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『AI創作呪文』レビュー:言霊はAIに宿り、最強の魔法となる……! 4文字のセンスが大爆発する新感覚・大喜利バトルがここに開幕!【電撃インディー#1113】

文:sexy隊長

公開日時:

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、8月22日にSteamにて配信が開始された、MONO ENTERTAINMENTが贈るPC(Steam)用AI×漢字バトル『AI創作呪文』をレビューします。

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 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!



【AI創作呪文】永・久・凍・結!(エターナルフォースブリザード)効果:相手は死ぬ【電撃インディー】

汝、言葉を紡ぎ、世界を創造せよ! AIが詠唱する“君だけの魔法”

 本作のルールは、驚くほどシンプル。

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 画面にランダムに表示される漢字。その中から4文字を選び、新たなる呪文を創造するという、たったそれだけです。その行為は、まるで古代の魔術師が言霊を紡ぐ儀式のように神聖!

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 このなかで強そうな漢字は……“獄”、“絶”、“没”、“弓”……「字面だけ見ても強そう、これは王道にして最強の呪文が作れそう!」「きっと凄まじいダメージの魔法になりそう。」といった感じで漢字を見ているだけでもワクワクします。

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 しかし、本作の真の恐ろしさ、いや、面白さはここから。生み出された呪文は、即座にAIの審判にかけられます。AIは、その呪文の響き、漢字の持つ意味、そしておそらく我々の想像を超えた神秘的なアルゴリズムによって、ダメージ、属性、そして“呪文が発動する様子”を、荘厳かつ雄弁に語り始めるのが特徴であり魅力的な部分になります。

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 先ほどの“獄絶没弓”が、「高くそびえる獄が、絶望の淵に沈む敵を見下ろす。没落した弓の矢が、空を切り裂き、敵の心臓を貫く。」なんて解説された日には、思わずガッツポーズ!

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 脳内で鳴り響く派手なエフェクトと効果音。私が考えた最強の魔法が、今、ここに具現化した! この自身が神になったかのような全能感こそが、本作の快感部分です。

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 配られる漢字の組み合わせは、まさに一期一会。“姉”、“弟”、“編”、“異”なんて、一見すると絶望的な漢字が配られることもあります。強いのか!? と、疑問に思いながら“姉弟編異”を詠唱すると……AIは真摯に判定してくれます。

 その結果、「姉が異界の扉を開き、弟がその隙間から異形の敵を引きずり出す。異なる次元からの力が融合し、敵の身体を引き裂くような衝撃が走る。」詠唱した自分ですら想像していなかった魔法が発動し、とんでもないダメージを叩き出してくれました(笑)。

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 “強そうな呪文を作れば勝てる。”そんな単純な話で終わらないのが、『AI創作呪文』の奥深いところ。ゲームを進めると、「反転戦闘」という特殊なルールのバトルが発生します。

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 その勝利条件は、なんと“敵のHPよりも低いダメージの呪文を放つこと”。そう、ここでは“強さ”は罪。“弱さ”こそが正義となるのです!

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 先ほどまで“獄覇王斬”だの“絶対零度”だの、いかに破壊的な呪文を生み出すかを考えてばかりでしたが、いかにして“弱そう”で、かつ“ダメージが低そう”な、脱力系の呪文を生み出すか。ここに、まったく新しい戦略と、新たなワードセンスが求められます。

 そんなの突然言われても……って思いますが、直感でなんかこの漢字弱そうだぞ!? この漢字が強いわけない! みたいな漢字を組み合わせた、思わず頬が緩むような呪文たちが、最強の一手となってくれます。この逆転の発想が、ゲームに驚くほどの深みとリプレイ性を与えてくれるので、常に発想力が問われます。

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 筆者お気に入りの最弱ワードたちです。AIの判定内容含めて大好き!

一人で極めるか、仲間と笑い転げるか。無限に広がる言霊の世界

 本作には、プレイヤーを飽きさせない多彩なモードが用意されています。

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  • スキルを獲得しながら強敵を打ち破っていくRPGライクな“通常戦闘”。
  • 瞬発力とひらめきが試される“速攻戦闘”。
  • TCGのデッキ構築のように、あらかじめ選んだ32個の漢字で戦い抜く戦略的な“引継戦闘”。
  • そして、己のセンスの限界に挑む“無限戦闘”。

 しかし、あえて言わせていただきたい! 本作の真の姿は仲間と共に在る時にこそ、その輝きを最大限に放つこと!

 先日のアップデートで、待望のローカル対戦モードとなる“友達対戦”が実装されました。

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 これが、もはや筆舌に尽くしがたい面白さなのです。友人とお酒でも酌み交わしながら、一つの画面を囲んでみてください。

 友人が放った『甘尿聖止』に腹を抱えて笑い、自分が放った会心の一撃『進研攻彩(しんけんこうさい)』の絶妙なネーミングに悦に入り、AIの斜め上の解説にツッコミを入れる。ゲームという枠を超えた、極上の“大喜利パーティーコミュニケーションゲーム”としての無限の可能性を秘めています。

 このローカル対戦を体験せずして、『AI創作呪文』を語ることはできません。断言します。本作の醍醐味は、ここにあります。

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▲体力やスキルの違いがあるなど、地味に奥深い対戦ができるのも良いポイントです。

言葉遊びの原点と、AIが拓くエンターテイメントの未来

 『AI創作呪文』は、私たちが忘れかけていた「言葉遊び」という根源的な楽しさを、現代のテクノロジーの力で見事に再発見させてくれる奇跡のような作品です。

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▲実績システムもあるので、思わずプレイしてしまいます!
 そこにあるのは、単純な勝ち負けだけではありません。自らの創造力がAIという未知の存在に認められ、増幅され、具体的な形となって現れる驚きと喜び。友人との間で生まれる、予測不能な笑いと共感。それは、AIと人間が手を取り合って物語を紡いでいく、新しいエンターテイメントの夜明けなのかもしれません。

 もはや、強さなど二の次。いかに“それっぽい”か、いかに“独創的”かが楽しくなってくるのが本作の真髄。自身のワードセンスそのものが、この世界の常識となる。この感覚、一度味わえば病みつきになること間違なしです!

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▲筆者が叩き出した最高ダメージのワード“巨麗終斬”

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