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ドラマ『アンチヒーロー』2話感想と考察。白熱の裁判シーンに圧倒! しかし、黒を白にする“アンチヒーロー”に複雑な気分(ネタバレあり)

文:電撃オンライン

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 TBS系列にて毎週日曜日21時より放送中のドラマ『アンチヒーロー』の感想と考察を紹介します。

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“アンチ”な弁護士は正義か悪か――!?


 有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判において、たとえ犯罪者である証拠が100%揃っていても、無罪を勝ち取る“アンチ”な弁護士の活躍を描いた『アンチヒーロー』。

 長谷川博己が演じる本作の主人公は、まさにヒーローとは言い難い、“殺人犯をも無罪にしてしまう”限りなくダークで危険な人物。

 そんな彼を通し、“正義とは何か?” “世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける本作。

 スピーディーに展開する逆転リーガルエンターテインメントがいよいよ放送開始。事前情報のほとんどない状態で始まった物語の感想を、今後の考察も含めで紹介していきます。

『アンチヒーロー』第2話 感想



新たに出た証拠の凶器は重要ではない?


 町工場で起きた殺人事件の裁判を描いた第1話では、検察側の証拠を潰し、被告が大きく有利になるところまでが描かれました。

 しかし、被告の血液反応がついた凶器が見つかり、再び裁判の行方がわからなくなります。

 そして第2話、その新しい証拠について、事務所であれこれ検証が行われます。まずその凶器となったハンマーは、二ヶ月間もの間雨ざらしになっていたのに、それでも被告の血液反応が出た、というのはいかにも怪しい。

 それに、このタイミングで発見されるというのもやはり怪しい。また、凶器は出ても、それを本人が使ったという証拠は出てないので、そんなに問題ではないということに。

 このあたり、あまり詳しくない人にもわかりやすく説明してくれて良かったです。リーガルものらしく、会話主体で、流れるような展開。

 被告人はその凶器を事件の前になくしたと言っており、何者かがその凶器で犯行を行ったということになる、わけですが……。

 ただ、その凶器は事件の前に無くしていたということを、弁護士側から被告人に確認するシーンがあり、いかにも弁護士側から“そう言わせた”という演出もありました。

検察側の思惑とは


 また、被告人に対しても状況の確認が行われます。今回の事件では、何度も微罪で別件逮捕を繰り返し、起訴までに相当時間をかけたということがわかります。

 ここで明墨は、過去の殺人事件の裁判記録を調べ上げ、検察側のストーリーを思い描きます。相手は、今回担当する若く将来を嘱望された検察官。有罪率99.9%の刑事事件で、万が一有罪にできないと、将来有望な検察官の経歴に傷がついてしまう。

 検察は被告が犯人であることに絶対の自身を持っていますが、どうしても状況証拠しか出てこない。そこで焦った検察が、不正を行ったのではないか。

 と、明墨が目を付けたのが、被害者の爪に被告のDNAが残っていたという鑑定結果でした。ここが崩せれば、一気に有利に傾くことになります。

やはり検察は悪になるのか


 そして、証拠の捏造の証拠を探すという捜査シーンになるのですが、ここもかなり丁寧に描かれています。

 紫ノ宮が学生と偽って鑑定を行った大学の研究室に潜入、研究室の確認、学生への聞き込みと展開し、鑑定を行った教授の助手を見つけ、彼を騙して教授の部屋に入り込み……。

 弁護士の調査とはとても思えないグレーな行為ですが、この辺の流れもめっちゃスムースかつわかりやすい。クールで高飛車な印象だった紫ノ宮の意外な一面も見れたのも良かったですね。

 ただ、こうして明墨たちがあれこれ調べていたことは、検察側もわかっていると伺える場面も。この検察側のやり取りは、時代劇の悪代官並みの黒幕感(笑)。弁護士主人公だと検察が悪になるのは仕方ないけど、印象は悪いですね。

被告の緋山は本当に無罪なのか


 調査の結果、鑑定は2回目行われ、2回目で結果が捏造されたと推測した一同。明墨は、教授の手伝いをしている助教授に目をつけ、ゆさぶりをかけます。教授の評判は悪く、いつも鑑定を手伝わされている助教授も、教授に対して快くは思っていない模様。

 ちょっと強引なゆさぶり(というか脅し)をかけたのは、証拠の生データを外に持ち出すことを狙ったため。

 助教授はまんまとこの罠にハマり行動を起こすのですが、新人の赤嶺のミスで証拠の入手に失敗してしまいます。

 この失敗のあと、赤嶺は被告の緋山に面会に行き、本当に殺していないのか、直接聞くのでした。緋山は何か言いたげでしたが、そこに明墨が面会に現れ、結局有耶無耶に終わります。ただこの場面も、犯人は緋山なのかな、と思わせる内容でしたね。

白熱の裁判シーンに大満足


 そして公判当日。DNA鑑定の捏造を行った教授の証人喚問で、検察側の証拠捏造が暴かれることになります。

 ここからが本作の醍醐味。まさにリーガルドラマの真骨頂的な会話劇が繰り広げられます。長セリフを畳みかけるように話す長谷川博己さんの演技は見ごたえたっぷり!

 証人として出廷した教授が醸し出す“嫌な奴感”も相まって、スッキリするものとなっています。結構広告では煽ってますが、かなり正統派のリーガルドラマだと感じましたね。本当に冤罪なら……ですけど。

 裁判の決め手になったのは、手伝っていた助教授の証言と告発状。明墨は、この助教授に、“このまま鑑定捏造の共犯になる”か、それとも“本当のことを話して告発する”かと脅しており、結果、助教授が捏造を告発する形で証言したのでした。

 しかしここで明かされたのは、あくまで検察側の捏造であり、緋山がやったかどうかは一切触れられてないんですよね。もうこの段階で緋山が犯人で確定かなと感じました。

 結果として緋山は無罪を勝ち取るのですが……その後、思った通りの展開になります。ただここはちょっと演出過剰かなーと思いました。もう少しぼやかしてくれても良かったのではないかなーと。

『アンチヒーロー』第2話 考察


 緋山に関するエピソードはこれで終わり。次回からまた別のエピソードになるようですが、なんとなく、また出てきそうな感じはしますね。やはり思った通り、もやもやした感じになってしまったので。

 明墨に関する謎はとくに進んでおらず、娘と思われた沙耶は、孤児院の子であることがわかったくらい。

 緒方直人さん演じる謎の男との関係も不明のまま。獄中の謎の男に、明墨は手紙を送り続けているようです。

 また、最後に明墨が墓参りしていた墓石に刻まれた名前は“REIKO MOMOSE”。これが何者なのかも気になりますね。



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