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鈴木理香氏 最新作『ダークオークション』レビュー。欧州の古城を舞台に、とある独裁者を巡る謎めいたオークション…その目的と真実を探る珠玉のミステリーADV

文:まり蔵

公開日時:

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 古今東西のミステリー・サスペンス・ホラー系コンテンツを幅広く紹介するコーナー“まり蔵探偵事務所(まり探)”。

 今回は、1月29日に発売されたPS5/Switch/Steam向け新作ミステリーアドベンチャーゲーム『ダークオークション』のレビューをお届けします。

[IMAGE]※序章と第1章のストーリーに関するネタバレがありますので、ご注意ください。

“独裁者X”の影が見え隠れする仄暗い世界観【ダークオークション】


 本作は、名作ミステリーゲームと名高い『アナザーコード』や『ウィッシュルーム』を手がけた鈴木理香さんが原作&シナリオを担当する、完全新作のミステリーアドベンチャーゲームです。

 筆者は、東京ゲームショウ2025で本作の体験版をプレイしてその世界観に衝撃を受け、「製品版がリリースされたら絶対にプレイする……!」と心に決めていました。

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 本作の舞台は、1981年の欧州某国。“独裁者X”にまつわるアイテムを集めている父親レオナルド(CV:小山力也)とふたりで暮らす主人公のノア(CV:河西健吾)が、森の奥深くにある古城へ向かうところからストーリーは始まります。

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 第二次大戦中に“独裁者X”がお忍びで来ていた“ゲハイムニス城”で開催されるオークションに参加すると言っていたレオナルドを追って、古城へと向かったノア。彼はそこで、息絶えたレオナルドの姿を目の当たりにします。

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 オークショニアを名乗るオウム頭の男(CV:速水奨)によると、レオナルドは“黒革の本”を落札するため、“オレヴ協会”が主催するオークションに参加していたとのこと。

 父の死の真相と黒革の本の秘密を知るため、ノアはオウム男が提示した「すべてのオークションが成立するように協力しろ」というオーダーを受け入れます。こうして、奇妙なオークションに巻き込まれていくことに……。

 第二次大戦、独裁者……というと、やはりあのチョビ髭の指導者が思い浮かびますよね。“独裁者X”の影がちらついたり、人のよさそうなお父さんが突然死んでしまったりと、冒頭からなかなかの衝撃展開ですが、プレイしている身としてはこれからどんなオークションが展開するのかワクワクが止まりません……!

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医師、女優、貴族……個性的なオークション参加者たち【ダークオークション】


 オークションの参加者はレオナルドを含めて6人で、出品された品物はどれも“独裁者X”に関連したものばかり。参加者は金銭ではなく自身の“記憶”を提供して出品物を落札するという、少々変わった趣向のオークションとなっています。

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 オークションには、毎日ひとりずつ挑戦していきます。オークションを成功させるため、ノアはそのひとりひとりと対話を重ねて信頼を得ようとしますが、これがまたくせ者ぞろいで……。

 医師のエドガー(CV:浪川大輔)、女子高生のカルラ(CV:内田真礼)、貴族の末裔・クリストフ(CV:島﨑信長)、公務員のオットー(CV:武内駿輔)、そして女優のロレーヌ(CV:石川由依)と年齢も職業もバラバラの参加者たち。

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 いきなりエドガーとオットーが喧嘩をし始めたときは、この人たちと信頼関係を構築するなんてできるのかなぁと不安になりました。でもいろいろと拗らせてはいるものの実は気のいい人たちばかりで、会話を重ねて仲よくなると意外な一面を見せてくれることも。すごく懐いてくれるキャラもいて、ホッコリします。

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 あと、とにかく声優陣が豪華。どのキャラクターもボイスが素晴らしいので、ぜひ音声アリのフルボイスで会話をご堪能ください。筆者は浪川さんのボイスを聞き続けるため、ずっとエドガーと会話をしていたいと思いながらプレイしていました。

3Dの古城を歩き回り“探索パート”で参加者の記憶を調査せよ【ダークオークション】


 1日の基本ルーティーンは、起床して談話室で朝食を取った後、“探索パート”で参加者やオークションに関する情報を調査し、16時からの“オークションパート”で出品物を落札するという流れになります。

 なぜか朝食のメニューが毎回凝っており、今日はどんなメニューなんだろうと個人的に楽しみにしていました(笑)。

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▲パンケーキ、おいしそう……!
 探索パートでは、3Dの城内を移動しながら談話室や図書室、ダンスルーム、客室フロアに足を運んで参加者たちから話を聞いたり、記憶にまつわるアイテムを調べたりすることになります。

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 城内の客室フロアはかなりスタイリッシュな雰囲気で、ノアの泊まっている“鳩のフロア”は白を基調としたデザイン。オウム男の“オウムのフロア”は緑、エドガーの“フェザーのフロア”は青と、それぞれ異なるカラーとデザインになっています。

 各フロアと部屋には参加者に関係するアイテムが点在しているので、その辺りも見落とさずに調べていきたいところ。

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 また、探索パートにおいて重要な要素の1つが“図書室”です。今でいうところの“検索エンジン”の役割を担っていて非常に便利。1981年にスマホで検索なんてできませんからね。

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 図書室内にある端末に調べたいキーワードを打ち込めば、図書室の守り人であるヘル(CV:石田彰)がオークションの出品物などに関連する書籍を手渡してくれるというわけです。しかもヘルはノアのちょっとした相談にも乗ってくれて、かなり頼りになります。

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 個人的にイチ押しのキャラが、このヘルさんです。石田彰さんのボイスで長髪眼鏡キャラという筆者好みの要素がてんこ盛り。何を考えているのかイマイチわからないミステリアスな部分もまたいい!

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▲ヘルは、オークション参加者に関係する秘密の品が保管されている“秘密のギャラリー”についてもこっそり教えてくれます。

偽りのない真実の記憶を復元する“オークションパート”【ダークオークション】


 “探索パート”を終えると、16時からの“オークションパート”に移行します。

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 オークションでは、オレヴ協会が開発した“EPO”と呼ばれる記憶再現装置が使用されます。この装置を使ってさまざまな人々の記憶情報を分析し、まだ解明されていない歴史の新事実を明らかにすることがオークションを開催する目的のようです。

 レオナルドは“黒革の本”を落札しようとしてオークションに参加し、EPOの記憶再現に抵抗したため命を落としてしまいました。

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 “オークションパート”は4つのステージで構成。ファーストステージでやることは“記憶の抽出”。参加者の家族に関連する記憶を、曖昧なものから完全なものにする作業です。

 画像の中にある記憶の曖昧な部分を、3つのワードから正しいものを選択して完全なものにしていきます。

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 セカンドステージでは、抽出した記憶を正しい時系列順に並べ替えます。ファーストステージで完全なものにした記憶を、フィルムの抜けている箇所に当てはめていきます。

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 サードステージでは、記憶フィルムの“偽りの部分”を洗い出して正しく書き換えます。偽りの候補がいくつかあり、その中から本当に偽っている3箇所をチョイスして、正しいものに置き換えるという作業です。

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 記憶から偽りの部分がなくなれば“DNA記憶”の抽出が可能に。ファイナルステージで家族の記憶を復元して完成させるとオークション成功となり、出品物を落札することができます。

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家族との切ない過去の記憶――再生と救済の物語【ダークオークション】


 本作の謎解き部分の難易度は基本的に低め。謎解きに詰まってゲームが進行できないということがほとんどなく、ストレスフリーで重厚なストーリーを楽しむことができました。

 “探索パート”では次にするべき行動が画面の左上に表示されるので、移動先を間違えることはまずないですし、なにをしていいのかわからなくなるということもありません。

 “オークションパート”も、シナリオをきちんと読んでいればまず間違えることはないのですが、サードステージだけ若干難しいと感じました。“偽りの部分”の候補が多いため、どれが偽りで、どのワードを当てはめればいいのかちょっと混乱しまして……。

 ただ、ファーストステージで登場した3つのシーンに“偽りの部分”があると気づくと、スムーズにワードが選択できると思いますので、ご参考までに。

 あまり詳しく書くとネタバレになりますので控えますが、ゲームをクリアしてまず思ったのが、とにかくストーリーがおもしろいということ。

 オークションでは参加者のつらい過去が紐解かれ、その家族の記憶が明らかになります。必ずしも幸せな記憶ではないのですが、知らなかった家族の真実に触れた参加者たちは、少なからず救われたのではないかと思います。

 そしてさまざまな記憶が明らかになっていくなかで、物語は意外な展開を見せます。なぜノアの父親は命を落としたのか? オウム男の正体とは? “独裁者X”に関連する出品物の謎は? そもそもダークオークションとはなんなのか……。

 1980年代の欧州の古城で紡がれる珠玉のミステリーの結末を、ぜひその目で確かめていただければと……!

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『ダークオークション』商品概要

タイトル:『ダークオークション』
発売日:2026年1月29日(木)
対応機種:PS5/Switch/PC(Steam)
ジャンル:ミステリーアドベンチャー
原作・シナリオ:鈴木理香
キャラクターデザイン:コースケ
音楽:小見山優子、増子津可燦
ディレクション・プロデュース :梅田慎介
プレイ人数:1名
音声対応予定言語:日本語
字幕対応予定言語:日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字) 
開発・販売:イザナギゲームズ

パッケージ版情報

発売日:2026年1月29日(木)
対応機種:PS5/Switch
販売価格:5,940円(税込)

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