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『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』35周年を迎えたファミコン史に輝く“なんでもあり”の運動会。目的は“友達の妨害”? 幼少期の魂を揺さぶる“くにおくん”の魔力【メモリの無駄づかい】

文:sexy隊長

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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は1990年にファミリーコンピュータで発売された『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』を語ります。

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FC『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』とは?

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 1990年10月12日にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売され、今年で実に35周年を迎えた、あの伝説的アクションゲーム『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』。

 本作は、くにおくんがキャプテンを務める熱血高校をはじめとする個性豊かな4チームが、優勝を目指して競い合うアクションゲーム。しかし、そこは『くにおくん』ワールド。ただのスポーツで終わるはずがありません。

 競技は「夢見町クロスカントリー」「障害部屋競走」「棒の上の玉割り競争」「勝ち抜き格闘大会」という、名前を聞くだけで血が騒ぐ4種目。

 クロスカントリーではライバルを殴って蹴ってコースアウトさせ、障害部屋ではギミックを突破し、玉割りでは棒の上で熾烈な殴り合いを演じ、最後はガチの格闘大会で雌雄を決する! まさに「なんでもあり」のルール無用な大暴れが、本作最大の魅力です。

 しかし、本作の奥深さはそれだけではありません。登場する選手にはさまざま能力が細かく設定されており、それぞれに得意・不得意があります。

 どの競技にどの選手を起用するか。パワータイプを格闘大会に温存するか、足の速いあいつをクロスカントリーで勝負させるか……。プレイヤーのアクション操作の腕はもちろん、監督としての“采配能力”も勝利の鍵を握るといった、単なるバカゲーに見えて、実は熱い戦略性が隠されているのが魅力的。

 この絶妙なゲームバランスこそが、発売から35年経った今もなお、多くのファンの心をつかんで離さない作品です。

本作の目的は勝利にあらず。友の断末魔を聞くことにあり【ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会】

 40代のみなさん。我々が過ごした“あの頃”、夢中になっていたものは何でしょうか?

 放課後の校庭を駆けたサッカー? 秘密基地で読みふけったマンガ? ……いいえ、筆者の幼少期は『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』で、いかにして友人を“ハメて”失格させるかに捧げられていました。

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 本作は、表向きは「様々な競技でポイントを競い、優勝を目指す」という作品です。ですが、そんな“お行儀の良い”プレイを楽しんだのは初日だけ。すぐに地元の友人たちと開眼したのは、本作の華である“障害部屋競走”でした。

 もちろん、この競技で1位を獲ることなど目標ではありません。

 我々のミッションはただひとつ。ステージのゴール手前で武器片手に仁王立ちし、ひたすら待ち伏せすること。そして、ゴールを目指す友人を、ただただ奈落の底へ叩き落とすことでした。

 うまくハメた瞬間、すぐ隣から聞こえる友人の悲痛な叫び! あの悪魔的な喜びは、幼少期の思い出のはずなのに、昨日のことのように鮮明に蘇ります。

 しかし、この「ハメ殺し戦法」には致命的な弱点がありました。そう、ハメられた側が本気で怒り出すこと。

 ゲーム内ではどうにもならなくなり、矛先は当然コントローラーへ向かいます。「ちょっと待て!」という制止も聞かず、リアルにコントローラーを奪い取って中断させようとする、あの“場外乱闘”が始まることもしばしば。

 なぜなら、失格=リタイアになると、その競技が終わるまで、文字通り“傍観者”になるしかないからです。あの、手も足も出せずにボーッと画面を眺めているだけの虚しさ、哀しさといったら……。

 あんな思いをしないために、我々はコントローラーを奪ってでもステージを突破するといった“リアルファイト”を開始するのです。ああ……懐かしい。

 数年前に友人たちと集まり、本当に久々に本作をプレイする機会がありました。プレイして驚きました。これが、ビックリするぐらい色褪せずに楽しい!

 プレイスタイルは変わらず、誰もゴールテープを目指しません。始まった瞬間から、まるでプロレスの場外乱闘。いかにして相手の体力をゼロにし、失格に追い込むか。全員がその一点に全力を注いでいました。

現代だからこそ、大運動会をさらに熱くする【ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会】

 ただひとつ、当時と決定的に違ったこと。それは、我々が“ネットという文明の利器”を手に入れていたことです。

 当時は体感でしかわからなかった各選手の能力値が、今や詳細に解明されています。

 「あれ? 当時こいつ弱いと思ってたのに、実はこの競技だと最強じゃないか!?」 「この武器、こんな特殊効果があったのか!」

 そんな新発見が、懐かしのゲームに“戦略性”という新たなスパイスを加えてくれました。正直、当時以上にゲーム全体を深く楽しめたかもしれません。

 本コラムを読んで、「あー!やったやった!」「好きだったなぁ」と、心の“くにおくん”が騒ぎ出したみなさん。

 ぜひ、もう一度プレイしてみてください。あの頃の友情と、白熱したバトル。意外なほど、当時よりも熱く、深く楽しめることを保証します!

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