋だったんです。当時の駄菓子屋って、お菓子やおもちゃ、ゲームまであったのでそういうものに囲まれた生活を送っていました。店が入荷する『ガンプラ』ブームにハマり、コカ・コーラのヨーヨーブームにハマり、ガチャガチャのキン消し(『キン肉マン』の消しゴムフィギュア。消しゴムだけど、あまり消えない)にハマったりするインドア派のおもちゃ好きの子供でした。
勉強は、自分で言うのもなんですが、中学まではさほど頑張らなくても成績が悪くないタイプでしたが……高校時代にズドーンと成績が落ちました。その代わりにハマッったのが演劇で、高校時代は演劇部でずっと舞台をやっていました。そこで物語作りに触れたのが、今のシナリオライターとしての私のルーツですね。
ゲームに関して言うと、最初に買ってもらったハードはMSXで、ソニーのHiTBiTでした。当時はファミコンはおもちゃだからダメで、HiTBiTはマイコンだったから買ってもらえました(笑)。
勉強は、自分で言うのもなんですが、中学まではさほど頑張らなくても成績が悪くないタイプでしたが……高校時代にズドーンと成績が落ちました。その代わりにハマッったのが演劇で、高校時代は演劇部でずっと舞台をやっていました。そこで物語作りに触れたのが、今のシナリオライターとしての私のルーツですね。
ゲームに関して言うと、最初に買ってもらったハードはMSXで、ソニーのHiTBiTでした。当時はファミコンはおもちゃだからダメで、HiTBiTはマイコンだったから買ってもらえました(笑)。
いまだにPSP版『ギレンの野望 アクシズの脅威』を遊ぶゲーム好きが、配信前の『コメンテーター』に感じたインディーゲームの可能性【H9インタビュー】
――そんな長井さんが初めて遊んだテレビゲームや、特に衝撃を受けた作品について教えてください。
長井
最初に遊んだ記憶にあるテレビゲームは、同級生の家で遊んだ四角いゴムボタンの初期型ファミコンの『マリオブラザーズ』で、自分で買ったのはMSX版の『ボコスカウォーズ』ですね。また、テレビゲームよりも前にポピーの電子ゲームなども遊んでいました。いちばん古い記憶にあるのは『スペースコブラ』のゲームですね。
人生で衝撃を受けたゲームとなると、PC-88版の『ハイドライド3』と、アーケードの『バーチャファイター2』です。ゲーム以外のコンテンツだと、90年代の『新世紀エヴァンゲリオン』、小説では村上春樹さんの『ノルウェイの森』、最近ですと『三体』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に衝撃を受けました。
クリエイターとして衝撃を受けたインディーゲームは、『Return of the Obra Dinn』と、まだ配信前のゲームですが、『コメンテーター』です。『Return of the Obra Dinn』は、アドベンチャーゲームというジャンルにも攻略の達成感があることを教えてくれたゲームで、記憶を消してもう一回遊びたいくらいリスペクトしています。
人生で衝撃を受けたゲームとなると、PC-88版の『ハイドライド3』と、アーケードの『バーチャファイター2』です。ゲーム以外のコンテンツだと、90年代の『新世紀エヴァンゲリオン』、小説では村上春樹さんの『ノルウェイの森』、最近ですと『三体』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に衝撃を受けました。
クリエイターとして衝撃を受けたインディーゲームは、『Return of the Obra Dinn』と、まだ配信前のゲームですが、『コメンテーター』です。『Return of the Obra Dinn』は、アドベンチャーゲームというジャンルにも攻略の達成感があることを教えてくれたゲームで、記憶を消してもう一回遊びたいくらいリスペクトしています。
『コメンテーター』は、インディゲームのイベントで出会って、とても心を揺さぶられました。限られたビジュアルのなかでもテキストだけで無限の世界観が表現できることを教えてくれたゲームです。こういった形ならば僕もインディーゲームが作れるかも……と、インディーゲーム開発に興味を持つきっかけになった作品ですね。
――やはりアドベンチャーゲームが多いですね。
長井
そうですね。どうしてもシナリオライターという立場の自分で、どうしたらストーリーティリングに新しい軸が出せるだろうかという研究をしてしまいます。
ただ、個人的に現在遊んでいるのはPSP版の『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』です(笑)。
――『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の影響でしょうか?(笑)
ただ、個人的に現在遊んでいるのはPSP版の『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』です(笑)。
――『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の影響でしょうか?(笑)
長井
いえ。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は全話を観ていて最終回もリアタイしたのですが、まったく別の理由だったりします。
『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』は10何前に買ったゲームなのですが、そのなかの“連邦編”がいまでにクリアできず、何年かに一度はプレイしては封印して、またプレイして……というサイクルを繰り返しています。今回、何度目か分からない再挑戦をしています(笑)。
『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』は10何前に買ったゲームなのですが、そのなかの“連邦編”がいまでにクリアできず、何年かに一度はプレイしては封印して、またプレイして……というサイクルを繰り返しています。今回、何度目か分からない再挑戦をしています(笑)。
ゲームと演劇漬けの大学生活からゲーム業界へ。開発チームGe-saku(ゲサク)結成の理由も聞く【H9インタビュー】
――今度こそクリアできるように応援しています(笑)。そんな長井さんがゲーム業界で働くことになったきっかけは何だったのでしょうか?
長井
大学時代はゲームと演劇漬けの毎日でした。発売日にセガサターンを買ったり、Win95にインターネットが登場したり、携帯電話が身近になったりなど、デジタルガジェットが世間に普及し始めた時代でした。
そんななか、就職活動のときにゲーム業界が身近に感じたんです。ちょうど『バーチャファイター』の大ブームで、大塚ギチさんの『トウキョウヘッド』などもあり、ゲームクリエイターという存在が世の中に知らしめられるようになった時期でもありました。
でも専門技術を持っているわけじゃなかったので開発者向けの入社試験は全滅しました。プログラムもできません、絵も描けません、音楽もわかりませんという人間が、プランナーとプロデューサーを志望して撃沈するパターン、そのものでした(苦笑)。
ただ、一社だけ抑えで志望していた営業職で採用されて、そこで営業や販促、ゲームセンター運営を3年ほどやりました。しかし、開発者になる夢を諦めきれずに24、25歳のときにキャリアゼロでゲームシナリオライターとして独立したんです。
そんななか、就職活動のときにゲーム業界が身近に感じたんです。ちょうど『バーチャファイター』の大ブームで、大塚ギチさんの『トウキョウヘッド』などもあり、ゲームクリエイターという存在が世の中に知らしめられるようになった時期でもありました。
でも専門技術を持っているわけじゃなかったので開発者向けの入社試験は全滅しました。プログラムもできません、絵も描けません、音楽もわかりませんという人間が、プランナーとプロデューサーを志望して撃沈するパターン、そのものでした(苦笑)。
ただ、一社だけ抑えで志望していた営業職で採用されて、そこで営業や販促、ゲームセンター運営を3年ほどやりました。しかし、開発者になる夢を諦めきれずに24、25歳のときにキャリアゼロでゲームシナリオライターとして独立したんです。
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――本作の開発を手がけるGe-saku(ゲサク)はキュートロンの長井知佳さんによるゲーム開発チームということですが、長井さんがインディーゲームを作ろうと思った理由をお聞かせください。また、Ge-sakuはどのようなメンバーで構成されているチームなのでしょうか?
長井
『H9』を開発するインディーチーム“Ge-saku”は私が代表を務める株式会社キュートロンの別ブランドという形です。コアメンバーはキャリア30年前後のベテラン5人が中心で特殊演出を外部にお願いしている形です。そして、インディーゲーム開発を志した理由は自分のキャリアと最近の業界事情によるものです。
ここ10年ほどの業界の潮流として、リスクヘッジのために早期にプロジェクトを中止する動きがあります。生々しい話ですが、プロジェクトがカジュアルに吹っ飛ぶことがよくあるのですが、キュートロンは受託会社なので、開発中止になるたびに取引が急に途切れて食い詰めることがよくありまして……。そのせいで私や会社自身の業務実績がなかなか更新されないジレンマに陥っております。
そんなクライアントに依存する体質の打破と、できるだけしがらみのない場で自分のクリエイティビティに挑みたい。クライアントなし、自主独立、“メジャー流通では出来ない”を最大の差別化として立ち上げたのが『H9』であり、Ge-sakuというインディーゲーム開発チーム名です。
名前を使い分けているのはいくつか理由がありますが、インディーゲームでしか扱えない内容を作ろうとしているのにその開発母体がメジャー開発に協力する会社組織なのはそぐわないと感じているからです。
ここ10年ほどの業界の潮流として、リスクヘッジのために早期にプロジェクトを中止する動きがあります。生々しい話ですが、プロジェクトがカジュアルに吹っ飛ぶことがよくあるのですが、キュートロンは受託会社なので、開発中止になるたびに取引が急に途切れて食い詰めることがよくありまして……。そのせいで私や会社自身の業務実績がなかなか更新されないジレンマに陥っております。
そんなクライアントに依存する体質の打破と、できるだけしがらみのない場で自分のクリエイティビティに挑みたい。クライアントなし、自主独立、“メジャー流通では出来ない”を最大の差別化として立ち上げたのが『H9』であり、Ge-sakuというインディーゲーム開発チーム名です。
名前を使い分けているのはいくつか理由がありますが、インディーゲームでしか扱えない内容を作ろうとしているのにその開発母体がメジャー開発に協力する会社組織なのはそぐわないと感じているからです。
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――長井さんにとってインディーゲームとはなんだと思いますか?
長井
難しい質問ですが、個人が自己発信するゲーム作品だと思います。かつてのバンドブームに近い物を感じていますが、インディーバンドの未来にはメジャーデビューがありますが、インディーゲームにはメジャーからスピンアウトして個人が自分のクリエイティビティを世に出すという真逆の構造があると思っています。
インディーゲームで出すからには自分たちが面白いと思うものをちゃんと出すのが大事なのではないかと思います。
――長井さんが本当におもしろいと思うものを作ると。
インディーゲームで出すからには自分たちが面白いと思うものをちゃんと出すのが大事なのではないかと思います。
――長井さんが本当におもしろいと思うものを作ると。
長井
“なんとかライク”のゲームは出さないようにしようと思いました。ゲーム体験としてリスペクト元を越えるものは滅多に出てこないですし、我々は我々でできる新しいゲーム体験をお届けしたいと考えました。
まぁ、その結果として行きついたのが“野球拳”と“レトロ”なのですが(苦笑)。このふたつでどんな新しいゲーム体験になるのかというのは……こうご期待といったところです。
まぁ、その結果として行きついたのが“野球拳”と“レトロ”なのですが(苦笑)。このふたつでどんな新しいゲーム体験になるのかというのは……こうご期待といったところです。
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“World Map Incubation Project”が『H9』を選んだ2つの理由【H9インタビュー】
――竹内さんにお伺いします。今回、パブリッシャーとして『H9』を支援することになった経緯や、開発支援プログラムについて教えてください。
竹内
我々が実施している“World Map Incubation Project”という開発支援プログラムに『H9』が応募してくださったのが始まりです。このプログラムは、開発資金の提供、著名クリエイターによる講義、開発者コミュニティという3つのものを提供しています。
『H9』を選ばせていただいた理由は大きく2つあります。ひとつは90年代の雰囲気や作風というコンセプトが非常に良かったこと。そしてもうひとつは、チームの皆さんがご自身のキャリアを踏まえ、“今の自分たちが勝負できるのはここだ”と客観的に分析できていた点です。応募のときに、あらすじではなくシナリオの全文を送ってこられた熱意にも心を動かされました。
我々のパブリッシングの方針として、クリエイターがコンテンツを磨く時間に1分1秒でも集中してもらえるような環境を作ることが最も重要だと考えています。そのために公式サイトやトレーラーの制作、プロモーションなどを我々が担い、クリエイターの方々をサポートしています。
『H9』を選ばせていただいた理由は大きく2つあります。ひとつは90年代の雰囲気や作風というコンセプトが非常に良かったこと。そしてもうひとつは、チームの皆さんがご自身のキャリアを踏まえ、“今の自分たちが勝負できるのはここだ”と客観的に分析できていた点です。応募のときに、あらすじではなくシナリオの全文を送ってこられた熱意にも心を動かされました。
我々のパブリッシングの方針として、クリエイターがコンテンツを磨く時間に1分1秒でも集中してもらえるような環境を作ることが最も重要だと考えています。そのために公式サイトやトレーラーの制作、プロモーションなどを我々が担い、クリエイターの方々をサポートしています。
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――『H9』は発表されると同時に大きな反響を呼びました。率直にいかがでしたか?
竹内
どちらかというと安心したという気持ちが強かったです。実際に出してみないと分からないことが多いなかで、これだけの反響をいただけたのはうれしかったですし、より一層しっかり作品を仕上げて届けなければいけないと身が引き締まる思いでした。
長井
“やばい”と思いました。完全に自分の想定を遥かに超えた反響で、ゲームクリエイターとして一生分のお褒めの言葉を頂きました。当初の想定はカルトゲームとして認知され、じわじわ伸びていけばいいと思っていたので。ここまで注目されるとは思っていませんでした。
イベントでも試遊して頂いた方からおおむね好評でつねに席が空かないありがたい状況でした。業界クリエイターのかた、企業からの視察、インディーゲームに日々従事されているインフルエンサーなどの方々からも賞賛を頂き、驚きと戸惑い、気合いを入れ直さなきゃと責任感を再確認しました。
インディーゲームだから許されるというような甘さは完全になくなり、この反響に応えるため、仕様を練り直し、ゲーム体験の再設計をおこないました。
イベントでも試遊して頂いた方からおおむね好評でつねに席が空かないありがたい状況でした。業界クリエイターのかた、企業からの視察、インディーゲームに日々従事されているインフルエンサーなどの方々からも賞賛を頂き、驚きと戸惑い、気合いを入れ直さなきゃと責任感を再確認しました。
インディーゲームだから許されるというような甘さは完全になくなり、この反響に応えるため、仕様を練り直し、ゲーム体験の再設計をおこないました。
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完全新作でも戦えるジャンルと、エロとホラー。“モンスターと心霊”以外のホラーを求めた結果がフェイクドキュメンタリー【H9インタビュー】
――本作のジャンルはフェイクドキュメンタリーホラーになるそうですが、このジャンルに対する思い入れや、ご自身で挑戦しようと思った理由などを教えてください
長井
完全新作を受け入れて貰うのはかなり難しいですが、これまでの経験から、むしろ完全新作の方がセールスがいいジャンルがいくつかあることが分かっていました。それがエロとホラーで、幸いにも私はその両ジャンルの経験がありました。
そしてストーリードリブンのゲームにするのは既定路線だったので、この手札でどう見せたらいいかを考えた結果が、いわゆる“モンスターと心霊”以外のホラーゲームでした。
エネミーを倒す、呪いを解くなどありきたりなギミックから脱する新要素を提案しない限り作品として勝負出来ないと思い、その答えがフェイクドキュメンタリーであり、これなら大手と発売日が被ってもまだ戦える仕掛けをゲームに織り込めると考えました。
そしてストーリードリブンのゲームにするのは既定路線だったので、この手札でどう見せたらいいかを考えた結果が、いわゆる“モンスターと心霊”以外のホラーゲームでした。
エネミーを倒す、呪いを解くなどありきたりなギミックから脱する新要素を提案しない限り作品として勝負出来ないと思い、その答えがフェイクドキュメンタリーであり、これなら大手と発売日が被ってもまだ戦える仕掛けをゲームに織り込めると考えました。
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クリエイターの資質が完成度に直結するアドベンチャーゲームというジャンル。そして、かつての美少女ゲーム業界の熱量と間口の広さ【H9インタビュー】
――長井さんは多くのアドベンチャーゲームを製作していますが、このジャンルに関する想いをお聞かせください。
長井
アドベンチャーゲームは、ほかのジャンルよりも小規模で開発リスクが低い分野で、かつそこで培われた技法が他ジャンルにも転用可能なベーシックなものと感じています。だからこそ、ストーリーやビジュアルなどコンテンツの質が問われるものですし、クリエイターの資質が完成度を大きく左右する分野ではないかと思います。
また、現在の美少女ゲームは複雑な分野で、国内では小規模低予算プロジェクトですが、海外ではAAAとして莫大な予算をかけてワールドワイドの市場を攻略する分野でもあります。そんな現在の礎になった十数年前の美少女ゲームには幅広い才能を受け入れる間口の広さがありました。
ストーリーやキャラ性を重視するアドベンチャーゲームのジャンルはゲーム性が低いと思われがちですが、ユーザーの身体的能力を重視しない分、潜在的市場は広大で、かつ謎を解くカタルシスさえあれば他ジャンルと同じ達成感を得ることが出来る分野かと思います。
――ホラー要素はどの程度のものになるのでしょうか? プレイする上で心構えなどあれば教えてください。
また、現在の美少女ゲームは複雑な分野で、国内では小規模低予算プロジェクトですが、海外ではAAAとして莫大な予算をかけてワールドワイドの市場を攻略する分野でもあります。そんな現在の礎になった十数年前の美少女ゲームには幅広い才能を受け入れる間口の広さがありました。
ストーリーやキャラ性を重視するアドベンチャーゲームのジャンルはゲーム性が低いと思われがちですが、ユーザーの身体的能力を重視しない分、潜在的市場は広大で、かつ謎を解くカタルシスさえあれば他ジャンルと同じ達成感を得ることが出来る分野かと思います。
――ホラー要素はどの程度のものになるのでしょうか? プレイする上で心構えなどあれば教えてください。
長井
直接的なシーンはそこまで強烈ではありませんが、プレイヤーの想像力で補うような演出を基本としています。血がドバドバ出るような怖さではなく、テキストでじわじわとくる、間口の広いホラーになっています。
また、世界観の時代性や想定しているプレイヤー層を考慮すると、非常にストレスフルな内容になるかもしれません。
また、世界観の時代性や想定しているプレイヤー層を考慮すると、非常にストレスフルな内容になるかもしれません。
世紀末にスポットをあてる理由はネタバレに直結?【H9インタビュー】
――本作は28年前のゲームの真相を探るということで、"20世紀末"がひとつのキーワードになってくると思うのですが、なぜ20世紀末にスポットを当てようと思ったのでしょうか。
長井
先程もお伝えしたとおり、他作品と差別化する際にレトロに舵を切ったこと、制作難易度を下げること、あとは私の個人的なキャリアで得た体験を存分に生かしつつ、フィクションとして昇華出来る世界観が構築出来ると確信出来たからになります。
具体的な部分に関しては作品の強烈なネタバレになるのでお楽しみにしててください。
具体的な部分に関しては作品の強烈なネタバレになるのでお楽しみにしててください。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/47088/a6bc212592ea2714988d0487e207dad58.jpg?x=1280)
――物語の舞台にもなっている“20世紀末”という時代や、当時のゲームクリエイターについて、どのようなイメージをお持ちですか?
長井
僕のなかでは、『エヴァンゲリオン』に代表されるような内面的な思索と週末論的な空気があった時代というイメージです。同時に、僕がいたゲーム業界は上り調子で、それがチャンポンになったすごいカオスな状況でした。
当時のゲームクリエイター像は、遠くから見ると憧れのカリスマで光り輝いているんですけど、近くで見るとめちゃくちゃな人しかいなかったです(笑)。社会人なのにこんなにでたらめな人たちがいるんだと、と業界に入ってすごくびっくりしました。
――最後に、今後の展開と読者へのメッセージをお願いします。
当時のゲームクリエイター像は、遠くから見ると憧れのカリスマで光り輝いているんですけど、近くで見るとめちゃくちゃな人しかいなかったです(笑)。社会人なのにこんなにでたらめな人たちがいるんだと、と業界に入ってすごくびっくりしました。
――最後に、今後の展開と読者へのメッセージをお願いします。
竹内
10月発売に向けて、公式Xなどを中心に今後も情報を発信していきます。トレーラーの続編や公式サイトでの発信はもちろんですが、それ以外のプロモーションも用意しておりますので、ご期待ください。
また、9月15日には福井県で上旬にはMINI版のDREAMSCAPEを開催します。今回はいつもより小規模展開となりますが、「Boot/ReBoot」をテーマに、開発歴3年以内のクリエイターによる作品(Boot)と長期休止中のタイトル、またはその再開版(ReBootの2区分で作品を募集・展示いたします。
そこでも『H9』の最新プレイアブル版を展示予定なので、会場にいらっしゃった際はぜひ遊んでみてください。
また、9月15日には福井県で上旬にはMINI版のDREAMSCAPEを開催します。今回はいつもより小規模展開となりますが、「Boot/ReBoot」をテーマに、開発歴3年以内のクリエイターによる作品(Boot)と長期休止中のタイトル、またはその再開版(ReBootの2区分で作品を募集・展示いたします。
【DREAMSCAPE MINI エントリー開始📢】
— DREAMSCAPE【公式】 (@game_dreamscape) June 30, 2025
9月15日(月祝)開催の #DREAMSCAPE_MINI のエントリーを開始しました!期日は7月25日(金)までです。
応募条件を満たしていれば、デジタル / アナログ問いません。ボードゲーム等も応募可能です◎
ツリーのGoogle Formよりエントリーお待ちしております🔥… pic.twitter.com/qcvqvaJzoA
そこでも『H9』の最新プレイアブル版を展示予定なので、会場にいらっしゃった際はぜひ遊んでみてください。
長井
私たちの予想をはるかに超えた反響のおかげで、このような機会をいただき本当に感謝しております。そのスタートダッシュに呆然としながらも、ちゃんと作らなきゃと気合を入れ直し、ゲーム性の強化を進めてまいりました。完成度は現在40%ほどですが、今のところ大きなトラブルもなく予定通り進んでおります。
この時点で注目してくださっている方が一番面白く感じられ、かつ他作品では味わえないゲーム体験を仕掛けますのでぜひご期待ください!
この時点で注目してくださっている方が一番面白く感じられ、かつ他作品では味わえないゲーム体験を仕掛けますのでぜひご期待ください!