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『オクトラ0』はクリアまで100時間を超える? 異常なほどのこだわりが生み出したモノ【ストーリーインタビュー後編:オクトパストラベラー0】

文:タダツグ

公開日時:

最終更新:

 スクウェア・エニックスの人気シリーズ最新作『オクトパストラベラー0』の発売日である12月4日が間近に迫ってきました。今回は、プロデューサーの鈴木裕人氏とシナリオライターの普津澤画乃新氏にインタビューを実施。スマートフォン用ゲーム『オクトパストラベラー 大陸の覇者』をベースにしつつ、コンシューマタイトルとして新たに作り直された本作の開発秘話や、シナリオ面での新たな挑戦について語っていただきます。

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 後編となる今回は、バトルバランスやプレイのボリューム感についておうかがいしました。まだ発売前ということで核心に迫るネタバレはありませんが、ベースとなった『オクトパストラベラー 大陸の覇者』のストーリーにかんして、いくつか踏み込んだ記述がございます。最大限の考慮はしておりますが、少しのネタバレでも気になるという方はご注意ください。

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▲プロデューサーの鈴木裕人氏(写真左)とシナリオライターの普津澤画乃新氏(写真右)。

■インタビュー前編はこちら

ムダな経験値稼ぎは必要なし? スピード感とやりごたえの両立を目指すバトルバランス


──インタビューの前編で、バトルの多様性を高くしたというお話がありましたが。キャラクターに自由にアビリティをセットできる“セレクトアビリティ”などの新要素が増えたぶん、戦闘バランスの調整はたいへんだったのでは?

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鈴木裕人氏(以下、鈴木)
ええ、まさしく(苦笑)。ただでさえ長い物語ですし、実は開発当初は「シンプルで簡単なバランスにしましょう」と話していた時期もありました。でも、あまりにも簡単すぎると、オクトラシリーズのバトルに期待される体験とも離れてしまうんですよね。自分自身、それほどゲームが上手なほうではないのですが、最初のテストプレイ中に物語上で立ちはだかる強大なボスにあっさり勝ててしまい、ディレクターの木寺や開発チームと話し合ったうえで全体バランスを見直してもらいました。最終的には、ゲームとして緊張感を味わえる難易度になりつつも理不尽に感じない、納得感と工夫のしがいのあるレベルデザインに仕上げてもらえたと思います。

──『大陸の覇者』も含めて、『オクトラ』シリーズといえば歯ごたえのあるボスバトルも楽しい部分だと思っています。あまりにも歯ごたえがないとガッカリな部分もありますし、バランス調整は英断だったのでは?

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鈴木
ありがとうございます。ただ、お忙しい方も多いと思いますし、先ほども言ったようにストーリーのボリュームも多いので。開発チームには「ちゃんと『オクトパストラベラー』らしい歯ごたえを残しながら、ムダなレベル上げはしなくても進めるバランスにしてほしい」というオーダーを出しました。

──なかなかの無茶ブリでは(笑)。でも、ストーリーをじっくり楽しみたい人もいるでしょうし、ムダな経験値稼ぎが必要ないのはうれしいですね。

鈴木
そうやってストレスは軽減しつつ、要所でプレイヤーの前に立ちはだかるボス敵には一定の歯ごたえがないと、旅の達成感が味わえませんからね。僕も最終版のテストプレイで、あまり準備をしない状態でとあるボス敵に挑んだことがありまして。ギリギリの激闘を繰り広げ、なんとか撃破した時には思わずガッツポーズが出たりしました。そういったRPGとしてのヒリヒリ感にもこだわっています。

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──仲間同士でシナジーが出る組み合わせを見つけられれば難易度も変わってきそうですし、バトルパートも楽しみですよ。

鈴木
『オクトラ』シリーズは“ブレイク&ブーストで弱点をつけば倒せる”というルールがわかりやすいのも良いですよね。『オクトラ0』では更に8人編成パーティで取りうる手段も多いので、仲間同士のシナジーやキャラクターごとの個性や必殺技の使いどころをしっかり考えたり、セレクトアビリティで長所を伸ばしたり短所を補ったりすることで、しっかりとクリアできるバランスになっています。試行錯誤をぜひ楽しんでいただきたいですね。また、タウンビルドを進めることでも冒険は楽になりますので、困ったら復興の物語を進めてみてください。

――ちなみに『大陸の覇者』では“全てを極めし者編”の終盤くらいでキャラのレベルが当時のMAXに近い状態、アビリティなども揃っていたバランスだったと記憶しています。本作についてはどうなるのでしょう?

鈴木
具体的なところは伏せますが、そのタイミングではレベルMAXには全然至りませんね。ただ、だいたい各キャラ固有のアビリティはすべて習得できて、選べる手数が多い、くらいの調整になっています。それ以降になると、セレクトアビリティや必殺技の使い分けが楽しくなってくるんですよ。ここからが『オクトラ0』におけるバトルや編成の真骨頂といえるかもしれません。

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──序盤にパーティに加わる仲間と、終盤で仲間に加わる仲間には、大きなレベル差があったりするのかも気になります。最初から一緒にいる仲間と最後まで戦い抜きたいってプレイヤーも少なくないと思うんですよね。

鈴木
そこらへんはしっかりバランスを取っていますし、プレイヤー次第なところもありますね。セレクトアビリティによる強化で、序盤に登場したお気に入りキャラをずっと使い続けることは可能ですよ。一方で、後半に仲間になるキャラクターも固有技やユニークな必殺技を所持していますし、レベル1からの加入というわけでもないので、即戦力として活躍させやすい設計にしています。カスタマイズ性も非常に高いので、編成を考えるのが楽しいと思いますね。

──それだけカスタマイズ性が高いとなると、逆に各キャラの個性が薄れてしまいませんか?

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鈴木
そこは木寺Dを中心にしっかり考えてくれて、すべての技がセレクトアビリティとして使用できる形にはしていないんですよ。“このキャラクター固有の技”というものはちゃんと存在しており、それがキャラクターのアイデンティティにつながっています。必殺技も、万能なものから使いどころが限られるぶん強力なものまで本当に幅広いので、ぜひ色々な組み合わせを試してみて、お気に入りのパーティや戦略を考えてみてもらえれば!

本作には“親交度”が存在! お2人のお気に入りキャラクターも聞いてみた


――お話をお聞きしてきて、キャラクター同士の関係がどう変化していくのかも興味がわいてきました。本作には“友好度”のようなシステムなどはあるのでしょうか?

鈴木
はい。これはシリーズ初の試みですが、仲間としてタウンに移住できるキャラクターには“親交度”が存在します。タウンを一定まで復興させると解放される機能なのですが、親交度は3段階ぐらいありまして、フィールドコマンドの“さらに聞き出す”が大きくかかわってきます。

──本シリーズならではのフィールドコマンドにそんな使い道が……。その発想は面白そうですね! 

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鈴木
この“さらに聞き出す”ができるようになる条件も多彩ですよ。たとえば各キャラには好きな料理があったりしまして、その料理を作ってあげることで親交度が上がったりします。仲良くなったキャラとは“パーティチャット”が楽しめるようになるなど、ちょっとしたやり込み要素になっています。

──キャラクターとの交流まで遊びつくそうとしたら、かなり時間がかかりそうですね。

鈴木
レアな料理やアイテムを要求してくるキャラクターもいるので(笑)。全員分のパーティチャットを見るのは簡単ではないかもしれませんね。

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――発売前ではありますが、お2人にそれぞれのお気に入りキャラクターを教えてもらってもよろしいですか?

普津澤画乃新氏(以下、普津澤)
それぞれに愛着がありますが……ネタバレを避けるために名前を伏せつつお話しすると、僕はやっぱり物語の中核にいるあのキャラクターですね。今の自分が、彼ともう一度向き合う機会をいただけたのは心からうれしかったです。

鈴木
普通に考えたらなかなかないですよね、こんな機会って。ひとえに、コンシューマ化を願ってくださったプレイヤーの皆さんのおかげだと思います。

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普津澤
たくさんの方に愛していただけているキャラなので、もう一度向き合う機会がもらえたのは光栄なことです。本当にありがとうございます。シナリオライターとしてやっぱり一番思い入れがありますね。

──いったいどのような物語が待ち受けているのか期待してしまいます。では、鈴木さんはいかがでしょう?

鈴木
新たな登場キャラクターたちから選ぶとしたら、主人公の幼なじみであるスティアが好きですね。彼女は町の復興の中心を担う建築士であり、復興の象徴のようなキャラクター。主人公が歩む旅路において心の中でも実際の町の中でも拠り所になってくれる、とても素敵な人物です。物語のなかで主人公は様々な選択を迫られることになりますが、どんな道を歩もうと彼女は常に寄り添ってくれるという安心感があります。

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▲建築士のスティア(CV:戸松 遥)。

──そんなスティアをパーティに加えて一緒に戦うこともできるんですよね?

鈴木
もちろん! 序盤からパーティに加入してくれますので、個人的にはなるべく一緒に旅をしたいなと思っています。かなり頼れるキャラクターなので、ぜひ皆さんの旅にも連れて行ってあげてほしいですね。

普津澤
新キャラクターから選ぶとすると……僕はフェンかな。頼れるお兄ちゃんであり、ひたすらいい奴って感じです。ただ、責任感が強い分、町を守れなかった心の辛さのようなものもあり、重い感情と向き合うタイミングもありますね。

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▲狩人のフェン(CV:笠間 淳)。

──やっぱり新たな物語となる復興編でも重い展開はありますか。

普津澤
それはもう……。ネタバレはできませんが、やはり故郷を滅ぼされているわけですから、みんな大なり小なり心に闇というか、暗いものを抱えている部分はあります。大きな喪失があったんだから、なんの葛藤もなしに前には進めないだろうと。だけど、みんなそれに向き合いながら前を向き、強くなりながらもう一度町を復興していく……そんなキャラクターたちの物語を描かせていただきました。

──それを聞いてしまうと、ウィッシュベールの町は是が非でも復興してあげなくてはならないという使命感が燃えてきました。

異常なほどの情熱が注がれたプレイボリューム。クリアまでは100時間超?


――最後に気になるところとして、本作のプレイ時間があります。お話を聞いたかぎり、かなりのボリュームになっていると予想していますが、具体的にはどれくらいのプレイ時間になりそうですか?

鈴木
遊び方によってバラツキはあると思いますが、普通に進めると100時間くらいですかね。もちろん80時間ぐらいでクリアできる人もいるとは思いますが、目安として80~100時間ぐらいだとお考えください。サブクエストも充実していますし、タウンビルド要素も豊富。タウンにすべてのキャラクターを集めようと思ったらかなりの時間がかかると思いますよ。装飾品などもたくさんの種類がありますので、やり込み派の方にはぜひコンプリートしていただきたいです。

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――やり込み要素といえば、クリア後の隠しボスなどにも期待できるのでしょうか?

鈴木
そこを明言するのはまだ時期尚早な気もしつつ(苦笑)。クリア後の世界もしっかり旅していただけたら、何か新しい発見があるかもしれませんね。ぜひ遊びつくしてもらえればうれしいです。

――最後にこの『オクトラ0』を待っているファンの方へのメッセージをいただけますか? まずは鈴木さんからお願いします。

鈴木
本作は“ゼロ”の名を冠するシリーズの前日譚であり、自分自身を“ゼロ”から創るまったく新しい『オクトパストラベラー』でもある……そんな想いを込めて開発を進めてきました。『大陸の覇者』という膨大で、かつ高い評価をしていただいた物語を内包しつつ、それを超える面白さとして楽しんでいただけるよう、ストーリーラインからレベルデザインまで、さまざまな部分に手を入れています。自分で言ってしまうのはなんですが、膨大な時間と、そして普津澤さんや木寺をはじめとしたたくさんのスタッフたちの異常ともいえる情熱が注がれたタイトルです。シリーズのファンの方や『大陸の覇者』のプレイヤーはもちろん、『オクトパストラベラー』をまだ知らない方でもしっかり楽しめるゲームになっていると思いますので、ぜひ手に取っていただいて、年末年始に遊びつくしてください!

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普津澤
鈴木さんは“情熱”と表現してくれましたが……僕にとっては“怨念”みたいな想いも注ぎ込んで、もう一度この物語に向き合うことができました。自らの中にある何かを削って書いたものがこうしてゲームになり、触れていただけるのはうれしい反面、心の奥底を覗かれるようなもどかしさもありつつ……(笑)。『大陸の覇者』を遊んでいただいた方には物語がどう生まれ変わったかを見ていただきたいですし、初めて遊ぶ方にはこの世界を純粋に楽しんでいただきたいです。良き旅を!

――本日はお忙しいなか、どうもありがとうございました!

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