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『UNDERTALE』10周年記念コンサート広島公演(プログラムB)レポート。「この曲のこういうところが聴きたい」を叶えてくれる演奏と、“余韻までが音楽”の一体感ある客席に感動

文:電撃オンライン

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 『UNDERTALE』10周年記念コンサート広島公演が、2月23日(月・祝)に広島文化学園HBGホールで開催されました。

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 『UNDERTALE』10周年記念コンサートの演奏は、コンサートマスターの河合晃太さん主宰の演奏団体・MUSICエンジンさんが担当しています。2025年9月の大阪公演を皮切りに、現在全国を巡業中です。

 2026年4月からはFINALE公演用にプログラムが切り替わり、5月29(金)東京のSGCホール有明での公演を以てラストを迎えます。

 広島公演は残り少ないプログラムB(夜公演)を聴くことのできる貴重な機会、そして生で『UNDERTALE』の演奏を聴くのは初めてだったため、ワクワクした気持ちを抱えながら会場へ向かいました。

※本記事は『UNDERTALE』のネタバレを含みます。

“揃いもそろってみんなファン”という幸せ空間で最高の演奏を聴く

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▲『UNDERTALE』10周年コンサートSS席特典グッズ

 『UNDERTALE』が凄い人気とはいえ、連休最終日の広島公演だとなかなか遠征もしづらいだろうなあ、という予想を覆すほどの人の多さにまず驚きました。

 グッズを身に着けている人、プログラムの考察を熱心に語っている人、どの曲が楽しみかで盛り上がってる人……『UNDERTALE』が大好きで仕方ない! という人たちばかりの空間というのは、本当に心地よいものです。

 さっそくホールに入ってすぐに目に入ってきたのは、巨大なハート形モニターと“うざいイヌ”の神社でした。

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▲指揮台の位置に鎮座する可愛すぎるイヌ神社。 ※撮影OKの時間です

 個人的に“うざいイヌ”のどこにでも邪魔してくるうざさ加減が愛しくて仕方ないので、この装飾には大歓喜しました。

 指揮台はコンサートの特等席と度々言われますが、奴らは何食わぬ顔して平気でSSSSS席を取ったようです。そんなちょっと憎たらしいところがまたいい。

「この曲のこういうところが聴きたい!」を叶えてくれる演奏に圧倒される

開幕からクライマックスなプログラムB


 プログラムBの最初の曲は『本物のヒーローとの戦い』です。


 どうやらプログラムBはGルート→Pルートという構成のようで、初っ端からクライマックスの様相を呈しています。あの独特のピアノのイントロが聞こえてきた瞬間、会場の空気がズンと重くなったのを感じました。

 アンダインの悲しみと苦しみ、そしてケツイ……。“ゆうしゃ”アンダインの複雑で尊い気持ちが深く刻み込まれたピアノのソロに早速涙が零れます。

 続けて『“NEO”の力』『MEGALOVANIA』と、エネルギーの強い楽曲を一身に浴びて引き込まれたところで、『むかしむかし…』や『ホーム』などのやさしい音楽に安堵します。

 ゲームのピコピコサウンドももちろん大好物なのですが、オーケストラの美しい音で奏でる旋律も格別です。コンマスソロが泣かせのメロディすぎる……。


 ゲーム音楽をオケ編する際に悩みのタネとなるのが“どれだけ原曲を再現するか”だというのは聴いたことがあります。ファンは原曲を聴きたい、だがそれだけではオーケストラを存分に鳴らせない……この辺のさじ加減が、どうしても難しいのだそうです。

 原曲を大事にしつつ、聴かせたいところは聴かせる。

 同じモチーフが繰り返される『UNDERTALE』の楽曲に対し、ここまで愛に溢れた編曲ができるのは、『UNDERTALE』ファンの河合さん率いるMUSICエンジンさんならではなのではないかな、と感じました。

こんなところまで聞かせてくれるの!?選曲が絶妙すぎ


 プログラムBは“ゲームの細かい楽曲まで拾う”という方向性のようで、パピルスのDATE楽曲の3つのバリエーションや『ブルブルチューン』、『みすぼらしい家』といった小曲も演奏してくれます。

 演奏用ミュートを使用したトロンボーンのプァ~ンとした音や、シンセサイザーでそのままゲームを再現したような音を駆使して、ファンの「ここが聴きたい!」を叶えてくれるのは嬉しいですね。

▲この気怠さをトロンボーンで再現。トロンボーンは本当に素晴らしい楽器です。

 そして何より楽しみにしていたのが『怒りのマネキン!』です。個人的に『UNDERTALE』との出会いはナプスタブルークの『ゴースト・ファイト』で興味を惹かれたのが最初だったため、『ゴースト・ファイト』をよりファンクにし、ゴリゴリのディストーションを掛けた『怒りのマネキン!』の生演奏を心待ちにしていました。

 ウォーキングベースのようにボンボン刻む低音、映える金管、オシャレなピアノにガンガン行こうぜなオケサウンドがあまりに爽快で、これを聴くためだけにコンサートに来ても後悔はしないほどの満足感でした。この曲、いろんな編成でいろんなアレンジで聴いてみたいなあ……。

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▲休憩中のモニターの様子。イッヌが楽しそうで何より ※撮影OKの時間です

Pルートの平和な雰囲気が、だんだんと不穏に…


 第2部の最初はメタトン尽くしから始まります。

 『ああ!運命の人よ!』はセレナーデ(恋人を想って静かに、だが情熱的に歌う曲)のような甘い仕上がりで、オーボエがモニターに表示される歌詞をそのまま歌っているのではと錯覚するほどでした。


 メタトン戦の『華麗なる死闘』や『愛するファンのみんなへ』も聴けて満足したところで、これまで平和だったプログラムがいよいよ不穏な雰囲気になっていきます。

 フラウィとの激しい戦闘、そして不気味な明るさで進んでいく『アマルガム』……物語の真実へ辿り着くために必要な過程とはいえ、負のパワーが強い音楽が続けて演奏され、聴いてるだけなのに胸が苦しくなりました。ゲームをプレイしたときそのままの心境で、最高です。

▲編曲と演奏が良すぎるために苦しさも倍増

 そんな緊張感を和らげるように演奏される『小さな衝撃』からの『おちてきた子(リプライズ)』は、もう号泣必至です。

 会場のあちこちからすすり泣く音が絶え間なく聞こえて、その音に釣られてまた泣いてしまうという無限ループが発生しました。

▲低弦パートの対旋律におけるポルタメントの包み込むような優しさに涙……。

 『SAVE the World』『彼のテーマ』『最後の力』とゲームの最後を再現したプログラム構成は、緩急がありすぎて心が揺さぶられます。この一連の流れも含めて音楽だと思うと、この場に居ることができて幸せだなとしみじみ思いました。

 プログラムBの最後の曲は『これでホントにサヨナラ』です。


 プログラムAの方のセトリを見ると、最後に『スタートメニュー』を演奏することから、ゲームプレイヤーとしての追体験の意味合いが強いのかなと考察する一方で、プログラムBは『UNDERTALE』という世界をその世界のまま終わらせるような構成になっていると感じました。

 既に全国各地を回っているのでネタバレにもならないとは思うのですが、アンコールは秘密にしておきます。でも間違いなく素晴らしく、そしてスッキリと現実に帰ることのできる選曲・演奏だったと言えます。

 コンサートを聴いて改めて、原曲の強力なモチーフに対するアプローチの豊かさを実感しました。Toby Foxは天才。

 今回は参加することが叶わなかったプログラムAにも『いらっしゃいませ』や『スパイダーダンス』など好きな楽曲が多く、こりゃファンは通うしかないわ……と納得のコンサートでした。

“余韻までが音楽” 客席の熱量が、演奏会をより良いものへと押し上げる

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▲2025年10月12日に文京シビック大ホールで行われた東京公演の様子。

 今回『UNDERTALE』の演奏会を初めて聴きに行って一番驚いたのが、“客席の熱量が高すぎる”ということでした。

 私自身かつてアマチュアオーケストラで演奏していたこともあるのですが、ここまで音楽を味わいつくそうと客席が食らいついているのを見たのは初めてです。

 演奏が終わり音が途切れても、必ず河合さん(指揮者兼コンマス)が楽器を下げるのを待ってから拍手をする。

 たったこれだけのことですが、この意識が統一されているかどうかで演奏会における体験は大きく変わります。

 もちろん演奏終了直後のブラボーや拍手も演奏が素晴らしかったことへの賛美で、場合によってはむしろあってほしいこともあるので一概に悪いとは思わないのですが、このコンサートにおける“余韻までが音楽”という客席の一体感と緊張感には目を見張るものがありました。

 『UNDERTALE』のコンサートは、こうして客席を含めて形作られていくんだな、と感動すら覚えます。

いよいよフィナーレ公演も間近! “誰も死ななくていいやさしい”プログラムC”にも注目


 2026年4月からはFINALE公演のため、演目が“プログラムC”“プログラムD”に切り替わります。

 河合さんのコメントによると、“プログラムC”は『UNDERTALE』の“誰も死ななくていいやさしいRPG”というコンセプトに沿ったセットリストになるようです。Toby Foxさんが描くやさしい世界を、MUSICエンジンさんがどう表現していくのか?

 4月から最後まで駆け抜けていくFINALE公演含め、この先の未来も『UNDERTALE』のコンサートが続いていくことを願っています。

プログラムBセットリスト


M01
 本物のヒーローとの戦い
 “NEO”の力
 MEGALOVANIA

M02
 むかしむかし…
 いせき
 緊迫のとき
 ENEMY APPROACHING!

M03
 ホーム
 心の痛み
 おちてきた子

M04
 スノーフルのまち
 DATE START!
 DATE DANGER!
 DATE FIGHT!

M05
 ウォーターフェル
 びっくりするほど近い距離を飛んで渡らせてくれる鳥
 怒りのマネキン!
 みすぼらしい家
 ブルブルチューン
 サンダースネイル

M06
 アンダイン
 ぬあああああ!
 彼女がピアノを弾いている
 正義の槍

休憩

M07
 アルフィー
 ホテル
 枕の上にミントチョコレートも置いていない宿泊施設をホテルと呼んでよいものだろうか
 現場から中継です
 絶対絶命レポート
 ああ!運命の人よ!
 ああ!とらわれの恋人よ!

M08
 コア
 華麗なる死闘
 愛するファンのみんなへ

M09
 UNDERTALE

M10
 Bergentrückung
 アズゴア
 最高の悪夢
 ケツイ
 フィナーレ
 ひとつのエンディング

M11
 真実
 アマルガム

M12
 小さな衝撃
 おちてきた子(リプライズ)
 あきらめないで

M13
 夢と希望
 SAVE the World
 彼のテーマ
 最後の力

M14
 再会
 自由
 全員、集合!
 これでホントにサヨナラ

アンコール

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