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『菜なれ花なれ』1話感想。かなたと涼葉が身体能力お化けすぎる…! 学校が違うなど普通の青春部活モノとは一味違う関係性も面白い(ネタバレあり)

文:米澤崇史

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 TVアニメ『菜なれ花なれ』1話“抱え込み1回宙返り1回ひねり開脚一回伸身1回ひねり”の感想記事をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『菜なれ花なれ』第1話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことをオススメします。 [IMAGE]

チアリーディングじゃなくパルクールアニメなのかと勘違いしそうになるインパクト【菜なれ花なれ】


 いよいよ放送がスタートした、P.A.WORKSとDMM.comの共同制作によるTVアニメ『菜なれ花なれ』。

 事前の情報では、趣味も特技も性格もバラバラな6人の女子高生たちの、さまざまな“応援模様”を描くオリジナルアニメとのことで、アニメ版『BanG Dream!』シリーズを手掛け、『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』ではガールズバンドアニメとしての新しい境地も切り開いた、柿本広大氏が監督を務められるという点でも注目していた作品でした。P.A.WORKSの青春学園ものとしては、『TARI TARI』も個人的にめちゃくちゃ思い入れ深い作品です。

 放送前は、6人の少女たちがチアリーディング部に所属する部活ものを想像していたんですけど、いざ放送された1話を見てみると、結構想像していた方向性とは違った展開になっていて驚きましたね。


 第1話のストーリーは、主人公の美空かなたを中心に展開されました。かなたが所属する鷹ノ咲高校はチアリーディングの名門のようですが、冒頭を見る限りかなたはチアリーディングの大会中にジャンプを失敗してトラウマを抱えてしまい、現在は部活は休部(もしくは退部した?)状態にあるようです。

 かなたはまだ1年生らしいんですが、全中大会での優勝経験があり、チアの名門である鷹ノ咲でトップをいきなり任されていたと考えると凄まじくて、先輩たちが「かなたの代わりはいない」と断言しているくらいなので、名門の中でもよほど飛び抜けた才能の持ち主だったんでしょう。

 海音寺恵深はそんなかなたの中学時代からの友人。恵深はかなたが朝練に遅れないか心配して、かなたはそれにはぐらかすような返答をしていたので、現在の自分の状態を恵深には隠していることが分かります。


 メインキャラの一人、小父内涼葉の登場シーンも、パルクールの作画のスピード感もあわさってあなりのインパクトがありました。

 もう初っ端っからいろいろおかしくて、駅の階段や上の屋根に飛び移るところ、学校の壁を登っていくところなんかがほぼ人間の域を越えた動きをしている気がします。その上実はメガネっ娘だったという意外性も非常にギャップがあってグッド。視力がよくなくて、本当は常にメガネかけていたいくらいだけど、パルクールには危ないので一時的に外しているんでしょう。

 そんな涼葉を追いかけていたのが、ブラジル育ちの杏那・アヴェイロ・ナカムラ・ドス・サントス・モレイラ・クッシティーニ……長い! ので杏那と書きますが、杏那と大谷穏花。ちょっと面白かったのが、杏那が動画を取りたい理由が一角千金と意外と俗物的なところ。ただ、杏那は日本語に明るいわけじゃなさそうなので、一攫千金の意味を誤解していて、他に真意が隠れているような気もします。

 また、ここまで基本的に同じ学校同士のキャラクターの関係性が多く登場していたので、桜城女学園の一年生である谷崎詩音と恵深がすでに仲良くなっていたのはちょっと意外性もありました。詩音は対照的に、同じ学校の涼葉とは関係性が希薄で、恵深との間よりも心の距離みたいなのが大きそうな感じ。

 ただ、涼葉に対して何か思うところがあるようですが、どういう感情なのかは1話の間では分からず仕舞いでした。優等生で誰からも好かれている詩音からすると、涼葉みたいな我が道を行く自由人には憧れるような部分があるのかなと想像したりもしましたが、6人の中で現在の関係性が一番見えにくいのがこの2人なのかなとも感じましたね。

即世界が獲れそうなかなたのジャンプ力。ちょっと置いてきぼりにされている涼葉が面白い【菜なれ花なれ】


 1話最大の見所となった、クライマックスでのかなたと涼葉の追いかけ合いでは、涼葉のパルクールが超人的すぎてもう笑うしかないみたいな状態に。一歩間違えると死にそうな高さの屋根をなんでもなく越えたり、2階くらいの高さなら平然と飛び降りてます。

 個人的にも、YouTubeとかで町中のパルクール動画を見るのが好きだったりするんですけど、涼葉は自分で動画を撮ったりしているわけでもないので、何のためにここまで危険なこと普段からやっているのかは結構気になるところ。公式サイトの紹介を見ると、「通学時間の短縮のため」というは記載はあるんですけど、たぶん最初ににパルクール登校を始めることになったきっかけは何かあったんだと思うんですよね。


 ただ、最終的に一番すごかったのはラストのかなたの大ジャンプで、2階建ての建物との距離を見るに、低めに見積もっても10メートル前後の高さは飛んでそうに見えます。名門チアリーディング部のエース格っぽかったですし、かなたの身体能力もお化けクラスなのは納得のところなんですけど、今からでも陸上に転向して高跳びでもやったら間違いなくメダルが獲れそうな気がします。

 視聴者の視点からは、かなたがジャンプに対しての何らかのトラウマを抱いているのは分かる構成になっているので、あそこで感極まるのも理解できるんですけど、まったく事情を知らない涼葉からするとちょっと呆気に取られた状態で終わるのも面白かったです。いきなり違う学校の知らない人が追いかけてきて、凄まじいジャンプしたと思ったところでの涙ですから、次回にどういうリアクションをするのか気になるところ。

 また、1話ではメインキャラクターとなる6人全員が登場した形になりましたが、かなたは鷹ノ咲、恵深は高校に通わず療養中(鷹ノ咲志望ではある)、杏那と穏花は御前嘴、涼葉と詩音は桜城女学園と結構環境がバラバラなのが変わっているなという印象で、学校も趣味趣向も異なる彼女らがどういう風に繋がっていくのか、まだ想像がなかなかつかない部分が多いですね。学校が違うので、鷹ノ咲のチア部に全員が入るわけにもいかないでしょうし、普通の青春部活モノとはちょっと違う展開になってくるんじゃないかという気がしています。


 あとは世界全体がちょっとパステル調というか、色味がかなり独特だったのも印象的でした。

 最初はちょっと違和感があったんですけど、1話を見終わるくらいには不思議と馴染んでいましたし、普通の作画アニメとはちょっと雰囲気が違うので、3DCGと2Dの境目みたいなのが分かり辛くなる働きもしているなと。冒頭のチアシーンとか、どこまで作画でどこまでCGなのかパッと見じゃ気付けないほど2Dと3Dが違和感なく共存していたのがすごかったです。

 1話でかなたが抱えていたトラウマは解消されたっぽいですけど、だからといって早速チア部に復帰するような形にはならない気がしますし、これからどういう風に物語が動いていくのか、2話以降の展開も楽しみです。


米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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