2026年5月2日から17日まで東京・飛行船シアターにて上演中の舞台『ZERO RISE』の“観戦レポート”をお届けします。

“落ちこぼれたち×バスケットボール”をテーマにしたブシロード発のクロスメディアプロジェクト『ZERO RISE』。ストリートバスケを軸に、若者たちの葛藤や友情、ライバル関係が描かれます。
実際に観劇して感じたのは、“青春”という言葉だけでは片づけられない熱量。観劇と言うには熱すぎる試合のオンパレードで、まさに“観戦”という表現にふさわしいものになっていました。
コート上を走り抜ける疾走感と迫力【ZERO RISE】
試合中の駆け引きや、コート上を走り抜ける疾走感は、ダンスやステージングによって表現。バスケットボールそのものをリアルに再現するというより、“舞台だからこそできるバスケ表現”に振り切っていたのが印象的でした。
特に、ファウルすれすれの攻防を組み手のような動きで見せる演出は迫力満点。BLACKSPOTとのストリートバスケシーンでは、チェーンや警棒まで飛び出す危険な試合展開にハラハラさせられつつも、その荒々しさをテンポの良いアクションとダンスで魅せていくため、重苦しくなりすぎない絶妙なバランス感がありました。
また、試合シーンでは背景映像とボールの動きがリンクする場面も多く、シュートの瞬間の爽快感もかなり強め。コートを全力で駆け抜けるような疾走感があり、“スポーツを舞台で魅せる”工夫がかなり詰め込まれていました。
“UNFIXXX”の心地よい空気感【ZERO RISE】
主人公は、“UNFIXXX”のエース・マドカ(演:笹森裕貴)。中学時代の出来事をきっかけに葛藤を抱えながらも、再びコートに立とうともがく姿が描かれます。
マドカを演じる笹森さんは、とにかく繊細な表情作りが印象的でした。圧倒的な実力を持ちながらも、本気でプレイすることへの恐れや迷いを抱え込む難しい役どころですが、その不安定さが自然に伝わってきます。

ヨークとの対峙シーンでは、特にその繊細さが際立っていました。
ヨークは、“本気のマドカ”と戦いたい。だからこそ、手を抜かれたまま勝っても嬉しくない。その真っ直ぐすぎる想いをぶつけられ続けるマドカの姿には、かなり胸を締め付けられました。
“憧れられる側”だからこそ苦しい。そんな空気感がしっかり伝わってきたんですよね。
そんなマドカを支えるのが、ダテ(演:福井巴也)とマーリン(演:大友海)。
ダテはパワー型プレイヤーでありながら、どこか“オカン気質”な空気感が魅力的。洗濯機の購入資金や唐揚げの話題を自然に出してくる生活感も含め、チームの空気を柔らかくしていました。
ただ熱いだけではなく、“面倒見の良さ”がしっかり伝わってくるんですよね。新宿で生き抜いてきた3人だからこその距離感があって、その空気が心地よかったです。
一方、御曹司らしい気品を漂わせるマーリンは、キレのあるプレイと冷静さが魅力。3人の距離感が近すぎず遠すぎず、“居場所としてのチーム”を感じさせてくれるのも“UNFIXXX”の良さだと感じました。
“KINGS+HOOT”の可愛らしさと青春【ZERO RISE】
そして、個人的にかなり刺さったのが“KINGS+HOOT”。
このチーム、あまりにも“青春”なんですよ……!
ミラクル(演:佐藤たかみち)のアイドルパフォーマンスが始まった瞬間、舞台の空気が一変。「おっと、アイドルライブが始まったぞ!」と思うほど華やかな時間が広がっていました。
その中でも、ブリンク(演:石橋弘毅)がペンライトを振りながら全力で盛り上げている姿がとにかく可愛らしい。観客へ“もっと振って!”とジェスチャーする場面もあり、会場の一体感が一気に高まっていきます。
クールに見えるサンシャイン(演:平賀勇成)も、しっかりペンライトを点灯していたのを私は見逃しませんでした。冷静そうに見えて、ちゃんと仲間のステージを楽しんでいる感じが、本当に萌えました!
“KINGS+HOOT”は、友情や挫折を真正面から描いているチームでもあります。
どうしてもバスケットボールは身長差という現実がついて回る競技。だからこそ、彼らの葛藤や、“それでも一緒にプレイしたい”という気持ちが刺さるんですよね。
なにより、3人とも“バスケが好き”という気持ちが真っ直ぐで、観ていて自然と応援したくなりました。
“RumbleWing[s]”の技巧と一体感【ZERO RISE】
そして後半で存在感を放っていたのが、“RumbleWing[s]”。
ヨーク(演:田原廉)は、圧倒的なセンスを持つ天才型プレイヤー。常に笑顔で天真爛漫ですが、その純粋さが逆に恐ろしいほどでした。
田原さんはバスケ経験者ということもあり、プレイ中の説得力が本当に高い。“才能で全部やれてしまう人”の空気感がしっかり出ていたように思います。
マドカに向ける感情も敵意ではなく、“もっと本気を見せてほしい”という純粋な敬意。その真っ直ぐさが、逆にマドカを追い詰めていく構図も印象的でした。
また、ウジン役の真野さんは、生で観てかなり印象が変わったキャストのひとり。
普段は温和そうな印象があるのですが、舞台上では荒々しく熱いウジンそのもの。歌もダンスも上手く、演技面でもかなり驚かされました。
サジン(演:前嶋曜)とのシンクロ感も素晴らしく、“双子だからこそ成立する呼吸感”がしっかり見えてくるんですよね。
ウジンが真っ直ぐな熱血タイプ、サジンが少し俯瞰で物事を見るタイプという違いも見えていて、双子の掛け合いがかなり楽しかったです。
“BLACKSPOT”はツンデレ熱血バスケ少年【ZERO RISE】
そして、ヴィランポジションかと思いきや、意外な魅力を見せていたのが“BLACKSPOT”。
バリスタ(演:川上将大)は、髑髏のチェーンを使う危険なプレイヤーでありながら、実はかなり熱血でした!
良いプレイにはちゃんと反応するし、相手への敬意もあるんです。
だから“悪役”というより、“ツンデレ熱血バスケ少年”という表現のほうがしっくり来る気がしました。
ダテが「毅士!」と気さくに呼ぶ場面も萌えポイント。あのやり取りだけでも、“新宿で戦ってきた仲間感”が伝わってきました。
ジゲンのオーラ【ZERO RISE】
そして、本作で圧倒的な存在感を放っていたのが、ジゲン(演:君沢ユウキ)。
とにかくオーラがすごかったです!
ステージに立った瞬間、“この人、ただ者じゃないな”という空気が一気に広がるんです。
飄々としているのに、どこかニヒルで、でも内側には熱量がある。その“大人感”が説得力抜群でした。
君沢さんの低く響く声も本当にかっこよくて、『ZERO RISE』という舞台全体を引っ張る存在になっていたように感じます。
全員曲『ZERO RISE -Crawl your way up from ZERO-』は圧巻
ライブパートでは、客席の空気も一変。
本編ではシリアスな表情を見せていたキャラクターたちが、音楽の中では全力で観客を煽り、笑顔を見せる。そのギャップも含めて、2.5次元舞台らしい楽しさが詰まっていました。
『Sweep』のロック感、『Driven』のクールさ、『RUN IT BACK』の多幸感、『Liminal World』のラップパートのかっこよさなど、楽曲ごとの色もかなり強め。
なかでも全員曲『ZERO RISE -Crawl your way up from ZERO-』は圧巻でした。
かなり難易度の高そうな楽曲なのですが、全員がしっかり歌い上げていて、それぞれのチームカラーがパートごとに伝わってくるんですよね。
黄色い歓声だけではなく、“みんなで楽しむライブ”になっていた空気感も印象的でした。
その際に驚いたのが、全公演で実施されているスペシャルカーテンコール。
動画撮影可能ということもあり、観客もスマホ片手に大盛り上がり。“#ゼロライズ観戦”でSNSに動画や感想が大量投稿されているのも納得でした。
キャスト陣の仲の良さや、チームごとの空気感もかなり仕上がっていて、“このメンバーでずっと稽古してきたんだろうな”という説得力がしっかり伝わってくる作品だった『ZERO RISE』。
青春、友情、ライバル、挫折、そして音楽。
その全部を詰め込んだ、“ゼロから這い上がる”熱量を、ぜひこれからでも体感してみてほしいです。


舞台『ZERO RISE』作品概要
弱肉強食の競争社会。特にスポーツにおいては清廉潔白な勝者であることが求められ、失敗は許されない。
かつて将来を嘱望された中学バスケ界のスター・マドカは、とある試合での "事故"をきっかけにすべてを失い、表舞台から姿を消す。
チーム、そして家族からも見放された彼が流れ着いた先は、ストリートバスケの聖地・新宿。同い年のストリートバスケプレイヤー・ダテに拾われ、居候をすることに。
生活費を稼ぐため、ダテ・マーリンと共にストリートバスケチーム「UNFIXXX」を結成し、ルール無用の賭けバスケに身を投じる。
そんなマドカに訪れた転機、『ZERO RISE』。勝者は表舞台へもう一度這い上がる権利が与えられる、裏のストリートバスケリーグ。しかし、新宿、池袋、渋谷から強力なライバル達が立ちはだかる。
失うものはもうない。ゼロから這い上がれ。
チケット情報
舞台『ZERO RISE』概要
■公演期間:2026年5月2日(土)~17日(日)(全20公演)
■キャスト:
<UNFIXXX>
マドカ(演:笹森 裕貴)、ダテ(演:福井 巴也)、マーリン(演:大友 海)
<KINGS+HOOT>
ブリンク(演:石橋 弘毅)、ミラクル(演:佐藤 たかみち)、サンシャイン(演:平賀 勇成)
<RumbleWing[s]>
ヨーク(演:田原 廉)、ウジン(演:真野 拓実)、サジン(演:前嶋 曜)
<BLACKSPOT>
バリスタ(演:川上 将大)、UNKNOWN A(suit actor 滝山 翔太)&UNKNOWN B(suit actor 優志)
ジゲン(演:君沢 ユウキ)
■スタッフ:
企画・原作:ブシロード
脚本:松多 壱岱(ILCA)
演出:毛利 亘宏
