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インタビュー:『バイオ レクイエム』は『バイオ7』に近い探索重視の作りに。武器の種類や周回要素の有無、恐怖表現のこだわりとは?【TGS2025】

文:Ak

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 2026年2月27日に発売予定のPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ソフト『バイオハザード レクイエム』のインタビュー記事をお届けします。

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▲ディレクター 中西晃史氏(左)、プロデューサー 熊澤雅登氏(右)。

全体的には『7』のような探索重視の作りになっている【バイオレクイエムインタビュー】


――今回プレイさせていただいた体験版は、非常にホラーに特化した内容でした。ゲーム全体におけるアクションとホラーの比率というのは、どのようにお考えでしょうか。

中西
体験版でお見せしたのは、物語の序盤、主人公のグレースがまだ戦う手段を持たず、“逃げる”、“隠れる”しかないという、ホラーに特化したシーンです。ゲーム全体としては、もちろんこのあと、武器などを手に入れて敵に抗えるようにはなっていきます。

 方向性の話になりますが、『バイオハザード』シリーズには大きく分けて2つのタイプがあると考えています。『4』や『5』、『ヴィレッジ』のような、アクションやガンシューティングに寄ったタイプ。そして、初代や『RE:2』、『7』のような、じっくり探索していくタイプです。

 後者はもちろんゾンビを倒したり戦闘はありますが、ゲームのペースは前者よりだいぶスローな感覚だと思います。『レクイエム』はこっちです。探索型のスタイルになります。

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――なるほど、探索を重視したサバイバルホラーということですね。

中西
はい。少しややこしいのですが、『7』に近いスタイルでありながら、今回のメインの敵は“感染者”……いわゆる“ゾンビ”になります。シリーズにはプラーガやカビなどさまざまな敵が登場しましたが、『レクイエム』ではゾンビがメインです。

 ですので、メインの敵がゾンビである、初代や『RE:2』のスタイルのゲームプレイを目指している、ということになります。

――『ヴィレッジ』では巨大なモンスターとの派手なボスバトルが印象的でしたが、本作ではそういった要素は控えめになるのでしょうか。

中西
ボスバトルはもちろんあります。ただ、ゲームの進め方のイメージが異なります。『4』や『ヴィレッジ』は、どんどん先に進みながら敵を倒していくイメージだと思います。

 対して初代や『RE:2』は、閉鎖空間の中を自分で探索して行動範囲を広げていく。弾も少ない中で、「こいつは倒しておこうか」「こいつは後回しにしようか」といった判断をしながらプレイする、まさにサバイバルホラーです。『レクイエム』はこちらの方向性ですね。その進行の中で、ボスバトルももちろん登場します。

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――恐怖表現へのこだわりについてお伺いします。過去作と比較して、本作のビジュアル面でパワーアップした工夫はありますか?

中西
1つわかりやすいのは“光と闇の表現”です。ホラーにおいて暗闇は非常に重要で、その階調の加減や、暗闇の中での光の見え方といった表現を、これまで以上に突き詰めています。ハイエンド環境限定にはなりますが、レートレーシングやパストレーシングといった技術も活用し、今までとは違う見え方になっていると思います。

熊澤
恐怖表現という点でもう1つ付け加えますと、今回、グレースが倒れているシーンなどで見られる“汗の表現”にもこだわっています。ものすごい油汗をかいているのですが、そういった部分からも、怖がりなキャラクターであるグレースの心情を感じていただけるのではないかと。プレイヤーの感情を煽るような表現にもなっていると思います。

グレースの視点からシリーズ未経験の人でも楽しめる【バイオレクイエムインタビュー】


――主人公のグレースが“怖がり”という設定ですが、これはプレイヤーがキャラクターと一体となって怖がることができる、という意図があるのでしょうか。シリーズ未経験者の獲得も視野に入れていますか?

中西
獲得というと少し嫌らしい言い方になってしまいますが、シリーズを知らないことで「自分は100%楽しめないんじゃないか」と感じるお客様がいらっしゃるのは事実です。その点で、今回のグレースも、ああいう気持ちの悪い存在を見るのは初めてなんです。だからこそ、プレイヤーとまったく同じ視点で物語を楽しむことができる。そちらの方を重視しています。

 そして、この“怖がりなキャラクター”という設定には、もう1つのポイントがあります。『バイオハザード』は、ただ逃げたり隠れたりするだけのゲームではありません。そうしたキャラクターが、自分の力で武器やアイテムを必死に手に入れ、少ない物資をやりくりしながら、自分より遥かに怖い敵を乗り越えていく。その中で経験を得て強くなり、最終的には敵を倒す。この“気持ちよさ”が、『バイオハザード』の非常に大きな魅力だと考えています。

 グレースも、最初は体験版のようにものすごくビビっていますが、経験を積むなかでだんだん立ち向かえるようになり、なんなら少しキレるぐらいにまでなっていきます。その成長をプレイヤーが一緒に経験できるというのが、『レクイエム』の魅力です。

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――一方で、本作はシリーズ初期の設計思想を意識されているとのことで、熱心なファンでないと楽しめないのではないか、という懸念を持つ方もいるかもしれません。

中西
そこは明言しておきます。過去作を一切知らなくても、『レクイエム』のストーリーと体験は100%楽しめます。そのうえで、もちろん過去作に出てきた要素がちらっと登場することもあります。それを知っていれば、より深く楽しめる、という作りになっています。

 ですから、『レクイエム』を先に遊んで、「あれは何だったんだろう?」と興味を持って過去作をプレイしていただくのもいいですし、逆に過去作を予習してから「ああ、こいつはあの時の!」と楽しむのもいい。あるいは、詳しい“バイオマニア”の人に聞けば、きっと嬉しそうに説明してくれると思います。少し話が長くなるかもしれませんが(笑)。

 なにせ30年続いているブランドなので、世界観が本当に深いんです。その入り口として、『レクイエム』は最適なので、ぜひ遊んでいただければと思います。

武器には男臭いリボルバーやナイフも存在! 周回要素も用意【バイオレクイエムインタビュー】


――戦闘手段についてですが、トレーラーではグレースがハンドガンを持っているシーンがありました。武器のバリエーションはどのようになっていますか?

中西
先日公開したセカンドトレーラーのなかに、ワンカットだけ、イカつい武器が映っていました。あれはリボルバーなんですが、じつは今回の『レクイエム』を象徴する武器の1つとして作っています。

 華奢でビビりな女の子が、男臭いリボルバーで戦うというロマンもありますし。もちろん、それ以外にも銃以外の戦う手段も出てきます。定番で言えばナイフのようなものも当然あります。

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――怪物に対する新たな排除手段が用意されているというお話もありましたが、これは武器に関連するものですか?

中西
はい、あります。ただ、このあたりはあまり言葉だけで説明するよりも、今後ゲームプレイ映像をお見せする際に、映像と合わせて説明させていただく方がわかりやすいかと思います。言葉だけが先走って誤解を与えてしまう可能性もありますので。

――本作は周回プレイも楽しめるような設計になっているのでしょうか。

中西
『バイオハザード』シリーズは周回プレイをされる方が多いので、そのための要素は『レクイエム』でも同じように用意しています。

 そして、過去作と1つ違う点として、本作ではカメラ視点を切り替えられるようにしました。主観視点と三人称視点、両方でプレイ可能です。

 実際にプレイしてみると、やり心地がけっこう違うんですよ。なので、トロフィーコンプリートを目指すついでに、「今度は違う視点でやってみようか」といった楽しみ方も十分にできるようになっています。

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――視点によって、ストーリー体験の楽しみ方も変わってくるのでしょうか。

中西
ストーリーライン自体は変わりませんが、やはり見え方と感じ方がまったく違います。私たち開発スタッフがプレイしていても新鮮な感覚になるほどです。

――本作はマルチプラットフォームで展開されますが、ハードごとの差が出ないような工夫はされていますか?

中西
カプコンでは、最近のタイトルはPC版も同時発売で開発を進めています。そのため、開発の考え方として、初めからスケーラブルな設計をしています。ゲームのコンテンツをそれぞれのハードウェアプラットフォームに合わせて最適化していく、という考え方です。その際に解像度やフレームレート、シェーダーの品質などを調整します。

 ですので、特定のハードに合わせてゲーム内容を縮小する、ということは一切ありません。ゲームの要素は一切変えずに、各プラットフォームで最適に遊べるように設計しています。体験はどのハードでも同じで、見た目などがそれぞれ違うという作りになっていますので、そこはご安心ください。

日本と海外では視点の選択に違いが!【バイオレクイエムインタビュー】


――海外のゲームショウと日本のTGSとで、来場者の反応に違いはありましたか?

熊澤
反応という意味では、カメラ視点の選び方に少し違いが見られました。日本の方のほうが、三人称視点を選ぶ方が若干多いかな、という印象です。

中西
これはおそらく、これまで遊んできたゲーム経験の違いが大きいのかもしれません。私の世代だと、最初に触れたのが『DOOM』なのか『ドラゴンクエスト』なのか、というような。ただ、今の若い世代は『マインクラフト』で育ち、『Apex Legends』をやり込んでいるので、この文化も少しずつ変わってきているのかもしれない、という興味もありますね。

 海外のプレイヤーからのフィードバックは、本当に細かいところまで見てくださっているなと感じます。「ここのテクスチャは再生成版ですか? 少しずれていますよ」とか、ぶら下がっている電気の曇り加減が「素晴らしい、パーフェクトだ」とか(笑)。よく見てくれているなと、嬉しくなりますね。

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――最後に、シリーズ30周年に向けて、お2人がやってみたいことをお聞かせください。

熊澤
これからも『バイオハザード』シリーズを続けていきたいという気持ちはもちろんあります。その中で、ストーリーを続けたいというよりも、ユーザーに“新しい体験”を届けたいという気持ちが強いです。今は『レクイエム』の開発に集中していますが、何か新しい体験を考えたいなと思います。

中西
僕は、とりあえずこれを仕上げることに本当に集中しておりますので(笑)。今後のことは、また考えていければなと思っています。

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