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【諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。何故だ!?】10月6日はガルマの国葬、ギレンの演説が行われた日。「坊やだからさ」「立てよ国民」など多くの名言に関連【機動戦士ガンダム】

文:米澤崇史

公開日時:

 U.C.0079年10月6日は、TVアニメ『機動戦士ガンダム』において、ガルマ・ザビの国葬が行われた日です。一年戦争に及ぼした影響だけではなく、後にファンに語り継がれる名台詞も多数生んだエピソードを解説していきます。

※この記事には『機動戦士ガンダム』のネタバレが含まれています。

伝説のギレンの演説シーンを生んだガルマ・ザビの死【機動戦士ガンダム】

 ガルマ・ザビは、1979年から放映されたTVアニメで『機動戦士ガンダム』に登場するキャラクターの一人で、ジオンの権力を独裁に近い形で手にしている“ザビ家”の四男にあたります。

 「あれ、デギンの息子って、ギレン、ドズル、ガルマだから三男じゃ?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は設定上は一年戦争開戦前に死亡したサスロという次男が存在しているので、ドズルは三男、ガルマは四男となります(『THE ORIGIN』では実際にサスロが登場し、爆弾で暗殺されるシーンが描かれています)。

 ガルマは地球方面軍司令官を任され、地球降下作戦によってジオンの占領下となった北米地域を統治しており、シャア・アズナブルとは士官学校時代からの旧知の仲です。

 地球連邦軍の本部であるジャブローを目指していたホワイトベースは、大気圏降下前にシャアの部隊の襲撃を受けたことで、意図せぬ形でジオンの勢力圏である北米地域へと降下しており、シャアと合流したガルマはホワイトベースを沈めるべく攻撃を仕掛けていました。

 しかし、シャアは任務とは別に、ザビ家に対する復讐という隠された目的をもっていました。シャアはガルマを煽った上で、ガンダムを囮にするブライトたちのの作戦に乗ったフリをしてガルマを誘導、ガラ空きになった背後をホワイトベースに攻撃させるという策で、ガルマを亡き者にすることに成功しています。

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 シャアが自分を嵌めたことを知った時のガルマは動揺しつつも、もう退避が叶わぬと覚悟して自ら舵をとって転身、せめて一矢報いようとホワイトベースに特攻を仕掛けようとするなど、それまでの頼りないお坊っちゃん然としたイメージに反した、ジオン軍人として筋の通った最期を遂げています。

 このガルマの戦死は、すぐにジオン本国に伝わり、ギレン・ザビはガルマの死を戦意高揚に利用するための国葬を計画。ガルマを溺愛していた国王デギン・ソド・ザビは、ガルマを静かに送ってやりたいという想いで反対するも、キシリアもギレンに賛同したこともあって折れざるを得ず、かの有名な「立てよ国民!」の演説が行われることになります。

 この演説が行われている時、ガルマを守れなかった責任を取らされてシャアは左遷され、前線を離れた酒場のTVで演説を聞いており、「諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。何故だ!?」というギレンの言葉の一説に、すかさず「坊やだからさ」と呟く一幕も、後に語り継がれる名シーン。キャラクターが死ぬ瞬間ではなく、その死を悼む演説のシーンのセリフがここまで広く知れ渡っているアニメって、それこそ『ガンダム』くらいなんじゃないかという気がします。

 余談ながら、雑誌『冒険王』に連載されていた岡崎優先生の漫画版で、ギレンの演説を聞いてジオンのへの怒りを燃やしたアムロがモニターを叩き割ったという有名なシーンも、このタイミングで起こった出来事です。

実は優秀だったガルマ・ザビ。生き残っていたらどうなっていた?【機動戦士ガンダム】

 「坊やだからさ」だけではなく、「これで勝てねば貴様は無能だ」と内心で手厳しい評価を下していたり、シャアからは散々な言われようをしていたガルマですが、少なくとも占領地域に対する統治能力といった部分はなかなか優秀だったのは間違いありません。

 ガルマは北米を占領後、ニューヤークの有力者であるエッシェンバッハと協力関係を結び、彼の娘であるイセリナと婚約を結んでいます。

 エッシェンバッハとしては、心からジオンに恭順しているというわけではなさそうでしたが、ホワイトベース以外にジオンへの目立った反抗勢力のようなものは登場しておらず、少なくとも表向きには北米地域は比較的治安が維持されていることが伺えます。

 また、人望も特筆するべきところがあり、イセリナとは政治的な婚姻関係だったにも関わらず、心からガルマに想いを寄せていたようですし、ザビ家の四男で軍の大佐という立場にありながら積極的に前線に赴き、時には直接戦闘を行っている(これは自分が死ぬはずがないという油断も少なからずありそうで、ガルマの欠点でもありますが)こともあって、前線の兵士からの人気も絶大。

 ガルマの死後には、イセリナと残された部下たちがホワイトベースに仇討ち挑むエピソードもあり、戦闘の指揮能力自体はそこまで高くなくても、一種のカリスマ性のような、人間としての魅力が高い人物だったんだろうと推測できます。

 ドズルがガルマのことを高く評価していたのは、そのあたりのガルマの資質を見抜いていたからかもしれませんね。

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 ここでシャアがホワイトベースではなくガルマを謀殺したことは結構後を引いていて、もしガルマが戦死しなければその後ランバ・ラルが仇討ちに派遣されることもないので、アムロのパイロットとしての成長が大きく遅れていたので、その後の一年戦争の戦況やアムロとシャアの戦いの結果も変わっていたかもしれません。

 もしオデッサ作戦後までガルマが生き残っていた場合、宇宙に脱出してソロモンでドズルと合流するのではないかと思われますが、おそらくドズルはガルマもミネバたちと共に優先的に脱出させるでしょうし、その後ア・バオア・クーでのキリシアのギレン暗殺、シャアのキリシア暗殺が発生した場合、ジオンの全権がガルマに移るとか、ミネバと共にアクシズに逃げ延びるとかもありえそう。

 一方で、「デギンと行動を共にしてソーラ・レイで一緒に焼かれたかもしれない」とか、「シャアを信用しきっているので、どこか都合の良いタイミングで結局シャアに殺される」とかのあまり大勢に影響しないというパターンもそれはそれでありえそうで、『ガンダム』の中でも、「あの時生きていたら……」という妄想がすごく膨らむキャラクターでもあるなと思います。



米澤崇史:ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。幼少期の勇者シリーズとSDガンダムとの出会いをきっかけに、ロボットアニメにのめり込む。今もっとも欲しいものは、プラモデルとフィギュアを飾るための専用のスペース。

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