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『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』先行レビュー&開発者インタビュー。シャドウならではのカッコよさにあふれたハイスピードアクションを体験

文:米澤崇史

公開日時:

最終更新:

セガが10月25日に発売を予定している『ソニック』シリーズ最新作、PS5/PS4/Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用ハイスピードアクションアドベンチャー『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』。

 先日開催されたメディア向け試遊会のレポートと、プロデューサーの中村俊氏、ディレクターの鴫原克幸氏のインタビューをお届けします。

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『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』は懐かしさと新しさの両方を体験できるタイトル

 新要素を追加した『ソニック ジェネレーションズ』と、シャドウが駆け巡る完全新作『シャドウ ジェネレーションズ』の2を収録したタイトルとなる本作。今回の試遊では、発売に先駆けてその両方を少しですが体験することができました。

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▲試遊前には、プロデューサーの中村俊氏(写真左)、ディレクターの鴫原克幸氏(写真右)によるゲーム概要の説明も行われました。
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▲試遊会では、『ソニック』と『スーパーモンキーボール』をイメージした昼食もメディア向けに振る舞われていました。

 『ソニック ジェネレーションズ』は、2011年12月1日にプレイステーション3とXbox 360向けに発売された『ソニック ジェネレーションズ 白の時空』をベースに、グラフィックのリマスターや追加要素を盛り込んだタイトル。

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 新要素としては、ステージ内に散らばったチャオを助け出す“チャオレスキュー”、近年のソニックシリーズの定番となりつつあるアクション“ドロップダッシュ”が追加され、オリジナル版のダウンロードコンテンツだった“カジノナイト・ピンボール”も収録されています。

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 今回プレイできたのは、『ジェネレーションズ』の特徴でもあるクラシックソニックとモダンソニックをそれぞれ操作できる、『ソニック』シリーズおなじみのステージであるグリーンヒル。

 自分は『ジェネレーションズ』のオリジナル版は未プレイだったのですが、過去の『ソニック』シリーズは何作か遊んいたので、とくにクラシックソニックを操作する2Dパートは、初めて遊ぶゲームなのにプレイしててめちゃくちゃ懐かしく、「こういう地形あったな~」と思い出が自然と蘇ってきました。

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 そこからのモダンソニックのパートは、同じグリーンヒルを遊んでいるはずなのに一切同じステージとは思えない感覚でプレイできるのが凄かった。最初プレイしている時は、完全に別のステージのつもりで進めて、結構途中まで進んで、「これ、もしかして2Dのグリーンヒルと同じステージ構成か?」と気付いた時は驚きました。見慣れたグリーンヒルも、3Dになるとここまで感じ方が違うとは……。

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 新要素のドロップダッシュはまだあまりうまく使いこなせなかったのですが、リマスターされたグラフィックは非常に美しく、フレームレートもヌルヌルなソニックは操作していてとにかく気持ちいい。ファンからの人気がとくに高いことも頷けるタイトルだと感じました。

 一方の『シャドウ ジェネレーションズ』では、序盤のステージと思われるスペースコロニー・アークと、『ソニックアドベンチャー2』にも登場したバイオリザードとのボス戦を体験。

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 今回プレイできたのはどちらも純粋な3Dステージで、概ねモダンソニックに近い操作感で、直前にソニック側をプレイしていたのですんなりと操作が馴染みました。

 独自の要素としては、シャドウの能力である“カオスコントロール”を使うこともでき、効果中は一時的に時間の進みが遅くなり、動く足場の移動速度を大幅に遅くしたり、飛び交うミサイルの隙間を走り抜けるようなカッコいいプレイも可能に。

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 ステージの雰囲気もソニックの時とは違っていて、無機質で機械的な敵や、どこか全体におどろおどろしい雰囲気があったり、操作性は近くともかなり新鮮な気持でプレイできそうだなと。

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 またボス戦であるバイオリザード戦は、なかなかやりごたえがありました。敵が飛んでくる大量の弾を、カオススピアで撃ち落として防ぐというギミックがあり、飛んでくる弾の量にびびって闇雲にボタン連打していると、カオススピアの発射タイミングがあわずに攻撃をくらってしまい、何度もふっ飛ばされてしまうことに。その分、コツを掴んでうまく撃破までもっていけた時の喜びも一塩でした。

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 残念ながら今回の試遊では体験できなかったのですが、本作のシャドウはカオスコントロール以外にも“ドゥームパワー”と呼ばれる新しい力が使えるようになる(映像では黒い羽のようなものが生えている姿が確認できます)とのことで、シャドウならではのアクションの楽しさがたくさん用意されていそうで、発売に向けての期待が高まります。

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 また試遊会では、本作のプロデューサーの中村俊氏、ディレクターの鴫原克幸氏のインタビューも実施されましたので、最後にその模様をお届けします。

プロデューサー・中村俊氏、ディレクター・鴫原克幸氏インタビュー

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2024年は“シャドウの年”として、シリーズを盛り上げていく

――まず、本作の開発の経緯をお聞かせください。

中村
前提として、我々は映画の制作にはまったく関わっていないし内容は知っているわけではないのですが、映画の『2』(『ソニック・ザ・ムービー ソニックvsナックルズ』)の最後にシャドウが出て来たので、今年はシャドウがピックアップされる、“シャドウの年”になるだろうと。

 やっぱり映画の効果ってすごく大きくて、たくさんのお客さんにソニックを好きになっていただけるタイミングでもあるので、そういった方々に「ソニックってどういうものなのか」を知って頂きたいという想いもベースにありました。

 そう考えた時、20周年の節目にリリースした『ソニック ジェネレーションズ』って、遊び部分で評価していただけているのに加えて、シリーズの周辺知識も色々勉強できるタイトルでもあったんです。

  『白の時空』バージョンは任天堂さんのハードではリリースしておらず、日本のSwitchユーザーさんとか、オリジナル版を遊んだことのない方々にも遊んでいただきたかったですし、その上で今年はシャドウの年でもあるので、何かシャドウの遊びを入れて作ってみたらどうか、というところからスタートしました。

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――実際にシャドウを主役に開発してみての苦労はありましたか?

鴫原
ソニックはとにかく速いというのが特徴なんですけど、今回シャドウにはカオスコントロールやカオススピアもあり、新しい追加の要素も入れています。それを既存の『ソニック』ファンの方に、どうやった受け入れてもらえるだろうかというところ、あとはそこに“速さ”もなければやっぱりソニックではないので、その両立というのは難しかった部分ですね。

――完全新作とリマスターの2本セットというのは、珍しい販売形態だと思うんですが、なぜこの形式を採用したのでしょうか?

中村
やっぱりソニックとシャドウをすべて1から作ろうとするとすごく時間がかかります。今回は映画があるタイミングに、IPとして広がりのあるものを届けたいと考えた時、『ジェネレーションズ』をベースに、新しいことはシャドウでチャレンジするのがいいのではないかなと考えました。

今回、シャドウも『ジェネレーションズ』形式で作っているんですけど、まったく別物にするのもアリかなと考えていた頃もありました。でもそれだと、キャラクターもゲーム性も全然違うものになってしまうので、一貫性みたいなのがなくなってしまうなと。それなら『ジェネレーションズ』として統一して過去のステージを巡らせた方が、映画のタイミングにきちんとお届けすることができるかなと、今の形を取りました。

――『シャドウ ジェネレーションズ』も、最初から遊べるのでしょうか?

中村
はい、今回の試遊と同じような形で、最初から好きな方を選んで遊べるようになっています。ただ『シャドウ ジェネレーションズ』に関しては、シャドウを知らないという方もいっらっしゃると思うので、そういった方へのフォローも考えながら開発を進めている最中です。

――両作にストーリー的な関連性はあるのでしょうか?

中村
今はまだあまり詳しくお話できないんですが、『ジェネレーションズ』の裏で描かれている物語という位置づけにはなります。

鴫原
シャドウは『ジェネレーションズ』にも、ソニックがカオスエメラルドを集める過程で戦うライバルの1人として登場していましたが、そこしか出てこなかったんですよね。じゃあ、その間は何をしていたんだと。

中村
究極言ってしまうと、『ナックルズ ジェネレーション』とか『テイルス ジェネレーション』も作れなくはないんですけど(笑)。今回はシャドウについて、『ジェネレーションズ』の物語とうまく整合性を取りつつ、色々掘り下げていければと思っています。

――何らかの裏での繋がりがあると。

中村
そうですね。そういう関連性があるので、すでに深くストーリーを知られている方も、その考察を楽しんでいただくこともできるようになっていると思います。

――オリジナル版を作っている時から、シャドウは「実はこんなことをしていた」みたいな構想ってあったんでしょうか?

鴫原
……10何年前の話なので、ちょっと覚えてないですね(笑)。

中村
おそらくないと思います(笑)。『ジェネレーションズ』って、開発側でもディレクターの交代があったりしたタイトルなんですが、昔のことを知っている人間も少なくなってきていて。それでも各々に色々記憶を引っ張りだしてもらいつつ、今回のタイトルを作ってもらっています。

――当時と現在で、開発の上で大きく変わった点はありますか?

鴫原
やっぱりハードの性能で、表現がよりリッチにできるようになりました。ただゲーム部分に関しては変わりはなくて、それをどう表現するかという部分が変わっています。

 やっぱりスピード感って、周りの背景もありきで変わってくるので、その背景がリッチになったというのは大きな違いだと思います。

中村
いつものソニックは大体1個の絵面で最初から最後まで完結するんですけど、その分、途中で絵が大きく変わるうな表現をするのはすごく大変でした。

 もちろん今回も工夫はしているんですけど、より自然に異なる表現を行ったり来たりできるようになったというか。そこはゲーム内でも重要な役割を果たす部分なので、本作ならではの要素になっていると思います。

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過去の思い出を振り返ってもらいつつ、新しい遊びも提供していく

――今回は2つのタイトルが収録されていますが、『シャドウ』についても元の『ジェネレーションズ』に合わせて調整したのか、それともまったくの別物として作ったのか、どちらなのでしょうか。

鴫原
まず「スピードランである」というところは、変えないと決めていました。『ソニック ジェネレーションズ』が、スピードランとして評価いただいているタイトルでしたし、その方針はそのまま、シャドウの能力を盛り込んでいくというのが気をつけたところです。

中村
元々『ジェネレーションズ』は、ソニックに新しい力を足すみたいなことをやっておらず、純粋に過去の冒険をもう一度思い出してみようというコンセプトで作られていたタイトルでした。今回は、半分は過去の思い出を蘇らせて、もう半分は新しいことを入れて逆に驚きを与えようと。

 試遊で遊んでいただいたバイオリザードっていうボスも、従来の『ジェネレーションズ』にはなかった、途中で腕が生えてくるみたいな要素を入れています。

 『ジェネレーションズ』という体を取りながら、遊びとしては新しいものを提供し、なおかつ両方のタイトルを行き来しても違和感なく楽しめるようにしようみたいなところで、結構チームとしては苦労しながらバランスを取りましたね。

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――今回の試遊では遊べませんでしたが、シャドウにはドゥームパワーという新しい能力が追加されています。

鴫原
はい。まだ詳しいところはお話できないんですが、ホワイトスペース内でも使えますし、習得した後は外でもドゥームパワーを使って移動したりできます。それまでに通ってきたステージを、能力を使ってやり直すみたいなこともできます。

中村
ドゥームパワーについては、現状お見せしているのは“羽が生える”という部分くらいで、具体的な遊びの内容についてはお伝えしていないのですが、先程の新しいチャレンジという話に関わってくる要素になります。具体的にそれがどういう遊びの広がりになるのかという部分は、また今後改めてお伝えできればと思っています。

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――2Dと3Dが入り交じるのが『ジェネレーションズ』の特徴でもあると思うのですが、今回の試遊ではシャドウは両方3Dステージでした。シャドウについてはすべて3Dステージとなるのでしょうか?

中村
『ソニック ジェネレーションズ』だと、クラシックソニックが2D、モダンソニックが2Dと3Dの入れ子構造のステージになっているんですけど、『シャドウ ジェネレーションズ』に関しては、今回見ていただいた3Dオンリーのステージに加えて、別途2Dの遊びも用意しています。ただ、ソニックみたいに、クラシックシャドウが出てくる…みたいなことはないです。

――試遊では、バイオリザード戦は結構難易度が高めに感じられたのですが、製品版では難易度をプレイヤーが変えられたりという要素はあるのでしょうか?

鴫原
調整はできないんですが、今回の試遊ではいきなり戦っていただいたんですが、本来バイオリザードはある程度ゲームが進んでから戦うボスなんです。だから実際のプレイでは、急に難しくなったという印象は、そこまで受けないんじゃないかなと。あとは過去作のラスボスではあるので、そこまで簡単にはできないというのもありました。

――本来はもっとプレイヤーとしての経験を積んでから戦うボスだったと。

中村
そうですね。アクションゲームなので、触れれば触れるほど成長していくという前提で調整しています。ただちょっと苦労しながらやっているのが、腕が生えてくるとか新しい要素を入れる一方で、最初の頃のフェーズでは過去作を思い出してもらいたいという想いもありまして。

 経験者の方がニヤリとできる要素もいれつつ、初心者の方がプレイされる際のバランスをいろいろ苦労しながらですが調整しているような形です。

――『ソニック』側には、チャオレスキューが新しく追加されていますが、今回の試遊では1ステージごとに3体いるように見えました。

中村
おっしゃる通りです。こちらも詳しくはお話できないですが、過去にあったチャオガーデンのようなものはないです。何かしらの集める遊びがあると思っていただければと。

――シャドウが本格的なプレイアブルキャラになるのは久しぶりだと思うのですが、改めて気付いたシャドウの魅力というのはありましたか?

鴫原
今回プレイしていただいたのもそうなんですけど、シャドウ側はステージの雰囲気もちょっと暗いというか……やっぱり黒ってかっこいいなと(笑)。一方でソニックの方はグリーンヒルの清々しい雰囲気の対比も面白くて、両方の魅力に改めて気付けたところがありますね。

中村
実は開発チームの中でも、シャドウを好きな人って多いんですよ。今回のコレクターズエディションも、社内で欲しいみたいな人がたくさんいて。開発中も、好きの裏返しじゃないですが、「これはシャドウじゃない」みたいな厳しい意見がでることもあったり。

 シャドウが活躍したのって結構前で、当時は1ユーザーとして思い出をもって開発者になったというメンバーもいて。そういう意見は、ゲームとしてのクオリティを上げていく一方で、きちんと従来のシャドウの魅力に沿ったものになっているかのパラメータの参考させていただいた側面もありましたね。

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――解釈違いじゃないですけど、いろいろと意見のぶつけ合いが。

中村
やっぱりスタッフの中でも、それぞれに違った解釈をする人もいて、どっちが正しいのかという最終判断は、アメリカの飯塚(※ソニッククリエイティブオフィサー・飯塚隆氏)とも相談しながら進めました。

 バイオリザードの手が生えてくるところとかも、「いきなりこれはダメなんじゃないか」みたいなところからやってきましたし、「これは違う」と思われるファンの方も居られるかもしれませんが、我々としてはシリーズファンの方の気持を大事にしながら、新しいシャドウを描くということに挑戦したつもりです。

 ソニックとシャドウの対比という意味では、パッケージもこだわった部分で、二人が対照的になっている構図とかも、気に入っていただけるのではないかなと思っています。

――最後に、発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

鴫原
先ほども話した通り、『ソニックジェネレーションズ』はスピードランとしてお客様に受け入れていただいたのですが、今回はそれを越えたシャドウならではのスピードランを作れたと思っています。プレイしてぜひ気に入っていただければと思います。

中村
今回は映画とかもあって、シャドウの年ということで、ソニックと一緒にぜひシャドウも知っていただきたいなと。シャドウって本当にすごく魅力的なキャラクターっていうところもあって、知ってもらえればみんな気に入ってくださるんですよね。

だからこそ、今度はソニックとシャドウの2大巨頭でソニックをもっと盛り上げて、最高のゲームを作っていきたいと思っています。昔遊んだという方もそうでない方も、ぜひ両作をしっかりを遊んでいただけると嬉しいです。

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