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ネタバレあり『百英雄伝』レビュー:『幻想水滸伝』ファンなら絶対に遊ぶべき。熱い物語だけでも最高なのに愉快過ぎる劇場などのやりこみ&お楽しみ要素も大充実【電撃インディー#606】

文:長雨

公開日時:

 村山吉隆氏、河野純子氏らが豪華クリエイターが集結したRabbit & Bear Studiosの新作RPG『百英雄伝』(PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、Steam、Epic Games Store、Nintendo Switch)が、505 Gamesより2024年4月23日に発売されます!

 今回のレビューは、終盤までプレイして書いた内容になっています。ストーリーの真相に触れることはありませんが、ネタバレになるような記述、画像が含まれます。ご注意ください。

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 本作は名作『幻想水滸伝』シリーズの精神的続編であり、90年代の古きよきRPGの魅力はそのままに、現代技術やアートワークを取り入れた、令和のJPRGを楽しむことが出来ます。

 ドットで描かれた個性的な英雄たちや心躍る王道の物語など、いろいろな魅力が詰め込まれた『百英雄伝』の製品版プレイレポートをお届けします。なおPlayStation 5版でプレイしましたが、ロードもサクサクでとっても快適でした。

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 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!



主人公たちを中心に、人々の生き様を描く物語【百英雄伝】


 物語の舞台は、多彩な種族が暮らすオールラーン大陸です。大陸には文化の違う国々があり、そのなかの1つガルディア帝国と諸国連合はかつて争っていましたが、現在は友好関係を結んでいます。

 本作では傭兵部隊に所属するノア、ガルディア帝国の若き士官・セイ、独自の文化を持つガーディアンの一族・メリサ、立場が異なる3人の主人公たちを中心とした物語が展開していきます。

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 そのなかでも物語の中心であり、プレイヤーの分身とも言える存在がノアです。彼は田舎の村出身の少しおせっかいな好青年で、見ていて成長を応援したくなるような人物。

 ノアは旅のなかでさまざまな英雄と出会うのですが、どんな相手にも分け隔てなく、真っ直ぐに手と差し伸べられる優しさ、そして予想以上のノリのよさは、まさに主人公の器。「こんないい子だったら、協力しようと思うよね」と、プレイしていて何度も感じました。

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 プレイしていると、ときおりセリフの選択肢が発生します。物語の重要な局面というよりは、ノアにプレイヤーの気持ちを代弁してもらうようなシーンが多いです。

 選択肢のなかには村山氏の作品ファンならニヤリとしてしまうものや、コミカルなものも用意されていました。私は面白い選択肢は積極的に選ぶ派なので、ノアがとんでもなく愉快な子に……、でもきっと同じ道をたどる仲間がたくさんいると思っています(笑)。

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 物語はノアが出身地の村を飛び出し、諸国連合の盟主の1人であるグリュム伯・ぺリエールが雇用している警備隊の一員になるところからスタート。

 警備隊はノアのほかにガオウ、ミオ、リャンの3人がおり、能力的にも性格(ボケ&ツッコミ)的にもバランスがよいメンバーがそろっています。ノアには物語が進むたびに心強い仲間が増えて行きますが、私は初期の仲間に愛着がわきやすいタイプということもあり、警備隊4人全員をパーティに入れることが多かったです。

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 ノアは警備隊としての初任務、帝国軍と合同で行われる遺跡の調査で2人目の主人公であるセイと出会います。セイは若くして中尉の地位に就く優秀な人物で、合同任務の指揮を任されるほど。

 真面目なセイは任務に真剣に取り組んでおり、最初はノアたちにも事務的に淡々と接します。しかし一緒に行動するなかで、信頼を寄せてくれるようになるんですよ。言動の端々から誠実さが伝わってきて、ノアと同じくセイもいい子なのがにじみ出ていました。

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 調査中のトラブルで、仲間とはぐれてしまったノアとセイ。危機を乗り越えたことで、彼らの間に確かな友情が生まれます。一緒に過ごした時間は長くはありませんが、密度の濃い出来事の連続で、2人の絆が深まっていく様子をしっかりと見守ることが出来ました。

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 彼らの遺跡調査は、不思議な力を持つ魔導レンズ(ルーンレンズ)に深く関わっていました。

 魔導レンズの研究に力を入れているのが、帝国の実力者であるルドリック公爵。彼は諸国連合に対して友好的な態度を取っていますが、どうにも胡散臭く……。

 さまざまな思惑によって世界の均衡は崩れ、帝国とグリュム伯のぺリエールが治めるエルティスワイスの間で戦争が勃発。戦争では、ちゃんと専用のバトルが用意されています。部隊を指揮して、勝利に導く軍師気分を味わえますよ。

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 ノアとセイは、それぞれの立場で戦いに参加することになるのでした。2人の友情を知っているだけに、望まない対立をすることになった彼らを見ていて辛かったです。

 2人には、一騎打ち(1対1バトル)の場面が用意されています。平穏な時の終わりを表すような夕暮れの空や音楽の演出が本当に美しく、切なくて、とても印象深かったです。

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 戦争後、ある事情から抵抗の軍のリーダーとなったノア。彼は世界に散らばる英雄たちの力をかりながら、帝国と戦っていくことになります。のどかな田舎出身のノアが周囲に認められ、見守られ(若干、利用され)、皆をまとめていく存在へと成長していく王道の展開は見ていて胸が熱くなりました。

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 一方、軍人として帝国に従っているセイ。しかし、彼のなかには諦めきれない想いがあるようで……。ノアとセイの運命が、どのように絡み合っていくのか、ぜひ本編をプレイして見届けて欲しいです。

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 3人目の主人公メリサは、ノアたちよりやや遅れて登場します。彼女は森林を聖域として守護する一族のため、外の世界と関わることが少ないようです。しかし、ある出来事でノアたちと共闘したことで、縁が生まれて……。

 異なる文化を持つメリサたちの存在によって、世界に対する理解がグッと深まった感じがしました。

 ノアが活躍する場面が多いですが、セイ、メリサにも主人公らしい見せ場がしっかり用意されているのが嬉しかったです。

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 本作の物語を進めていて、登場人物の生き様、信念が伝わってくる展開が多いなと感じました。例え敵であったとしても、それぞれの行動にはちゃんと目的(野望)があるんですよ。

 ぺリエールが所属する諸国連合は、連合というものの一枚岩ではありません。でも、それも自国のことをちゃんと考えているからこそ簡単には動けないことを意味しているんですよね。

 それに変化を与えるのが、ノアたち抵抗の軍。でもノアはきっかけで、各国や英雄が自分たちのなかで結論を出し、己の意志で行動していく物語の展開がカッコイイなと思いました。

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テレポート最高! 世界を探索するのがとっても楽しい【百英雄伝】


 本作では主人公を操作し、(物語の進行によってエリア制限などはありますが)フィールドや街を自由に探索することが可能。目的地に到達することで、物語が進行していきます。

 物語が面白いの真っ直ぐに進めたくなる気持ちもありますが、個人的にはいろいろな場所に寄り道してみることをオススメします。

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 街では買い物をしたり、宿屋で休んで回復をしたり、準備を整えることが出来ます。街ごとに施設やお店で販売しているアイテムが違っていて、いろいろ見て回るだけでも面白いんですよ。

 街のなかを動き回っていると、ひときわ存在感を放っている人物がいます。その人物は、ほぼ間違いなくノアたちの仲間になってくれる英雄です。

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 『百英雄伝』というタイトル通り、本作にはあまたの英雄が登場。街を歩けば英雄に出会うレベルで、天才、奇才との出会いが待ち受けています。

 (見た目は)正統派の可憐なヒーラー、特攻服を着た人物、魔法少女などなど、序盤から個性的な英雄が仲間になります。その後も、彼らに見た目も性格も負けてないインパクト絶大な英雄たちが次々に登場するので、覚悟…楽しみにしていてください。もちろん、カッコいい人も、かわいい人も、もふもふな獣人もたくさんおりますのでご安心(?)を。

 最初に訪れたときは誰もいなくても、物語を進めることで、新たな英雄が出現する場合もあるので、街は小まめにのぞくのがオススメです。

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 英雄に話しかけて勧誘すると、仲間になってくれます。ただし、英雄によっては実力を示さないと協力してくれないことも……。実力を示す方法は、力試しやお使いの場合もあれば、ミニゲームでの勝利が条件なこともあり、英雄によって内容が大きく変化します。

 個人的に印象深いのが、グレンです。彼はカードゲームのプレイヤーで、仲間にするにはバトルで勝利する必要が……。このカードゲームが本格的で、始まった瞬間「何のゲームしていたんだっけ」と爆笑してしまいました。凝ったミニゲームは、ほかにも用意されていたので期待してほしいです。

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 フィールドには、強敵が待ち受けるダンジョンも用意されています。ダンジョンは謎の遺跡や鬱蒼とした森林、海辺の洞窟などエリアごとに景観が違って、新しい場所を訪れるたびに広い世界を冒険していることを実感出来て楽しかったです。

 ダンジョンによっては、ギミックを解かなければ先に進めないものも! 英雄のセリフや景色にヒントが隠されているので、よく観察することで、解決の糸口を見つけられます。

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 ダンジョン内では、後述する本拠街の育成に必要な木材、石材などの素材を入手できます。キラキラした鉱石や植物を調べると素材をゲット! ダンジョン内はカメラが自動で動くため、やや見づらい場所に素材や宝箱があることもあったので、見逃さないに気をつけたいところです。

 またダンジョンの中で、英雄と出会うことも!? 一度クリアした場所も放置せず、素材集めのついでに、再挑戦してみてください。

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 オールラーン大陸は広く、物語が進んで行ける場所が増えるほど、寄り道をするのが大変になっていきます。そんな問題を解決してくれるのが、テレポート!

 行動範囲が広がったなと感じる程よいタイミングで、テレポートの能力を持つ英雄が仲間になります。

 テレポートは一度訪れたことがある街、ダンジョンをマップで選択し、そこに瞬間移動することが出来ます(嬉しいことに無料です)。寄り道大好き人間なので神機能の追加に、「ありがとう」って拝んでしまいましたよね。ただしダンジョン内では利用できないので、必ず街やフィールドに出てから使用しましょう。

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英雄たちでパーティを組み強敵に挑もう【百英雄伝】


 仲間にした英雄で、メイン6人(前衛3人、後衛3人)+サポート1人のパーティを組むことが出来ます。サポートメンバーは戦いには参加しませんが、英雄固有の能力でバトルを手助けしてくれるので忘れずに編成しましょう。英雄のなかには、普段戦わない職業をしている人も多いんですよね。そんな英雄たちが、サポートとしてバトルで活躍できるのがステキだなと思いました。

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 物語の進行によって、特定の英雄をパーティに必須で入れなければいけない場面も出てきます(名前の横に鍵アイコンがついているのが目印)。そのため、プレイスタイルによっては“必須英雄を育英していない問題”が発生することもあるかもしれません。

 低レベルの英雄が2人程度なら、主要メンバーの適正レベルにあったダンジョンで戦うだけでガンガン成長するので、気にせずパーティに入れても問題なしです。

 戦力的に不安、またはお気に入りの編制を崩したくないという場合は、編成必須の英雄を同行者の枠に入れる方法もあります。同行者は3人まで連れていくことが可能で、サポートと違って戦闘には関与しないのが特徴です。

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 フィールドやダンジョン移動時は、ランダムエンカウントでバトルが発生します。

 ターン制バトルで、まずは攻撃や防御など、味方全員の行動決定。その後、画面上に表示される敵味方合わせた行動順に従って1人ずつ行動していきます。相手の全滅、または条件を満たすと勝利、味方が全員行動不能になると敗北です。

 敵のHPは見ることが出来ませんが、一定のダメージを与えると名前の色が白→黄色→赤と変化していくので戦いの目安になります。

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 バトルでは英雄が宿す魔導レンズの力で、多彩な技や魔法を使用することが出来ます。技はSP、魔法はMPをそれぞれ消費。SPは毎ターン回復しますが、MPは宿で休むかアイテムを使用しないと回復しません。

 序盤はMPが低くて魔法を使う機会はここぞの場面という感じですが、英雄が成長するとMPもどんどん伸びていき、回復も攻撃魔法も気軽に使えるようになりました。

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 本作のバトルの見どころの1つが、特定の組み合わせの英雄がパーティにいると使える協力技の英雄コンボです。ノアとセイの“友情コンボ”、ノアとリャンの“先輩後輩コンボ”など複数の種類があり、組み合わせを見つけるのも楽しいんですよね。

 英雄コンボには、ドットアニメによるド派手な専用演出がつきます。使用するコンビ、トリオなどの関係性がうかがえ、見ていてクスっと笑えるものも多かったです。
 
 英雄コンボはSPを使用し、威力や効果が高いものは、その分消費量も多い印象を受けました。私は魔導レンズの技を使用しすぎて、英雄コンボがなかなか使えないなんてミスをやらかしたので、皆様はご注意ください。

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 ボスとの戦闘では、ギミックを使用した特殊なバトルが用意されています。力押しだけでは苦戦することになるので、敵の行動をよく見て、ギミックを上手く利用して戦いを有利に進めましょう。

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 戦闘では1人ずつコマンドを入力する“戦う”のほかに、戦闘が終わるまでオートで戦う“おまかせ”と“逃げる”があります。特殊なギミックがあるボス戦以外は、“おまかせ”で戦っても問題なく進めました。

 ただし数が多い場合や、全体攻撃をしてくる敵が相手のときは要注意! 適正レベルのダンジョンで装備を整えていても、相性の悪い攻撃をされると、味方の体力がガリガリ削られていきます。私は全体魔法を使う敵が複数出たときは、ボス戦よりも苦戦した記憶しかないです。“おまかせ”は便利ですが、状況によって使い分け、安全に利用しましょう。

劇場に住む勢いでハマっています【百英雄伝】


 ノアたち抵抗の軍のホームになるのが、本拠街とその中心にある城です。本拠街には候補の中から選択する形式で、名前をつけることが可能。名前がつくと、それだけで愛着がわきますよね。

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 最初は、ボロボロで何もない本拠街。街の開発で、必要資金や必要素材を集めたり、条件を満たしたりしてパネルを開放することで、使用出来る施設が増えていきます。建てられる施設は各種お店から、温泉、劇場など種類が豊富。

 発展していくほど町が賑やかになって、ノアたちの冒険が有利になるし、プレイヤーの遊びの幅も増えていくというわけです!

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 この街の開発が楽しくて、一時期メインストーリーそっちのけで育成していました。でも、パネル開放の条件のなかには特定の英雄を仲間にしたり、レアリティ高めの素材を入手したりしないと建てられないものも……。

 物語をちゃんと進めて、探索できる場所を増やし、仲間を充実させないと全部の要素を遊びつくすことが出来ない仕組みになっているんですよ。ちゃんと、バランスよく進めていくのが大事ですね。

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 本拠街の施設の中でも、一押しの施設が劇場! 劇場の情報が公開されたときから、実際に見られる日を心待ちにしていました。私と同じように、ワクワクしながら待っている方も多いのではないでしょうか。

 かなり本拠街を育成しないと劇場を建てることは出来ないのですが、序盤からコツコツと進め、完成したときの喜び、充実感は大きかったです。

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 劇場はシナリオに合わせて英雄たちをキャスティングし、実際に演じている姿を見ることが出来ます。英雄によって芝居の得意不得意があり、キャスティングによって舞台の完成度が大きく変わるのが面白いです。

 まさかあの英雄が、この役を演じ切れるなんて……という発見もありました。

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 シナリオごとに、人形劇のようなかわいい芝居シーンも用意されています。

 こちら、なんとボイスつきです! あくまでセリフを言っているのは英雄たちなので、キャラによっては芝居が下手だったり、表現が過剰だったりすることもあるんですよね。声優陣のいろいろな意味での熱演が素晴らしくて、全員の全役の芝居を見たくなるんですよ。

 素直に白状します。劇場が出来てからは、配役決め&観劇が楽しすぎて、オルドリック公爵を相手にしている余裕がありません! でも物語も気になるし、新しいシナリオも欲しいし……。劇場生活はほどほどで我慢できるように、頑張ろうと思います。 

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 ほかにも釣りなどのコレクション要素やミニゲームなど、本編以外にもやりこめる要素がたっぷりと用意されている本作。自分の好みにあった英雄や遊び方がきっと見つかると思うので、皆さんもぜひオールラーン大陸を訪れてみてください。

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