電撃オンライン

【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】可愛いのにしっかりホラーで最後は泣ける『恐怖の採点』。インディーDIGはこれだから止められない! 映画『ドールハウス』のアヤちゃんはこれだけ凶悪なのにまさかのkill数◯人でフィニッシュ!? 理由に驚愕

文:オッシー

公開日時:

 みなさんこんにちは。今週はいよいよBitSummit。玉石混交のインディーは良作に出会えた時の感動が半端ない。やっぱり作り手の意向がダイレクトに反映されるからなんだろうね。そんな良作を発掘して電撃オンラインでお伝えできるように頑張っていきたいオッシーがスタッフコラム第九回目お送りします。

[IMAGE]

 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビューを形式でお送りしています。今回もゲーム編と映画編です。ネタバレ注意!

大正浪漫と見せかけてトンデモ展開の畳み掛けが懐かしい

タイトル:『RAIDOU Remastered: 超力兵団奇譚』
プレイ状況:Switch2版 クリア済み

 『デス・ストランディング2』をクリアして、直近発売のタイトルもそこまで食指が動かないな~と思っていた時に、そういえば『ライドウリマスター』やってなかったと思い立ち購入。

 ライドウは『超力兵団』も『アバドン王』もプレイ済だったが、調べたら20年近く前だって。記憶があまり残っておらず、戦闘がアクションということすら忘れていた。普通にメガテンだからプレスターンバトルだと思ってたわ。なんだけど、うっすらとショッカーみたいな怪人たちと巨大ロボだけ覚えていたんだよね。20年経っても覚えているって、やっぱインパクト強かったんだと実感。あとラスプーチンも覚えてた。あいつもやたらキャラ立ってるよね。マトリョーシカ。

 今回はリマスターなので、基本の内容は同じ。だと思うけど、覚えてないからどう進化したか分からない。ただ、かなり遊びやすくなっている印象。そうそう、悪魔を切り替えて捜査するのよね。本筋に関係ないところでも「読心術」やら「色仕掛け」やら仕掛けると反応してくれて楽しい。ただ、悪魔関係と通常のサブメニューが分離されていてちょっと使いづらかった。ファストトラベルしようとしてサブメニュー開いちゃったり、別件任務どこで見るんだっけ、ってなった。

 戦闘はアクションだってことすら忘れていたので面食らったが、仲魔が2体呼べてオートで戦ってくれるので楽しい。主人公は戦力というより、MAG管理&サポートって感じのビルドで戦ってた。仲魔が勝手に弱点属性で戦ってくれるので助かる。ただしその分、仲魔が魔法とか使いまくるので、瞬時にMAGが無くなる。なので主人公は貧弱火力でペチペチ殴ってMAGを貯めるおしごとを延々としなくてはならない。「さあミシャグジさま、MAGが溜まったので魔法使ってくださいまし!」って感じ。まあメガテンらしいといえばそうか。

 今回はボイスが付いたのと、かなり豪華声優陣で、ストーリーがより良い感じになった。ライドウはあんま喋らないけど、雷堂が出てきたところで杉田智和だと気づく。ええやん。鳴海所長が子安武人なのも良き。

 ストーリーは探偵モノかと思いきや、トンデモ展開で大好物。記憶が薄れていたので、「あれ? ロボ出てきた記憶があるけど……この世界設定でロボ出てくるか?」と思いながらプレイしていたけど、間違ってなかった! 超力超神、発進! このレトロな感じがたまらんのよね。ヒロインが鉄人28号よろしく肩に乗っているのもよかばい。

 これが売れれば『アバドン王』も出るだろうし、なんならライドウ新作も期待できるかも。夢が広がりまくりんぐ。

[IMAGE]
▲宇宙と書いて「そら」以外の読み方を知らない。めぐりあい。
[IMAGE]
▲イッポンダタラの勢いで笑ってしまう。うぉっけぇぇぇぇ!

たった小一時間でカワイイと恐怖と感動が全部詰まった良作

タイトル:『恐怖の採点 ‐Score the Fear‐』
プレイ状況:Steam版 クリア済み

 ホラー配信でプレイ。正直に言ってあまり期待していなかった。ホラー配信でやるゲームを探していて、発売したばかりで安価なタイトルということで見つけたタイトル。たまには怖いばかりじゃなくて、変化球的なゲームをやってみてもいいだろうと。

 あまり期待せずにプレイした結果……めっっっっっちゃ良かった!(直球)

 ゲームシステムとしてはよくある怪異を見つけて報告する系のゲーム。『霊室』とかと一緒。ただ、こちらは「びっくりさせる・怖がらせる」ことが目的なので、怪異が隠れてない(というかもう見えてる)。規定数を見つけて報告すればクリア。ゲームとしては簡単。

 ストーリーとしては、身重の妻を家に残して出張中のサラリーマンが、出張先で借りたウィークリーマンションで、地縛霊(?)の“ゆ~君”に出会う。ゆ~君は部屋を訪れた人に語りかけ、「悪霊になるために怖がらせる練習をしたい。驚かせるので採点して欲しい」と言ってくる。主人公は3日間通してゆ~君の怖がらせ練習に付き合うことになるのだが……という内容。

 とにかく、ゆ~君が可愛すぎる。怖いより先にカワイイが出てくる。というかそもそもまったく怖くない。カワイイフォルムのゆ~君がワチャワチャしているだけで、ほっこりしかしない。一応、初日の採点・アドバイスを受けて二日目は多少の工夫はある。初日に「ジャンプスケア」を主人公が教えたことにより、二日目はジャンプスケアを多用してくる。といっても、何故かいきなりドラを部屋に持ち込み、調べると「どじゃーん!」と鳴らすだけ。可愛すぎる。他にも、ジェットストリーム驚かせなど手を替え品を替え頑張るのだが、どれもこれも可愛くて、ついつい「がんばえ~!」としたくなるゆー君。こういうのもたまにはええな。

 そうこうして迎える三日目……になると、様相が一変する。小作なのでぜひプレイして頂きたいのでネタバレは避けるが、マルチエンディングでいずれも不穏な結末が待っている。分岐によってはかなり背筋がひんやりする展開も。前半のほっこり具合からの落差で、普段やっているホラーゲーム以上にしっかりと恐怖を感じた。一見の価値あり。

 さらに、エンディング回収をしていくと、何やら引っかかる伏線がいくつか。それが真のエンディングで回収されるのだが……これが泣ける。ちょっと配信中にうるっときちゃった。これだけ短い内容で、KAWAIIからほっこり、恐怖からの感動が一気に楽しめる。いやー、いいインディーゲーム見つけちゃった! 

 金額もワンコインでお釣りがくる値段なので、四の五の言わずぜひプレイして欲しい。いっぱい売れたらゆ~君グッズ化してくれないかな。

■電撃インディーの配信はこちら
[IMAGE]
▲驚かす時の「ばあ!」って言うゆ~君がマジでカワイイ。めっちゃ売れてグッズ化して欲しい。

こんな親だから異常にいびきがうるせー子どもになるんだよ!

タイトル:『Time for Bed』
プレイ状況:Steam版 ステージ1クリア

 最近ホラーに興味を持ちはじめた息子と親子配信でプレイ。異常に巡回スピードの早いママンの目を逃れてゲームボーイ風のゲーム内ゲームをプレイするゲーム。

 このママンが凶悪で、『MGS』の兵士なんて目じゃないくらいの頻度で巡回してくる上に、エクソシストよろしく背面四つん這いで階段を駆け上がってきたりフィジカルがヤバい。がっつり見つかると基本的にゲームオーバー。グレーな場合は近づいてきて、本当に寝ているかどうかを確認してくる。ゲームが進むと、巡回どころか寝室に居座る始末。どんだけ息子信用ないねん。(いや実際、隠れてゲームしているわけだけど……。)

 システムとしては、上記のママンの猛攻を交わしながら(寝たフリしながら)、初代GBを彷彿とさせる携帯ゲーム機をプレイしてクリアを目指す。ゲーム内ゲーム自体はシンプルで、ステージによってゲーム性が変わる。ステージ1はトラップを避けて階段を目指すだけ。ステージ2はインベーダーゲーム。難しすぎてステージ2を越せなかったので、ステージ3以降のゲームは分からず……。ただ、基本的には移動とダッシュしかないので、片手でプレイできる簡単なゲーム性。なので、普通にやれば楽勝なのだが……前述のママンの猛攻を交わしながらのプレイとなると、途端に難易度が跳ね上がる。人間、マルチタスクは難しいので、ママンの動向を探りながらだと、シンプルなトラップ避けゲームでも焦ってミスしてしまうのだ。

 画面端にママンの巡回ルート(ステージ1なら寝室に上がってくる階段)を収めてプレイ。ママンの影や足音にビクビクしながら、ひたすらに進め、実際にママンが上ってきたらさっと寝たフリをする。これが楽しい。プレイしている内に、ママンのセーフラインが見えてきて、「階段の中腹までは大丈夫」とか「柱の影に入るこのタイミングで数秒プレイできる!」みたいなことが分かってくる。段々とギリギリを攻められるようになってくるので、「ママンとの攻防」感が出てきて面白くなってくる。

 ステージ1は階段を警戒しておけば良かったものの、ステージ2になるとチェックポイントが二箇所になってきて絶望する。影などを見ながらどっちの方に行っているかを予想しながら警戒する必要があるのだ。ただ、ステージ2をクリアした猛者が言うには、音に注意して警戒すると行けるらしい。ほんまかいな。

 発想も面白いし、ゲーム性も味があって楽しいので、もうちょっと難易度緩和があると良かったかなと。ライフ制で3回までセーフとか。一応、救済措置というか、疑われるとママンがベッド横にきて、本当に寝ているか確認してくるリズムゲームが始まる。これで三回ジャストタイミングで寝息を立てると、長時間離脱してくれたりもする。ただ、この時の主人公の寝息がうるさすぎるというかデカいイビキでわざとらしすぎる。でもママンは「よく寝てるわね」とかいって安心して階下に行ってくれる。睡眠時無呼吸症候群を心配したほうがいいのでは?

■電撃インディーの配信はこちら
[IMAGE]
▲目が爛々と輝くママンも怖いけど、この赤い目の光(サーチライト)が無いと気配を察知できないからしゃーなし。


次は映画編! 超ネタバレ注意!

よくある人形が襲ってくる系B級ホラーかと思ったら……めちゃくちゃ面白い傑作! まあ人形は襲ってくるけどね

タイトル:映画『ドールハウス』

 一部界隈でベタ褒めされていた邦画ホラー『ドールハウス』をようやく視聴。小さいシアターではあったけど、まさかの満席でビビった。今はほんとに邦画ホラーブームなのね。

 よく映画館でホラー映画見るので、本作の予告編はかなり前から目にしていたが、正直「よくある設定のホラー映画だな」としか思えず、あまり興味を持てなかった。だって「幼くして亡くした娘の代わりに人形拾ってきて可愛がったけど用済みになって捨てたら人形に復讐される」なんて筋書き、ホラーファンなら何回も見たことあるじゃん。もはや古典レベル。

 とはいえ、ミーハーなところもあるので、『ドールハウス』がいいぞ、と何度も目にしたら観に行かざるを得ない。と重い腰を上げて観に行ったのだが……なにこれ超面白いやんけ!

 筋書きとしては単純なの。上述の通り、幼子(娘)を亡くした夫婦が慰みに等身大人形を骨董市で買ってくる。その人形を本当の娘のように可愛がるが、もう一人子ども(次女)を授かり、不必要になった人形を蔑ろにする。そうしたら、人形が様々な不幸を呼んで、その解決のために奔走する……というもの。マジで筋書きだけなら既視感ありまくり。

 まず秀逸なのは、テンポが早い。平気で数年単位で飛ぶ。主人公の長澤まさみが次女を授かって夫(瀬戸康史)に「婦人科行ってきたの」と言った次の場面で産まれとる。そしてさらにちょっと経つと次女が5歳位になってる。制作者分かってるよね、これ。筋書きが既視感のあるものなので、「こういうの好きならもう展開分かるでしょ?」みたいなノリでポンポン進むのよ。そこがテンポよく進むので、既視感のある展開でも苦にならず、「はいはいこれで人形捨てたけど戻ってくるのね。わかるわかる」みたいにちょっと玄人っぽく楽しめる。

 そんでそのテンポで稼いだ尺で、本当に見せたかったところを見せにくる。この映画、ホラーっていうよりは、ミステリー要素も強いのよ。呪いの人形の出自にまつわる謎。そこをしっかり見せたい映画なんだと思った。最近のホラーは考察系というか、ミステリ要素強めなの多いけど、しっかりその文脈に乗ってる感じ。

 とはいえ、ホラーがおざなりかっていうとそんなことも無く、直接的なところを見せない手法でしっかり恐怖を煽ってくる。人形の名前はアヤっていうんだけど、アヤが空飛んで襲いかかってきたりはしない。ただそこにいたり、娘に成り代わっていたりするだけで、直接的な攻撃はほとんどしない(後半はさすがにしてくるけど)。でもその見せ方が上手いのよ。例えば中盤で、「次女と人形が紙袋被って遊んでる→(この時点で人形に不信感持っている)長澤まさみが人形にブチギレてめん棒で紙袋被った人形を強打→倒れた姿は次女で、実は娘殴ってました!→ハッ、夢か……」みたいな、イヤーな気分にさせる表現が随所に見られてホラーファンとしても大満足。

 キャラクターもいい。メインは長澤まさみと瀬戸康史の夫婦だけど、警察官の安田顕とか、お焚き上げするお寺の住職見習いがキングオブコメディの「高橋じゃね?」って言う方とか、キャラが立っていて楽しい。極めつけは、後半に人形供養専門家として出てくる田中哲司で、これがめっちゃ頼りになる。映画『来る』の霊能者大戦みたいな感じで頼もしい。この人物は、アナログ主義でスマホとかも持ってない設定なんだけど、ハンディスキャナーは常備してるしモバイルプリンターも持ち歩いてる。さらに金属探知機も完備。どっぷり文明の利器のお世話になっとるやん。

 そんな頼りになる田中哲司も負傷して退場を余儀なくされる。最後は長澤まさみ夫婦が、アヤの生誕の地(孤島)を訪れて、呪いを解くために墓を探す……というところだが、ここから先はぜひ自分の目で見て頂きたい。

 ちゃんと最近の映画でありがちな二段オチというか、見方によっては三段オチが待っている。絶望→希望→?で短時間で目まぐるしく展開する。素晴らしい構成。最後のオチもありがちっちゃありがちなんだけど……今までの展開もあって感心した。というのも、この人形のアヤってのはかなり強い呪いの力を持っているのよ。直接手を下すこともできるし、なんか呪いの力的なやつで不幸にすることもできるっぽい。こんな強キャラっぽい設定なのに、なんと劇中でのkill数は(たぶん)ゼロなのよ。この内容なら、最初の犠牲になるゴミ収集車の兄ちゃんとか死んでても良さそうなのに、「息はあるぞ!」みたいな。次女と人形を預かった祖母もかなり死亡フラグびんびんだったのに生きてるし、安田顕も精神崩壊しかけたけど、肉体的にはダメージなし。田中哲司も負傷はしたけど生きてるしね。

 なんでこんなに殺さないんだろうって思ってたけど、最後のオチで個人的には得心がいった。アヤの目的は復讐じゃなくて、◯◯だったので、周りの人間(環境ともいう)に危害を与えないようにしたんじゃないかな。自分の将来の為にね。

 ということで、最近観た映画の中でも出色の出来の『ドールハウス』、オススメなのでぜひ! 『鬼滅の刃』が始まると公開館も減りそうなので、見るなら今!
(このコラムが掲載される頃には『鬼滅の刃』封切りされてるだろうけど……)

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります