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新作ADV『虧月の夜(きげつのよる)』最速レビュー。昭和の農村で繰り返される大量殺戮、死んでは戻るタイムリープサバイバルホラー

文:信濃川あずき

公開日時:

 1月29日にエディアより発売されるSwitch用ソフト『虧月の夜(きげつのよる)』の最速レビューをお届けします。

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 本作は、『ギャラクシーエンジェル』シリーズや『.hack』など多くのアニメ作品のプロデューサーを務めた森本浩二氏が原案を務めるタイムリープサバイバルホラーADV。

 昭和初期の農村を舞台に、閉鎖的な村社会の闇と大量殺人事件の真相に迫っていく物語です。ストーリーはアドベンチャー形式で進んでいき、ところどころで選択肢が登場。選択によっては意外な展開も……?

 この記事では、序章から第一章までのプレイレポートをお届け。なお、
第一章終了付近までのネタバレが含まれますのでご注意ください。また、本作にはやや刺激の強い描写が含まれます。

『虧月の夜』主要キャラクター


 まずは物語のカギを握る、主要な登場人物たちを紹介します。

主人公

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 高校最後の夏を、蛇塚村(へびつかむら)山奥の合宿所で開催されている受験合宿に費やしていました。しかし、限界を感じて深夜、合宿所から脱走します。

遠井 盈(とい みつる)

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 主人公が転生し、憑依状態になっている少年です。左目を失っており、さらに声を出すことができません。また、長い幽閉生活から身体が弱く、体力もなし。さまざまな制約を抱えた中、日々の出来事や気持ちを日記に書き残すことを習慣にしています。

遠井 虧(とい かける)

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 盈の双子の兄。弟を異常なほど大切にしており、その献身ぶりはどこか危うさすら感じさせます。同じ双子なのに、彼は自由な行動を許されているようです。盈よりまともな暮らしをしてきたのか健康的で、村の女性たちも認めるイケメン。

蔓草 天獄(つるくさ てんごく)

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 密教“姮娥奠教(こうがてんきょう)”の教祖。村人の負の感情を利用して信者を増やし、双子を災いの元凶として生贄にしようとする人物です。他にも何か企んでいそうで、胡散臭さ山盛りです……。

蔓草 茜(つるくさ あかね)

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 白系ロシア人の血を引く少女。人の心を読む不思議な力を持ち、手話を使わずとも盈と意思疎通ができます。蔓草天獄の養女。姮娥奠教の巫女をさせられています。教祖の養女であるにもかかわらず、盈を気にかけているようです。

『虧月の夜』最速レビュー

逃げ出した夜、たどり着いた供養塔

 主人公は受験を控えた高校生。両親からの期待に応えられず、周囲についていけない自分に限界を感じていました。高校最後のこの夏も、山奥の合宿所で勉強に励む日々。しかしある夜、ついに限界を迎えた主人公は合宿所を脱走します。夜の山道をさまよい歩いた先で見つけたのは、蓮の花に囲まれた供養塔でした。

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 “昭和十三年”と刻まれた供養塔。ここは、かつて“蛇塚三十人殺し”という凄惨な事件が起きた蛇塚村だったのです。供養塔に手を合わせた瞬間、激しい頭痛とともに「つながっちゃったね」という声が聞こえ、主人公の意識は闇に沈みます。

目覚めると冷たい地下牢

 「おきてよ」という声で目を覚ますと、視界に入るのは鉄格子。どうやら牢屋に閉じ込められているようです。間違いなく屋外にいたはずなのに……主人公とともに筆者も混乱してしまいました。

 主人公は独り言をつぶやこうとして、声が出せなくなっていることに気付きます。視界もやけに狭い。周囲を調べると一冊の日記帳を発見し、その中に手話の一覧表が挟まっていました。主人公は手話を習ったことがないはずなのに、なぜか身体に染みついているように理解できます。

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 日記の日付は昭和十三年。供養塔に刻まれていた年号と同じでした。日記には“左目も失い、声も出ない”という記述があり、主人公は自分が盈という少年に転生してしまったことを悟ります。

 さらに日記を読み進めると、衝撃的な事実が記されていました。村で生まれた双子は片方しか生き残ることが許されない。この村では、双子は忌み子として蔑まれていたのです。

双子の兄、再会かつ初対面

 牢屋に、毛布を差し入れるため双子の兄・虧がやって来ました。彼は異常に盈を心配し、まるで愛する女性に触れるかのような手つきで頬を撫でます。心配してくれているのにごめんなさい、ちょっとだけ……こわい。

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 手話で今日の日付を尋ねると「昭和十三年五月二十日」との返答。やはり、主人公は過去に来てしまっていました。

 虧によると、盈は蔓草天獄によってあと数時間後には火あぶりにされてしまう予定だといいます。助けてほしいと懇願すると、「今はここで待っていてほしい、やらなきゃならないことがあるんだ」と言い残して虧は立ち去りました。

狂った村、惨劇の夜

 ひとり残された主人公は、時間を有効に使うため盈の日記を読み返します。日記には、姮娥奠教がのさばってきた経緯が記されていました。

 村人の様子が普通ではない。笑っているのに冷たくて、目が死んでいる。双子が生まれたからこの村はおかしくなったと言いがかりをつけられ、遠井家は村八分にあっている……。目を背けたくなるような内容です。

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 そこへ、茜が訪ねてきました。彼女は人の頭の中を読む力を持っており、手話不要で会話ができます。楽ですが、見透かされているようで怖くもありますね。

 茜は盈に生きてもらいたいと言い、お守りを手渡します。彼女の首巻きの下にある傷痕を目にした主人公は、茜が巫女でありながら村人から虐待を受けているに違いないと察しました。そして、この村が狂っていることも改めて実感したのです。

 虧がなかなか戻らないまま時間が過ぎます。主人公も筆者も不安がピークの頃、突然血まみれの男が現れて目の前で息絶えます。落ち着く間もなく続いて現れたのは、白い外套の男と四つん這いの“何か”。男は牢屋を壊すと、盈には手をかけずに立ち去りました。

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 牢屋から出た主人公は、白い外套の男が残したであろう血の跡をたどって坑道を進み、なんとか外へ脱出。しかし、村はすでに炎に包まれ、あちこちで人が血を流しています。

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 村の外へつながる吊り橋を目指して逃げる途中、ふたりの幼い子どもがひとつになったような異形の影が現れました。異形は村人の女を指さし、「ころせ」と命じてきます。「わたしたちみたいになりたくなかったら」と。

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 主人公は殺さない選択をしますが、「だったらしんでもらわないと」の言葉とともに、頭に衝撃が。意識が途切れ、事件の死亡者リストが流れます。そこには、盈の名も……。

二度目の転生……?

 目を覚ました主人公は、畳の部屋にいました。燃える村、血の臭い、そして殺された記憶は残っています。左目はなく、声も出ない。まだ盈のままでした。

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 日記を見つけると、最新の日付は五月十四日。前回の地下牢で見つけた日記は五月二十日でしたから、つまり惨劇まで数日の猶予があることになります。主人公は転生とタイムリープを確信。また同じ死を迎えるのかと怒りを覚えながらも、その運命を回避するための行動を開始します。

 部屋を出ると、そこは遠井家の離れでした。忌み子として押し込められていた盈の境遇を想像しつつ母屋へ忍び込みますが、すぐ女中に発見されてしまいます。さらに姮娥奠教の信者たちがやってきて、盈を連行すると言うのです。

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 「本来、忌み子は七つまでに神の元に還さねばならない」「村長の息子とはいえ、例外は許さん」信者たちは口々にそう盈を責め立てます。虧が割って入りますが、結局盈は地下牢に閉じ込められてしまいました。

“前回”の記憶を活かして

 もはや過ごし慣れた地下牢にまた閉じ込められてしまいますが、今回はまだ時間があります。主人公は、前回の経験をもとに生き延びる方法を模索します。

 五月十九日、茜が訪ねてきました。主人公は彼女に、村人の名簿と地図を持ってくるよう依頼。名簿があれば味方を判別でき、地図があれば確実な逃走ルートを見つけられるかもしれません。

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 また、読み書きができず村から迫害されていた蔵元という男にも、茜に仲介してもらって接触。「明日未明、村が闇に包まれる。この通りになったなら力を貸してほしい」と説得を試みます。主人公は前回の記憶から、殺人鬼が変電所で送電を止めてから事件を起こしていると推測していたのです。

 茜の情報収集、蔵元の説得。前回とは違う行動を起こしたことで、展開も変化していきます。前回は現れなかった蔓草天獄が姿を見せ、逆に毛布を差し入れに来たはずの虧は現れませんでした。一度目の記憶だけが頼りなのに、同じ展開にならないのは嫌な予感がしますね……。

避けられない二度目の惨劇

 五月二十一日午前一時。蔵元は茜に牢屋のカギを渡し、逃げていったとのこと。ギリギリですが、約束は守ってくれたようですね。主人公の見立て通り、根は優しい人だったようです。

 牢屋を出た主人公は、茜を伴って山奥へ逃げます。しかし、そこには逃げ延びてきた村人が身を潜めており、主人公を見て「忌み子!」「おまえのせいで!」と殺気立っています。

 あまりにも危険。ここは通ることができないと判断します。こんな時なのに助け合わないのか……と、少し呆れちゃいますね。それだけ、忌み子のしきたりが重いのでしょうか。

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 ふたりは仕方なく村に引き返し、遠井家の離れを目指します。屋敷に入ると、廊下にブーツの足跡が。奥では女中のチヨが震えていました。そのとき、雨戸が壊されて白い外套の男が現れます。主人公は、この男は蔓草天獄に違いないと信じ込み、怒りを向けました。

 白い外套の男は、銃でチヨの頭を撃ち抜きます。そして、声を発しました。……その声の主は、主人公が思っていた相手とは違っていたのです。

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 刃が振り下ろされ、視界が闇に染まります。どこからか「まだおわりじゃないよ」という声。そして、主人公はまた“あの時”へと――。

繰り返すたびに深まる謎

 自分の進路を親に定められ、山奥の村で行われる合宿に押し込められた主人公。そして、双子の弟としてうまれたというだけで忌み子とされ、離れに閉じ込められていた盈。どちらの境遇も、考えただけで胸が締め付けられます。

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 そして……主人公が無理矢理頑張らされていた受験勉強で得た知識が、ときどき役に立つのがめちゃくちゃ皮肉。でも、使えるものはなんでも使って、死のループ“死に戻り”から抜け出さなくてはなりませんね。

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 主人公は合宿所からの脱走中、「もしも両親の敷いたレール通りに歩まなかったらどうなっていたか」など、自分の過去と将来を冷静に見つめる一面があります。そんな、達観して自分を第三者視点で考えられる主人公だからこそ、謎の転生、自分が盈になったことを意外と早く受け止められたような気がします。

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 どうして主人公は盈として昭和十三年に招かれたのか。なぜ死のたびにループさせられるのか。姮娥奠教とは何なのか。

 ……そして、このループを終わらせる方法は? 折り重なるいくつもの謎の答えは、ぜひ皆さん自身で解き明かしてください!

『虧月の夜(きげつのよる)』製品情報


メーカー:エディア
発売日:2026年1月29日(木)発売予定
希望小売価格
  • 通常版:5,280円(税込)
  • DL版:5,280円(税込)
対応機種:Nintendo Switch
ジャンル:タイムリープサバイバルホラーADV
プレイ人数:1人
CEROレーティング:D(17才以上対象)

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