U.C.0079年9月18日は、TVアニメ『機動戦士ガンダム』において、アムロ・レイがRX-78-2(ガンダム)を操縦して、サイド7に侵入したザクを撃破した日です。
この“ガンダム”というモビルスーツの伝説の始まりともいえる、記念すべき日を解説していきます。
この“ガンダム”というモビルスーツの伝説の始まりともいえる、記念すべき日を解説していきます。
9月18日は、"ガンダム”が大地に立った日【機動戦士ガンダム】
『機動戦士ガンダム』は1979年から放映されたTVアニメで、『ガンダム』シリーズの第1作目にあたる作品。U.C.0079年9月18は、その第1話である“ガンダム大地に立つ!!”の内で描かれるシーンです。
この1話の前提として、世界から宇宙を統治している地球連邦に対し、スペースノイドの自治・独立を要求したジオン公国が独立戦争を挑んだ、後に“一年戦争”と呼ばれる戦いがすでに始まっています。
当初は国力でまさる連邦が優位と思われるも、ジオンが開発した新型兵器“モビルスーツ”の活躍によってジオン優位に戦局は推移。地球にまで侵攻され、北米を始めとした複数の地域がジオンに占領されるほど、地球連邦は追い込まれます。
この1話の前提として、世界から宇宙を統治している地球連邦に対し、スペースノイドの自治・独立を要求したジオン公国が独立戦争を挑んだ、後に“一年戦争”と呼ばれる戦いがすでに始まっています。
当初は国力でまさる連邦が優位と思われるも、ジオンが開発した新型兵器“モビルスーツ”の活躍によってジオン優位に戦局は推移。地球にまで侵攻され、北米を始めとした複数の地域がジオンに占領されるほど、地球連邦は追い込まれます。
そんな中、戦況を覆すために発動されたのが、地球連邦軍のモビルスーツ開発計画である“V作戦”で、その過程で開発されたモビルスーツ(ガンダム、ガンキャノン、ガンタンク)は、主人公のアムロ・レイが住む、地球から遠く離れた辺境のスペースコロニー・サイド7へと搬入され、最後の調整が行われる予定となっていました。
しかし、それを察知したのがジオンの“赤い彗星”として知られるシャア・アズナブルの部隊。すでに連邦がモビルスーツの開発を極秘裏に進めているとアタリをつけていたシャアは、部下のデニムとジーンに偵察を命じており、デニムたちは搬入の真っ最中であったV作戦のモビルスーツを発見します。
偵察を任されていたデニムは一度帰還しようとしたものの、功を焦った部下のジーンが勝手に攻撃を開始してしまい、偶然その場に居合わせたアムロが乗り込んだRX-78-2(ガンダム)との戦闘に突入。
ザクのマシンガンの受け付けないガンダムの装甲、ザクを上回るパワーを目の当たりにし、一度は撤退しようとするジーンですが、背中を見せたところを撃破され、残るデニムもコクピットをビーム・サーベルで貫かれます。
ガンダムの初戦は、それまで連邦軍を圧倒してきたザクを瞬く間に2機撃破するという、目覚ましい戦果を上げたのでした。
アムロは最初からパイロットとしてもスゴかった【機動戦士ガンダム】
非常に有名なエピソードなので、上記の流れはもちろん知っている……という方も多いと思うのですが、改めてみても本当にすごいというか、ヒーローであるはずの主役ロボットの初めての戦いとは思えないエグさが詰まっている1話だなと感じます。
最初にジーンのザクを撃破するところなんて、ガンダムに圧倒されてほぼ戦意をなくして逃げようとしている相手を追いかけて背中から斬るという、従来のヒーロー観からあまりにもかけ離れた戦いですし、その結果ザクの核融合炉が爆発してサイド7に大きな穴が開いてしまい、父親であるテム・レイが宇宙に放り出され行方不明になる悲劇も生んでいます(しかもアムロは、最後までその事実を知らないままなのも切ない)。
もう一方のデニムに対しては、コロニー内でモビルスーツを爆発させる危険性を即座に判断して、コクピットを狙って中のパイロットだけを殺す形でザクを機能停止させています。
序盤のアムロって、アムロ自身の腕ではなくガンダムの性能頼りで勝っているっていうイメージがあるんですが(たぶんランバ・ラルのせい)、正直この1話の時点でも完全に素人の域を越えた操縦をやっていて、すでに規格外の存在だったんだと改めて思えます。ホワイトベースに乗った後も、新人とはいえ正規の軍人であるリュウ・ホセイではなく、アムロがパイロットを続けていたのも頷けます。
ただこの状況に至ったのは、ジーンが暴走して搬入途中のタイミングに攻撃をしかけたこと、V作戦のファイルをもっていた士官が攻撃に巻き込まれ、アムロの元に操縦マニュアルが飛ばされてきたこと、流れ弾が避難民に直撃して幼馴染のフラウの家族が死んでしまい、アムロにある種の「戦わないと殺される」というスイッチが入っていたなど、めちゃくちゃ多くの“偶然”が影響しているんですよね。
一つでも展開が違えば、アムロがガンダムに乗ることはなかったと考えると、そのあとの一年戦争の流れも変わってきそうですし、とくにそのきっかけを作ったジーンは、ある意味ジオンの敗因を作ったなかなかの戦犯と言えるのかも。
ガンダムとアムロがいなかったとしても、最終的な連邦の勝利は変わってないかもしれませんが、一年では戦争は終わらなかった気がします(オデッサでマ・クベが水爆を持ち出してきた時、アムロがいなければ連邦軍がかなりの被害を負うことになるでしょう)。
もしデニムに任せずシャアが自身が同行していたらジーンを抑えられたかもしれませんし、仮にアムロがガンダムに乗ったとしても、ビーム・ライフル等の武装もなく、ホワイトベースやリュウのコア・ファイターの援護もない状態でシャアと戦うのは相当厳しいと思われ、ガンダムがジオンに鹵獲されていた可能性すらあります。
そう考えると9月18日は、ほんの僅かな掛け違いでその後の宇宙世紀の歴史が大きく変わっていた、歴史の分岐点ともいえる日と言えるかもしれませんね。
米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。