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【ほぼ週刊電撃スタッフコラム:オッシー】夏のホラー&ムフフ(?)祭り後編。『近畿霊務局』が想像の斜め上からの超展開で実質『CoD』だった件。『FAITH』も映画『近畿地方』も恐怖表現の解像度が高すぎて「作ってくださってありがとうございます」

文:オッシー

公開日時:

 みなさんこんにちは。コラム書きをサボっていたせいで、プレイしたゲームが溜まりまクリスティにつき、怒涛の後編です。

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 ホラーはいいとして、ムフフ要素を前半に寄せすぎたせいで後編にムフフ要素無いじゃないかという批判はありますが、『近畿霊務局』の白石ちゃんは27歳なのにJKコスしてる上に軍人上がりの戦闘狂で異名が「たまに除霊するヒグマ」なのエロくないですか……?

 あと『FAITH』のヒロイン(?)エイミーちゃんも顔から手を生やしたり壁から生えてきたりするけど、登場時の手つきとかセクシーと言えなくもない。

 そんな無から有を感じ取れるオッシーがスタッフコラム第12回目をお送りします。


 このコラムでは、狂ったようにプレイしている日々のゲーム体験や、ゲーム以外の趣味である映画鑑賞などで摂取したエンタメコンテンツを、短文レビューを形式でお送りしています。

 今回はゲーム編と映画編です。
いつものことですが、ネタバレ注意!

民家に住み着いた違法幽霊の鉄拳排除から国家転覆まで

タイトル:『近畿霊務局』
プレイ状況:PS5版 クリア トロコン済み

 お盆だからとホラー配信でプレイ。予想を裏切る骨太ストーリーに震えた。個人的にめちゃくちゃ好み。いいゲームに出会えて良かった。

 元々、前情報で、ホラーと見せかけて幽霊を物理でやっつけるゲーム、というのは知っていた。なので、そのギャップを楽しむいわゆるバカゲーだと思っていた。

 確かに、序盤はそういう雰囲気で進む。地図から消えた村に、近畿霊務局のヒラ職員が潜入(職場には無断で)。理由は、「ふるさと納税したのに返礼品が届かなかった」から。村人が消え去った村にライト一つで潜入。暗闇から現れる幽霊に、突然取り出した自動小銃で立ち向かう! 実は霊務局は物理的な方法で除霊を行うお役所だったのだ、という流れ。

 『MGS』よろしく、HQにいる上司(課長)から指示を受けながら除霊をこなす。相手が死人(幽霊)とはいえ、公務員なので発砲にも許可が必要だったりと、細かい設定も楽しい。「警察比例の法則」で、相手が素手ならステゴロ、鈍器を持ち出せばこちらも釘バット、銃器を使ってきて始めて小銃で戦えるのだ(まあ主人公は不良公務員なので、最初から自動小銃ぶっ放したりはするけど)

 墓場に出てくる井戸やらモニタやらから出てくる幽霊サタコを墓石で殴りころ……除霊した辺りから様相が変わってくる。幽霊ではなく、何故か土着神社の巫女から襲われるのだ。襲ってきた巫女を、上司が支援機(ドローン)からのミサイル攻撃で一掃するのだが……。

 ここから先の展開はぜひプレイして頂きたいが、ホラーでもバカゲーでも無く、骨太のミリタリーで、さらに組織の裏切りや国家ぐるみの陰謀、戦場で生まれた友情からの別離、そして壮絶な復讐劇など、まさかの展開のオンパレード。これ『コールオブデューティ』で見たやつ。

 ビジュアルとしてはローポリ気味で、PS2とかその辺のクオリティ。モデリングも主要キャラ以外はほぼ同じだったりするものの、それにもちゃんと理由付けしてあったりして細かいところも納得が行くようになっている。例えば、モブ巫女は全員同じモデルだが、「幽霊に顔を覚えられないようにあえて同じにしている」と説明が。ちゃんと会話すると、モブ巫女一名一名にちゃんと名前があって、バックグラウンドも語られたりする。めちゃくちゃな世界設定なのに、ストーリーもキャラも納得感があるようになっているのは素晴らしかった。

 主人公の白石瑞希もかなり良いキャラ。女子高生除霊師かと思いきや、戦闘慣れしすぎていたり急にタバコを吸い始めたりする。」

 実は27才で元自衛官。戦場経験ありで戦闘能力並外れ。JKコスプレ(昔着ていた本物だからコスプレじゃないと豪語)してるのは、「道に迷ったか弱い女子高生が一番、悪霊に狙われやすいから」。規則を守らない不良公務員だが、組織の不正が明るみになってからは自分の正義の為に戦うカッコよさ。言動はほぼ反社のそれ。付いた異名は「たまに除霊するヒグマ」。

 こんなぶっ飛んだ主人公と友情を結ぶ巫女部隊の主任の賽河もいい。最後の決断と、それを説得する白石とのやり取りは泣けた。こういう展開弱いのよ。『ペルソナ2罪』・『罰』の達哉、と言えば分かる人は分かると思う。さらにエピローグで、白石は相変わらず違法幽霊を(物理的に)成仏させまくるのだが、その理由が……とかエモすぎる。

 3~5時間程度で終わる短めのゲームではあるが、素晴らしい名作だった。ぜひプレイしてみて欲しい。宿敵課長のパワポ芸は必見!

■電撃インディー動画はこちら
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▲埼玉在住の課長に対する白石ちゃんのツッコミがキレッキレで最高(筆者も埼玉在住)
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▲課長のパワポ芸が笑える。配色が目に痛い。でも内容はド畜生。
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▲絢音ちゃんとのやり取りは泣ける。霊務局許すまじ。

『ウォーキングデッド』コラボときいちゃ黙ってられぬ。なんでキャロルがいないのか

タイトル:『Dead by Daylight』
プレイ状況:PS5版にてプレイ

 様々なホラーコンテンツとコラボしまくっているので興味はあったが、以前にPS4でやっていたときはロード時間とかマッチング時間とか長くて、正直ほぼプレイしていなかった『DbD』。あとチェックが下手すぎて足引っ張るのが嫌だったのもある。

 ただ、最近は友人がドハマリしており、ゲームは詳しくないけど元ネタのホラー映画とかは大好きで語れるので、気になってはいた。

 そんな折に発表された『ウォーキング・デッド』コラボ。一時期ドハマリしていた海ドラということもあり、これを機会にデビューすることに。

 PS5版だとロード時間もそこまで気にならず、結構楽しい。コラボキャラはサバイバーしかいない(リックとミショーン)ので、結果的にサバイバープレイがメインだけど、以前は苦手だったチェックも慣れてきたらなんとかなる。

 ただ、友人いわくリックとミショーンのパークは微妙な性能らしく、ちょっと残念。あと『ウォーキング・デッド』のサバイバーといったらキャロルやろがい。

 キャロルはシーズン1や2では夫にDV受けている気弱な老婦人だったのに、シーズンが進むと覚醒して強キャラBBAになるという人気のキャラ。殺意の波動に目覚めてゾンビだろうが人間だろうがきっちり殺しまくるのが気持ちいい。第二弾コラボがあれば来るといいな。

 どうせならキラー側も実装してほしいが……有名なヴィランだと総督とかニーガンとかいるけど、殺人鬼かと言われると微妙かも。

 まあでもニーガンは『鉄拳』にも出てるくらいだし、イケるな。ルシールで殴りかかり、負傷して這いつくばったサバイバーをグレンみたいに……とか想像すると全然イケる。第二弾コラボも期待!

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▲何故かひょっこりはん風になっちゃったリック。寿司折りを土産に酔っ払って帰ってきたパパみもある。

ドット絵なのに惨劇の情景がまざまざと浮かび上がってくる演出表現力


タイトル:『FAITH:The Unholy Trinity』
プレイ状況:Switch版 クリア済み

 その圧倒的なビジュアルに惹かれてPC版もちょっとプレイしたものの、当時は日本語化されておらず途中で断念。それが日本語化されてSwitchで出るということで、早速ホラー配信でプレイさせてもらった。

 ローカライズも、単に字幕が追加されただけでなく、ボイスオーバーまでされている。まあ合成音声ではあるが、ちゃんと日本語に聞こえて、あの不穏な感じがよく出ている。また、壁の落書きや床の血文字なんかもしっかり日本語になっていて感心した。調べて翻訳文が出てきてようやく意味が分かるより、画面に映った瞬間にダイレクトに意味が分かる方が恐怖感が増して良い。丁寧な仕事で素晴らしい。

 ストーリーは、以前にエクソシスト見習いとして携わった(そして失敗して師匠が死んだ)案件に再度リベンジするエクソシスト神父の話。1章から3章まであり、各章内で分岐もある。

 過去の失敗案件も、アーカイブや会話で何となく分かるものの、実際の状況などは最後の3章まで分からないようになっている。そこまでやって始めて、最初の悪魔祓い失敗の顛末が分かるのだが、その時の主人公の恐怖や絶望、トラウマがまざまざと描かれて、ドット絵なのにまるで映画を観ているような感覚に陥った。
(実際に映画化も決定されたとのことで楽しみすぎる!)

 これも、“ロトスコープ”と呼ばれる実際の映像を元に作られたドット絵アニメーションだからなのだろう。ドット絵がまるで実際の映像のようにヌルヌル動くので、臨場感抜群だ。

 ドット絵なのに、と連呼したが、むしろドット絵だからこそ際立つ恐怖表現も多い。エイミーの家族写真や、ドアスコープから除くカルト信者の笑顔など、写実的なイラストよりドット絵だとより怖く感じる気さえする。

 また、テキスト情報の散りばめ方も秀逸。メモや手紙といったアーカイブを拾って情報収集をしていくのだが、例えば3章の友人リサのアパートへの導入部分など、「助けにきて! 鍵は友人からもらって!」という手紙がきたと思ったら、すぐに「なんでもないからこなくていい。友人は信じるな」という手紙がくる……といった展開も。その背景を想像するとゾッとする。

 ドット絵見下ろし型のホラーゲームは数多くプレイしたが、ここまで抽象的なドット絵で、ここまでの恐怖表現をしているタイトルはほかになかったと思う。

 ホラー好きで、リアルな3Dの探索ゲームに食傷気味の方はぜひプレイしてみて欲しい。

■電撃インディー動画はこちら
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▲床のダイイングメッセージも日本語でバッチリ!
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▲このクオリティでドット絵がヌルヌル動くの。怖くない?
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▲保育園などのマップもあり、怖い系のイラストもいっぱいあるよ。

 
次は映画編。超ネタバレ注意!

原作とは違った味わいの『近畿地方』が楽しめる、新たなる近畿地方ユニバース


タイトル:映画『近畿地方のある場所について』

 原作も大好きだったモキュメンタリーホラーの傑作『近畿地方のある場所について』がついに実写映画化したので、さっそく鑑賞。

 原作は基本的にテキストベースの資料がメインだった(小説なので当たり前だけど)のと、オチ的なところが映画だと開始時点で(というかキャスト発表時に)分かっちゃうので、どうなるか正直不安だったが、実際に観てみたら、テキストベースの資料が映像の形で表現されているのと、新規の映像に振り替えされていて、うまく表現されていた。

 ネットの書き込みとかは文字で見たほうが伝わりやすいが、林間学校の一幕なんかは映像の方が臨場感もあって上手く表現されていたと思う。

 失踪した編集者を追う流れは原作通り。原作だと叙述トリック的になっていた語り部の属性も、当然だが映画では一目瞭然。菅野美穂が演じている。相方の小沢は赤楚衛二、仮面ライダークローズ。

 メイン怪異の赤い女やその息子はもちろん出てきて、映像で見るとやっぱりいいね。息子の首や赤い女の動きも、実際見ると確かにあのポーズだわ……となって背筋がぞくり。

 やしろさまは何かクトゥルフ的な存在を想像していたので、あんな感じだったのか~と思ったものの、ちょっとクリーチャー的に感じられてしまって、正体の分からない怖さみたいなのは失われちゃったかなと思う。映像化するには避けて通れないので仕方ないが。

 最後のオチは原作にはないもので、途中からなんとなく読めてはいたものの、菅野美穂の怪演と相まってとても良かった。まさかの獲物取り合いバトルに発展するとは。

 原作にあった団地での自殺の件が薄まっていたりしたのはちょっと残念。あのホラーに良くあるエピソードでありつつ、方角が~というくだりが好きだったので。とはいえ、映画で新規に足された“まさるさま”の日本昔ばなしのクオリティが高すぎて、そこは映像ならではの表現でとても素晴らしかった。完全再現レベル。

 夏のホラー映画ラッシュの中でも好調のようなので、納涼映画鑑賞でぜひ。弊社グループの作品なので!


 電撃オンラインでは白石監督&背筋先生の
インタビュー記事も掲載しています。

 コラムをお読みいただいて、ありがとうございます。また次回!

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