三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は2000年6月にPlayStationで発売された『ぼくのなつやすみ』を語ります。
何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。
そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は2000年6月にPlayStationで発売された『ぼくのなつやすみ』を語ります。

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閉じる大人になったからこそ気になる世界観
子どもの頃に夢中になったゲームを大人になってから久しぶりに起動すると、ふと妙な引っかかりを覚えることがあります。
「どうしてこんな危険な場所に子どもだけで行かせるの?」
「この世界の大人たちは一体何をしているんだ……!?」
「もっとさ、大人がしっかりしなよ!」
このように、どうしても大人目線で現実的なツッコミを入れてしまい、純粋にストーリーへ没入できなくなってしまう現象は、誰しも一度は経験があるはずです。
しかし、大人になった今だからこそ、子どもの頃とは比べものにならないほどの深みと感動を味わえる作品が存在します。
それが、2000年6月にPlayStationで発売された名作『ぼくのなつやすみ』です。
本作をいま改めてプレイすると、そこに描かれている大人たちの圧倒的な温かさと包容力に、胸を強く締め付けられます。
夕暮れのお迎えに隠された無償の愛。大人になって初めて気づく“おじちゃんとおばちゃん”の深さ
子どもの頃に本作を遊んだ際、大人の言動にまで深く思いを巡らせていた人はそう多くはないと思います。当時は裏技やバグ技の話題が先行して筆者のように少しホラーめいた遊び方をしていたり、毎日の昆虫採集や魚釣りに夢中だったりした記憶のほうが強いかもしれません。
当時の幼い目線からすると、夕方になるとどこからともなく迎えにやってくる“おじちゃん”は、「せっかく楽しく遊んでいるのに邪魔しにくる嫌な存在」に見えてしまうことすらありました。また、“おばちゃん”に対しても、おいしいご飯を作ってくれて、お節介な親戚のひとり程度の印象しか持っていなかったのが本音でした。
しかし、社会に出て大人になった今、同じ光景を見てみると受ける印象は180度変化。
山や森、川など、自然が豊かな田舎は子どもにとって最高の遊び場であると同時に、常に危険と隣り合わせの場所でもあります。主人公のボクくんがどんなに遠くまで冒険していようとも、夕暮れ時には必ず探し出して無事に連れて帰ってくれるおじちゃん。
そこには、預かった子どもを命がけで見守る責任感と、底知れない優しさが詰まっていました。
さらにおばちゃんとの日常会話も、大人になった今読み返すと実に哲学的で、人生の機微に満ちています。
子ども相手だからと適当にあしらうのではなく、ひとりの人間として真摯に向き合ってくれる言葉の数々。「こんなにも温かい眼差しで包まれていたのか」と、大人の心にじわりと沁み渡ります。
「最後のお願い…だっこして」子どもの頃は流していた一言が、大人の涙腺を崩壊させる理由
本作の中で、大人になってからプレイして最も感情を揺さぶられたのが、都会へ帰る日が間近に迫ったエンディング間際でのワンシーンです。
主人公のボクくんがおばちゃんに対して投げかける、次の一言に胸を突かれました。
「最後のお願い…だっこして」
子どもの頃にプレイしたときは、特に意識することもなくサラッと読み流してしまった場面でした。しかし、大人になった今このシーンを見ると、完全に涙腺が崩壊してしまいます。
親元を離れて過ごしたひと夏の田舎暮らし。豊かな自然のなかで少しずつ成長し、背伸びをしてお兄ちゃんぶっていたボクくんが、別れの直前に見せる「子どもとしての純粋な寂しさと甘え」。そして、その小さな身体と気持ちをすべて受け止めるおばちゃんの優しい言葉と温もり。
大人の視点を持つことで、ボクくんの切ない心情とおばちゃんの慈愛に満ちた想いの双方が痛いほど理解できるようになり、たまらない愛おしさがこみ上げてきます。
言葉の行間に滲む感情の機微を味わえるのは、さまざまな経験を積んできた大人ならではの感情と言えます。
忙しい日々に追われる大人にこそ贈りたい、心が洗われる最高の“夏休み”
「自由な夏休みを体験するゲーム」だと思っていた『ぼくのなつやすみ』は、大人になってから触れ直すことで「自分を見守ってくれていた大人たちの温もりを追体験する作品」へと姿を変えます。
危険な世界観に冷めてしまうどころか、登場する大人たちの気遣いや優しさに触れるたび、荒んだ心が優しく解きほぐされていくのを実感できるはずです。
かつて夢中でプレイした経験がある方はもちろん、まだ触れたことがないという方も、大人になった今だからこそぜひ『ぼくのなつやすみ』を一度体験してみてください。
どこか懐かしく、そして涙が出るほど温かいあの夏が、日々の忙しさに追われるあなたの心を芯から洗い流してくれるはずです。