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『かまいたちの夜×3』先行レビュー。複数視点で惨劇の回避を目指していく構造が最高! 今こそプレイすべきミステリーゲームの傑作

文:カワチ

公開日時:

 スパイク・チュンソフトより、9月19日に発売予定のPS4/Nintendo Switch/PC(Steam)向けサウンドノベル『かまいたちの夜×3(トリプル)』について、シリーズファンのライターによる先行レビューをお届けします。

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前2作のメインストーリーも収録されているからこの1本で大丈夫!


 『かまいたちの夜×3』は『かまいたちの夜』、『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』から続く物語の完結編。『かまいたちの夜2』のメインストーリーで起きた事件の後日談が描かれることになります。

 ストーリーは前作から密接に関係していますが、『かまいたちの夜』と『かまいたちの夜2』のメインストーリーも収録されているので、本作からプレイしても問題ありません。

 『かまいたちの夜×3』を久々にやってみようと思っている人はもちろん、『かまいたちの夜』を聞いたことがあるけど遊んだことがない新規ユーザーにこそ遊んでほしいです。

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 今回レビューを書くにあたり、『かまいたちの夜×3』だけでなく『かまいたちの夜』と『かまいたちの夜2』もプレイしましたが、おもしろすぎてラストまでプレイしてしまいました。

 『かまいたちの夜』シリーズには多彩な魅力がありますが、改めてプレイして感じたのは、テンポがよく読みやすい文章。内容が頭に入ってきやすいので、あまり小説を読んだりしない人にもオススメできます。

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 本当にどこかにいてもおかしくないようなリアルさをもちながら、どれも個性的な持ち主で忘れられないキャラクターはどれも好きになりますし、なによりも外部と隔離されて電話も通じなくなった状況で起こる殺人事件という緊迫感から目が離せません。

 自分が事件を解決しなければ次々に犠牲者が増えていき、追い詰められていくというシチュエーションも没入させられます。

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 また、『かまいたちの夜』のあとに『かまいたちの夜2』をプレイすると演出の強化に驚かされます。あくまでテキストのおもしろさがメインで、演出はその補助となるものですが、キャラクターの動きが加わったことで、具体的にどのような動作をしているのかわかりやすくなっています。

 大胆な引きのカットや、顔の部分がアップになるカットなど、映画的な演出も多数取り入れられており、引き込まれることも多いです。『かまいたちの夜』の舞台が閉ざされた雪の山荘であったことに対し、『かまいたちの夜2』は絶海の孤島を舞台にしており、雰囲気がガラリと変わるのもポイント。空や海の青さは美しいものの、舞台となる“監獄島”は陰湿で雰囲気満載。緊張感のあるストーリーが楽しめます。

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 そして『かまいたちの夜×3』。シリーズ3部作の完結編となるストーリーは『かまいたちの夜』のキャラクターたちと共に過ごしてきたプレイヤーにとって、一言では言い表せない濃密な体験を与えてくれます。

 『かまいたちの夜2』は複数名がシナリオ執筆を手がけており、共作ならではのよさが出ている作品ですが、『かまいたちの夜×3』は第1作と同じく我孫子武丸さんがメインで執筆を手がけているので空気感がかなり似ています。『かまいたちの夜』のセルフパロディのようなシーンもあり、ニヤニヤさせられます。

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 また、『かまいたちの夜×3』でおもしろいのは複数の主人公が存在していて、異なる視点でひとつの事件を追うという内容になっていること。主人公は4人で、どの人物が主人公になるかは実際にゲームをプレイしてみて欲しいのですが、最初に選ぶことになる人物だけを明かすと香山さんになります。

 これまでムードメーカーだったりトラブルメーカーだったりした香山さんが主役になる驚きもありますし、彼の視点だからこそ見えてくる人情家の一面などもあり、興味深く読み進めることができます。

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 ひとりの主人公が選んだ選択肢によってほかのキャラクターの運命が変わるといった仕掛けもあり、パズル要素も強く、最終作にふさわしい難度になっています。ただ、選択肢による変化も分かりやすいですし、便利なフローチャートもあるので、ゲームの進行自体は迷うことはないはず。

 プレイヤーは自分の推理の整理や閃きに集中できるので、ミステリーゲームとして優秀です。

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 ネタバレになるので語れませんが、複数主人公ならではの仕掛けには驚かされますし、後半の展開もこれまでの『かまいたちの夜』を統括するものでカタルシスがあります。ぜひ3作あわせてプレイしてみてほしいです!

カワチRPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。

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