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『FFT』先行体験レポート。快適性向上&ボイスの追加で物語の解像度がアップした“エンハンスド”は必見【ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ】

文:編集O

公開日時:

 Nintendo Switch/Nintendo Switch 2/PS5/PS4/Xbox Series X|S/ PC(Steam)で9月30日に発売予定(※)の『ファイナルファンタジータクティクス - イヴァリース クロニクルズ』(以下FFT TIC)。

※Steam版のみ、2025年10月1日発売予定。

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 この作品のオリジナル版となる『ファイナルファンタジータクティクス』は、1997年にプレイステーションで発売された作品です。生みの親はタクティカルRPGの名作の数々を作り出してきたゲームクリエイターの松野泰己氏。

 松野氏が描く世界"イヴァリース"で展開する"人々の葛藤や生きざまを鋭く描いた物語"は多くの人の心に響き、その世界観はのちにさまざまな作品へと派生していきます。

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 そのオリジナル版をもとに新たに制作された『FFT TIC』は、オリジナル版をほぼ忠実に再現した"クラシック"と、2025年の最新技術で遊びやすさと演出を強化した"エンハンスド"の2バージョンを1本に収録。まさに"『FFT』の決定版"という位置づけでの登場となります。

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▲バージョンはメインメニューから選択可能で、セーブデータもバージョンごとに複数保存することができます。
 7月後半、そんな注目作を先行プレイ可能なメディアツアーが開催されました。会場ではNintendo Switch版とPC版の2機種で"クラシック"と"エンハンスド"の両方をプレイでき、約4時間と限られた時間ながら製品版とほぼ同等の形で『FFT TIC』を体験できました。

 そこで今回は "エンハンスド"バージョンを中心に、実際にプレイしてわかった注目ポイントをレポートしていきます。また、YouTubeの電撃オンラインチャンネルでは動画でもレポートを公開していますので、ぜひチェックしてください。

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ボイス付きだからこそ名シーンが映える"エンハンスド"! キャラクターの感情移入度が半端ない!!


 本作のウリである、フルボイス化やグラフィックの調整が施された"エンハンスド"バージョン。こちらはフルボイス化にあわせて松野氏の手で加筆修正されたシナリオ、キャラクターどうしの掛け合いの追加、ユーザーインターフェース(UI)の刷新など、さまざまな部分が現代にあわせて進化したバージョンとなっています。

 まずはシナリオのおもしろさが群を抜いている作品だけに、ボイスの追加が個人的にかなり大きなプラスポイント。実際にプレイしてイベントシーンを確認してみると、声のトーンからも感情を読み解くこともできるようになり、すごくセリフが頭に入りやすかったです。

 キャストもアグリアス役に佐藤利奈さん、シドルファスに大塚明夫さんを起用するなど自分好みで、発表時から歓喜していたわけですが、個人的には内山昂輝さんが演じるディリータが想像以上によかったと感じました。

 終始声のトーンを抑えてドライにしゃべっており、彼はもう少しラムザと距離が近いのかと思っていただけに印象が変わりました。

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▲いくら幼なじみで親友とはいえど、身分が違うラムザとディリータ。それを声でも感じさせる演技でした。
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▲セリフ横の顔も目パチ口パクするなど、さりげないアニメーションも個人的にはGOOD♪

 あとはやはり、バトルシーンに花が添えられるといいますか、なにげない掛け声でも声があると臨場感が増しますね。主役級のキャラクターだけでなくモブキャラたちにも声が付いているし、ボイスのパターンバリエーションもかなりあったのがよかったです。

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▲魔法の詠唱や必殺技の発動時に一定確率で入る決めゼリフも、ボイス入りだとより熱い!

 物語を補足するという部分では、"ブレイブストーリー"で世界情勢や人物像などをチェックできるのもいいですね。本作の物語はさまざまな人物による群像劇でもありますし、公式にこういったデータベースを搭載してくれるのはすごくありがたいです。

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▲複雑すぎずかつ情報が足りなさすぎもなく、"獅子戦争"の全体像を把握するのにもってこい!

 そんな世界観周りだけでなく、本作のメインコンテンツでもあるタクティカルバトル、そしてユニットの育成も相当遊びやすくなっていました。まずは戦闘ですが、こちらは行動順が顔アイコンで表示される"コンバットタイムライン"の追加がいちばんの目玉です。

 詠唱時間がかかる魔法の発動タイミングなど、使用前にどのタイミングで発動するかが確認できるため、戦略を立てやすい形に進化しています。

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▲画面左に表示されている顔アイコンの数字が、ユニットのHPバー横の数字と連動しているため、サーチ対象が確認しやすいのもありがたいです。

 魔法などもオリジナル版とは異なり、詠唱時間(CT)が調整されるなどだいぶ使い勝手がよくなっていました。これは高位の魔法ほど顕著のようで、オリジナル版のプレイ感覚は一度忘れた方がいいかもしれませんね。

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▲オリジナル版同様、魔法はユニットを指定して発動するか、エリアを指定して発動するかを選べます。"コンバットタイムライン"でタイミングを見極められるので、発動前に移動されそうな場合はユニットを対象にしておくといい感じです。

 そして本作のバトルで重要なのが高低差。基本は高い位置を陣取ることで有利になりますが、高低差が激しいとユニット同士の距離感がわかりにくくなることもあります。その手助けとして"エンハンスド"には、ワンボタン入力で戦場を俯瞰で見渡せる機能が用意されています。

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▲オリジナル版はユニットが物陰に隠れて移動範囲や射程などが判断しにくいケースもありましたが、状況を把握しやすくなりました。なお、常時俯瞰のままにしておくことはできません。

 さらに忘れてはならないのが、移動したあとに攻撃しようとして射程が届かなかったときなどに、移動のキャンセルが可能になったこと。正直これができるかできないかで、難易度がガラリと変わってくると言っても過言ではないので、「入れてくれてありがとう!」という気持ちでいっぱいです(笑)。

 なお、"エンハンスド"にはシミュレーションの得手不得手に合わせて、3つのプレイスタイル(難易度)が用意されています。とにかく物語が素晴らしい作品だけに、バトルが難しくて投げ出すのはもったいないので、詰まったら変更するのもありです。

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▲戦闘中以外ならばいつでも変更可能なので、自分の腕に合わせた難易度を選択できるのもありがたいですね。

 そしてタクティカルバトルの肝ともいえるのが、『FF』を代表するジョブ&アビリティを組み合わせてのユニット育成です。キャラクターはバトルでアクションを行うとジョブポイント(JP)を入手し、JPを消費することでジョブごとのアビリティを習得可能です。

 ジョブはナイト、白魔道士、黒魔道士など『FF』シリーズを代表するジョブに加え、キャラクター固有のジョブも存在し計20種類以上。習得済みのアビリティはほかのジョブにも設定できるため、ジョブとアビリティの組み合わせで戦略のバリエーションはまさに無限大です。

 個人的にはこのユニット育成こそが『FFT』のだいご味だと思っており、じわじわと自分だけのユニットへと育っていく楽しさは、ひさしぶりに遊んでもまったく変わっていないなと実感しました。たとえるなら、盆栽を育てるような感じ?(笑)

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▲アグリアスのジョブであるホーリーナイトのように、固有のキャラクターは専用のジョブを所有しています。もちろん、ほかのジョブにチェンジしてアビリティを習得することもできます。

 ちなみに、オリジナル版はランダムエンカウントのため、育成するためにはマップ上をうろうろしてバトルが発生するまで移動をくり返す必要がありましたが、本作はボタン1つでバトルに入れるようになり、育成時のストレスがだいぶ緩和されています。これは地味な調整だけど、きっと皆さんも「イイね!」を押したくなるはず!

 なお、『FFT TIC』はオリジナル版がベースのため、2007年にプレイステーションポータブルで発売された『FFT 獅子戦争』で追加されたキャラクター(バルフレア、ルッソ)やジョブ(暗黒騎士、たまねぎ剣士)は登場しません。

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▲相当な数のジョブが用意されているし、オリジナル版で使い勝手の悪かったアビリティのバランスも調整されているため、物足りなさはいっさい感じないはず。

"クラシック"は驚くほどほぼ忠実に再現で資料的価値も高い! ……というか、いま遊ぶとかなり手応えがある


 というわけで非の打ちどころのない"エンハンスド"ですが、原点でもある"クラシック"も比較のため遊んでみたところ、こちらは「よく移植しているな」と感じるくらいオリジナル版のままでした。そのうえでオートセーブなど、ちょっとしたサポートが追加されているので、こちらも確実に遊びやすくなっていると思います。

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▲かつてのプレイヤーなら、こちらも一度は触ってみてほしいところ。ただ、トロフィーや実績、後述のアカデミーレポートがあるのは"エンハンスド"のみなので、その点は注意です。

 というわけで、先行プレイの模様をお伝えしましたが、最後にプレイしたハードについても触れておきます。自分は試遊の際、おもにNintendo Switch版を携帯モードでプレイしていたのですが、ロード時間、反応速度的な部分でPC版と比べても遜色なく、超快適に遊べると断言できます。

 とくにさまざまな場所でプレイするスタイルならば、Nintendo Switch版という選択肢はすごく魅力的ですね。Nintendo Switch 2へのアップグレードにも対応していますし。

 ちなみに、トロフィーや実績はNintendo Switch版にはありませんが、同様の要素としてゲーム内に"アカデミーレポート"という形でのやり込み要素があります。トロフィーや実績と同じく達成感が味わえると思うのでご安心を。ああ、早く製品版でやり込みたい~!!

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