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人の心とか無いんか? 赤魚の煮付けを食べたり、しまじろうと泳いだりするハートフル映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』ネタバレ考察レビュー【電撃スタッフコラム:オッシー】

文:電撃オンライン

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※この記事には『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』の重大なネタバレがありますので、ご注意ください。

 みなさんこんにちは。話題のちいかわ映画を観てきたよ。特典フィギュアはハチワレ2体。8種類もあるのにまさかの被り。こういうのって納品される時に偏ってんのかね。吉野家ドラクエコラボも安定の紅しょうがミミックだった強運オッシーがコラム56回目をお送りします。


 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビュー形式でお送りしています。今回は映画レビューだよネタバレ注意。

ぐう畜コラボで話題の劇場版ちいかわ。人の心とかないんか?【ちいかわ 人魚の島のひみつ】

・映画『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』

 この夏の覇権映画『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』を早速鑑賞。

 ネタバレを極力入れずにしようと思いつつも、漏れ聞こえてきた情報から、小学生の息子を連れて行っていいものか悩んだものの、とはいえPGとか入ってないし大丈夫やろ~と思って子連れで行ってきた。

※カミさんと長男(中学生)は、MiLKの曽野くん目当てで『仮面ライダーゼッツ』を観に行った。

 朝9時の回、一番デカいスクリーンでも8割は埋まっている大入り満員。パッと見は、小さい子も含めた親子連れが大半でホッと一息。

 いやだってさ、『ちいかわ』は可愛い見た目で大人も子供も大人気なコンテンツではあるけど、原作に漂う不穏な雰囲気は有名じゃん?

 原作はちょっと知っているくらい(原作7巻まで持っている)だけど、今回の映画のエピソード“セイレーン編”は結構不穏な話だというのは何となく知ってた。

 さらに、事前のセブンイレブンコラボが“
赤魚の煮付け”ということで、控えめに言っても、「人の心イズどこ?」状態

 人魚の肉を食べると不死を得る、という八百比丘尼伝説は有名だし、大好きなゲーム『SIREN』もその話だったので、大体人魚の肉絡みの話はヤベーんだよなぁ⋯⋯と思っていたのよ。

 ややもすれば、小学生の子どもの心にトラウマを植え付けかねないからね⋯⋯。

 ということでちょっと不安ながらも観てきたけど、結果的には、観る方の年齢(読解力)によっていい感じにグラデーションがあってよかったのではないだろうか。

すれ違いによる不幸の連鎖と、絶妙な自業自得感【ちいかわ 人魚の島のひみつ】


 ちいかわたちが、高額報酬に釣られて、地上の楽園的なリゾート島に訪れるのが導入。

 明らかに怪しいものの、全力で釣られるちいかわたちが安定の可愛さ。注文の多いレストランのやつとか、基本的にちいかわたちは巻き込まれがちだよね。

 そこで向かったリゾート島民に歓待を受けるんだけど、同時にセイレーンと人魚にも出会うことになる、ちいかわたち。

 実はセイレーンはでかつよ(ちいかわ世界における強大なモンスター的な存在)で、島民はセイレーンを討伐するために、ちいかわたちを嘘の高額報酬で島に誘ったのだった。

 セイレーンサイドは、島民の誰かが、人魚の一人を殺害して肉を食らったと主張して、その犯人探しと復讐のために島民を襲って食べているのよ。

 一方、島民サイドは、たまたま訪れたセイレーンに食料を供給して共生関係を築いていたのに、いきなり牙を剥かれて困っている状態。とはいえ、嘘の報酬で、無関係なちいかわたちを巻き込む辺り、完全な被害者とも言えないのがモヤる⋯⋯。

 そして明らかになる犯人の動機や、セイレーンの無自覚な罪など⋯⋯最終的には、連綿と続いたすれ違いと罪が膨らんだ状態なことが分かってくる。

 しかも、みんな悪くないのに不幸なすれ違いで~というわけじゃなくて、みんながみんな、何かしら自業自得的な意味でこの不幸に関わっているのがタチが悪いんだよね⋯⋯。

・セイレーンと人魚:そもそも、ちいかわたちを害する存在である“でかつよ”だし、いきなり今回の舞台である島を訪れた時点で脅威なんだよね。あとは、無自覚とはいえ、船を破壊して島民を害しているし、人魚が殺された後は復讐で無実の島民を食べて殺している時点で、大概やな⋯⋯。

・島民:大半の島民はそこまで悪意ある存在ではないとはいえ、セイレーンたちを(ある意味)餌付けして島に留めたのは良くなかった。セイレーンの歌で作物が育つというメリットもあったので、共生関係だったんだけど、やはり“でかつよ”とは共生できないんだよね⋯⋯。あとは、弱ったセイレーンにとどめを刺そうとにじり寄ったり、ちいかわたちを嘘の報酬で騙して島に誘い込んだりと、集団的な悪意は感じられた。

・犯人:友だちを事故で瀕死にされたのが原因とはいえ、それを解決する為に暴力に訴えかけたのはよろしくなかった。しるこサンドアタックからの赤魚の煮付けはさすがにちょっとね⋯⋯。あと、不死の状態になってから助けてくれた友だちを、同じ境遇に引き込んだのは結構キツイ表現だったと思う。最終的には他の島に逃げこんだけど、セイレーンたちに追いつかれる描写があったので、遅かれ早かれ捕獲されて無限の牢獄に⋯⋯バッドエンドすぎる。

 唯一、しまじろう(NOTしましまとら)だけが、島民と距離を置いている分、一連の内容には無関係だし、それでいてちいかわたちも助けてくれるしで、最高な役どころだった。⋯⋯な?

 しまじろうの尻に魅了された人はかなりの数に上るであろう。

 というかあまりに唐突に出てきた上にいい役すぎて、しまじろうが人魚の肉を食べた犯人だって邪推した人いるよね⋯⋯? 筆者は思いました。誠にごめんなさい。

総評:伏線回収の素晴らしさや、人(?)の愚かさの演出など、さすがのナガノ節で素晴らしい。でも小さい子には理解できないかもね【ちいかわ 人魚の島のひみつ】


 話の筋もしっかりしているし、間延びするような要素も少なくテンポがいいので、ダレずに最後まで観られたのは素晴らしい構成力だった。

 伏線やダブルミーニングなどがふんだんに盛り込まれているのも感心した。

 島に着いた時に、ちいかわが船酔いして“たんさん”を飲むのも、人魚の肉を食べた人に“印”があるのも、ちゃんと回収されてて素晴らしかった。っていうか、八百比丘尼伝説が『銀河鉄道999』に繋がるなんて、普通思わないよね⋯⋯凄い発想。

 あとは、セイレーンが最後に、ハチワレの説得で「村人をもう襲わないと約束して!」と言われて「分かった!」といって逃げるシーン。

 ここが一番の背筋がゾクッとする要素だと思うけど、「(犯人が)分かった」と、「(犯人が分かったのでも他の村人は襲わないという意味の)分かった」のダブルミーニングなんだよね。

 ここのセイレーンの演技はめっちゃ良かった。確かに、単純に「わかったから許して」の言い方じゃなくて、「(犯人が)分かったぞ!」の言い方だったんだよね。セイレーン役の鈴木みのりさんは演技力あるね。

 観終わったあとに、息子と色々と話をしたんだけど、大筋は理解していたけど、一部の伏線や回想シーン、エンドロール後のシーンの意味なんかはよく分かっていないみたいだった。

 そこではたと気づいたんだけど、あえてそういう風に、観る側の年齢(読解力)で観方が変わるようにしたんじゃないかな?

 小さい子供には、ちいかわたちが頑張って、セイレーンたちを説得してハッピーエンド。

 もうちょっと大きい子は、人魚の肉を食べた犯人はわかったけど、ちいかわが友情に免じて見逃したノーマルエンド。

 そして大人には、この後に犯人たちに訪れる永遠の苦痛と、セイレーンと村人たちとの不幸の連鎖に思いを馳せるビターエンド⋯⋯。

 国民的コンテンツとなった『ちいかわ』が、まさに万人向け映画として構成した巧妙な戦略と考えると、匠の技が感じられる。

 まあ、色んな人の感想を見ると(鑑賞後に他の人の感想を解禁した)、ほぼ原作通りらしいので、原作者のナガノ先生が素晴らしいってことかもね。

 あと、ネットの感想ではほとんど「しまじろうがセクシー」ってなっていて、未見の人の興味は引きつつ、ネタバレにはならないのもマナーがよくて素晴らしいなと思った。

 だって、この映画の感想をあえて一言で語るとすると、「しまじろうの尻がセクシー」以外でてこないよなぁ⋯⋯。

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